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光学部径 7 mm 眼内レンズの白内障・硝子体同時手術 における有用性

2009年10月31日 土曜日

———————————————————————- Page 1(115)ツꀀ 14130910-1810/09/\100/頁/JCOPYツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀ あたらしい眼科 26(10):1413 1415,2009cはじめに近年,白内障,硝子体手術の進歩に伴い,白内障,硝子体同時手術を行うことが増加している.白内障硝子体同時手術を行う際に挿入する眼内レンズのサイズや安定性により,硝子体手術時の眼底の視認性が影響されることがあり,挿入する眼内レンズの選択には注意が必要である.今回筆者らは,折りたたみ可能な光学部径 7 mm 眼内レンズ,ETERNITYR X-70(参天製薬)を白内障・硝子体同時手術に使用し,眼底視認性,前房深度の変化を観察し白内障・硝子体同時手術における有用性を検討した.I対象および方法対象は 2008 年 5 10 月までに東京慈恵会医科大学附属病院において白内障,硝子体同時手術時に光学部径 7 mm 眼内レンズ ETERNITYRツꀀ X-70 を挿入した 22 例 22 眼である.術後経過観察期間は 3 9 カ月,平均 6.2 カ月であった.白〔別刷請求先〕渡辺朗:〒105-8461 東京都港区西新橋 3-25-8東京慈恵会医科大学眼科学講座Reprint requests:Akira Watanabe, M.D., Department of Ophthalmology, The Jikei University School of Medicine, 3-25-8 Nishi-shinbashi, Minato-ku, Tokyo 105-8461, JAPAN光学部径 7 mm 眼内レンズの白内障・硝子体同時手術 における有用性渡辺朗岡野喜一朗柴田朋宏加藤秀紀常岡寛東京慈恵会医科大学眼科学講座Clinical E cacy of 7 mm Intraocular Lens for Combined Pars Plana Vitrectomy, Phacoemulsiication and Intraocular Lens ImplantationAkira Watanabe, Kiichiro Okano, Tomohiro Shibata, Hideki Kato and Hiroshi TsuneokaDepartment of Ophthalmology, The Jikei University School of Medicine22 例 22 眼の白内障・硝子体同時手術に光学部径 7 mm 眼内レンズ,エタニティーR(参天製薬)を用いて有用性を検討した.白内障手術を 2.4 mm 強角膜切開創から行い眼内レンズを挿入後,23 ゲージシステムにて硝子体手術を行った.13 眼でガス置換を行った.術中の眼底の視認性および,前眼部解析装置 PENTACAMR(OCULUS 社)を用いて術前後の前房深度を測定した.術中の眼底の視認性は良好で,特に周辺部の観察時に良好であった.ガス置換を行った症例では術前の前房深度は平均 3.10 mm,術後 1 日 3.56 mm,1 週間 4.22 mm,1 カ月 4.25 mm となった.ガス置換を行っていない症例では術前の前房深度は平均 2.73 mm,術後 1 日 4.13 mm,1 週間 4.08 mm,1 カ月で 4.05 mm となった.術中の眼底の観察に優れ,硝子体内ガスの有無による術後の前房深度の変化が少ないエタニティーRは白内障・硝子体同時手術において有用である.We evaluated the clinical e cacy of a 7 mm intraocular lens(ETERNITYR, Santen Pharmaceutical Co., Ltd.)for combined pars plana vitrectomy, phacoemulsi cation and intraocular lens implantation. Subjects comprised 22 eyes of 22 cases in whom we observed retinal visibility during vitrectomy and measured anterior chamber depth before and after surgery, using the PENTACAMR. During vitrectomy, retinal visibility ─ especially of the peripheral reti-na ─ wasツꀀ good.ツꀀ Inツꀀ casesツꀀ involvingツꀀ gasツꀀ tamponade,ツꀀ anteriorツꀀ chamberツꀀ depthツꀀ averagedツꀀ 3.10 mmツꀀ preoperatively,ツꀀ and 3.56, 4.22 and 4.25 mm at 1 day, 1 week and 1 month postoperatively. In cases without gas tamponade the respec-tiveツꀀツꀀ guresツꀀ wereツꀀ 2.73,ツꀀ 4.13,ツꀀ 4.08ツꀀ andツꀀ 4.05 mm.ツꀀ Becauseツꀀ ofツꀀ goodツꀀ visibilityツꀀ duringツꀀ vitrectomyツꀀ andツꀀ stabilityツꀀ forツꀀ gas tamponade, ETERNITYR was useful for triple procedures.〔Atarashii Ganka(Journal of the Eye)26(10):1413 1415, 2009〕Key words:7 mm 眼 内 レ ン ズ, エ タ ニ テ ィーR, 硝 子 体 手 術, 有 用 性.7 mmツꀀ intraocularツꀀ lens,ツꀀ ETERNITYR, vitrectomy, e cacy.———————————————————————- Page 21414あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,2009(116)内障手術は 2.4 mm 強角膜切開創から行い,同じ創口からHOYA E1 カートリッジRに装 した ETERNITYR X-70 を眼内に挿入した.眼内レンズ挿入後,強角膜創からわずかでも漏出がみられた場合は,硝子体手術中の圧迫などによる前房虚脱を避けるため強角膜縫合を行い,23 ゲージシステムにて硝子体手術を行った.強角膜創を縫合した場合は,硝子体手術終了時に抜糸した.硝子体手術の適応となった疾患は,網膜 離 8 眼,黄斑円孔 5 眼,黄斑前膜 4 眼,増殖糖尿病網膜症 5 眼であった.網膜 離と黄斑円孔の 13 眼でガス置換を行った.ガス置換は 20%六フッ化硫黄(SF6)ガスを用い,硝子体腔を全置換した.術後 10 14 日で SF6ガスが消失した症例を対象とした.術中,術後の眼底の視認性および合併症について検討した.さらに,前眼部解析装置 PENTACAMR(OCULUS 社)を用いて術前,術後 1 日,1 週間,1 カ月に前房深度を測定し検討した.術前前房深度は角膜後面から水晶体前面まで,術後前房深度は角膜後面から眼内レンズ前面までの距離とした.II結果ETERNITYRツꀀ X-70 挿入眼では,7 mm 程度に散瞳した症例では瞳孔領を眼内レンズの光学部がほとんど占めるため,硝子体手術時は,光学部の有無により屈折が変化することなく硝子体切除時の視認性はきわめて良好であった.散瞳が8 mm 以上と良好な症例では光学部と瞳孔の間に隙間を生じるが,おもに術操作を行う領域には光学部の有無による屈折の 変 化 は な く, 硝 子 体 切 除 時 の 視 認 性 は 良 好 で あ っ た.ETERNITYR X-70 挿入眼では,後極部の観察時も瞳孔領のほとんどを眼内レンズの光学部が覆っており,明瞭に観察できる範囲が 6.5 mm 光学部径の眼内レンズに比較し広かった.硝子体鉗子を動かしながら把持した黄斑前膜を 離,除去していく場合,6.5 mm 光学部径の眼内レンズでは,鉗子で把持している部位は明瞭に観察できる.しかし,光学部のない周辺部では 離している黄斑前膜の端が明瞭に観察できないことがあったが,ETERNITYR X-70 挿入眼では,鉗子で把持している部位のみではなく, 離している黄斑前膜を端まで,網膜との付着部位を明瞭に確認しながら手術を行うことができた(図 1).周辺部の硝子体切除の際には,6.5 mm 光学部径眼内レンズ挿入眼よりも軽度の強膜圧迫で観察が可能であった(図 2).ガス置換時に眼内レンズの安定性は高く,眼底視認性も良好であった.術中および術後に網膜裂孔を認めた症例が,それぞれ 1 眼あり,術中,術後にレーザー光凝固を裂孔周囲に行った.光学部径が 7 mm あることにより周辺部の観察もしやすく,周辺部の新裂孔の観察やガス残存した状態でのレーザー治療の際にも安定した視認性が得られた(図 3).ガス置換症例でも眼内レンズによる虹彩捕獲や虹彩後癒着がみられた症例はなかった.術後経過観察期間中に明らかなグリスニングの発生や後 切開を要する後発白内障の発生がみられた症例はなかった.PENTACAMRを用いた前房深度の測定では,ガス置換を行った症例では術前の前房深度は平均 3.10±0.34 mm であり, 術 後 1 日 に 3.56±0.36 mm,1 週 間 で 4.22±0.26 mm,1 カ月で 4.25±0.27 mm となった.ガス置換を行っていない図 1後極部の観察6.5 mm 眼内レンズ挿入眼では光学部がない周辺部はピントが合わず不明瞭(矢印).ETERNITYRツꀀ X-70 挿入眼では 6.5 mm眼内レンズより広い範囲が明瞭に観察できる.6.5 mm 眼内レンズ挿入眼ETERNITYR X-70 挿入眼図 2強膜圧迫による周辺部観察ETERNITYR X-70 挿入眼では,光学部の有無によって屈折が変化することによる視認性の低下は少なく,軽度の強膜圧迫で周辺部の観察を行うことが可能であった.6.5 mm 眼内レンズ7 mm 眼内レンズツꀀ 3術後眼底観察術後の眼底マネージメントにおいても 7 mm 光学部径により周辺部の観察もしやすく,周辺部の新裂孔の観察やガス残存した状態でのレーザー治療の際にも安定した視認性が得られた.———————————————————————- Page 3あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,20091415(117)症例では,術前の前房深度は平均 2.73±0.32 mm であり,術後 1 日に 4.13±0.55 mm,1 週 間 で 4.08±0.47 mm,1 カ月で 4.05±0.41 mm となった.ガス置換の有無により術後 1日の前房深度に差はあるが,眼内ガスが約 40%残った術後1 週間以降ではガス置換の有無による前房深度の差はなくなった(図 4).III考按眼内レンズ眼は一般的に眼内視認性が低下することが知られており,その原因は後発白内障や,眼内レンズに発生したグリスニングやヘイズ,混濁,前 の混濁,収縮などがあげられる.このようなレンズの透明性の低下によるもの以外にも,眼内レンズの光学部がヒト水晶体より小さいために瞳孔領に眼内レンズの光学部により覆われない隙間が生じ,光学部の有無により屈折が変化し,その境目では視認性が低下する.また,ループやレンズエッジが観察の邪魔をしたりすることもある.7 mm 光学部径の眼内レンズは 6 mm 眼内レンズに比較し光学部面積は 36%,6.5 mm 眼内レンズより 16%増加する.周辺部の眼底視認性に影響する光学部と瞳孔との隙間は,瞳孔径が 8 mm の場合,6 mm 眼内レンズで 46.5%,6.5 mm 眼 内 レ ン ズ で 30.8% 減 少 す る. こ れ に よ り7 mm 眼内レンズを挿入すると,硝子体手術を行う際に眼底視認性が 6 mm 眼内レンズや 6.5 mm 眼内レンズに比較して向上すると考えられる.3 9 カ月の短期間の経過観察期間ではあるが,明らかなグリスニングや著明な後発白内障がみられた症例はなく,7 mm 光学部径を有する ETERNITYR X-70 は硝子体手術中,術後の良好な眼底の視認性への貢献が期待できると考えられた.硝子体手術時には,疾患や術中合併症により硝子体腔を 液-ガス置換することがあるが,その際に眼内レンズの安定性は眼底視認性や虹彩捕獲の発生に影響する1).今回,白内障・硝子体同時手術の術翌日に測定した前房深度は,ガス置換をした症例のほうが浅かった.これはガス置換により眼内レンズが圧迫され前方に移動するためと考えられる.ETER-NITYR X-70 では,眼内にガスが約 40%貯留した状態である手術後 1 週間では前房深度にガス置換の有無による差はなくなった.アクリル 1 ピース眼内レンズの場合手術後 1 週間ではガス置換の有無により前房深度に差があることが報告されている2)が,今回用いた ETERNITYR X-70 ではガス置換を行っても前房深度の変化が少なく早期に安定するものと考えられた.虹彩捕獲の発生は,ガスタンポナーデによる眼内レンズの前方移動や眼内レンズの光学部径に比較し,大きな前 切開が一因と考えられており1,3),ガスタンポナーデによる前方移動の程度が少なく,7 mm の光学部径を有するETERNITYR X-70 は虹彩捕獲の発症が低下すると考えられた.眼内レンズの安定性には,眼内レンズの光学部径のサイズばかりではなく,ETERNITYR X-70 光学部素材が硬いことが眼内安定性に貢献しているものと思われた.以上,眼底視認性や眼内安定性にすぐれた光学部径 7 mmを有する ETERNITYR X-70 は,白内障・硝子体同時手術において有用であると考えられた.文献 1) 西口文,南政宏,植木麻理ほか:白内障と硝子体同時手術の虹彩捕獲.IOL&RS 18:299-303, 2004 2) Iwase T, Sugiyama K:Investigation of the stability of one-piece acrylic intraocular lenses in cataract surgery and in combined vitrectomy surgery. Br J Ophthalmol 90:1519-1523, 2006 3) Rahman R, Rosen PH:Pupillary capture after combined management of cataract and vitreoretinal pathology. J Cataract Refract Surg 28:1607-1612, 2002***54.54.3.53.2.521.5術前術後1日術後1週間術後1カ月前房深度(mm):ガス置換:ガス置換なし図 4白内障・硝子体同時手術による前房深度の変化ガス置換の有無により術後 1 日の前房深度に差はあるが,眼内に約 40%残った術後 1 週間ではガス置換の有無による前房深度の差はなくなった(t 検定 p<0.01).

