———————————————————————-Page1(1)???多治見スタディで40歳以上の日本人の実に3.9%に開放隅角緑内障がみられること1)が明らかにされて以降,日本緑内障学会や眼科医会などの広報活動により,わが国では眼科専門医だけでなく一般の患者や臨床医にも広く緑内障診断の重要性が知られるようになりつつある.また,検診の際に従来は眼圧検査をもとに行われていた緑内障のスクリーニングが,眼底写真の乳頭所見をもとに行われるようになり,乳頭所見から緑内障を疑われて眼科専門医のもとを訪れる患者も急増している.しかし,日本人に多い近視性の乳頭変化や視神経の先天異常でも緑内障類似の乳頭陥凹を呈することがあり,眼科医でも判断に迷うこともしばしばである.そこで本特集では,まず眼圧が正常で視神経乳頭のおかしな患者が来院したとき,まずどのように考え,どのような検査をするかについて,新潟大学の白柏基宏先生に新潟大学での実際の対応法を解説していただいた.また,以前emptysellasyndrome2)や内頸動脈や前大脳動脈による圧迫3)で緑内障類似の乳頭所見や視野変化がみられることが話題になった.そこで,大阪赤十字病院の柏井聡先生に視神経乳頭の形態異常や陥凹拡大があるとき,視神経疾患で頭部のMRI(磁気共鳴画像)などで鑑別が必要なものを具体例とともにをあげていただいた.さらに中毒の際に視神経症を起こすことはよく知られており,特にメチルアルコール中毒慢性期では緑内障類似の乳頭所見を呈する.井上眼科病院の若倉雅登先生には,眼科医に対する中毒性視神経症のアンケート調査を踏まえて,中毒性視神経症診断の注意点について解説していただいた.さて,やはり緑内障性乳頭変化の鑑別で最も注意すべきものは先天異常と近視性変化である.このうち視神経の先天異常で一見緑内障性の楔状視野欠損をきたすものについて千葉大学の藤本尚也先生に解説していただき,本特集共編の山本哲也先生には視神経の先天異常のなかでも特に多治見スタディの際に頻度を実際にカウントしたsuperiorsegmentaloptichypoplasiaについて補足していただいた.頻度はそれほど多くはないが,遺伝性視神経症でも乳頭陥凹が拡大することがある.兵庫医科大学の神野早苗先生にはミトコンドリア遺伝子の点突然変異によるLeber病4)や常染色体の????遺伝子の異常による優性遺伝性視神経萎縮5)で陥凹の拡大がみられるものについて症例提示をお願いした.最も重要なものの一つである近視性変化の乳頭所見と緑内障との鑑別については,つぼい眼科クリニックの坪井俊一先生にお願いした.乳頭傾斜症候群を含め,日本人に多い中等度以上の近視の乳頭変化と緑内障との関係について解説していただいた.岐阜大学の石田恭子先生には,生理的な乳頭陥凹と緑内障性陥凹の異常の境界について乳頭の画像診0910-1810/06/\100/頁/JCLS*OsamuMimura:兵庫医科大学眼科学教室●序説あたらしい眼科23(5):563~564,2006視神経疾患と乳頭所見─異常所見の鑑別法???????????????????????????????─?????????????????????????????三村治*———————————————————————-Page2???あたらしい眼科Vol.23,No.5,2006断を主に鑑別点をあげていただき,さらに視野所見による緑内障と視路障害に伴う視野障害についても解説していただいた.本特集が,読者の視神経乳頭所見から緑内障を疑う患者の鑑別に役立てば幸いである.文献1)IwaseA,SuzukiY,AraieMetal:Theprevalenceofpri-maryopen-angleglaucomainJapanese:TheTajimiStudy.?????????????111:1641-1648,20042)BeattieAM,TropeGE:Glaucomatousopticneuropathyand?eldlossinprimaryemptysellasyndrome.????????????????26:377-382,19913)NishiokaT,OkumuraR,IshikawaMetal:Prolapsinggyrusrectusasacauseofprogressiveopticneuropathy.???????????????40:301-309,20004)OpialD,BoelunkeM,TadesseSetal:Leber?shereditaryopticneuropathymitochondrialDNAmutationsinnor-mal-tensionglaucoma.?????????????????????????????????239:437-440,20015)FournierAV,DamjKF,EpsteinDLetal:Discexcava-tionindominantopticatrophy:dilerentiationfromnor-maltensionglaucoma.?????????????108:1595-1602,2001(2)Ⅰ神経眼科における診察法・検査法Ⅱ視路の異常〔1.視神経障害/2.視交叉およびその近傍の病変/3.上位視路の病変〕Ⅲ眼球運動の異常〔1.核上性眼球運動障害/2.核および核下性眼球運動障害/3.神経筋接合部障害/4.外眼筋および周囲組織の異常/5.眼振および異常眼球運動〕Ⅳ瞳孔・調節・輻湊機能の異常〔1.瞳孔・調節機能の異常/2.輻湊・開散機能の異常〕Ⅴ眼窩・眼瞼の異常〔1.眼窩の異常/2.眼瞼の異常〕Ⅵその他〔1.心因性反応/2.全身疾患と神経眼科/3.網膜疾患の接点/4.緑内障との接点/5.各種検査〕Ⅶこれからの神経眼科〔1.視神経移植と再生/2.遺伝子診断と治療/3.実験的視神経炎/4.視神経症の新しい治療法の試み/5.膝状体外視覚系/6.固視微動の解析/7.FunctionalMRI/8.Fibertracking〕新臨床神経眼科学<増補改訂版>【編集】三村治(兵庫医科大学教授)■内容目次■A4変型総312頁写真・図・表多数収録定価21,000円(本体20,000円+税)?メディカル葵出版〒113-0033東京都文京区本郷2-39-5片岡ビル5F振替口座00100-5-69315電話(03)3811-0544(代)FAX(03)3811-0637