監修=木下茂●連載214大橋裕一坪田一男214.SMILEのレンティクル確認テクニック小島隆司慶應義塾大学医学部眼科学教室,名古屋アイクリニックSmallincisionlenticuleextraction(SMILE)手術ではレンティクルを.離する操作が重要である.レンティクルの表側か裏側のどちらを.離しているか判断するのにCwhiteringsignが有効で,この所見が陽性であればレンティクルの後面を.離していることがわかる.●はじめにSmallCincisionClenticuleCextraction(SMILE)手術は,角膜屈折矯正手術の一種であるが,その代表格ClaserCinsituCkeratomileusis(LASIK)とは大きく異なる.SMILEは角膜をフェムトセカンドレーザーのみで切開し,角膜内にレンティクルとよばれる切片を作製し,それを抜き取ることで目標の屈折矯正を達成する.一般的に,SMILEは手術手技がCLASIKに比較してむずかしいといわれる.とくに慣れない術者は手術を開始する際にストレスに感じることが予想されるが,このレンティクル確認テクニックを身につければ,手術がスムーズに施行できると思われる.C●SMILEの標準術式SMILEでは,まずフェムトセカンドレーザーで図1に示すような四つの切開が行われる.最初にClenticulecutとよばれるレンティクルの後面切開,続いてClenti-culesidecutとよばれるレンティクルの側面切開,そしてCcapcutとよばれるレンティクル前面部分の切開,最後にCcapopeningincisionとよばれるレンティクルを抜き出すための切開が行われる.次に,角膜内に作製されたレンティクルを.離し,抜き取る手技に入る.標準術式としては,まずレンティクル前面を.離し,レンティクルを後ろ側に残した状態でレンティクル後面を.離する.SMILEではCcapCopeningCincisionはC2~3Cmmであり,レンティクルを直接確認できない.このため断面ではわかりやすいレンティクルも,手術顕微鏡で角膜正面から見た場合,現在自分がどの層を.離しているのかわからなくなることがある.このため,レンティクル前面を.離しているつもりで,実際はレンティクル後面を.離してしまうと,次に後面を.離しようとさらに後面をスパチュラで探っても,すでに後面は.離しているのでみつからない.この際,最初にレンティクル後面を.離したことに気づけばいいが,そうでないと執拗にスパ(73)③④①②④各切開面の呼称①lenticulecut(レンティクルの後面)②lenticulesidecut(レンティクルの側面切開)③capcut(レンティクルの全面)④capopeningincision標準術式:④→③→①(②)の順番に切開面を.離する.図1SMILE手術における角膜内切開面および標準術式チュラでレンティクル後面を探した結果,角膜実質層にダメージを与えたり,間違った層を自ら作り出してしまう可能性もある.C●レンティクル確認テクニックJacobらは,SMILE手術においてレンティクルを.離する際に,最初にレンティクルの後面を.離し,レンティクルが角膜上皮側に残ってしまった場合は,.離範囲よりも内側に白いリングが観察されることを発見し,これをCwhiteringsignと名づけた.筆者らの自験例でも,レンティルが上側に残った場合は,論文での報告と同様にCwhiteCringCsignが確認された(図2).これを複数例経験することによって注意すべき点がわかってきた.このCwhiteCringCsignを確認する際,角膜内のポケットがウェットであると,このサインがわからないことがある.角膜にかけた水が切開創からポケット内に入りこんだ場合は,手術用スポンジなどでポケット内をドライにして確認するとよい.これがどうして見えるかであたらしい眼科Vol.35,No.3,2018C3550910-1810/18/\100/頁/JCOPYA.レンティクル表面が最初に.離された場合(推奨)B.レンティクル後面が最初に.離された場合レンティクル.離範囲は観察されるが,その内側にはリングは観察されない.レンティクル.離範囲の内側に白色のリングが観察される(whiteringsign陽性).図2レンティクルのどちら側を.離しているか確認する方法A.中村氏のレンティクルセパレーターB.中村氏レンティクルスパチュラAの角をレンティクルレンティクルの端が.離の端に当てて.離するされた状態図3レンティクルが上に残った場合の対処方法あるが,図1をよく見るとわかるが,最初に誤ってレンティクル後面を.離した場合,lenticulesidecutおよびlenticuleCcutの一部を.離することになる.その際,lenticulesidecutの部分が角膜内で露出され,その部分からの散乱光でリング状に見えると思われる(図2).C●レンティクルが上側に残った場合の対処方法上記の方法にてレンティクルの位置を確認し,もしレンティクルが上側に残っている場合は以下の方法で.離すれば問題なく手術は可能である.まず,capopeningincisionから中村氏レンティクルセパレーター(GeuderCG-S03832)を挿入し,器具の角をレンティクルの側面に当てるイメージでレンティクル356あたらしい眼科Vol.35,No.3,2018の一部をCcap部分から.離する.次にレンティクルスパチュラ(ASICOCSP-121079)を.離された部分から挿入しレンティクル全体を.離する(図3).上記の確認方法および対象方法をマスターすれば,レンティクルが上側に残っても下側に残っても,まったく問題なく手術は短時間で終了可能である.文献1)JacobCS,CNarianiCA,CFigusCMCetCal:WhiteCringCsignCforCuneventfulClenticuleCseparationCinCsmall-incisionClenticuleCextraction.JCataractRefractSurgC42:1251-1254,C2016(74)