選択的レーザー線維柱帯形成術の白内障手術の有無における 治療成績の比較

2009年10月31日 土曜日

———————————————————————- Page 1(111)ツꀀ 14090910-1810/09/\100/頁/JCOPYツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀ あたらしい眼科 26(10):1409 1412,2009cはじめに近年,選択的レーザー線維柱帯形成術(selectiveツꀀ laser trabeculoplasty:SLT)は Nd:YAG レーザーを利用した治療法で,薬物治療と手術治療の間の低侵襲で有効な治療 法1 8)として,緑内障治療の選択肢となりつつある.複数回照射の安全性と効果などの学会報告もみられるが,内眼手術(白内障手術)前後での安全性と効果に関する検討は,わが国においては報告されていない.今回筆者らは,SLT の適応と安全性の確立を目的に,白内障手術前後における SLT の効果をレトロスペクティブに検討した.また,線維柱帯切除術施行後に眼圧上昇をきたした症例に対して施行した SLT の効果に関しても検討したので報告する.I対象眼圧コントロール不良な開放隅角緑内障,正常眼圧緑内障のうち,2003 年 8 月 2004 年 12 月までの間に木村眼科クリ ニ ッ ク で SLT を 施 行 し た 症 例, お よ び 2003 年 7 月 2006 年 3 月までの期間に東海大学医学部附属病院で施行した症例のうち,6 カ月以上観察可能であったものを対象とし〔別刷請求先〕岩崎紳一郎:〒259-1193 伊勢原市下糟谷 143東海大学専門診療学系眼科学Reprint requests:Shinichiro Iwasaki, M.D., Department of Ophthalmology, Tokai University School of Medicine, 143 Shimokasuya, Isehara-shi 259-1193, JAPAN選択的レーザー線維柱帯形成術の白内障手術の有無における治療成績の比較岩崎紳一郎*1斉藤信夫*1松倉修司*1尾内宏美*1河合憲司*1木村肇二郎*2*1 東海大学専門診療学系眼科学*2 木村眼科クリニックComparison of Clinical Results for Selective Laser Trabeculoplasty with or withoutツꀀ Cataract SurgeryShinichiro Iwasaki1), Nobuo Saito1), Shuji Matsukura1), Hiromi Onouchi1), Kenji Kawai1) and Choujirou Kimura2)1)Department of Ophthalmology, Tokai University School of Medicine, 2)Kimura Eye Clinic目的:選択的レーザー線維柱帯形成術(selectiveツꀀ laserツꀀ trabeculoplasty:SLT)における内眼手術の既往別での眼圧下降効果について検討した.対象:白内障手術の既往がない 31 例 33 眼,白内障手術の既往がある 26 例 29 眼,線維柱帯切除術の既往がある 12 例 13 眼.結果:Out owツꀀ pressure(房水流出圧)下降率(以下,ΔOP)は照射後 6 カ月において白内障手術の既往がない症例で 32.8%,白内障手術の既往がある症例で 33.7%,線維柱帯切除後術の既往がある症例で 29.8%であった.各群間に統計学的な有意差はなかった.結論:SLT は白内障手術の既往の有無にかかわらず,有効な眼圧下降率を認めた.Purpose and Object:I examined the intraocular pressure drop e ect in selective laser trabeculoplasty(SLT), following inner eye surgery front and back, in 33 eyes of 31 patients with no history of inner eye surgery that had required SLT, 29 eyes of 26 patients with a history of cataract surgery, and 13 eyes of 12 patients with a history ofツꀀ trabeculectomy. Result:Theツꀀ averageツꀀ intraocularツꀀ pressureツꀀ showedツꀀ aツꀀ meaningfulツꀀ dropツꀀ inツꀀ phakic/pseudophakic eyesツꀀ atツꀀ sixツꀀ monthsツꀀ afterツꀀ SLT(p<0.0001).ツꀀ Althoughツꀀ Iツꀀ didツꀀ notツꀀ recognizeツꀀ it,ツꀀ theツꀀ signi cantツꀀ di erenceツꀀ acceptedツꀀ an e ective intraocular pressure drop in after trabeculectomy. Conclusion:SLT did not a ect presence of the past of inner eye surgery(cataract), and it was thought that e ective intraocular pressure drop was achieved.〔Atarashii Ganka(Journal of the Eye)26(10):1409 1412, 2009〕Key words:選択的レーザー線維柱帯形成術,眼圧,内眼手術,白内障手術,線維柱帯切除術,有水晶体眼,偽水晶体眼.selective laser trabeculoplasty, intraocular pressure, inner eyes surgery, cataract surgery, trabeculectomy, phakia, pseudophakia.———————————————————————- Page 21410あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,2009(112)た.内訳は白内障手術の既往がない 31 例 33 眼(以下,有水晶体眼とする).白内障手術の既往がある 26 例 29 眼(以下,偽水晶体眼とする).線維柱帯切除術の既往がある症例が 12例 13 眼(以下,線維柱帯切除後眼とする)であり,年齢はそれぞれ有水晶体眼で 67.2±15.1(平均値±標準偏差)歳,偽水晶体眼で 79.7±7.1 歳,線維柱帯切除後で 75.0±9.7 歳であった.また,それぞれの照射発,総エネルギー,および範囲は有水晶体眼では 68.6±26.1 発(総エネルギー 72.9±25.8 mJ)であり,そのうち下半周照射は 22 眼(36.3%)で全周照射は 21 眼(63.6%),偽水晶体眼では 84.1±21.5 発(総エネルギー 70.6±21.5 mJ)ですべて全周照射,線維柱帯切除後では 79.0±41.0 発(総エネルギー 105.0±23.4 mJ)ですべて全周照射であった.II方法SLT の 照 射 装 置 は,Coherent 社 Selectaツꀀ 7000 お よ びLUMENIS 社 SELECTA duet で Q スイッチ半波長 Nd:YAG レーザーを使用した.レーザー波長は 532 nm,スポットサイズは 400 μm,照射時間 3 nsec にて,一般的には気泡を生じない最大エネルギーで行うのが一般的であったが,今回はわずかに気泡を生じる程度のエネルギー(0.6 1.3 mJ/回)にて,半周から全周に約 30 100 発照射した.また,術後一過性高眼圧防止のため,術前後に塩酸アプラクロニジン(アイオピジンR)を使用し,術前後で点眼の変更は行わなかった.III検討項目眼圧は Goldmann 圧平眼圧計で測定し,1 カ月,3 カ月,6 カ月後の①平均眼圧,②術前眼圧からの差(以下, ΔIOP),③ΔOP を Studentツꀀ t 検定を用いて統計学的に解析し,比較検討した.ΔIOP は術前眼圧 照射後圧で,ΔOP は眼圧下降 量(ΔI O P )/( 術 前 眼 圧 上強膜静脈圧)×100 の式で算出し,上強膜静脈圧を 10 mmHgとした.また,薬剤変更・他のレーザー治療・手術(白内障も含む)を追加したものはそれ以降の眼圧は他の要因が加味されるため脱落とし,除外した.生命表(Kaplan-Meier)は 2 回眼圧が 21 mmHg以上になった時点をエンドポイントと定義した.IV結果照射前・後の平均眼圧を図 1 に示した.照射前での眼圧はそれぞれ有水晶体眼で 19.5±4.1 mmHg,偽水晶体眼で 19.3±3.7 mmHg,線維柱帯切除後眼で 18.3±2.7 mmHgであった.1 カ月,3 カ月,6 カ月後でほぼ同様の眼圧下降が得られ,照射後 6 カ月では有水晶体眼で 16.1±2.9 mmHg,偽水晶体眼で 16.2±4.2 mmHgと術前と比べ優位な眼圧下降を認めた(p<0.0001).線維柱帯切除後眼では 16.2±5.2 mmHgで,統計学的に有意ではないものの緩やかに眼圧下降を認め,6 カ月後では他の群とほぼ同様の眼圧値を認めた.図 2 は同症例の平均ΔIOP を示す.1 カ月後では有水晶体眼で 3.1 mmHg,偽水晶体眼で 3.2 mmHg,線維柱帯切除後眼で 1.6 mmHgであった.1 カ月,3 カ月,6 カ月後でそれぞれ大きな変化なく,照射後 6 カ月で有水晶体眼で 3.5 mmHg,偽水晶体眼で 3.1 mmHg,線維柱帯切除後眼で 2.1 mmHgで,術後 1 カ月との間で有意差も認めなかった(p>0.0001).図3にΔOP を示す.1 カ月では有水晶体眼で 30.6%,偽水晶体眼で 34.5%,線維柱帯切除後眼で 21.5%であった.照射後 6 カ月において有水晶体眼で 32.8%,偽水晶体眼で33.7%,線維柱帯切除後で 29.8%であった.ΔOPは20%以上が有効とされている4)が,各群の間に統計学的な有意差は照射前1カ月平均眼圧(mmHg)****24222018161412103カ月6カ月:有水晶体眼ツꀀツꀀツꀀ (n=33):偽水晶体眼ツꀀツꀀツꀀ (n=29):線維柱帯切除後(n=13)図 1平均眼圧(mmHg)・ 平均値±標準偏差,片側表示.・ 症例数は各群で術後 6 カ月まですべて同数.・ 各群において術前眼圧との比較(*:p<0.0001,**:p>0.0001).1カ月***0123456783カ月6カ月:有水晶体眼(n=33):偽水晶体眼(n=29):線維柱帯切除後(n=13)平均IOP(mmHg)Δ図 2平均ΔIOP(mmHg)・平均値±標準偏差,片側表示.・症例数は各群で 1 カ月,3 カ月,6 カ月ですべて同数.・各群において術後 1 カ月との比較(*:p>0.0001).———————————————————————- Page 3あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,20091411(113)なく(p>0.0001),常に 20%以上で経過し,6 カ月後で 20%以上は有水晶体眼で 33 眼中 26 眼(約 79%),偽水晶体眼で 29 眼中 20 眼(約 69%)認めた.今回,有水晶体眼,偽水晶体眼は 6 カ月後でともに 33%前後のΔOP を認めた.一方,線維柱帯切除後眼では 29.8%と有効な値ではあったものの,他の 2 群と比べると効果はやや劣っていた.また,照射 6 カ月以内に5 mmHg以上の眼圧上昇をきたした症例は有水晶体眼で 2 例 2 眼,偽水晶体眼で 2 例 2 眼であった.生命表(Kaplan-Meier)の分析結果を図 4 に示した.1 カ月,3 カ 月,6 カ 月 後 の 生 存 率(症 例 数)は 有 水 晶 体 眼 で90.0%(45 眼),76.0%(38 眼),66.0%(33 眼), 偽 水 晶 体眼 で 90.5%(38 眼),80.9%(34 眼),69.0%(29 眼), 線 維柱帯切除後眼で 95.0%(19 眼),70.0%(14 眼),65.0%(13眼)であった.それぞれ生存期間に有意差は認めなかった(Logrank 検定).また,各群の平均観察期間は有水晶体眼で 15.3±7.8 週,偽水晶体眼で 19.3±7.6 週,線維柱帯切除後眼で 16.0±7.2 週であった.V考按今回筆者らは内眼手術の既往が SLT の効果に与える影響を検討した.今回の検討で術後 6 カ月の時点で,ΔOPツꀀ 20%以上を反応群とすると,反応率は約 70%であり,これまでの報告と同等の結果であった.さらに白内障手術前後において有意差を認めることなく有効な眼圧下降効果が得られ,重症な合併症も少ないことから,SLT は白内障手術の既往の有無にかかわらず,必要であれば施行可能であり,一定の効果が期待できると考えられた.今日まで,SLT の安全性と有効性の報告が多くなされるようになり,最近では SLT により濾過手術を行う時期を引き延ばせるという報告も散見される.しかしこの問題に関しては,手術を引き伸ばす間に神経障害が進行するのではという意見もあり,賛否両論みられる.一方,白内障手術を先に行い後にレクトミー単独で行った群と,白内障同時手術群との比較においては,前者のほうが経過が良いということは報告されている9,10).今回,偽水晶体眼に対する SLT の有効性が得られたことから,白内障手術後ある程度の期間の後にレクトミー単独手術を検討している症例においては,白内障手術を行ってからレクトミーを行うまでの期間の視神経保護を目的に SLT を施行することにより,ある一定の眼圧下降を得られる可能性があると考えられた.線維柱帯切除後に SLT を施行した群は,ΔOP で 29.8%と有効な効果が得られたものの,症例数が少なかったこともあるが他の 2 群よりも眼圧下降効果が劣っていた.原因として,手術を行う時点で SLT ノンレスポンダーが含まれ,すでに他の 2 群と比べて線維柱帯機能が劣っている難治例が含まれていたこと,術前眼圧が他の 2 群より低いことなどが原因として考えられたが,詳細は不明である.今回の筆者らの統計は Kaplan-Meier 法においてそれぞれの生存期間に有意差は認めなかった(Logrank 検定).ただ,症例数,観察期間ともに不十分なので,今後の経過観察および再検討が必要である.また,今回の問題点として,白内障手術後に SLT を試行するまでの期間が不均一であったことがあげられ,照射時期により眼圧下降効果に有意差があるか検討が必要である.また,白内障術後に眼圧下降が認められた症例と,認められなかった症例に対する SLT の効果も検討が必要である.そして今後,白内障手術後に認められる眼1カ月*********01020304050607080903カ月6カ月:有水晶体眼(n=33):偽水晶体眼(n=29):線維柱帯切除後(n=13)平均OP(%)Δ図 3平均ΔOP(%)・平均値±標準偏差,片側表示.・症例数は各群で 1 カ月,3 カ月,6 カ月ですべて同数.・術後 1 カ月,ツꀀ 3 カ月,ツꀀ 6 カ月において,各群間での比較(*:p>0.0001).生存率(%)生存期間(月数)0123456100806040200:有水晶体眼:偽水晶体眼:線維柱帯切除後眼図 4Kaplan Meier生存分析・2 回眼圧が 21 mmHg以上になった時点をエンドポイントと定義した.・6 カ月生存率は有水晶体眼は 33 眼で 66.0%,偽水晶体眼は 29 眼で 69.0%,線維柱帯切除後眼では 13 眼で 65.0%であった.・3 群間に生存期間の有意差は認められなかった(Logrank検定).———————————————————————- Page 41412あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,2009(114)圧下降の機序,SLT の作用機序やさらなる長期の安全性などが明らかにされれば,より正確な適応基準を決定できると考えられた.わずかな眼圧下降効果でいたずらに手術時期を延期し,視神経障害を進行させてはならないが,観血手術が安全確実でなく,複数回の施行が困難である現状では,SLT を積極的に行い,効果が不十分であれば速やかに観血手術ができる体制での注意深い経過観察が必要である.緑内障の治療方針決定には,視神経障害の程度・ベースラインとなる眼圧・年齢などの社会的背景などが絡み,明解な基準を作ることは困難である.その方針決定には客観的データの蓄積が不可欠であり,今回のデータがその一つとして役立てば幸いである.本稿の要旨は第 17 回日本緑内障学会で発表した.文献 1) 佐々木誠,原岳,橋本尚子ほか:選択的レーザー線維柱帯形成術とアルゴンレーザー線維柱帯形成術の効果比較.眼臨 99:633-637, 2005 2) 前田貴美人,大黒浩,丸山幾代:Selectiveツꀀ Laserツꀀ Trabe-culoplasty の治療成績.あたらしい眼科 18:515-518, 2001 3) 前田祥恵,今野伸介,大口修史ほか:選択的レーザー線維柱帯形成術の長期術後成績および眼圧日内変動との関連.臨眼 60:781-785, 2006 4) 大口修史,今野伸介,鈴木康夫ほか:選択的レーザー線維柱帯形成術が緑内障患者の眼圧日内変動に及ぼす影響.あたらしい眼科 21:812-814, 2004 5) Melamedツꀀ S,ツꀀ Benツꀀ Simonツꀀ GJ,ツꀀ Levkovitch-Verbinツꀀ H:Selec-tive laser trabeculoplasty as primary treatment for open-angle glaucoma. Arch Ophthalmol 121:957-960, 2003 6) Latina MA, Sibayan SA, Shin DH et al:Q-switched 532-nmツꀀ Nd:YAGツꀀ laserツꀀ trabeculoplasty(selectiveツꀀ laserツꀀ trabe-culoplasty). Ophthalmology 105:2082-2090, 1998 7) Latina MA, Gulati V:Selective laser trabeculoplasty:stimulating the meshwork to mend its ways. Int Ophthal-mol Clin 44:93-103, 2004 8) Cvenkel B:One-year follow-up of selective laser trabe-culoplasty in open-angle glaucoma. Ophthalmologica 218:20-25, 2004 9) 朝岡亮,尾﨏雅博,尾﨏扇子ほか:白内障・緑内障同時手術と緑内障単独手術の術後成績の比較.あたらしい眼科 17:871-877, 2000 10) 鈴木三保子,狩野廉,桒山泰明:原発閉塞隅角緑内障に対するトラベクレクトミー白内障同時手術の成績.眼紀 56:270-273, 2005***

