microRNAの臨床応用の可能性microRNAの臨床応用の可能性ポストゲノム時代の到来以降,がん研究を中心に特定の分子を治療標的とした治療薬の開発が進められ,近年,抗体医薬を中心とした分子標的薬が浸透しています.とくに眼科では,これまで抗CVEGF抗体,アプタマーなど革新的分子標的薬がいち早く検討され,実績をあげてきました.昨今,microRNA(miRNA)という小さな核酸分子が,新たな創薬ターゲットとして多分野で注目を浴びています.CmicroRNAとはmiRNAは約C20塩基長の小さなノンコーディングCRNAであり,複数の標的メッセンジャーCRNAに結合して遺伝子発現を制御しています.1993年の発見以来,爆発的に研究が行われ,数多くの生命現象,疾患の発症に大きく関与することが明らかにされてきました.このCmiRNAは血液や尿中でも安定しており,がんをはじめ,さまざまな疾患の病態との関連性があることから,バイオマーカーとして有用視されています.また,miRNAを標的とした核酸医薬の開発も進んでおり,C型肝炎ウイルスの複製に必須であるCmiR-122の阻害薬はCPhaseC2で有効性が報告されています1).核酸医薬は抗体医薬と比較して安価で安定した生産が可能であるというメリットもあり,今後のさらなる効果と安全性の確認が期待されます.眼科の領域では近年,多くの眼疾患の病態とCmiRNAの関連が報告されて図1miRNAの関与が示唆されている代表的な眼科疾患と臨床応用眼科疾患においてもさまざまな疾患とCmiRNAの関連が報告されている.硝子体,前房水中に存在すFuchs角膜内皮変性るCmiRNAが疾患の発症,進行をmiR-29familyetc.評価するバイオマーカーとして機アルカリ外傷能する可能性や病態に機能するmiR-21etc.miRNAの異常を核酸医薬にて補充または抑制し,miRNAの正常翼状片miR-200familyetc.化を図る治療も今後期待される.ぶどう膜炎miR-155etc.大内亜由美DepartmentofMolecularMedicine,TheScrippsResearchInstitute順天堂大学医学部附属浦安病院眼科おり,疾患モデルマウスなどに対してCmiRNAを標的とした核酸を局所投与する解析から,病態への有効性が示されています2).またヒト前房水,硝子体,涙液中にもCmiRNAが数多く存在しており,疾患の発症とともに発現変動することも報告されています(図1).たとえば,microRNA-21は糖尿病網膜症の硝子体中で発現が上昇しており,糖尿病性細小血管障害や増殖性変化に機能する可能性が示唆されています3).今後の展望近年,次世代シーケンサーの登場により,いわゆる“千ドルゲノム”の時代を迎え,miRNAを含め膨大なシークエンス情報を得られるようになりました.この技術革新により,眼疾患においてもさまざまな標的分子が明らかになり,それに基づく核酸,抗体医薬の開発が加速することが予想されます.今後,miRNAを標的とすることで,従来型の医薬品ではアプローチできない眼疾患を治療できるようになるかもしれません.文献1)JanssenCHL,CReesinkCHW,CLawitzCEJCetCal:TreatmentCofCHCVCinfectionCbyCtargetingCmicroRNA.CNCEnglCJCMedC386:1685-1694,C20132)ShenJ,YangX,XieBetal:MicroRNAsregulateocularneovascularization.CMolTher16:1208-1216,C20083)Usui-OuchiA,OuchiY,KiyokawaMetal:UpregulationofMir-21levelsinthevitreoushumorisassociatedwithdevelopmentofproliferativevitreoretinaldisease.PlosOneC28:e0158043,C2016(93)Cあたらしい眼科Vol.35,No.8,2018C10990910-1810/18/\100/頁/JCOPY