眼内レンズセミナー監修/大鹿哲郎・佐々木洋342.分節状屈折型多焦点眼内レンズ荒井宏幸みなとみらいアイクリニック欧州を中心に使用されている分節状屈折型多焦点眼内レンズLentisRMplusを紹介する.近用部を分節状に配置することで,光学的なロスを低減している.乱視用の度数設定は100分の1D単位となり,ほぼオーダーメイドである.最近は中間視力の向上を目的にLentisRMplusXが開発された.●分節状屈折型多焦点眼内レンズOculentis社製LentisRMplusはおもに欧州で発売されており,日本では未承認である.LentisRMplusの外観を図1に示す.レンズの光学部下方が加入部分に相当する構造になっている.2013年11月には中間視力をより重視した設計のLentisRMplusXが発売された.遠用部と近用部の接合部分の角度と形状が変化している(図2).屈折型として,近用部を集約して網膜上に結像させるアイデアは斬新である.他の多焦点レンズと同様に,網膜上には遠方・近方ともに集光されており,脳の選択によりどちらかの集光像を認識する.素材は親水性アクリル(25%含水)であり,形状はプレート型である.切開創は2.0mmからの挿入が可能で,レンズ長径は11mm,光学部は6.0mmである.球面度数の製作範囲は0D~+36Dであり,toricレンズにおいては0.25~12Dまでの円柱レンズが対応可能となっている.●LentisRMplusの光学的優位性現在,選択が可能な多焦点眼内レンズは,同心円状の屈折型多焦点レンズと回折型レンズである.同心円状の屈折型眼内レンズには,遠方と近方のzone部分のギャップがあり,その部分の散乱により光学的なロスが生じる.暗所にて瞳孔径が大きくなると,このギャップ部分が何周も表出されるため,より多くのロスが生じてしまう.回折型眼内レンズの場合には,回折構造の物理特性として,常に約20%の入射光が減弱する.残りの80%を利用して遠方と近方に振り分けており,そのため鮮明度は甘くなり,これがwaxyvisionとして知覚される.術前にwaxyvisionに対する予測が可能であれば,非常に使い勝手の良いレンズであるが,それがむずかしいために躊躇することも多い.LentisRMplusは光学的なロスを最小限に留めるよう(47)図1LentisRMplusの外観近用部分が下方(6時方向)になるように.内に固定する.マーカーラインは水平方向を示している.図2LentisRMplusとMplusXのシェーマMplusXでは中央の陥凹部が少し小さくなり,接合部の傾斜が水平方向に変更されている.中間視力を向上させるための設計変更である.LENTIS.LENTIS.に設計されている.レンズの中心部分および60%以上の部分が遠方焦点の単焦点レンズであるため,良好な遠方視が担保される.また,屈折型に特徴的なzone間のギャップは1本のラインしかなく,したがって,瞳孔径が大きくなっても表出するギャップはラインの1部分のみである.そのギャップも非常に精緻に作製されている.●驚異的なtoricレンズの製作度数LentisRMplusおよびMplusXにはtoricレンズの設定がある.Toricレンズの度数設定は,球面・円柱面ともに100分の1D単位である(図3).レンズのオーダーはおもにIOLマスター(CarlZeissMeditec社製)のデーあたらしい眼科Vol.32,No.4,20155110910-1810/15/\100/頁/JCOPY図3LentisRMplustoricのオーダーフォーム100分の1D単位での推奨レンズ度数が示されている.乱視軸の角度によらず,レンズの固定は常に垂直方向である.1.61.41.21Lentis遠方LentisX遠方Lentis近方0.80.6LentisX近方0.40.20図5LentisRMplusとLentisRMplusXの術後裸眼視力の経過遠方視力はMplusが良好であり,近方視力はMplusXが優れている.n=149(Mplus:101,MplusX:48)タを元に決定する.円柱面の軸方向は製作時点ですでに回転をつけて位置づけされており,.内での固定位置は球面レンズと同様に12時.6時の縦方向に固定すればよい.納期は約5週間である(図4).●MplusとMplusXの使い分け現在の欧州における傾向は,より中間視を確保する方向にあり,すでに3重焦点の多焦点眼内レンズが発売されている.その傾向にあわせるようにLentisRMplusXが開発された.中間~近方への光学分布が強化される反術前1W1M3M6M1Y図4LentisRMplustoricの細隙灯顕微鏡写真下方の加入部分の反射とtoricラインが観察される.面,遠用部の面積が小さくなったため,遠方視力の立ち上がりはやや低下傾向にある(図5).瞳孔径の大きい場合には従来のMplusにても十分な近方視力が確保できるため,個々の症例での使い分けが必要であろう1).●今後の展望多焦点眼内レンズの使用頻度は,今後も増加することが予想される.それぞれのレンズには特性があり,個々の症例に応じたレンズの選択が重要である2).今回紹介したLentisRMplusは術後満足度の高いレンズとして重要な選択肢の一つになると思われる3).文献1)BerrowEJ,WolffosohnJS,BikhuPSetal:Visualperformanceofnewbi-aspheric,segmented,asymmetricmulti-focalIOL.JRefractSurg305:84-858,20142)Braga-MeleR,ChangD,DeweySetal:Multifocalintraocularlenses:relativeindicationsandcontraindicationsforimplantation.JCataractRefractSurg40:313-322,20143)VenterJA,PelouskovaM,CollinsBMetal:Visualoutcomesandpatientsatisfactionin9366eyesusingarefractivesegmentedmultifocalintraocularlens.JCataractRefractSurg39:1477-1484,2013