In Vitro 薬剤感受性検査によるトスフロキサシン単剤投与 有効性の検証

2009年10月31日 土曜日

———————————————————————- Page 1(95)ツꀀ 13930910-1810/09/\100/頁/JCOPYツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀ あたらしい眼科 26(10):1393 1399,2009c〔別刷請求先〕井上幸次:〒683-8504 米子市西町 36-1鳥取大学医学部視覚病態学教室Reprint requests:Yoshitsugu Inoue, M.D., Division of Ophthalmology and Visual Science, Faculty of Medicine, Tottori University, 36-1 Nishimachi, Yonago-shi 683-8504, JAPANIn Vitro 薬剤感受性検査によるトスフロキサシン単剤投与 有効性の検証佐伯有祐*1宮 大*1井上幸次*1藤原弘光*2谷本綾子*2岡崎俊朗*2*1 鳥取大学医学部視覚病態学教室*2 鳥取大学医学部附属病院検査部Veriication by In Vitro Antibacterial Activity of Efectiveness of Tosuloxacin AloneYusuke Saeki1), Dai Miyazaki1), Yoshitsugu Inoue1), Hiromitsu Fujiwara2), Ayako Tanimoto2) and Toshiro Okazaki2)1)Division of Ophthalmology and Visual Science, Faculty of Medicine, Tottori University, 2)Division of Clinical Laboratory, Clinical Facilities, Tottori University Hospital細菌性角膜炎などの重症外眼部感染症に対する点眼治療としてニューキノロン系点眼と cefmenoxim(CMX)点眼の併用療法が広く行われているが,最近はよりグラム陽性球菌に対する効果が増強された新しいニューキノロン系点眼が使用できるようになり,単剤投与による治療も可能ではないかと思われる.そこで今回,その点を inツꀀ vitro の薬剤感受性検査で検証した.鳥取大学医学部附属病院にて分離された細菌 72 株を用いて,levo oxacin(LVFX),tosu- oxacin(TFLX),gati oxacin(GFLX),moxi oxacin(MFLX),および CMX の MIC(最小発育阻止濃度)を測定したところ,全株に対する MIC80(μg/ml)は LVFX>16,TFLXツꀀ 4,GFLXツꀀ 8,MFLX>16,CMX>16 であった.また5 株の主要菌(Staphylococcusツꀀ aureus,Staphylococcusツꀀ epidermidis,Streptococcusツꀀ pneumoniae,Pseudomonasツꀀ aerugi-nosa,Haemophilusツꀀ in uenzae)を用いて TFLX 単剤の場合と LVFX と CMX を混合した場合(LVFX+CMX)のpostantibioticツꀀ e ect(PAE)および postantibioticツꀀ bactericidalツꀀ e ect(PABE)を測定したところ S.ツꀀ epidermidis,P. aeruginosa,H.ツꀀ in uenzae に対して TFLX は LVFX+CMX よりも PAE が延長していた.また PABE の測定では,5つの主要菌すべてに対して TFLX は LVFX+CMX と同等あるいはそれ以上の殺菌率を示した.PAE,PABE の結果から,TFLX 点眼が従来の LVFX と CMX の点眼併用に比肩する治療となりうる可能性が示された.Variousツꀀ antibioticツꀀ eyedropsツꀀ haveツꀀ beenツꀀ usedツꀀ forツꀀ treatingツꀀ bacterialツꀀ ocularツꀀ infection.ツꀀ Theツꀀ combinationツꀀ ofツꀀ uoroquinoloneツꀀ andツꀀ cefmenoxim(CMX)ophthalmicツꀀ solutionsツꀀ inツꀀ particularツꀀ hasツꀀ beenツꀀ widelyツꀀ usedツꀀ againstツꀀ severe infectious diseases such as bacterial keratitis. Novelツꀀ uoroquinolone ophthalmic solutions with improved antibacteri-alツꀀ activityツꀀ againstツꀀ gram-positiveツꀀ cocciツꀀ haveツꀀ recentlyツꀀ becomeツꀀ available,ツꀀ soツꀀ itツꀀ hasツꀀ beenツꀀ thoughtツꀀ thatツꀀ useツꀀ ofツꀀ aツꀀ uoroquinoloneツꀀ ophthalmicツꀀ solutionツꀀ aloneツꀀ isツꀀ su cientツꀀ forツꀀ treatingツꀀ bacterialツꀀ keratitis.ツꀀ Inツꀀ theツꀀ presentツꀀ studyツꀀ we veri ed this point on the basis of in vitro antibacterial activity. First, we determined the minimum inhibitory con-centration(MIC)ofツꀀ levo oxacin(LVFX),ツꀀ tosu oxacin(TFLX),ツꀀ gati oxacin(GFLX),ツꀀ moxi oxacin(MFLX),ツꀀ and CMXツꀀ againstツꀀ 72ツꀀ clinicalツꀀ isolatesツꀀ collectedツꀀ fromツꀀ patientsツꀀ withツꀀ eyeツꀀ infectionツꀀ atツꀀ Tottoriツꀀ Universityツꀀ Hospital.ツꀀ Itツꀀ was found that the MIC80(μg/ml)against all 72 isolates was 16 or more with LVFX, 4 with TFLX, 8 with GFLX, 16 or more with MFLX and 16 or more in CMX. We then examined in vitro the postantibiotic e ect(PAE)and the post-antibioticツꀀ bactericidalツꀀ e ect(PABE)ofツꀀ TFLXツꀀ aloneツꀀ andツꀀ theツꀀ combinationツꀀ ofツꀀ LVFXツꀀ withツꀀ CMX(LVFX+CMX)againstツꀀ Staphylococcusツꀀ aureus,ツꀀ Staphylococcusツꀀ epidermidis,ツꀀ Streptococcusツꀀ pneumoniae,ツꀀ Pseudomonasツꀀ aeruginosa,ツꀀ and Haemophilusツꀀ in uenzae.ツꀀ Theツꀀ PAEツꀀ ofツꀀ TFLXツꀀ againstツꀀ S.ツꀀ epidermidis,ツꀀ P.ツꀀ aeruginosa,ツꀀ andツꀀ H.ツꀀ in uenzaeツꀀ wasツꀀ longer thanツꀀ thatツꀀ ofツꀀ LVFX+CMX.ツꀀ Theツꀀ PABEツꀀ ofツꀀ TFLXツꀀ againstツꀀ theツꀀ 5ツꀀ isolatesツꀀ wasツꀀ equalツꀀ orツꀀ superiorツꀀ toツꀀ thoseツꀀ ofツꀀ LVFX+CMX.ツꀀ Ourツꀀ resultsツꀀ indicateツꀀ thatツꀀ treatmentツꀀ ofツꀀ bacterialツꀀ keratitisツꀀ withツꀀ TFLXツꀀ isツꀀ possiblyツꀀ compatibleツꀀ withツꀀ thatツꀀ by LVFX+CMX.〔Atarashii Ganka(Journal of the Eye)26(10):1393 1399, 2009〕Key words:トスフロキサシン(TFLX),最小発育阻止濃度(MIC),postantibioticツꀀ e ect(PAE),postantibiotic bactericidalツꀀ e ect(PABE).tosu oxacin(TFLX),ツꀀ minimumツꀀ inhibitoryツꀀ concentration(MIC),ツꀀ postantibioticツꀀ e ect(PAE), postantibiotic bactericidal e ect(PABE).———————————————————————- Page 21394あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,2009(96)はじめに現在,多くの抗菌点眼薬が外眼部感染症治療に対し使用されているが,ニューキノロン系抗菌点眼薬がそのなかで中核的な役割を担っている.ニューキノロン系抗菌点眼薬は強い抗菌力をもち,抗菌スペクトルも広く妥当な選択であると考えられる.一方,外眼部感染症の起炎菌としては,グラム陰性菌よりも,黄色ブドウ球菌,肺炎球菌などのグラム陽性菌のほうが多い1,2)が,従来のニューキノロン系抗菌点眼薬はセフェム系抗菌点眼薬に比べて,グラム陽性菌に対する抗菌力が劣ることが報告されている3).そのため,細菌性角膜炎などの比較的重症の外眼部感染症には,ニューキノロン系抗菌点眼薬とセフェム系抗菌点眼薬を併用する処方が従来から広く使用されていた1).近年, tosu oxacin(TFLX), moxi oxacin(MFLX), gati- oxacin(GFLX)などの新しいタイプのニューキノロン系点眼薬が開発され臨床的に使用されているが,それらのなかでも TFLX はグラム陰性菌,嫌気性菌に対する抗菌力を保持したまま,グラム陽性菌に対する抗菌力が増強されており4),セフェム系抗菌点眼薬の併用を行わなくても単独で使用できる可能性を有している.そのことが立証されれば TFLX 単独点眼が角膜炎などの重症外眼部感染症に対する新たな治療法となり,点眼本数の減少によるコンプライアンスの向上ならびに医療費の削減が期待できる.しかし,実際の臨床例で点眼薬の優劣を検証することはかなり困難であり,倫理的な問題を伴う.そこで今回筆者らは,inツꀀ vitro の手法を用い,眼感染症患者由来の臨床分離株を用いて最小発育阻止濃度(MIC)を測定することにより,TFLX の抗菌力を他のニューキノロン系抗菌点眼薬 GFLX,MFLX,levo oxacin(LVFX),およびセフェム系抗菌点眼薬 cefmenoxim(CMX)の抗菌力と比較し,さらに TFLX 単独での抗菌力と,従来から汎用されている LVFX と CMX の併用した場合の抗菌力を臨床現場における点眼使用により近い指標である postantibiotic e ect(PAE)ならびに postantibiotic bactericidal e ect(PABE)を測定することにより比較し,検討したので報告する.I対象および方法1. 菌株の収集と保存菌株は2006年6月1日から2007年5月31日までの間に鳥取大学医学部附属病院(以下,当院)眼科を受診した前眼部・外眼部感染症患者の結膜 ・角膜・涙 など感染局所より分離された 72 菌株を対象とした.菌の分離,同定,保存は当院検査部で行い 80℃にて保存した.2. 薬剤感受性測定当院検査部にて保存されていた上記 72 菌株にて,ニューキ ノ ロ ン 系 抗 菌 薬(TFLX,LVFX,GFLX,MFLX)とCMX に対する MIC を測定した.TFLX は 富 山 化 学 工 業 株 式 会 社 に て,LVFX,GFLX,MFLX,CMX は神戸天然物化学株式会社にて合成されたものを使用した.薬剤感受性測定は CLSI M11-A6,CLSI M7-A7 およびCLSI M100-S17 に準じた微量液体希釈法で実施した.3. PAE測定1.で使用した臨床分離菌のうち Staphylococcusツꀀ aureus,Staphylococcusツꀀ epidermidis,Streptococcusツꀀ pneumoniae,Pseudomonasツꀀ aeruginosa,Haemophilusツꀀ in uenzae 各 1 菌株について TFLX 単独と LVFX+CMX 併用の PAE を測定した.測定方法は,羊血液寒天培地 M58(栄研化学)またはチョコレート寒天培地(BBL)にて S.ツꀀ aureus,S.ツꀀ epidermidis,S. pneumoniae,P. aeruginosa,H. in uenzae 各菌株を培養後,滅菌生理食塩液を用いて懸濁し,McFarlandツꀀ 0.5(約108 CFU/ml)に調製して被検菌液とした.TFLX,LVFX+CMX を 5,ツꀀ 8,ツꀀ 200×MIC 濃度となるよう滅菌生理食塩液にて調製した後,被検菌液を混和し,5MIC は 60 分,8 MICは 30 分および 200 MIC は 2 分間静置した.静置後,10 μlを採取し,測定培地 10 ml に接種し混和した後,12,000×gで 10 分間遠心分離し菌体を沈殿させ,上清を除去して測定培地 10 ml を添加し再懸濁した.測定培地は薬剤感受性測定時と同様,S.ツꀀ aureus,S.ツꀀ epidermidis および P.ツꀀ aeruginosaは Muellerツꀀ Hintonツꀀ broth,S.ツꀀ pneumoniae は 5%ウマ溶血液添加 Muellerツꀀ Hintonツꀀ broth,H.ツꀀ in uenzae は HTM ブロスを用いた.再懸濁後ただちに 50 μl を採取し,滅菌生理食塩液を用いて 10 倍希釈系列を作製し(n=2,同一の再懸濁液より希釈),50 μl ずつ羊血液寒天培地 M58 またはチョコレート寒天培地に塗抹した.再懸濁液は引き続き 35℃で静置培養し,1 時間ごとに 12 時間後まで上記同様に行った.対象として薬剤不含有の滅菌生理食塩液を用いて同様に操作を行った.35℃,16 24 時間ツꀀ 好気培養後,発育したコロニー数を計測し,2 枚の平板に発育したコロニー数を平均して1 ml 当たりの生菌数(CFU/ml)を求めた.PAE は薬物処理後の菌が 1 log10増殖するのに要した時間から,薬物無処理対照の菌が 1 log10増殖するのに要した時間を差し引いた値とした.4. PABE測定3.で使用した S. aureus,S. epidermidis,S. pneumoniae,P.ツꀀ aeruginosa,H.ツꀀ in uenzae 各 1 菌株に対する TFLX 単独と LVFX+CMX 併用,オゼックスR点眼液(0.3%),クラビットR点眼液(0.5%),ベストロンR点眼液(0.5%),クラビットR点眼液(0.5%)+ベストロンR点眼液(0.5%)併用の PABE を測定した.測定方法は,羊血液寒天培地 M58 ま———————————————————————- Page 3あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,20091395(97)たはチョコレート寒天培地にて 18 時間培養後,滅菌生理食塩液にて McFarland 0.5(約 108 CFU/ml)に調製し接種菌液とした.調 製 後 の 菌 液 を 滅 菌 小 試 験 管 に 10 μl 分 注 し,TFLX,LVFX+CMX を各 200×MIC,100×MIC,10×MIC に調製したもの,あるいは各種点眼液を原液のまま 50 μl 加え軽く攪拌した.4 分間室温にて静置後,滅菌生理食塩液を 10 ml 加え(約 200 倍希釈)よく攪拌した.さらに,滅菌生理食塩液を用いて 10 倍希釈系列を作製し(n=2,同一の被験液より希釈),50μl ずつ寒天平板培地に塗抹した.塗布後培地は,35℃で 24 時間好気培養後,発育したコロニーを計測し求めた 2 枚の平板の平均コロニー数より 1 ml 当たりの生菌数(CFU/ml)を求めた.対象(薬剤無添加)と比較し殺菌率(実測値%)を求め PABE(%)とした.II結果当院で前眼部・外眼部感染症患者より分離された 72 株の菌種を図 1 に示した.ブドウ球菌が半数を占めており,なかでも MRSA が 17 株と最も多かった.またその他の細菌のなかでは Corynebacterium 属がやはり 17 株と最も多く検出された.当院で分離された 72 株に対する MIC 分布を図 2 に示した.MIC80(μg/ml)でみると LVFX>16,TFLXツꀀ 4,GFLX 8,MFLX>16,CMX>16 との結果であった.S. aureus,S. epidermidis,S. pneumoniae,P. aerugino-sa,H.ツꀀ in uenzae 各 1 菌株に対する TFLX 単独と LVFX+CMX 併用の PAE の値を図 3 に示した.S.ツꀀ aureus に対しては 5 MIC 60 分曝露,8 MIC 30 分曝露では TFLX の PAE のほうが短いが,200 MIC,2 分間曝露の PAE は,TFLX が1.82 時間,LVFX+CMX は 1.76 時間と TFLX がやや良好であった(図 3A).S.