———————————————————————-Page1(1)1411医療の結果や過程を評価する指標としてqualityoflife(QOL)が重要視されるようになって久しいが,それと同様に眼科医療においても視覚の質(qualityofvision:QOV)という概念が大きな広がりをみせている.その結果,単に「混濁を除去した」,「網膜が復位した」,「屈折異常を矯正した」,「眼圧を下げた」といったプリミティブなアウトカム指標だけでなく,さまざまな眼疾患の治療において,視覚の質および視覚関連QOL(vision-relatedQOL)が厳しく問われる時代となった.視覚の質を考える際に避けて通れないのが,不正乱視と高次収差である.これらの成分はトーリックレンズで矯正できないだけに,大きな不正乱視や収差が存在すれば視覚の質は大きな影響を受け,患者は強い不満を訴えることになる.光学系において,一点から出た光が一点に結像するのが理想的な系で,一点に収束しない場合のずれを収差(aberration)という.収差には,光の波長によって屈折率が異なることによる色収差(chro-maticaberration)と,レンズ系の形状に起因する単色収差(monochromaticaberration)とがある.これまで眼光学の分野では,単色収差はSeidelの5収差として理解されてきており,球面収差,コマ収差,非点収差,像面弯曲,歪曲収差とに分類されてきた.この考え方は幾何光学に基づいており非常にわかりやすいものであったが,一方で臨床的には,たとえば球面収差がいくつであるとか,像面弯曲がいくつであるかなど,定量的な議論には不向きなものであった.これに対し,近年臨床応用が進んでいる波面センサー(wavefrontanalyzer)は,光を波面として捉え,波面をZernike多項式によって表現することによって収差を解析している.実際の波面と理想的な波面のずれを距離(μm)で表すことにより,収差の量を数値化することができるのが大きな特徴である.Zernike多項式による波面収差(wavefrontaber-ration)には,低次の収差(球面レンズ値,円柱レンズ値)と高次の収差(コマ収差,球面収差)があり,後者の高次収差が眼鏡で矯正できない成分である.Seidelの収差とZernike多項式による収差は,同じ収差を違う方向から捉えたものであり,各成分は一対一に対応しないし,ましてやどちらが正しいというものでもない.Seidelの収差に代わってZernike多項式による波面収差がよく使われるようになったのは,なにより波面センサーが登場し,波面収差が定量的に測定できるようになったからである.さて,波面収差が臨床の現場で簡便に測定できるようになった結果,さまざまな眼疾患や病態において高次収差に関する議論が進み,視覚の質が詳細に論じられるようになった.眼光学がここまで眼科医0910-1810/07/\100/頁/JCLS*TetsuroOshika:筑波大学大学院人間総合科学研究科機能制御医学専攻眼科学**NaoyukiMaeda:大阪大学大学院医学系研究科視覚情報制御学寄附講座●序説あたらしい眼科24(11):14111412,2007眼の収差を理解するUnderstandingAberrationoftheEye大鹿哲郎*前田直之**———————————————————————-Page21412あたらしい眼科Vol.24,No.11,2007の身近に迫ったのは,これまでの時代にはなかったことであろう.高次収差や色収差を念頭に置きつつ眼疾患や病態を評価し,治療していくことは,視覚の質がますます問われる現代の眼科診療において,きわめて重要なことである.本特集では,眼の収差をさまざまな観点から解説した.この分野の研究はまだ歴史が浅く,日々発展を続けている.そのなかでも,最も臨床に近い分野の,現時点における最新のデータを特集した.読者の理解に少しでも資することができれば幸いである.(2)年間予約購読ご案内眼における現在から未来への情報を提供!あたらしい眼科2008Vol.25月刊/毎月30日発行A4変形判総140頁定価/通常号2,415円(本体2,300円+税)(送料140円)増刊号6,300円(本体6,000円+税)(送料204円)年間予約購読料32,382円(増刊1冊含13冊)(本体30,840円+税)(送料弊社負担)最新情報を,整理された総説として提供!眼科手術2008Vol.21■毎号の構成■季刊/1・4・7・10月発行A4変形判総140頁定価2,520円(本体2,400円+税)(送料160円)年間予約購読料10,080円(本体9,600円+税)(4冊)(送料弊社負担)日本眼科手術学会誌【特集】毎号特集テーマと編集者を定め,基本的事項と境界領域についての解説記事を掲載.【原著】眼科の未来を切り開く原著論文を医学・薬学・理学・工学など多方面から募って掲載.【連載】セミナー(写真・コンタクトレンズ・眼内レンズ・屈折矯正手術・緑内障など)/新しい治療と検査/眼科医のための先端医療他【その他】トピックス・ニュース他■毎号の構成■【特集】あらゆる眼科手術のそれぞれの時点における最も新しい考え方を総説の形で読者に伝達.【原著】査読に合格した質の高い原著論文を掲載.【その他】トピックス・ニューインストルメント他株式会社メディカル葵出版〒113-0033東京都文京区本郷2-39-5片岡ビル5F振替00100-5-69315電話(03)3811-0544お申込方法:おとりつけの書店,また,その便宜のない場合は直接弊社あてご注文ください.http://www.medical-aoi.co.jp