●連載監修=安川力髙橋寛二63.加齢黄斑変性:長期維持における石橋弘基梅野有美吉田茂生久留米大学医学部眼科学講座私のこだわり滲出型加齢黄斑変性は慢性進行性の疾患で,長期にわたる継続した治療や経過観察が必要である.現在,抗VEGF薬硝子体内投与が標準治療として用いられており,治療初期の目標は視力改善で,その後,改善した視力を長期に維持することが重要と考える.導入期から維持期の投与法滲出型加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegenera-tion:AMD)に対する抗血管内皮増殖因子(vascularendothelialgrowthfactor:VEGF)療法の維持期の投与法として,おもに必要時に投与するprorenata(PRN)法と,ドライマクラを維持できるよう投与間隔を延長しながら計画的に投与するtreatandextend(TAE)法がある.ラニビズマブを毎月1回2年間投与し,その後はPRN法で投与し,平均7.3年経過観察したSEVEN-UPstudyでは,7年後の視力はベースラインより-8.6文字となり,PRN法は長期的には視力を維持できない可能性が示された1).VIEWstudyでは,52週まではラニビズマブまたはアフリベルセプトの4週または8週の固定投与を行い,その後はmodi.edquarterlydosing期として病状悪化時もしくは最終投与から12週に1回の投与を行い,96週まで経過観察されている.このVIEWstudyのサブ解析において,modi.edquarterlydosing期の最初の12週以内に5文字以上の視力低下という再投与基準を満たした症例は,その後再投与されたが,最終的に-4.4~-5.8文字の視力低下をきたした2).これらの結果に示されるように,維持期には「一度低下した視力は戻らない」ことを念頭において治療する必要がある.PRN投与が再発を確認してから投与を行うreactive療法であるのに対し,TAE法は再発前に投与を行うproactive療法であるため,TAE法では長期的な視力維持が期待でき,筆者らの施設(以下,当院)ではTAE法を積極的に行っている.当院におけるTAE法を図1に示す.導入期は連続3回毎月投与し,3回でドライマクラが得られなければドライマクラが得られるまで4週ごとの投与を継続している.治療初期の目標は視力改善であり,そのためにはまず導入期にしっかりドライマクラが得られるまで4週ごとでの投与を継続することとしている.維持期は2週間隔での延長・短縮とし,12週間隔は少なくとも4回施行し,その後16週間隔で4回とも再発を認めなければ,患者の希望を確認し,①16週間隔を継続,②20週間隔へ延長,③いったん中止し経過観察,のいずれかとしている.当院で滲出型AMDに対し,アフリベルセプト硝子体内投与をTAE法で施行した39例39眼の4年成績を検図1当院でのTreatandExtend法導入期は連続3回毎月投与し,2週間隔の延長・短縮を基本とする.12週間4週16隔で4回は施行し,16週drydrydrydry・・・drydry・・・・・週週週4週4週4週間隔を4回施行後は,①4週8週6週4週1012に延長,③いったん中止wetwet・・・drydrydrydry・・・のいずれかとする.16週間隔を継続,②20週週週8週6週6週wetdrydry・・・(89)あたらしい眼科Vol.36,No.4,20195110910-1810/19/\100/頁/JCOPYlogMAR値Wilcoxonsigned-ranktest0.80.70.60.50.40.30.20.1001234(年)図2視力治療前と比較して1年目,2年目,3年目,4年目のいずれの時点でも有意に改善している.(μm)Wilcoxonsigned-ranktest600**5004003002001000(年)図4中心窩網膜厚治療前と比較して1年目,2年目,3年目,4年目のいずれの時点でも有意に減少している.討した(治療歴あり:18眼,治療歴なし:21眼).その結果,視力は治療前と比較して1年目で有意に改善した.1年目で改善した視力と比較すると,3年目と4年目では低下したが,4年目でも治療前より有意に改善していた(図2).治療前と治療後4年での視力変化は,改善・不変:94%,悪化:6%と,ほとんどの症例で視力の維持が可能であった(図3).中心窩網膜厚は1年目で有意に減少し,4年目まで維持可能であった(図4).平均投与回数は1年目:7.9回,2年目:6.0回,3年目:5.5回,4年目:5.4回であった.投与間隔が12週以上の症例は,1年目:46.2%,2年目:46.2%,3年目:43.6%,4年目:44.7%であり,さらに4年目では16週以上が23.7%(9/38眼)であった.TAE法では投与間隔の延長が可能なため患者の来院回数を減らすことができ,長期に治療・経過観察の継続が必要な患者の負担が軽減できる.長期管理AMDは慢性疾患であり,治療の目標は長期に視機能を維持することである.したがって,患者に病気と長くつき合っていくという気持ちをもってもらい,定期的な受診を継続してもらうことが重要となる.そのためにはまず,治療開始前に患者とその家族が十分にAMDの病態や治療を理解する必要がある.筆者は512あたらしい眼科Vol.36,No.4,2019悪化6%図3治療前と治療後4年での視力変化*logMAR0.3以上の変化を有意とする治療開始の際には可能なかぎり家族とともに治療の説明を聞いていただいている.高齢な患者が一人でしか受診できない場合は,直接家族に電話で説明することもある.説明時には眼球模型やAMD患者説明用資材を利用し,患者本人のカラー眼底写真や光干渉断層計(OCT)の画像を見せながら説明することで病気への理解を深めてもらい,患者本人に積極的に治療に参加してもらうよう心がけている.抗VEGF療法については,PRN投与の場合は注射回数は必要最低限にはなるが,長期的に低下した視力が戻らない可能性があることや,厳密な管理のため通院間隔も1カ月ごとが望ましいことなどを,TAE法では不必要な投与となる可能性もあるが,投与間隔・受診間隔の延長も可能であり,長期に視力の維持が期待できる方法であることなど,それぞれのメリット・デメリットを説明している.前述のようにTAE法では長期的な視力維持が期待できるため,TAE法を積極的に行っているが,注射の費用負担が大きいことや注射すること自体を負担に思われる患者もいるため,患者の希望に応じ,個々に合わせて投与法を適時変更している.治療開始後,導入期には自覚の改善を認めるものの,維持期に再燃した際は自覚症状が悪化していないことも多い.受診時は毎回OCT画像を見せることで現状を理解してもらい,再発の際に自覚がなくても注射の必要性を理解していただいている.患者自身が病状を把握し,治療に参加していることを実感することで,長期に受診・治療を継続するモチベーションを保ち,視力を維持することにつながると考える.文献1)RofaghaS,BhisitkulRB,BoyerDSetal:Seven-yearout-comesinranibizumab-treatedpatientsinANCHOR,MARINA,andHORIZON:amulticentercohortstudy(SEVEN-UP).Ophthalmology120:2292-2299,20132)RichardG,MonesJ,WolfSetal:ScheduledversusProReNataDosingintheVIEWTrials.Ophthalmology122:2497-2503,2015(90)