ツꀀ epidermidis に対しては 5 MICツꀀ 60 分曝露では TFLX のほうがやや短い PAE を示したが,8 MIC 30 分曝露,200 MICツꀀ 2 分曝露では,TFLX が 2 倍またはそれ以上の PAE を示した(図 3B).S.ツꀀ pneumoniae に対してはいずれの条件においても TFLX のほうが LVFX+CMXよりも短い PAE を示した(図 3C).P.ツꀀ aeruginosa に対しては TFLX がいずれの条件でも LVFX+CMX よりも著明に良好な PAE を示した(図 3D).H. in uenzae については5MIC,8MIC の LVFX+CMX の PAE が負の値を示しており,CMX,LVFX,TFLX+CMX の PAE 測定も追加して行 っ た.CMX の H.ツꀀ in uenzae に 対 す る PAE は 5 MIC, 8 MIC,ツꀀ 200 MIC すべての濃度で負の値を示しており,200 MIC において TFLX の PAE が 0.24 時間なのに対し TFLX+CMX が 0.08 時間と PAE が短縮していた.なお,LVFXと併用した場合においても LVFX の PAE が 0.69 時間なのに対し LVFX+CMX が 0.60 時間と PAE が短縮していた(図 3E).S. aureus,S. epidermidis,S. pneumoniae,P. aerugino-sa,H.ツꀀ in uenzae 各 1 菌株に対する TFLX 単独と LVFX+CMX 併用の PABE の値を図 4 に示した.S.ツꀀ aureus に対する PABE は設定した 3 つの条件すべてにおいて TFLX がLVFX+CMX よりも良好な発育阻止率を示した(図 4A).S. epidermidis に対しては PABE は TFLX,LVFX+CMX ともに不良であった.S.ツꀀ pneumoniae に対しては 10 MIC,100 MIC では両者とも不良であったが,200 MIC では TFLX が37.5%,LVFX+CMX は 16.7%と TFLX が 2 倍以上良好なPABE を呈した(図 4C).P.ツꀀ aeruginosa に対しては条件にMSSA16.7%(12株)MRSA23.6%(17株)MSSE 5.6%(4株)MRSE 2.8%(2株)Streptococcus spp.(S. pneumoniaeを除く)18.1%(13株)S. pneumoniae1.4%(1株)Corynebacterium spp.23.6%(17株)H. in uenzae 1.4%(1株)Staphylococcus haemolyticus 1.4%(1株)P. aeruginosa 1.4%(1株)Stenotrophomonas maltophilia 1.4%(1株) acillus cereus 2.8%(2株)図 1分離菌(72 株)の菌種と菌株数ツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀ 菌薬ツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀ >16CMX>16図 2分離菌(72 株)の薬剤感受性分布———————————————————————- Page 41396あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,2009(98)よ っ て ば ら つ く も の の 200 MIC で は TFLX が 65.0%,LVFX+CMX は 66.7%でありほぼ同等であった(図 4D).H.ツꀀ in uenzae に対しては 10 MIC,100 MIC では TFLX のほうが良好であり,200 MIC では TFLX が 28.6%,LVFX+CMX も 28.6%と同等の値であった(図 4E).S. aureus,S. epidermidis,S. pneumoniae,P. aerugino-sa,H. in uenzae 各 1 菌株に対するオゼックスR点眼液,クラビットR点眼液,ベストロンR点眼液,ツꀀ クラビットR点眼液+ベストロンR点眼液併用の PABE を図 5 に示した.S. aureus に対する PABE はオゼックスR点眼液が 45.0%,クラビットR点眼液+ベストロンR点眼液併用が 26.7%であり(図 5A),S.ツꀀ epidermidis に対してはオゼックスR点眼液が4.03.63.22.82.42.01.61.20.80.40.0PAE(hr)4.03.63.22.82.42.01.61.20.80.40.0PAE(hr)TFLX1.471.631.822.651.731.760.911.021.761.130.530.740.160.290.990.600.581.140.170.110.24-0.02-0.63-0.01-0.06-0.77-0.77-0.73-0.180.080.060.690.600.441.011.03-0.030.400.39:5MIC 60分間: 8MIC 30分間:200MIC2分間:5MIC 60分間: 8MIC 30分間:200MIC2分間〔MIC(?g/m?):TFLX 0.12,LVFX 0.25,CMX 1〕〔MIC(?g/m?):TFLX 0.06,LVFX 0.25,CMX 0.25〕LVFX+CMXA. ????????B. ?????????????TFLXLVFX+CMX2.01.81.61.41.21.00.80.60.40.20.0PAE(hr)2.01.81.61.41.21.00.80.60.40.20.0-0.2PAE(hr)TFLX:5MIC 60分間: 8MIC 30分間:200MIC2分間:5MIC 60分間: 8MIC 30分間:200MIC2分間:5MIC 60分間: 8MIC 30分間:200MIC2分間〔MIC(?g/m?):TFLX 0.12,LVFX 1,CMX 1〕〔MIC(?g/m?):TFLX 0.25,LVFX 0.5,CMX 16〕LVFX+CMX1.00.80.60.40.20.0-0.2-0.4-0.6-0.8-1.0PAE(hr)TFLXLVFXCMXLVFX+CMXLVFX+CMXC. ????????????〔MIC(?g/m?):TFLX 0.008,LVFX 0.008,CMX 0.015〕E. ???????????D. ????????????TFLXLVFX+CMX図 3各臨床分離株に対するPAE———————————————————————- Page 5あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,20091397(99)16.0%,クラビットR点眼液+ベストロンR点眼液併用が 2.0%(図 5B)とどちらもオゼックスR点眼液が良好な PABEを示した.S.ツꀀ pneumoniae に対する PABE はオゼックスR点眼液が 60.3%,クラビットR点眼液+ベストロンR点眼液併用が 64.3%であり(図 5C),P. aeruginosa に対してはオゼックスR点眼液が 97.1%,クラビットR点眼液+ベストロンR点眼液併用が 91.2%(図 5D),H.ツꀀ in uenzae に対してはオゼックスR点眼液が 99.5%,クラビットR点眼液+ベストロンR点眼液併用が 100%(図 5E)とそれぞれほぼ同等の値を示した.III考按ニューキノロン系抗菌点眼薬は優れた抗菌力ならびに広い抗菌スペクトルを有し,眼感染症治療の中核を担っていることは言うまでもないが,現在国内で使用されているニューキノロン系抗菌点眼薬は多種にわたり,それぞれの抗菌力を比較検討することは非常に有用であると考えられる.そこでまず,眼科由来の臨床分離株に対する各ニューキノロン系抗菌点眼薬 MIC を測定したところ TFLX は薬剤感受性分布において MFLX,GFLX 同様 LVFX に比較して良好な分布を示し た. ニ ュ ー キ ノ ロ ン 系 抗 菌 薬 は Staphylococcus 属,Streptococcus 属などのグラム陽性菌に対し効果が不十分という報告3,5)があるが,TFLX は構造式の一部をジフルオロフェニル基に変更することによりグラム陽性球菌に対する抗菌力を強めた薬剤であり,このことによりグラム陰性桿菌のみならずグラム陽性球菌に対しても強力な抗菌力を有してお1009080706050403020100.0PABE(%)TFLX14.022.041.47.516.730.60.00.04.00.08.08.00.00.037.50.00.016.714.314.328.60.00.028.638.345.065.016.758.366.7:ツꀀ 10MIC 4分間:100MIC 4分間:200MIC 2分間1009080706050403020100.0PABE(%)1009080706050403020100.0PABE(%)1009080706050403020100.0PABE(%)1009080706050403020100.0PABE(%):ツꀀ 10MIC 4分間:100MIC 4分間:200MIC 2分間:ツꀀ 10MIC 4分間:100MIC 4分間:200MIC 2分間:ツꀀ 10MIC 4分間:100MIC 4分間:200MIC 2分間〔MIC(?g/m?):TFLX 0.12,LVFX 0.25,CMX 1〕〔MIC(?g/m?):TFLX 0.06,LVFX 0.25,CMX 0.25〕LVFX+CMXA. ????????B. ?????????????TFLXLVFX+CMXTFLX〔MIC(?g/m?):TFLX 0.12,LVFX 1,CMX 1〕〔MIC(?g/m?):TFLX 0.25,LVFX 0.5,CMX 16〕LVFX+CMXTFLXLVFX+CMXC. ????????????〔MIC(?g/m?):TFLX 0.008,LVFX 0.008,CMX 0.015〕E. ???????????D. ????????????TFLXLVFX+CMX:ツꀀ 10MIC 4分間:100MIC 4分間:200MIC 2分間図 4 各臨床分離株に対するTFLXならびにLVFX+CMXのPABE———————————————————————- Page 61398あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,2009(100)り,今回の結果でも良好な値を示している.つぎに筆者らは,PAE を測定することによりそれぞれの抗菌薬を比較検討した.PAE は薬剤消失後の静菌作用持続時間の指標であり,点眼薬が高濃度で菌に作用し結膜 内において短時間で希釈されることを考えると,眼感染症領域における点眼薬の効果判定に有用であり,これまで多くの論文にて報告されてきた6,7)が,2 剤併用下での PAE を測定した報告は筆者らが検索した限りでは認められず,新しいニューキノロン系抗菌薬である TFLX 単剤とこれまで臨床で処方されてきた LVFX+CMX 併用の PAE を比較検討することは非常に意義があると考えられた.TFLX の PAE は LVFX+CMX と比較して S.ツꀀ aureus ではほぼ同等,S.ツꀀ epidermidis では延長していたが,S.ツꀀ pneu-moniae に対しては劣っていた.P.ツꀀ aeruginosa に対しては著明に長い PAE を示していた.これらの結果により TFLX はグラム陰性桿菌のみならず,グラム陽性球菌に対してもLVFX と CMX とを併用した場合と比較しても同等以上の薬剤消失後の静菌作用を有することが証明された.S. pneumo-niae についてはツꀀ CMX の良好な殺菌力を反映して LVFX+CMX の PAE が非常に良い結果を示していると考えられ,その意味で経験的に行われているレボフロキサシンとセフメノキシムの併用がこの菌に関しては決して誤っていないことを示していると思われる.CMX の H.ツꀀ in uenzae に対するPAE は驚くべきことに負の値を示しており,TFLX,LVFXと併用した場合においても PAE を短縮した.これまでにもCMX の P.ツꀀ aeruginosa,MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に対する PAE が負の値を示す論文6,7)が認められ,その理由として CMX は細胞壁合成に干渉し細胞分裂を阻害することで静菌作用を有するため,菌との短時間接触では作用1009080706050403020100.01009080706050403020100.0PABE(%)1009080706050403020100.0PABE(%)45.020.031.326.7オゼックス クラビット ベストロン クラビット +ベストロン?PABE(%)A. ????????B. ?????????????C. ????????????E. ???????????D. ????????????16.014.016.02.060.361.957.964.399.5100.099.5100.097.192.226.591.2オゼックス?クラビット?ベストロン?クラビット?+ベストロン?1009080706050403020100.01009080706050403020100.0PABE(%)オゼックス?クラビット?ベストロン?クラビット?+ベストロン?PABE(%)オゼックス?クラビット?ベストロン?クラビット?+ベストロン?オゼックス?クラビット?ベストロン?クラビット?+ベストロン?図 5各臨床分離株に対する各点眼液のPABE———————————————————————- Page 7あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,20091399点に結合できず低い PAE 値を呈することが推測されている.しかし,負の値となることについては何か他の作用機序が働いている可能性があり,今後の検討,実験の蓄積を要すると考えられた.また,他剤との併用においても PAE を短縮したことから多剤併用投与が場合によっては感染治癒の弊害となる可能性を有すると推測された.たとえば H. in uenzaeがよく分離される小児の結膜炎に LVFX+CMX の併用を選択するようなことはしてはならないであろう.つぎに筆者らは,近年抗菌薬の新しい指標として考案された PABE を 測 定 す る こ と に よ り 比 較, 検 討 を 行 っ た.PABE は,薬剤の短時間の殺菌力と薬剤消失後の持続効果の両方を加味した指標として用いられており,点眼薬の臨床効果に最も近い手法として砂田らによって報告されたものである6).TFLX の PABE は LVFX+CMX と比較して,今回の 5種類の菌に対して濃度を問わずほぼ同等またはそれ以上の値であり,実際に市販されているオゼックスR点眼液においてもクラビットR点眼液+ベストロンR点眼液と比較して同様の結果が得られた.特に S.ツꀀ aureus,S.ツꀀ epidermidis についてはオゼックスR点眼液単独のほうが明らかに良好な発育阻止率を示した.また今回の結果より 200 MIC,100ツꀀ MIC,10 MIC の各種薬剤と比べ,実際に使用されている抗菌点眼薬のほうが明らかに良好な PABE 値を呈した.なお,CMXの H.ツꀀ in uenzae に対する PAE は負の値であったが,ベストロンR点眼液の H.ツꀀ in uenzae に対する PABE は 99.5%,クラビットR点眼液+ベストロンR点眼液も 100%と良好であり,抗菌力を考える際に,指標によってまったく異なる結果が得られることに注意する必要があると思われた.一方,Staphylococcus 属に対してはオゼックスR点眼液,クラビットR点眼液,ベストロンR点眼液いずれも PABE 値が比較的低い傾向が認められた.これは砂田らの報告の結果と一致しており6),これまで臨床的に処方されてきたクラビットR点眼液とベストロンR点眼液の併用においても良好な値は得られておらず,ブドウ球菌感染においてはアミノグリコシド系など別系統の点眼液の使用が見直されるべきかと思われた.今回の結果より in vitro において TFLX は, PAE, PABEのどちらの指標においても LVFX+CMX と比較し同等以上の値が認められ,TFLX 単剤点眼が従来の LVFX と CMXの点眼併用に比肩する治療となりうる可能性が示された.しかし,今回は種々の方法を試みたため各種 1 菌株での測定であり,株数を増やしてさらなる検討が必要であると考えられた.文献 1) 感染性角膜炎全国サーベイランス・スタディグループ:感染性角膜炎全国サーベイランス─分離菌・患者背景・治療の現況─.日眼会誌 110:961-972, 2006 2) 東堤稔:眼感染症起炎菌─最近の動向─.あたらしい眼科 17:181-190, 2000 3) 宮永嘉隆:5.眼科領域/局所療法.キノロン系薬剤の使い方(嶋田甚五郎ツꀀ 編著),p140-155,医薬ジャーナル社,1989 4) 神山朋子,杉浦陽子,久田晴美ほか:新規ニューキノロン系抗菌点眼薬トシル酸トスフロキサシン点眼液の薬効評価(1)─細菌学的評価─.あたらしい眼科 23(別巻):3-11, 2006 5) 内田幸夫:Lome oxacin(NY-198)点眼液の細菌性外眼部感染症に対する臨床効果の研究─多施設二重盲検法による臨床第三相試験─.眼紀 42:59-70, 1991 6) 砂田淳子,上田安希子,井上幸次ほか:感染性角膜炎全国サーベイランス分離菌における薬剤感受性と市販点眼薬のpostantibiotic e ect の比較.日眼会誌 110:973-983, 2006 7) 浅利誠志,豊川真弘,大橋裕一ほか:抗生物質点眼液の多剤耐性ブドウ球菌に対する postantibiotic e ect(PAE).眼科 33:1223-1229, 1991(101)***

