監修=大橋裕一連載⑪MyboomMyboom第11回「小國務」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す連載⑪MyboomMyboom第11回「小國務」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す自己紹介小國務(おぐに・つとむ)私は,平成14年浜松医科大学を卒業し,同年に岐阜大学眼科に入局.近年は「網膜硝子体疾患」を主とした臨床を行ってきました.岐阜大学で2年,大垣市民病院で2年,再び岐阜大学で4年,再び大垣市民病院で2年と症例数の多い病院で臨床経験を積ませていただきました.とにかく手術のことで頭が一杯で,残念ながら研究に関しては岐阜大学に全く貢献できませんでした.平成24年12月現在,平成25年3月の開業に向けて目下準備中です.プライベートでは,物心ついた頃から車が大好きで,特に自動車競技を学生時代から嗜んできました.手術のmyboom;網膜鉗子とカーブ剪刀3年くらい前から広角観察システムを用いて硝子体手術を行っていますが,最近はシャンデリア照明を併用し全例4ポートで,周辺部の処理の際も広角観察システムを使用しています.増殖膜の処理はシャンデリア照明を用いた双手法により格段に手技が容易になりました.カーブ剪刀(アルコン社・25ゲージ)は,閉じるとピックのように使え,先端はメスのように切れるので面状に癒着した増殖膜と網膜の分離に使え,索状のものは直接切ることができ,まさに3役をこなしてしまう優れものです.網膜鉗子は,アルコン社のマックスグリップ(25ゲージ)を愛用しています.マックスグリップは先端が先行して閉じてくれるので内境界膜.離や網膜前膜の処理に(71)0910-1810/12/\100/頁/JCOPY〔写真1〕アルコン社製25ゲージの網膜鉗子とカーブ剪刃使いやすく,加えて面で把持するので増殖膜処理にも対応でき大変気に入っています.ただ一体型のディスポ鉗子(レボリューション)は操作が固く,私のような若輩者はどうしても力を入れたときに手が震えてしまいます.そこで,コンステレーションのニューマチックに使用するディスポの先端部分を昔ながらの形状のハンドルに付けて使っています.操作は非常に軽く手は震えなくなりますし,レボリューションの360°には適わないものの300°くらいは回転させても操作性は落ちません.ちなみにハンドルは共通なので先端を付け替えるだけで,カーブ剪刀にも網膜鉗子にも早変わりします.これらを使うようになって非常にストレスが少なく,後極部の網膜処理が行えるようになりました.臨床のmyboom;開業に向けて今までは地方の拠点病院で診療をしてきましたので,インフォームド・コンセントは厳しめでした.後から話していないと言われると困りますので….しかしながら今後,開業するにあたって同じスタンスでは患者に逃げられてしまうのではないかと考え,必要なことは話しつあたらしい眼科Vol.29,No.12,20121661〔写真2〕建設中のクリニックつも何とか不安にはさせず,むしろ手術への不安を取り除いて患者が手術を迎えるような説明ができないかと思案しています.本当は今まででも考えないといけないことであったとは思いますが,なかなかそこまでの余裕がなかったというのが本音です.また,診療所の外観や内装の色なども,どうしたら入りやすく落ち着いた雰囲気になるか考えています.すると車に乗ったり歩いたりしているときも,そういう考えで景色を見るようになり,それはそれで楽しく新鮮な気持ちになります.病院や診療所の外観はもちろん気にして見ているのですが,一般の住宅や店舗の色使いのセンスの良さに感心してみたり,少し感受性が豊かになったような錯覚を覚えてしまいます.交流のmyboom;手術勉強会これは,3年くらい前から始まり最近ますます盛んになってきています.自分が苦手なこと,困ったことを曝け出すような会なのですが,今まで悩んでいたことが他の先生からちょっとしたアドバイスをもらうだけで嘘のように解決してしまったりします.何より,頑張っている人たちとの交流は,僕にやる気と勇気を与えてくれます.今後も続けて行きたいですし,新しい形での勉強会も模索していきたいと考えています.プライベートのmyboom;サーキット走行会・レース大きな声では言えませんが,学生時代は車で夜な夜な1662あたらしい眼科Vol.29,No.12,2012〔写真3〕4時間耐久レースのスタート前峠に通っていました.仕事をするようになってからは流石に事故や警察のお世話になるといけないので,サーキットを走るようにしました.ただし,定期的に参加できたのは結婚する前までで,ここ5年くらい遠のいていました.しかし,明らかに運転技術が落ちてきましたし,年齢的にもここらで本格的に鍛えないと一生上手にはなれないと一念発起.再開いたしました.先日,ノーマルカー4時間耐久レースにも参加,生憎の雨ではありましたが非常に楽しめました.目の前のことにあそこまで集中するというシチュエーションは日常生活ではまずありません.ほどよい緊張感と忘れていた闘争本能が自分に戻ってくるのを感じることができました.耐久レースはシリーズ戦なので来年からはフル参戦したいと意気込んでおります.自分のイメージと技術を重ね合わせるという点で運転と手術は非常に似ていると思います.走行会やレースへの参加が手術にも生きてくると言い訳して自分の趣味を正当化しています.最後まで読んでいただき有難うございました.次回のプレゼンターは福井の小堀朗先生(福井赤十字病院)です.小堀先生は豊富な経験からわれわれを助けてくださり,特に勉強会で大変お世話になっています.よろしくお願いします.注)「Myboom」は和製英語であり,正しくは「Myobsession」と表現します.ただ,国内で広く使われているため,本誌ではこの言葉を採用しています.(72)