監修=大橋裕一連載.MyboomMyboom第38回「加治優一」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す(●は複数回)連載.MyboomMyboom第38回「加治優一」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す(●は複数回)自己紹介加治優一(かじ・ゆういち)筑波大学医学医療系眼科1994年に東京大学医学部を卒業し,男ばかり9人が同期となり東大眼科で研修医となりました.研修後は大学院生として人体病理学教室でトレーニングを受けつつ,水流先生(国際医療福祉大学)・山下英俊先生(山形大学)・小幡博人先生(自治医科大学)より角膜の創傷治癒とサイトカインの研究指導を受けました.大学院修了後に方向の定まらない私を天野史郎先生が拾ってくださり,現在まで続く研究テーマを与えてくださるとともに,臨床の疑問を研究で解決し,その成果を臨床に還元する姿勢を教えてくださいました.電子顕微鏡と組織化学の技術修得のため新潟大学口腔解剖学教室に国内留学後,ハーバード大学へ約1年半留学.帰国時に大鹿哲郎先生がチャンスを与えてくださり,2002年から筑波大学講師,2012年から准教授となっています.臨床のMyBoom私が入局したときには准教授の先生は雲の上のような存在で,話しかけることさえできませんでした.今,自分がその立場になっても,雲の上どころか,未だ雲の中で視界が開けず悩んでいることが多く,このままで良いのだろうかと不安になることがあります.筑波大学では主に眼感染症や角結膜疾患に力を注いでいます.筑波大には手術の神様,大鹿先生がおられますので,私の興味は手術手技とは異なる方向に向かいぎみです.具体的には,アカントアメーバ・真菌・ニキビダ(81)0910-1810/15/\100/頁/JCOPYニなどの感染症に興味をもっています.感染症の診断には顕微鏡による検鏡が必須です.外来・研究室・外勤先・自宅を含めて10台の光学顕微鏡+蛍光顕微鏡に囲まれて,週に約10人分の検鏡を行っています.最近のお気に入りは睫毛根に生息するニキビダニです.初めて見たときには気味が悪かったのですが,最近は愛らしく思えてきました.雄雌・卵・幼虫・成虫の区別もつくようになると,ライフサイクルを実感でき,不思議な感覚になります.もう一つのお気に入りは,手のひらに載るようなポータブル蛍光顕微鏡です.PARTEC社のCyscopeminiはデザインが美しく,かつコンセントにつなぐとすぐに蛍光が観察できるため,アメーバや真菌の検査が楽しくなります.研究のMyBoom1日の時間の8割は臨床,2割は研究にあてています.忙しい臨床の合間に実験するのはつらいこともありますが,いまだに大学院生並みに実験を続けていることを考えると,たぶん実験が好きなのだと思います.研究テーマは「自分にしかできない仕事を」(大鹿先生),「一度テーマを決めたら10年間しがみつけ」(東大病理・町並先生)を守っているため,流行とはかけ離れた「蛋白質の異常凝集」一筋です.たしかに他の誰もやっていない仕事ではありますが,正直言うと,再生医療の分野がちょっとうらやましいです.眼科だけでは太刀打ちできないテーマのため,京都大学原子炉実験所・藤井紀子先生(D-アミノ酸),大阪大学蛋白質研究所・後藤祐児先生(アミロイド),明治大学理学部・榊原潤先生(流体力学),筑波大学理学部・加納英明先生(ラマン顕微鏡)を含めて,多数の施設と密な共同研究を行っています.時間があれば,各施設に赴いて実験や話し合いを行っています.同じ現象(たとあたらしい眼科Vol.32,No.3,2015391写真1得意技は美しいパラフィン切片作りと免疫染色写真1得意技は美しいパラフィン切片作りと免疫染色えば角膜ジストロフィ)をみたとしても,眼科医と科学者の見地や解釈は異なります.お互いに議論をぶつけ合うことで徐々に距離が縮まり,検証すべき実験内容が明らかになってきます.この過程は知的好奇心を強烈に刺激するため,その夜は眠れなくなるほどです.この研究分野の研究者は理学部出身者が多くを占めています.そのため私は「眼科」ではなく「医学全般」担当となっており,目だけではなく脳・腎臓・動脈・椎間板を含めて全身の臓器を扱います.早く医学出身の仲間が増えてほしいと願っています.現在は,研究と臨床の両立が可能な後継者を育てることにもエネルギーを注いでいます.成長した彼らとともに研究ネタで話が盛り上がる,そんな時期ももうすぐやってきます!プライベートのMyBoom息子と遊ぶときには,卓球・レゴブロック作り・忍者ごっこなど,どんな内容でも100%のエネルギーを注ぎます.趣味の押しつけで息子に顕微鏡をプレゼントしたのですが,塩の結晶を1回見ただけで埃をかぶっています.写真2ハロウィンも全力で仮装仕事が行き詰まったときには,近所の染井温泉に行くことがあります.悩みをいくつか頭の中に携えてぬる湯につかると,突然アイデアが浮かび,いてもたってもいられない状況になることがあります.さらにしばらく湯につかり,頭の中で妄想がグルグル巡るに任せます.頭が爆発する寸前に温泉から上がって調べごとをすると,すばらしい研究テーマにつながることがあります.しかし研究面では1割バッター,つまりアイデアの9割はただの妄想で終わってしまいます.次のプレゼンターは千葉大学の菅原岳史先生です.趣味も仕事も多芸多才のスーパーマンです.こんな先生と一緒に仕事ができれば,毎日楽しく過ごせそうです.注)「Myboom」は和製英語であり,正しくは「Myobsession」と表現します.ただ,国内で広く使われているため,本誌ではこの言葉を採用しています.☆☆☆392あたらしい眼科Vol.32,No.3,2015(82)