私の工夫とテクニック 家庭用ハイビジョンカメラによる手術ビデオ撮影

2009年10月31日 土曜日

———————————————————————- Page 1(85)ツꀀ 13830910-1810/09/\100/頁/JCOPYはじめに2008 年 4 月 21 日の共同通信社配信による各新聞紙上で「手術態勢が十分整っているとされる全国の 621 病院のうち,手術中に患部(術野)を録画しているのは『顕微鏡・内視鏡』で 285 病院(46%),『それ以外の(通常の)手術』では 132病院(21%)にとどまることが,厚生労働省研究班のアンケートで分かった.」と報道された.録画された映像は医事紛争時に有力な証拠となるにもかかわらず,録画している施設が少ない背景には,従来の撮影システムが高価で採算性が低いという事情があるものと思われる.消化管内視鏡の分野ではハイビジョン電子内視鏡による画像診断はもはや一般化しており,従来画質では検出できなかったかもしれない微小な病変の発見に大きく寄与している1,2).ハイビジョンとは社団法人電子情報技術産業協会(Japanツꀀ Electronicsツꀀ andツꀀ Infor-mationツꀀ Technologyツꀀ Industriesツꀀ Association)による定義では,垂直画素数 650 以上で表示できる画質とされている.従来の標準画質である,640×480 の解像度に比べ情報量が多いために他の医療機器でも今後普及するものと思われる.しかし内視鏡で得たハイビジョン映像をその画質で動画として録画するには,対応する入力端子をもつ録画装置が必要で,これらはきわめて高価である.消化管内視鏡の分野では,静止画をプリントアウトし,動画が必要であればアナログ標準画質に落として録画しているのが現状である.パソコンにデジタルキャプチャーボードを取り付けハイビジョン画質のままハードディスクに録画する方法もあるが一般的とはいえない.その一方で,家庭用のフルハイビジョンデジタルビデオカメラはどんどん小型軽量化され,安価で販売されるようになった.フルハイビジョンとはハイビジョンのうち 1,920×1,080 の解像度のものをそうよぶことが家電業界で一般化しているが,正式に統一された呼称ではない.映像はフラッシュメモリーカードやハードディスクなどにデジタルファイルとして保存される.パソコンで編集しやすいうえ,保存にも場所をとらない.眼科手術の場合,手術用顕微鏡にこれら家庭用フルハイビジョンビデオカメラを取り付けられれば,高画質録画システムが安価に構築できる.録画の必要性を感じながらもコスト的に導入に踏み切れなかった施設でも検討する価値があると思われる.今回眼科手術顕微鏡に家庭用ビデオカメラを取り付けるアダプタのうち,3 製品について試用することができたのでその使用経験を報告する.I方法1. 手術顕微鏡取り付けた手術顕微鏡は Carlツꀀ Zeissツꀀ Opmiツꀀ Visuツꀀ 200 である.ビームスプリッタで術者側とカメラ側の光量を 8:2 に分光した.2. 使用したカメラアダプタとビデオカメラビデオカメラはアダプタメーカー推奨のものを使用した.組み合わせは,使用した順に下記の通りである.(1)美舘(みかん)イメージング顕微鏡用ハイビジョンカメラアダプター MA-HDS(定価 10.5 万円)+SONY デジタル HD ビデオカメラレコーダー HDR-SR11.(2)ルキナポータブルハイビジョンカメラアダプター SD-HAD-CZ(定価 34 万円)+Panasonic デジタルハイビ*Tetsuji Takeshita:上天草市立上天草総合病院眼科〔別刷請求先〕竹下哲二:〒866-0293 上天草市龍ヶ岳町高戸 1419-19上天草市立上天草総合病院眼科あたらしい眼科 26(10):1383 1385,2009わたしの工夫とテクニックツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀツꀀ 家庭用ハイビジョンカメラによる手術ビデオ撮影Intraoperative Video Recording with High-Vision Camera Adaptor竹下哲二*家庭用ハイビジョンビデオカメラを眼科手術顕微鏡に取り付けるカメラアダプタ 3 製品を試用した.いずれのアダプタでもハイビジョン画質で手術映像の録画が可能であった.従来の標準画質による撮影システムより安価に高画質録画システムを構築でき,映像の保存にも場所をとらないため導入を検討する価値があると思われた.キーワード:ハイビジョン,録画,ビデオカメラ,手術顕微鏡.要約———————————————————————- Page 21384あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,2009(86)ジョンビデオカメラ HDC-SD3.(3)SCEIMEN DESIGN Home video camera adaptor SD-010(定価 30 万円)+Panasonic デジタルハイビジョンビデオカメラ HDC-SD100.MA-HDS は C マウントに取り付ける方式のためビームスプリッタとの間に C マウントアダプタを介して装着した.他の 2 機種はビームスプリッタに直接装着した.SD-010 とHDC-SD100 を取り付けた様子を図 1 に示す.3. 映像のモニタカメラ本体の液晶モニタは小さくて手術室内のスタッフ全員で映像を共有することができない.HDMI(High-De nition Multimediaツꀀ Interface)入 力 端 子 を 備 え た 解 像 度 1,920×1,080(WUXGA)のパソコン用 24 インチ液晶モニタと各カメラを HDMI ケーブルで接続し,ハイビジョン画質のまま表示した.4. 画像の調整いずれの組み合わせでもカメラのズームは最大(望遠側)にしないと十分な大きさの画像が得られなかった.ホワイトバランスと焦点合わせは手動とし,外部液晶モニタを見ながら手術開始前に調整する.ホワイトバランスがオートのままだと顕微鏡の照明の影響で黄色味を帯びた映像となった.オートフォーカスにしていると常に角膜頂点に合焦する.ズームと焦点位置は電源停止のたびに初期設定値に戻るため毎回調節が必要だった.5. 録画方式3 機種ともメモリースティックRもしくは SD カードにAVCHD(Advancedツꀀ Videoツꀀ Codecツꀀ Highツꀀ De nition)形式で録画する仕様だった.AVCHD は,正式に批准制定された方式ではないが,採用するメーカーが徐々に増えており当面主流となりそうな記録方式である.保存画質はカメラの初期設定値の画質とした.II結果アナログ CCD カメラによる標準画質(640×480)で録画(MPEG2 形式)した画像と各家庭用ハイビジョンカメラで撮影・保存した画像を図 2 に示す.いずれも動画から 1 フレームずつを取り出した.ハイビジョンで撮影したものは 16:9の横に長い画像となる.拡大してみるとわかるが,アナログ標準画質では階調が飛びがちでジャギー(ギザギザ)やノイズが目立つのに対し,ハイビジョンで録画したものはそれらが少ない.今回は使用したカメラがすべて違ううえ,細かな調整をする時間的余裕がなかったため,カメラアダプタによる画質の違いは比較できない.ただ MA-HDS と HDR-SR11 の組み合わせでは画像が幾分ぼやけて写った.いずれのアダプタでもビームスプ図 1 Carl Zeiss Opmi Visu 200顕微鏡にSD 010とHDCツꀀ SD100を取り付けたところ 助手用鏡筒とも干渉しない.図 2各組み合わせによる実際の映像A:従来のアナログ CCD カメラによる標準画質(640×480)の画像.他の 3 組と比較してジャギーやノイズが目立ち,階調も跳びがちである.B:MA-HDS と HDR-SR11.C:SD-HAD-CZ と HDC-SD3.D:SD-010 と HDC-SD100.ABCD———————————————————————- Page 3あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,20091385(87)リッタからの出力が円形であることと,顕微鏡内にある光軸の角度を変えるプリズムの影響で四隅に陰が出る.SD-HAD-CZ ではこれが一番広く出たが中心部分の画質には影響がなかった.アダプタ 3 製品の特性と使用経験をまとめたものを表 1 に示す.III考按眼科手術の多くは顕微鏡下で行われるため,顕微鏡にカメラを取り付けることで腹部や胸部の手術に比べて比較的容易に手術映像が録画できる.録画・保存することは手術手技の向上や事故発生後の原因検証のために重要であるが,既存の録画システムは高価だった.驚異的な開発速度で小型・軽量・低価格化が進む家庭向けハイビジョンビデオカメラを眼科手術顕微鏡に取り付けられるカメラアダプタが販売されはじめたのは必然ともいえる.いずれの製品もビデオカメラにフィルタを取り付けるためのネジの部分に取り付ける方式だった.家庭用ハイビジョンビデオカメラの多くはフィルタ径が 37 mm で,今回使用したアダプタもすべてフィルタ径37 mm に対応したものだった.しかし本稿執筆時点でカメラのモデルチェンジに伴い,フィルタ径を変更したメーカーもあるため,購入時には確認が必要である.モデルチェンジのサイクルは非常に速く,どの機種が最適であるかはその時々で変わる.白い強膜と暗い眼内では照度が大きく異なるため,露出測光領域を選べたり露出を切り替えられる機種が好適かもしれない.今回はカメラアダプタメーカーよりビデオカメラも一緒にお借りした.借用期間はいずれも 1 日のみで,映像を見た後で設定などを変更することはできなかったが,3 組の製品はいずれもアナログ標準画質に比較して高画質だった.MA- HDS と HDR-SR11 の組み合わせでは映像がややぼやけて写ったが,販売元に確認したところ通常はもっときれいに写るはずであるという回答だったため,調整上の問題だった可能性がある.MA-HDS は別途 C マウントアダプタが必要となるが,既存システムに C マウントアダプタがついている施設では MA-HDS が最も安価に手に入るハイビジョンカメラアダプタとなる.録画した映像を保存するにはいくつかの方法がある.SDカードに記録するカメラの場合は価格の下がった SD カードを手術の都度買い足していくという方法もある.コスト的には,パソコンを介して外部ハードディスク(HDD)にファイルを移して SD カードは再利用したほうが安くつく.内蔵HDD に記録するカメラの場合はパソコンを介して外部HDD に保存するのが簡便である.いずれの方式でも DVDや Blue-ray のディスクにハイビジョン画質のまま保存することも可能ではあるが,作業時間とコストの面でメリットは薄い.外部 HDD に保存する場合は故障に備えてバックアップを取っておくべきである.外部 HDD に保存した映像を再生するには対応するソフトウェアが必要となる.カメラに付属しているソフトウェアのほか,無料で配布されているフリーウェアソフトを使う方法もある.「K-Liteツꀀ Codecツꀀ Pack」というフリーウェアソフトを使うと Windows に標準で備わっている「Windows Media Player」で AVCHD 形式の動画が再生できるようになる.また「GOMツꀀ Player」というソフトはインストール操作をしなくても単独で AVCHD ファイルを再生可能である.プレゼンテーションなどのために編集作業を行う場合,カメラに付属するソフトウェアでは機能が足りないことが多い.その場合は別途市販編集ソフトウェアを購入する必要がある.今回 3 種類のカメラアダプタを使用し,いずれのアダプタでも家庭用ハイビジョンビデオカメラで眼科顕微鏡手術の撮影・録画が可能だった.民生品のカメラを使用するため調整や工夫は必要であるが,低予算でハイビジョン画質の録画ができ,導入を検討する価値があると思われた.謝辞:機器の借受に関し,ご尽力いただいた木村医療器株式会社の坂井宏通氏に深謝いたします.文献 1) 川口淳,永尾重昭,佐藤知己ほか:新しい内視鏡観察法の分類画像強調観察を中心に画像強調観察デジタル法(Digitalツꀀ Method)適応型強調処理,IHb.臨床消化器内科 24:19-25, 2008 2) 高橋寛:プライマリ・ケア医のための上部・下部消化器内視鏡術最近の電子内視鏡の種類と簡単なスペック.治療 88:43-48, 2006表 13種のカメラアダプタの特性と使用経験アダプタ特性使用経験MA-HDS単体では最も安価だが別途 C マウントアダプタが必要画像がやや不鮮明になったが原因不明SD-HAD-CZ側視鏡と同じ側には取り付け不可四隅の黒い陰が一番広かったSD-010最もコンパクトで価格は中間側視鏡との干渉もなく,一番目立たない

