●連載222監修=岩田和雄山本哲也222.RGCdisplacementを考慮した大久保真司*,**宇田川さち子***おおくぼ眼科クリニック**金沢大学医薬保健研究域医学系眼科学緑内障の構造と機能の関係緑内障の診断において構造と機能の関係を確認することは重要である.眼底所見ならびに黄斑部の光干渉断層計所見と感度との関係を考える際,中心窩近くでは解剖学的に視細胞と網膜神経節細胞が位置ずれ(retinalgan-glioncelldisplacement)をきたしていることに注意が必要である.●緑内障における構造と機能の関係の重要性緑内障ガイドライン1)においても,緑内障の定義は「緑内障は,視神経と視野に特徴的変化を有し,通常,眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」とされており,緑内障の診断において構造と機能を確認することは非常に重要である.緑内障性視神経症の本態は,網膜神経節細胞(retinalganglioncell:RGC)とその軸索である網膜神経線維の障害とされているので,緑内障においては,その障害部位に対応する特徴的な視野障害を呈することになる.視野障害のみられる症例において,その視野に対応する構造異常を確認することは緑内障診療の基本と思われる.近年,緑内障性の構造変化がみられても,通常の視野検査では異常がみられない「前視野緑内障」が注目されてきているが,いわゆる「前視野緑内障」の中には,検査点配置の変更や検査点密度を上げることによって視野障害が検出される症例も含まれ,「前視野緑内障」においても構造と機能を考えながら診察にあたる必要がある.C●光干渉断層計と静的視野計を用いた構造と機能の関係Harwerthら2)は,サル実験緑内障モデルのデータを再解析して,RGCの喪失率と視野の変化率を,両者ともに%の線形に表示した場合と,両者とも対数(dB)で表示した場合とで検討し,%表示でもCdB表示でも両者の単位をそろえれば,RGCの喪失率と視野の変化率は直線回帰するとしている.光干渉断層計(opticalcoher-encetomography:OCT)の普及に伴い,OCTを利用して構造的変化と静的視野による機能的変化の関係が検討されるようになった.Hoodら3)は,Garway-Heath(81)C0910-1810/18/\100/頁/JCOPY耳側鼻側3.48°3.19°2.6°2.6°2.6°2.6°3.19°3.48°図1Retinalganglioncelldisplacementの2モデルグレーの四角はC2°間隔の中心C10-2の中心のC8点.水色の点は,中心C4点のCSjostrandモデルの座標.オレンジの点はCDrasdoモデルの座標.Drasdoモデルのほうが中心の偏位量が大きく,鼻側の偏位量が耳側より大きい.らによるCHumphrey視野の検査点と乳頭の位置関係に基づき4),視野の弓状領域とCOCTによって測定されるそれに対応する部位の網膜神経線維層(retinalCnerveC.berlayer:RNFL)厚との関係を検討し,両者の単位を統一すれば,Harwerthらの報告2)同様にCRNFL厚の減少と網膜感度の減少の関係は線形対応していると報告している.Wangら5)は,手動でCRGC層+網膜内網状層のセグメンテーションを行い,局所のCRGC層+網膜内網状層厚は,定性的に感度低下部位と一致すると報告している.C●RGCdisplacement黄斑部における局所の構造と機能の関係を評価するにあたって,中心窩近くでは解剖学的に視細胞とCRGCがあたらしい眼科Vol.35,No.12,2018C1657図2症例:51歳,女性,左前視野緑内障眼a:眼底写真.耳下側に細い網膜神経線維層欠損がみられる(→).Cb:Humphrey24-2SITAstandardの結果.明らかな異常はみられない.Cc,d:コーワCAP-7700(興和)を用いたCOCT対応視野計の結果.測定結果はCRGCdisplacemantなし(Cc)とCRGCdisplacemantあり(Cd)の状態で,結果を表示することが可能である.有意に感度低下がみられる点は,黒い点で表示される.RGCdisplacementありの状態では,ganglioncellcomplexマップの菲薄化部位と感度低下の部位が一致している.位置ずれをきたしている(retinalganglioncelldisplace-2)HarwerthRS,CarteDawsonL,SmithEL3rdetal:ScalingtheCstructure-functionCrelationshipCforCclinicalCperimetry.ment:RGCdisplacement)ことが報告6,7)されている.CActaScandOphthalmol83:448-455,C2005とくに視細胞とCRGCの位置ずれは中心窩近くがもっと3)HoodDC,KardonRH:Aframeworkforcomparingstruc-turalCandCfunctionalCmeasuresCofCglaucomatousCdamage.も大きいとされている6,7)(図1).すなわちCRGCを中心CProgRetinEyeResC26:688-710,C2007とした網膜内層の菲薄化をきたす緑内障においては,中4)Garway-HeathCDF,CPoinoosawmyCD,CFitzkeCFWCetal:心窩近くでは感度の低下部位とその感度と対応する網膜CMappingCtheCvisualC.eldCtoCopticCdiscCinCnormalCtension内層の菲薄化部位にギャップが生じる.中心C10-2の各Cglaucomaeyes.OphthalmologyC107:1809-1815,C20005)WangCM,CHoodCDC,CChoCJSCetal:MeasurementCofClocal検査点の感度と対応するCOCTで測定したCRGC関連層Cretinalganglioncelllayerthicknessinpatientswithglau-厚の相関を検討した研究でも,とくにC10-2の中心C4点Ccomausingfrequency-domainopticalcoherencetomogra-phy.ArchOphthalmolC127:875-881,C2009では,RGCdisplacementを補正すれば両者の相関係数6)SjostrandCJ,CPopovicCZ,CConradiCNCetal:Morphometricが改善することが報告されており,RGCdisplacementCstudyCofCtheCdisplacementCofCretinalCganglionCcellsCsub-servingconeswithinthehumanfovea.GraefesArchClinの重要性が確認されている8,9).CExpOphthalmolC237:1014-1023,C1999網膜視細胞が障害される疾患においては,OCTの障7)DrasdoCN,CMillicanCCL,CKatholiCCRCetal:TheClengthCof害部位と感度の低下部位は一致するが,RGC関連層がCHenle.bersinthehumanretinaandamodelofganglion障害される緑内障においては,中心窩近くでの構造と機Creceptive.elddensityinthevisual.eld.VisionRes47:C2901-2911,C2007能の関係を検討する際にはCRGCdisplacementを考慮す8)RazaAS,ChoJ,deMoraesCGetal:Retinalganglioncellる必要がある(図2).Clayerthicknessandlocalvisual.eldsensitivityinglauco-ma.CArchOphthalmol129:1529-1536,C20119)OhkuboCS,CHigashideCT,CUdagawaCSCetal:FocalCrelation-文献shipbetweenstructureandfunctionwithinthecentral101)日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン作成委員会:緑内Cdegreesinglaucoma.InvestOphthalmolVisSci55:5269-障診療ガイドライン(第C4版).日眼会誌122:5-53,C2018C5277,C2014C1658あたらしい眼科Vol.35,No.12,2018(82)