———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.11,200815310910-1810/08/\100/頁/JCLSある.6,000本のイメージファイバーの23ゲージのものが使用でき,25ゲージは現時点では使用できない.20ゲージのものと比較し,画角は70°でほぼ同じであるが,20ゲージの内視鏡のイメージファイバーが10,000新しい治療と検査シリーズ(61)バックグラウンド眼科手術において低侵襲手術が求められており,25ゲージ1),23ゲージ2)の極小切開のカニューラシステムが用いられてきている.しかし従来の20ゲージシステムに比較し,器具の脆弱性や器具の種類が限られることから,適応も黄斑円孔,黄斑上膜,黄斑浮腫などの黄斑疾患に限られることが多かった.最近の器具ほかの発達で,極小切開硝子体手術の適応はどこまで広げることができるのだろうか.新しい器具・道具極小切開硝子体手術の場合は,結膜切開を行わない経結膜で行うため,眼球を圧迫し,観察することがややむずかしい.特に結膜が浅い下方の周辺観察は限られてしまう.そのこともあり従来は適応疾患が黄斑疾患に限られてきた.それを克服するため,周辺部の観察に広角観察系や内視鏡を導入することが必要になる.また,下方結膜に1カ所切開を入れることをためらわなければ,従来の20ゲージ手術とほぼ同じ状態で手術ができる.使用方法広角観察系で一番最初に使用できるようになったのはBIOM(オクルス社)3)で,その他現在使用可能な広角観察系は,OFFISS(OpticalFiberFreeIntravitrealSur-gerySystem)(トプコン社),EIBOS(メーラー社)P-W-L(Payman-Wessels-Landers)lens(オキュラー社)などがあり,前2社は上下の像を反転させるインバーターが必要であるが,後2社はインバーターの必要がない.各々若干の観察角度の違いはあるが,どの観察系もある程度の慣れは必要で,しばらくは使い続ける必要がある.内視鏡は現在ファイバーテック社のものが使用可能で185.極小切開硝子体手術の適応プレゼンテーション:北岡隆長崎大学大学院医歯薬学総合研究科眼科・視覚科学教室コメント:小椋祐一郎名古屋市立大学大学院医学研究科視覚科学図1広角観察系を用いた極小切開硝子体手術赤道部を越えて硝子体基底部近くまで観察できる.図223ゲージ内視鏡鋸状縁(矢印)近くの網膜裂孔(矢尻)周囲の硝子体も内視鏡下で切除できる.———————————————————————-Page21532あたらしい眼科Vol.25,No.11,2008本であるのに対して,画素数が少なく,同じ条件で像をモニターに出すと,かなり小さくなる.しかし,電気的に拡大することができ,実際の使用上は20ゲージの内視鏡とほぼ同じように,遜色なく使用できる.下方結膜の切開であるが,ほとんどの場合は広角観察系,内視鏡を使用すれば,下方結膜を切開しないでも手術遂行可能である.ただ,周辺の増殖を徹底して切除しないといけないときは,下方結膜の切開が必要になり,そのときは躊躇せずに結膜切開を併用し,強膜を圧迫する.下方に1カ所角膜輪部に垂直に切開すればほぼ下方半周は圧迫できる.強膜圧迫子は先があまり大きくないものが使いやすい.適応疾患従来極小切開硝子体手術の適応は黄斑疾患に限られてきたが,現状では裂孔原性網膜離,増殖糖尿病網膜症は十分に適応とすることができる.液体パーフルオロカーボンの使用を前提とすれば,増殖硝子体網膜症も適応として問題はないと思われる.カッターは23ゲージ,25ゲージともに20ゲージカッターより開口部が先端に近く,剪刀を用いなくとも,増殖組織の切除ができる.ただし,器具が限られることから,双手法を行わないといけない場面は多く,広角観察系の使用が望ましいことを考えても,フォトンやブライトスターのような高輝度の光源が必要である(表1).以上のように極小切開硝子体手術では,ほぼ20ゲージと同様の疾患を適応とすることができるようになってきている.1)FujiiGY,DeJuanEJr,HumayunMSetal:Anew25-gaugeinstrumentsystemfortransconjunctivalsuture-lessvitrectomysurgery.Ophthalmology109:1807-1813,20022)EckardtC:Transconjunctivalsutureless23-gaugevitrec-tomy.Retina25:208-211,20053)SpitznasM,ReinerJ:Astereoscopicdiagonalinverter(SDI)forwide-anglevitreoussurgery.GraefesArchClinExpOphthalmol225:9-12,1987(62)20ゲージから最初に移行するには23ゲージのほうが容易であると考えられる.しかし,私はほとんどの症例を25ゲージで行っており,創口はやはり小さいほうが術後はきれいである.極小切開硝子体手術の唯一の欠点は,術後眼内炎の発症頻度が20ゲージと比較すると高いことである.現在,その原因究明や対策が研究されているが,この問題が早期に解決されることが本術式のさらなる普及には必須であろう.本稿で述べられているように,最近,極小切開硝子体手術の適応は飛躍的に拡大しており,眼内異物などの特殊症例を除けば,ほとんどすべての硝子体手術をこの手技で行うことができるようになっている.しかし,そのためには広角観察システムやキセノンシャンデリア照明などの装置を整えることが重要であり,手術手技も剛性が弱く,細い25ゲージや23ゲージの器具で行えるよう工夫が必要である.25ゲージと23ゲージとの選択は現時点では術者の好みによるが,本方法に対するコメント☆☆☆表1極小切開硝子体手術に併用が望ましい器具広角観察系インバーター要インバーター不要BIOM,OFFISSEIBOS,P-W-Llens内視鏡23ゲージ高輝度照明フォトン,フォトンII,ブライトスターなど