眼科医にすすめる100冊の本-10月の推薦図書-

2009年10月31日 土曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.26,No.10,200913770910-1810/09/\100/頁/JCOPY本を読む魅力の一つとして,常日頃考えていることが自分に代わって上手く言語化されていて感動するということがあります.この本に出会ったときも,似たような感覚を覚えました.アメリカの3人の経営コンサルタントによって書かれた本書の原書に出会ったのは,昨年(2008年),アメリカで開催された組織の人材開発に関する世界最大のカンファレンスASTD(AmericanSocietyforTraining&Development,米国人材開発機構)に参加したときでした.私の会社では,人材開発やリーダーシップ開発などについての海外の最新動向・最新情報を得るために,年に数回このようなカンファレンスに参加し情報収集をしています.その国際大会で,本書の著者による分科会に出たことがきっかけでした.「自分は悪くない」─自分を被害者だと思い込み,被害者ぶった態度に出る人がビジネスの世界には数多く存在する.個人の成果,組織の成果を飛躍的に向上させるには,<被害者意識の悪循環>を克服し,ここで述べる<アカウンタビリティのステップ>をのぼらねばならない.(本文より)本書の原書である『TheOzPrinciple』はアメリカで50万部を超えるベストセラーとなっています.アメリカで最もポピュラーな童話の一つ『オズの魔法使い』の登場人物たちが「被害者意識から脱し,自分の願いをかなえる能力は自分にあると気づく」過程を引用しながら,個人と組織がアカウンタビリティを高めていく方法を紹介しているところに本書の特徴があります.現在,日本においては,「アカウンタビリティ(accountability)」という言葉は会計用語と受け取られることが多く,その場合「会計責任」「説明責任」などと訳されます.英語としてはもう少し意味の範囲が広く,単に「責任」「義務」と訳せることもあるようですが,アメリカでもビジネスの場では,日本同様に会計用語として使われるのが普通でした.ところが本書の出版後は,本書の中に述べられているような「主体的に仕事や事業の責任を引き受けていく」ことという意味で使われることが多くなっているようです.本書の影響の大きさがよくわかります.そして初版発行から10年後の2004年,ビジネスの世界の現状にアップデートし,さらに本書によるアカウンタビリティをもったことで成功した企業や個人の事例も豊富に盛り込んだ形で改訂版が出版され,再び好評を博しました.本書はその改訂版を訳したものです.すべての経営者と管理職にとって,「主体的に動く」社員をどうしたら育てられるのかは切実な問題でしょう.私は25歳のときに起業して以来30年以上にわたって人のアカウンタビリティを高めるコミュニケーションの研究と実践に携わってきました.現在は,企業にコーチングを導入して次世代リーダーを育成する会社であるコーチ・トゥエンティワンおよびコーチ・エイの経営にあたるとともに,自分自身でも経営者に対し,エグゼクティブ・コーチングを行っています.コーチングとはまさに個人と組織のアカウンタビリティをはぐくむことが主要な目的の一つですから,本書を読んで,これまで自分が考え実践してきたことが非常にわかりやすくまとめられていると感じ,すぐに翻訳出版することを決めました.組織に有効な何かを求めて,相次いで現れる幻想に振(79)■10月の推薦図書■主体的に動くアカウンタビリティ・マネジメントロジャー・コナーズ,トム・スミス,クレイグ・ヒックマン著/伊藤守監訳(ディスカヴァー・トゥエンティワン)シリーズ─90◆伊藤守株式会社コーチ・トゥエンティワン———————————————————————-Page21378あたらしい眼科Vol.26,No.10,2009り回されていたのでは,真実は見えない.最新の経営ソリューションという幻想から,それに潜む罠,トリック,テクニック,手法,哲学といったものをすべてそぎ落とすと,ひとつの動かしがたい事実がはっきりと現れる.「求める結果を得られるかどうかは,その結果に対してどれだけの責任を背負うかにかかっている」のだと.(本文より)これまでリーダーとは与えられた権限とイコールだと考えられてきました.課長になったから,部長になったから,すわなち「リーダー」であり,就任したその日からリーダーシップを発揮するものと思われてきました.しかし,課長,部長になったからといって,突然リーダーシップを発揮できるわけではありません.権限がものを言う時代に,人はその権限に従おうとしました.しかし,権限に従うことと,真のリーダーシップに従うことの違いを理解するようになれば,もはや,簡単に権限にだけ従うことはなくなります.リーダーシップと権限の関係はもちろんゼロではありません.しかし,権限だけがものごとを推進する動力源ではありません.では,これからのリーダーには何が求められているのか?それはどのように身につけるのか?鍵となる言葉が「アカウンタビリティ」です.リーダーとはアカウンタビリティの頂点を目指す人のことです.同時にメンバーのアカウンタビリティを開発することが求められます.私がこれまで出会ってきたリーダーに共通していることがあります.それは,みな「ビジョン」「影響力」そして「勘」を備えている,ということです.リーダーには,「直感」=「勘」が求められます.何かを決断するとき,そしてその決断のタイミングについても,「勘」を働かせて,より望ましい結果へと導く必要があるからです.ですから,リーダーがリーダーシップを発揮するためには,「勘」を鍛えなければなりません.それでは,リーダーとしての「勘」はどのようにして育つのでしょうか.「勘」は経験を通してしか生まれません.さらに,「勘」がいい人,「勘」が働いている人は,見ているもの,すなわち視点が違います.そして,その視点は縦横無尽にシフトします.たとえば,優れた棋士は,最後の一手を打つときに,「勘」が働きます.この「勘」は,よりたくさんの定跡を覚えることで生まれるのではなく,それまでの棋士としての思考と経験が,柔軟な視点と「勘」を与えているのです.これは,経営者やリーダーにも同じことが言えます.日ごろから,リーダーとしての視点をもって世界を見る,考える,経験することでしか,リーダーとしての「勘」は育ちません.誰かから与えられ,聞き伝えられたことを「victim(被害者)」の立場で受け入れるのではなく,「accountable(アカウンタブル)」な立場から,自分の眼で見る,実際に経験する,そして考えることでリーダーの「勘」は育つのです.本書には,「被害者意識」が個人の生産性を落とし,企業を弱体化させている現実の分析から,アカウンタビリティを育成し,組織に浸透させ,それによって問題を解決し成果を出していく方法までが詳しく書かれています.(80)☆☆☆

インターネットの眼科応用 9.遠隔医療(続)

