あたらしい眼科Vol.27,No.11,20101557シリーズ私が思うこと(75)昔から思っていたのだが,というか妄想に近いのだが人の運の量は一定で幸運と不運は隣り合わせ,運がいいときもあれば悪いときもある.なのでどちらかがずーっと続くわけではなく,いいことが続けば悪いことが起こるかもしれないからと警戒し,悪いことが続けばいいことが起こるかもしれないからがんばろうと思い生きてきた.そんなことを思いつつ月日がたつのは速いもので医師になって12年がたった.年齢的にはアラフォーであり日本人の男性の平均寿命が80歳ぐらいであるから人生の半分くらいのところまできた.いい機会なので医師としての自分を振り返りつつ,全体として幸運なのか不運なのか自分で評価してみる.平成11年に山形大学医学部を卒業し,同眼科学講座に入局した.眼科を選択した理由は,ポリクリで各科を回ってみてマイクロサージェリーの美しさが印象に残ったからである.入局した年は丁度教授選があり山下英俊教授が就任された.振り返ればこれは私にとってかなり幸運なことだったんだなと今になって思う.自分の上司とか師匠となる人との出会いは人生において非常に重要な役割を担っていると思う.学生時代からそういう人をみつけてそこで働ければ一番よいのだが,ほとんどの人は自分の母校とか地元の病院とかに就職するであろう.そうなると師匠となる人を自分では選べない.私もまさしくその状態だったのだが棚からぼたもちともいうべきか,何もしないですばらしい師匠を得た.これが第1の幸運である.入局後大学で2年間の研修を終えて関連病院に4年半赴任した.元来めんどーなことが嫌いな性格であり,あまり忙しくない関連病院で特に専門も決めずにふらふらとしていた.途中大学に戻って来いといわれても,「いや,もうちょっといます」とか何とかいってごまかしていた.こんな状態だったのでさすがに山下教授も心配してくださり「大学で眼腫瘍をやってみませんか」と直接お声をかけていただいた.当時大学では高村浩准教授(現在は公立置賜総合病院外科系部長)が1人で眼腫瘍の診療をされていた.特になにかをやりたいと思っていたわけではないので断る理由もなく大学に戻って眼腫瘍を専門にすることにした.眼腫瘍は眼科のなかでもマイナーな分野であろう.全国で眼腫瘍を専門にしていると標榜しているのは40.50人くらいであろうか.学会や研究会でも眼腫瘍の分野にはほとんど同じ先生方が出席され熱い議論を交わしている.大学に戻ってから4年間,高村准教授と眼腫瘍の診療をしてきたがこれが第2の幸運であった.高村准教授もすばらしい人であり眼腫瘍の診察,治療について一から教えていただいた.悪性の腫瘍などは患者に説明するのになにかと苦労するが,外来の忙しいさなかでも懇切丁寧に説明する高村准0910-1810/10/\100/頁/JCOPY今野伸弥(NobuhikoKonno)山形大学医学部眼科学講座助教1972年福島県生まれ.山形大学に入学して以来山形にいるのでもはや山形県人です.夏は暑く冬は寒くて住むのには苦労しますが,食べ物がおいしく人々も温和なのでとてもいいところです.今年から医局長となり医局の運営と眼腫瘍の診療に日々奮闘しています.(今野)幸運と不運▲高村浩准教授の送別会にて左から2番目:山下英俊教授,真ん中:高村准教授,右端:筆者.1558あたらしい眼科Vol.27,No.11,2010教授の姿をみて医師としても人としても尊敬することができた.昔から人がやらないようなことをやることが好きだった自分としても眼腫瘍の奥深さに興味をもてた.そんなわけで自分から進んで何かをするわけでもないまま眼科医としての進むべき道と師匠を得た.山下教授,高村准教授には感謝してもしきれないくらいである.大学に戻ってきてから学生の指導や講義もしなくてはならなくなり,診療や研究の合間に寝る間を惜しんで講義用のスライドを作って講義をしても,学生からの評価のアンケート用紙に「スライドが見づらいです」と書かれたり(予備校みたいに講義する医師が評価されます),平成22年2月からは医局長となり医局の運営で苦労したり,医局内や医局外の先生に挟まれて悩んだり,これが中間管理職の苦労かと実感させられることがあったりしても山下教授,高村准教授に出会えたことの幸運に比べれば小さな不運であると思う.こうしてみると医師としての運はかなりいいほうではないかと思う.仕事の面では幸運に恵まれて順風満帆なのだが,いかんせん,プライベートで最大の不運がある.アラフォーなのに結婚の予定がまったくないのである.結婚が幸運かどうかは人それぞれであろうが,今の自分にとっては結婚することは幸運だと思う.仕事とプライベートを総合して考えてみると,やはり幸運と不運の量は一定なのか,今の時点ではイーブンなのかな.今野伸弥(こんの・のぶひこ)1999年山形大学医学部卒業,同眼科入局2001年山形県立河北病院眼科2003年舟山病院眼科2006年山形大学医学部助教現在に至る(76)☆☆☆お申込方法:おとりつけの書店,また,その便宜のない場合は直接弊社あてご注文ください.メディカル葵出版年間予約購読ご案内眼における現在から未来への情報を提供!あたらしい眼科2011Vol.28月刊/毎月30日発行A4変形判総140頁定価/通常号2,415円(本体2,300円+税)(送料140円)増刊号6,300円(本体6,000円+税)(送料204円)年間予約購読料32,382円(増刊1冊含13冊)(本体30,840円+税)(送料弊社負担)最新情報を,整理された総説として提供!眼科手術2011Vol.24■毎号の構成■季刊/1・4・7・10月発行A4変形判総140頁定価2,520円(本体2,400円+税)(送料160円)年間予約購読料10,080円(本体9,600円+税)日本眼科手術学会誌(4冊)(送料弊社負担)【特集】毎号特集テーマと編集者を定め,基本的事項と境界領域についての解説記事を掲載.【原著】眼科の未来を切り開く原著論文を医学・薬学・理学・工学など多方面から募って掲載.【連載】セミナー(写真・コンタクトレンズ・眼内レンズ・屈折矯正手術・緑内障など)/新しい治療と検査/眼科医のための先端医療/インターネットの眼科応用他【その他】トピックス・ニュース他■毎号の構成■【特集】あらゆる眼科手術のそれぞれの時点における最も新しい考え方を総説の形で読者に伝達.【原著】査読に合格した質の高い原著論文を掲載.【その他】トピックス・ニューインストルメント他株式会社〒113.0033東京都文京区本郷2.39.5片岡ビル5F振替00100.5.69315電話(03)3811.0544http://www.medical-aoi.co.jp