2009年10月31日 土曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.26,No.10,200913750910-1810/09/\100/頁/JCOPYインターネットを使った遠隔医療の課題遠隔医療を英訳すると,TelemedicineandTelecareとなり,診療行為だけでなく,健康指導も含まれます.先月号で紹介したように,遠隔医療は,「通信技術を活用した健康増進,医療,介護に資する行為」と定義されます1).では,現在の技術で遠隔地の患者に対して,どこまで侵襲的な医療が可能なのでしょう.アメリカの医師が大西洋を越えてヨーロッパの患者を手術することを可能にする,遠隔手術ロボット「ダヴィンチ」を簡単に紹介します2).遠隔手術用ロボットシステム〔ダヴィンチ;daVinci(図1)〕はIntuitiveSurgical社が開発・販売しています.IntuitiveSurgical社は,スタンフォード研究所からの特許ライセンスを受け,1995年に設立,2000年にIPO(上場)を実現している企業です.2008年の売上高が8億7500万ドル,営業利益率が35.5%,この遠隔手術用ロボットシステムが世界中で1年間に約14万回使用され,2008年12月31日現在で合計1,111台が普及しています〔825台(米国),194台(欧州),92台(その他)〕.また,1台の価格は約150万ドルします.このシステムの開発は,負傷した兵士を遠隔で手術できないだろうか,といったアメリカの軍事利用目的から始まりました.DARPA(国防高等研究計画局)というアメリカ国防総省の機関が推進し,1990年にスタンフォード研究所がプロトタイプ(試作品)を完成させました.そして,1995年にスタンフォード研究所から特許ライセンスを受け,IntuitiveSurgical社が設立されました.日本国内でも遠隔手術ロボットの開発は進んでいますが,ダヴィンチほど普及はしていません.技術的な課題は少なく,現在の通信技術では画像の時間遅れは,臨床上さほど問題にならないレベルのようです.今後,在宅診療などへの応用が期待される治療法ですが,法的環境が整っていない点と価格が課題です.もう一つの問題は,「ロボットに手術されても構わない」と受け入れる患者集団は限定的でしょう3).余談ですが,インターネットの前身であるARPANETを開発したのも,このDARPAというアメリカの機関です.軍事目的が絡んでいるとはいえ,アメリカの先進性を感じます.つぎに,手術などの侵襲的・物質的な医療行為ではなく,医療・健康情報などの情報医療を扱う遠隔医療について考えます.遠隔医療には3つの形態があります.医師と医師を結ぶ媒体,医師と患者を繋ぐ媒体,患者同士のコミュニケーションを医師がガイドする媒体です.それぞれを【医-医の遠隔医療】,【医-患の遠隔医療】,【患者のコミュニティ支援】と分けますが,ここでは,【医-患の遠隔医療】を取り上げます.通信手段に,電話や文書でなく,インターネットを用いる場合,医-患の遠隔医療は,インターネット上で医師集団と患者集団の両者を繋げば成立します.インターネットを用いる遠隔医療の本質はきわめてシンプルです.セキュリティに関する技術的な問題以外に,3つの課題がありますので紹介します.1.アクセス容易性医師と遠隔地の患者を繋ぐ手段として,インターネットを用いる遠隔医療事業者は現状のところ苦戦しています.基本的に日本の医療施設はフリーアクセスであるた(77)インターネットの眼科応用第9章遠隔医療(続)武蔵国弘(KunihiroMusashi)むさしドリーム眼科シリーズ⑨図1遠隔手術用ロボットシステム(ダヴィンチ)———————————————————————-Page21376あたらしい眼科Vol.26,No.10,2009め,インターネットのフリーアクセスの優位性が相対的に高くないのでしょう.また,日本はアメリカほどの国土を持ちません.受診行動に移す前の施設検索にインターネットを利用しますが,実際の医療行為をネットで完結させようと希望する人は皆無でしょう.2.医療リテラシーの格差医療に関して体系立てて学習した専門家同士の会話はスムーズです.しかし,一般書やインターネットで医療知識を学習した程度の非専門家との間には,医療リテラシーに差が大きく,会って話す以上の情報をネットで伝えるのは困難です.現在,スカイプやウェブカメラを慢性期疾患の再診の診療に利用している例が報告されていますが,初診からの治療をネットで完結させるのは容易ではありません4).一度は面談して診察する必要があります.3.事業性保険制度は対面診療を基本にしていますので,対面しない健康指導は保険制度内では課金できません.インターネットによる医療相談は,保険の対象外のため,一部の医師が患者サービスの一環として提供するにとどまっています.このような問題点を考えると,医師と患者を直接インターネットで繋ぐ媒体はまだまだ試行段階です.患者層,医療施設,医師集団をどのようにセグメントして繋ぐかを考慮しないといけません.遠隔医療の新しい形態の提案私が有志とともに運営しているNPO法人MVCでは,上述の3つの形態に当てはまらない,新しい形態の遠隔医療を企画しています.仮に【医-医-患の遠隔医療】(図2)と名付けます.簡単に概要を紹介しますと,今,眼科医が常勤できない総合病院が増えています.そのような総合病院から眼科診療の委託を受け,インターネットに蓄積された患者データを元に診療方針を決める眼科チームを結成します.眼科チームの所属は限定しません.インターネットにアクセスさえできれば大丈夫です.実際に患者を検査するのは,機器メーカーから指導を受けた医療スタッフが医師の管理のもと,実施します.患者に治療方針を伝えたり投薬したりするのは,実(78)際に当該施設に勤務している医師が担当します.患者は受診した施設に診療代を支払い,医療施設は得られた診療報酬から眼科チームに決められた顧問料を支払います.この図式により,上述した問題点はひとまず解消されます.離島やへき地などの眼科医療過疎地は日本にもまだまだあります.ご協力いただける有志の先生方はぜひ,ご連絡ください.一緒に日本の医療水準を向上させましょう.【追記】NPO法人MVC(http://mvc-japan.org)では,医療というアナログな行為と眼科という職人的な業を,インターネットでどう補完するか,さまざまな試みを実践中です.MVCの活動に興味をもっていただいた方は,k.musashi@mvc-japan.orgまでご連絡ください.MVC-onlineからの招待メールを送らせていただきます.先生方とシェアされた情報が日本の医療水準の向上に寄与する,と信じています.文献1)http://square.umin.ac.jp/jtta/2)http://www.intuitivesurgical.com/index.aspx3)http://www.focus-s.com/focus-s/medical/pdf/medical01.pdf4)http://square.umin.ac.jp/jtta/news/20090313telemedicine.pdf兵OCT???鶚顫???????畑?????嫣?鶚顫?霄??????穂贇???筅寃?嗜?兵赭???????????竝?愈??吮?????追?燻??坏???愈??捗?愈潛?????????貳????悌?民???募?吮?票?吮?票?柞貳?霄?躬?兵赭膽?莎椁NPO?暢MVCMedicalVentureConference2009AllRightsReserved図2医医患の遠隔医療

硝子体手術のワンポイントアドバイス 77.網膜色素変性に伴う黄斑円孔に対する硝子体手術(中級編)

2009年10月31日 土曜日

———————————————————————- Page 1あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,200913730910-1810/09/\100/頁/JCOPYはじめに網膜色素変性の黄斑合併症には, 胞様黄斑浮腫,黄斑上膜,黄斑円孔などがある.網膜色素変性に黄斑円孔を伴う頻度は 1%前後とされており,網膜色素変性患者では健常人よりも黄斑円孔を合併する頻度が高い. 例ツꀀ 27 歳,男性.右眼の中心視力低下を訴えて受診した.視力は右眼 0.3(0.35),左眼 0.35(0.8).眼底は両眼とも血管アーケードより周辺側は骨小体様色素沈着を伴う典型的な網膜色素変性を認めた.また,右眼黄斑部に網膜上膜を伴った黄斑円孔が生じていた.黄斑円孔縁はやや不規則で明確なツꀀ uid cuツꀀ は認めなかった(図1). 黄斑円孔閉鎖を目的とした硝子体手術を施行した.コアの硝子体を切除した後,トリアムシノロンで硝子体を可視化し,後極部から周辺部に向かって人工的後部硝子体 離を作製した.網膜面には肥厚した後部硝子体膜が強固に癒着しており,人工的後部硝子体 離の作製は通常の特発性黄斑円孔に比較して困難であった(図2a, b).インドシアニングリーンを黄斑部に塗布して内境界膜 離を施行し,その後眼内液-空気同時置換術,20% SF6(六フッ化硫黄)によるガスタンポナーデを施行した.円孔縁の網膜は通常の特発性と比較して伸展性がやや低下している印象があった.術後,黄斑円孔は閉鎖したが,矯正視力は 0.3 と不変であった(図3). 膜色素変性に伴う黄斑円孔の特 網膜色素変性に黄斑円孔が合併する機序としては, 胞様黄斑浮腫と硝子体牽引が指摘されている.筆者は今まで網膜色素変性に伴う黄斑円孔を 5 例経験し,4 例に硝子体手術を施行した.いずれも通常の特発性黄斑円孔例よりも若年で,そのうち 3 例は黄斑上膜様の肥厚した後部硝子体膜が網膜と強固に癒着していた.一般に網膜色素変性患者では若年時から硝子体の変性を認めることが多く,過去の報告でも黄斑円孔をきたした症例の多く(75)が黄斑上膜を合併している.視力予後は,比較的良好であったとする報告と,不良であったとする報告が混在している.筆者の経験では,黄斑円孔の閉鎖が得られても視力改善が予想よりも不良である例が多かった.視力不良の原因としては, 胞様黄斑浮腫,発症後長期間経過,黄斑部の網膜色素上皮機能不全,などが考えられる.網膜色素変性患者の経過観察を行う場合には,このような黄斑合併症の生じる可能性を十分に説明し,中心視力が低下した場合には早期に受診してもらうよう啓蒙しておくことが重要と考えられる.文献 1) 今川幸宏,片岡英樹,佐藤孝樹ほか:網膜色素変性に黄斑円孔をきたした 1 例.眼科手術 19:407-410, 2006硝子体手術のワンポイントアドバイス●連載77ツꀀツꀀ ツꀀ網膜色素変性に伴う黄斑円孔に対する硝子体手術(中級編)池田恒彦大阪医科大学眼科図 1 術前の右眼眼底写真骨小体様色素沈着を伴う典型的な網膜色素変性および黄斑上膜を伴った黄斑円孔を認める.図 3 術後の右眼眼底写真黄斑円孔は閉鎖したが,矯正視力は 0.3 と不変であった.図 2硝子体手術中の所見網膜面には肥厚した後部硝子体膜が強固に癒着しており(a),人工的後部硝子体 離の作製は通常の特発性黄斑円孔に比較してやや困難であった(b).

眼科医のための先端医療 106.ベーチェット病ぶどう膜炎に対する抗TNF-α抗体療法

2009年10月31日 土曜日

———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.26,No.10,200913690910-1810/09/\100/頁/JCOPYベーチェット病によるぶどう膜炎ベーチェット病で不の炎患で病病をとする患ですぶどう膜炎を体としぶどう膜炎の作をすと病を体炎と病を視力不良とす膜ぶどう膜炎にす年ベーチェット病ぶどう膜炎の患者のぶどう膜炎のす者ので病に年代に初診したベーチェット病患者例と年代の初診患者例を比較したと年代初診患者に比年代の患者初診よにる視力不良例の図1),および1年当たりの眼発作回数(2.8±2.6回vs2.2±2.2回)がともに減少していました1).しかし,コルヒチンやシクロスポリンの内服治療を行っても眼発作をくり返す症例が2割程度は存在するため2),現在でも内因性ぶどう膜炎のなかで最も注意すべき疾患です.モノクローナル抗体製剤年のによ患のにをモノクローナル抗体によロックする治療とモノクローナル抗体製剤とよす炎患に対するモノクローナル抗体治療で抗a抗体製剤が注目されています.インフリキシマブ(レミケードR,以下レミケード)は2カ月に1回点滴する抗TNF-aモノクローナル抗体製剤で,わが国では関節リウマチ,クローン病,ベーチェット病による網膜ぶどう膜炎で保険適用を受けており,乾癬,強直性脊椎炎に対しても現在審査中です.関節リウマチでは骨破壊の抑制のみならず骨修復がみられる症例があるなど,従来の抗リウマチ薬にはない高い治療効果をもち,世界ですでに100万人以上に使用されています.(71)◆シリーズ第106回◆ツꀀツꀀ ツꀀ眼科医のための先端医療ツꀀツꀀ ツꀀ=坂本泰二山下英俊蕪城俊克(東京大学医学部附属病院眼科)ベーチェット病ぶどう膜炎に対する抗TNF-a抗体療法p<0.01p<0.0136%(94眼)32%(64眼)32%(64眼)47%(97眼)49%(101眼)27%(71眼)22%(56眼)29%(76眼)1980年代261眼19%(38眼)21%(42眼)1990年代203眼37%(96眼)49%(129眼)p<0.01p<0.01:0.1未満:0.1以上0.7未満:0.7以上有効性評価期間観察期間1.0±2.20.2±0.4平均4.0±2.2平均3.8±1.9p=0.031p=0.0315mg/kg(n=7)98765432109876543210有効性評価期間観察期間10mg/kg(n=6)眼発作回数(回/14週)眼発作回数(回/14週)図2ベーチェット病ぶどう膜炎に対するレミケードの第II相前期試験の成績治験は5mg/kg投与群と10mg/kg投与群の2群で行われた.シクロスポリンとステロイドを中止してレミケードに切り替えた前後での眼発作回数を比較した.いずれの投与量でも著明な眼発作抑制を示した.(文献3より,一部改変)図11980年代と1990年代に初診したベーチェット病ぶどう膜炎患者の視力の比較1990年代の初診患者では1980年代に比べ,初診時・最終観察時ともに矯正視力が著明に改善した.ベーチェット病の視力予後は近年改善していると考えられる.(文献1より,一部改変)———————————————————————-Page21370あたらしい眼科Vol.26,No.10,2009ベーチェット病ぶどう膜炎に対するレミケード治療ベーチェット病ぶどう膜炎に対するレミケードの治験クロに膜ぶどう膜炎の作をす患者を対にクロよロドをしレミケードをするロトールでした初にた第相前期試験でレミケードよとにに作した図2).その後,第II相後期試験,第III相試験でも同様の効果が確認され,2007年1月にわが国で世界に先駆けてベーチェット病による網膜ぶどう膜炎(従来の治療で効果不十分な症例に限る)に対してレミケード治療が承認されました.レミケードは体重当たり5mg/kgを生理食塩水250mlに溶解し,2時間かけて点滴静注します.これを,0,2,6週目,それ以降は8週毎に投与していきます.治験終了後に多くの症例で眼発作の再燃がみられたことから,眼発作を抑制し続けるためにはレミケードを長期間使用し続ける必要があります.筆者らの施設に通院中の若年男性の患者は,すでに5年間以上レミケードを使用し続けていますが,最近でもレミケードの投与間隔を延ばすと網膜ぶどう膜炎型の眼発作を起こすため,レミケード治療を継続しています4).副作用と効果不良例への対策レミケードの副作用ににるど炎どどす副作用としナーどと炎のどです対策とし前にベルクの診のたのどののクーをにとのるにレミケード前抗ドを用するとナーのたのットをしとレミケードにしと験のる病どとし診するとですチでレミケードの効例るとベーチェット病にしの効果不良例するとすのよう効果不例に対し用のレミケードの体たでしたルの用ののどの法すしるとす文献1)YoshidaA,KawashimaH,MotoyamaYetal:ComparisonofpatientswithBehcet’sdiseaseinthe1980sand1990s.Ophthalmology111:810-815,20042)湯浅武之助:眼科からみた病像の変遷.厚生省特定疾患ベーチェット班会議調査研究班平成3年度業績集,p39-40,19923)OhnoS,NakamuraS,HoriSetal:Ecacy,safety,andpharmacokineticsofmultipleadministrationofiniximabinBehcet’sdiseasewithrefractoryuveoretinitis.JRheu-matol31:1362-1368,20044)TakamotoM,KaburakiT,NumagaJetal:Long-terminiximabtreatmentforBehcet’sdisease.JpnJOphthal-mol51:239-240,2007(72)ベーチェット病ぶどう膜炎に対する抗TNF-a抗体療法」を読んで年前のに患をしをとでる法のるうとしたののでしたにのをにしたモノクローナル抗体ですで治療不でた病どモノクローナル抗体によ治療にたで期治療効果をるとでしたしモノクローナル抗体にのにすたとモノクローナル抗体製でのをの製のにしすししモノクローナル抗体をるののようのとうでん剤のモノクローナ———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.26,No.10,20091371(73)ル抗体医薬の応用力の高さのほうが重要視されています.近年はさまざまな疾患関連物質情報が網羅的に得られるようになりました.その結果,疾患原因物質がつぎつぎに同定されています.それを制御する方法として,新たな化学物質を合成するよりもモノクローナル抗体を開発したほうが,はるかに安全・確実で簡単なのです.今後も続々と新規のモノクローナル抗体医薬が現れてくるでしょう.抗TNF-a抗体は,モノクローナル抗体医薬製品のなかでも比較的初期に臨床現場で使われだしたものです.蕪城俊克先生が本文中に要領よくまとめられたように,眼科領域では,ベーチェット病治療に効果を発揮していますが,一般的にはリウマチ治療に広く用いられ,リウマチ治療を変えたといわれています.ただし,広く使われるにつれて,予想されていない副作用も現れてきました.本文中に書かれているもの以外に,2009年8月11日付でリンパ腫に罹患する確率が3倍増加する可能性があるという緊急通知がなされました.われわれ医療者は,その点にも注意して,この優れた薬magicbulletを使用する必要があります.鹿児島大学医学部眼科坂本泰二☆☆☆

新しい治療と検査シリーズ 193.前眼部OCTによる解析:濾過胞の観察

2009年10月31日 土曜日

———————————————————————- Page 1あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,200913670910-1810/09/\100/頁/JCOPY(隅角底,毛様体扁平部など)まで画像化できる.最新の機器ではスエプトソース(フーリエドメインの一種)という原理を使うことにより,きわめて短時間での撮影が可能となり,その結果として三次元の画像を得られる. 使用方法(検査法の実際のやり方)線維柱体切除術後の濾過胞を撮影する場合には,濾過胞のある部位を最大限に露出させるために,下鼻側あるいは下耳側を注視させ,圧力をかけないように上眼瞼を挙上させて撮影を行う(図1).この際に不要な圧をかけると,マッサージ効果により濾過胞の形状が変化してしまうため注意が必要である.強膜弁が画像の中心になるように検査を行うと,内部の形態がよく描出できる(図2).新しい治療と検査シリーズ(69) バックグラウンド前眼部 OCT(光干渉断層計)が登場したことにより,前眼部の微細構造を非侵襲的に取得できるようになった.前眼部 OCT は,従来の後眼部用 OCT を前眼部に応用した場合と比べて,より深い位置まで画像化できる利点がある.前房や隅角などの前眼部解析のスタンダードである超音波生体顕微鏡(UBM)1)と比較しても簡便に検査が可能というアドバンテージがある.非接触かつ高精度,さらに不透明組織と透明組織の両者の検査を行うことができるため,線維柱体切除術後早期から濾過胞の内部構造を描出することに適する2 4). 新しい検査法(原理)前眼部 OCT は低コヒーレンス光干渉という原理により,生体組織を非接触で描出できる.前眼部 OCT は 1.3 μm 光源(眼底用 OCT は 840 nm 光源)を使用するため,組織侵達度が高く,前眼部の深い部位にある不透明組織193.前眼部OCTによる解析:濾過胞の観察プレゼンテーション:川名啓介かわな眼科コメント:山本哲也岐阜大学大学院医学系研究科眼科学図 1前眼部OCTによる濾過胞の撮影法患者に下鼻側あるいは下耳側を注視させ,強膜弁と思われる部位が中心となり,さらに濾過胞の表面が測定軸と垂直になるようにする.上眼瞼をそっと挙上すると,広い部位の検査を行うことができる.図 2前眼部OCT画像左上:三次元再構築した濾過胞内部の水隙.右上:濾過胞の矢状断.濾過胞内部にマイクロシスト,網状の低輝度の部位,内部水隙,強膜弁が確認できる.前房中では虹彩根部の切除部位も明らかである.下:濾過胞の水平断.———————————————————————- Page 21368あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,2009 本方法の利点本方法の利点は,非接触(術後でも躊躇せず使用可能)かつ高解像度という点と,三次元画像化といえる.濾過胞内部の構造(内部水隙,強膜弁,マイクロシストなど)を可視化できる.内部水隙の立体的な広がりや強膜弁との関係を明らかにすることができる.さらに,三次元データを取得しているため,MRI(磁気共鳴画像)のようにいろいろな断面を作り出すことで,強膜弁や房水流出路の形状をいろいろな角度から解析することができる.濾過機能の推定や,レーザー切糸・ニードリングの必要性や,効果判定に有用である4).本方法を含めて,濾過胞を観察できる機器として,スリットランプ,UBM,前眼部 OCT,後眼部 OCT(+前眼部ユニット),共焦点顕微鏡がある.組織侵達度(深さ方向)の高い順に,UBM>前眼部 OCT>スリットランプ>後眼部 OCT(+前眼部ユニット)>共焦点顕微鏡となる.その他の特徴を表1に示した.スリットランプはおおよその内部構造の把握は可能であるが,定量性に欠ける.UBM は濾過胞を観察することができるが,熟練した検者でないと検査がむずかしく,接触式のため濾過胞を圧迫する可能性や,感染を起こす危険もある.さらに測定速度が比較的遅いために立体画像を得ることができない.後眼部 OCT(+前眼部ユニット)は前眼部 OCT よりも高精度の画像を得ることができるが,組織侵達度が低く,濾過胞の内部まで描出することはむずかしい.共焦点顕微鏡は組織レベルの解像度での検査が可能であるが,濾過胞の内部構造といった大きな構造を把握することは困難である.ツꀀツꀀツꀀツꀀ 1) Yamamoto T, Sakuma T, Kitazawa Y:An ultrasound biomicroscopicツꀀ studyツꀀ ofツꀀツꀀ lteringツꀀ blebsツꀀ afterツꀀ mitomycinツꀀ C trabeculectomy. Ophthalmology 102:1770-1776, 1995 2) Singh M, Chew PT, Friedman DS et al:Imaging of trabeculectomy blebs using anterior segment optical coherence tomography. Ophthalmology 114:47-53, 2007 3) Miura M, Kawana K, Iwasaki T et al:Three-dimensional anterior segment optical coherence tomography ofツꀀ ltering blebs after trabeculectomy. J Glaucoma 17:193-196, 2008 4) Kawana K, Kiuchi T, Yasuno Y et al:Evaluation of trabeculectomy blebs using 3-dimensional cornea and anteriorツꀀ segmentツꀀ opticalツꀀ coherenceツꀀ tomography.ツꀀ Ophthal-mology 116:848-855, 2009(70)表 1濾過胞の検査が可能な前眼部解析装置一覧機器スリットランプUBM前眼部 OCT後眼部 OCT(+前眼部ユニット)共焦点顕微鏡非接触○×○○×定量性×○○○○解像度×△○○○組織侵達×○△××三次元化××○○×操作性○×○△×UBM:超音波生体顕微鏡,OCT:光干渉断層計.一方で,研究目的を除けば,OCT が濾過胞観察に用いられる機会としては濾過機能が低下して次の処置を探るときが考えられる.たとえば,OCT で encap-sulation がどこからどこまで生じているとか,強膜フラップの下のどの位置で癒着が強いとかの情報が得られれば,beb revision 前の情報として大変に心強い.ところが,現状では,UBM と同様に,そこまで特異的に判定できることはほとんどない.今後そうした方面の進化が望まれる.川名氏は濾過胞内部構造の観察機器としての前眼部OCT の有用性について解説している.述べられているとおり,濾過胞内の微細構造,組織密度,強膜フラップや線維柱帯開口部などの詳細な観察が非侵襲的に可能である.三次元表示もできる.しかも,周術期にも非接触で観察できることは感染回避の観点からもUBM に比較して格段に有利である.こうしたことから,前眼部 OCT は濾過胞観察機器として今後とも使用されていくことは間違いない. 本方法に対するコメント

眼感染アレルギー:コンタクトレンズ汚染と角膜炎

2009年10月31日 土曜日

———————————————————————- Page 1あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,200913650910-1810/09/\100/頁/JCOPYコンタクトレンズ(CL)が普及する前,感染性角膜炎は高齢者特有の疾患であり,若年者にはまれなものであった.最近実施された感染性角膜炎サーベイランス1)によると,症例の年齢分布は明瞭な二峰性を示しており,20 代および 60 代にピークがみられた.また,20 代あるいはそれ以下の症例の約 9 割が CL に関連するものであった.CL というたった一つの要因により感染性角膜炎の発症年齢分布が一変してしまったわけである.このサーベイランスでは使用している CL の種類と起炎菌との関連についても興味深い結果が得られた.ソフトコンタクトレンズ(SCL)のなかでも頻回(2 週間など)交換型 SCL(FRSCL),あるいは従来型の SCL のようにレンズケアを必要とし,同じレンズを再装用するユーザーの感染性角膜炎の起炎菌にはグラム陰性桿菌が多いことが判明した.その多くは Pseudomonasツꀀ aerugino-sa および Serratiaツꀀ sp. の 2 菌種であるが,この 2 菌種は洗面所などの水周りを発端とする院内感染でも問題となっている環境菌である.家庭においても CL ケアを行う洗面所がこれらの菌に汚染され,手指を介して CL・CLケースあるいは多目的用剤(multi-purpose solution:MPS)に付着あるいは混入し,角膜の微細な上皮障害部分から感染が成立すると考えるのが妥当であろう. CL関連角膜感染症全国調査より日本コンタクトレンズ学会および日本眼感染症学会主導で CL 関連角膜感染症全国調査が行われた.本調査はコンタクトレンズ装用が原因と考えられる角膜感染症で入院治療をした症例を対象としたものである.平成 19年 4 月から 1 年間の中間報告2)では男性 129 例,女性104 例,合計 233 例が集積された.年齢は 9 90 歳(平均 28 歳)であった.このなかで FRSCL などレンズケアを行った後再装用をする SCL の装用者は 173 例(CLの種類が把握されている 216 例の 80.0%)と多くを占めていた.このほかにカラー CL 装用者が 11 例みられていた.CL の洗浄については毎日に加え週 4 6 回行っているものを含めても 107 例であり,レンズケアを必要とされるユーザーの数を大幅に下回っていることが確認できた.(67)眼感染アレルギーセミナー─感染症と生体防御─●連載監修=ツꀀツꀀ ツꀀ木下茂ツꀀツꀀ ツꀀ 大橋裕一22.ツꀀツꀀ ツꀀツꀀツꀀ ツꀀツꀀツꀀ ツꀀコンタクトレンズ汚染と角膜炎宇野敏彦松山赤十字病院眼科30 歳未満の感染性角膜炎のほとんどがコンタクトレンズ(CL)装用者である.CL は環境に普遍的に存在しているさまざまな微生物を眼表面にもち込む,いわば“キャリアー”として働く.また CL ケースは微生物の“保管庫”となり,ときにアカントアメーバの“えさ場”ともなりうる.図ツꀀツꀀ ツꀀ1CLケースに残ったMPS中のアカントアメーバシストMPS をスライドグラスに滴下し,無染色でそのまま観察した.シストが塊状となり多数存在していた.図ツꀀツꀀ ツꀀ2ツꀀツꀀ ツꀀ図1と同一症例のCLケースサフラニン染色を行い,細菌などの付着状況を確認した.赤く染色された部分は,細菌などの微生物による汚染があったと考えられる.———————————————————————- Page 21366あたらしい眼科Vol. 26,No. 10,2009 CL・CLケース汚染の実態25 歳のアカントアメーバ角膜炎症例の CL および CLケースについて提示したい.図1はアカントアメーバ角膜炎症例の CL ケースに残っていた MPS を観察したものである.繊維状の異物とともにアカントアメーバのシストが多数塊状となっていた.本症例の CL ケースの汚染状況を確認したものが図2である.CL を保存する部分の底に菌(バイオフィルム?)の付着が認められた.CL ケースが高度に細菌およびアカントアメーバに汚染されていたことが確認された症例である.なお,本症例が角膜炎発症時に装用していた SCL を走査電子顕微鏡にて観察したところ,感染眼のみならず非感染眼の CLも多量のアカントアメーバの付着がみられていた.先の CL 関連角膜感染症全国調査でも 17 例(10.6%)が両眼性の角膜炎で入院加療されている.これまで両眼発症のアカントアメーバ角膜炎の報告もあり3),この要因として CL および CL ケースが両眼とも高度に汚染されていることがあげられよう. 染CLによる非感染性角膜炎?図3aは角膜中央部に淡い浸潤病巣をきたした症例で(68)ある.本症例の装用 CL の所見を図3bに示す.CL の角膜側に付着していた白色沈着物からは多数の糸状真菌が検出された.しかし,本症例は CL 装用を中止することにより速やかに消炎しており,真菌による感染は成立していなかったと推測される症例である.今後の慎重な検討が必要であるが,CL 装用者の角膜炎には角膜内に起炎菌が存在する病態とともに,汚染CL に付着している細菌などの微生物による二次的に起こる非感染性の角膜浸潤も加味されているように思われる.感染病巣は小さいが角膜実質表層全体がすりガラス状に淡い浸潤をきたしているような症例に遭遇することは多い.CL による機械的,あるいは多目的用剤(MPS)による化学的上皮障害の要因ももちろん否定はできないが,CL に付着している微生物より放出される“毒素”あるいは微生物に対する免疫反応が病態を修飾している可能性が高いと考えられる.文献 1) 感染性角膜炎全国サーベイランス・スタディグループ:感染性角膜炎全国サーベイランス分離菌・患者背景・治療の現況.日眼会誌 110:961-972, 2006 2) 福田昌彦,コンタクトレンズ関連角膜感染症全国調査委員会:コンタクトレンズ関連角膜感染症の実態と疫学.日本の眼科 80:693-698, 2009 3) 石橋康久:アカントアメーバ角膜炎 37 自験例の分析.眼科 44:1233-1239, 2002☆ ☆ ☆図ツꀀツꀀ ツꀀ3a汚染CLによる非感染性角膜炎を疑った症例角膜中央部に境界不鮮明な淡い浸潤病巣を認めた.角膜浮腫はなく,前房内の炎症も軽微であった.図ツꀀツꀀ ツꀀ3bツꀀツꀀ ツꀀ装用していたCLの概観CL の角膜側に白色の沈着物を認めた.これを一部擦過後検鏡したところ,多数の糸状菌が確認された.