0910-1810/10/\100/頁/JCOPYわせるほうが良い.一旦処方してもその症状の改善により,処方したプリズムが短期間のうちに必要でなくなったり,症状の変化はないが抑制がかかり複視を自覚しなくなったり,あるいは逆に症状の悪化により,プリズム度数を強めなくてはいけない場合もあることを処方時に十分説明する必要がある.II適応症例プリズム療法は,疾患により適応が振り分けられるわけではなく,プリズムを装用することにより,複視が軽減あるいは消失し,自覚的に満足度が高くなる人すべてが対象となる.そのなかでも適応しやすいタイプとしては偏位量が小さく,いろいろなむき眼位で偏位量がほぼ一定で,回旋偏位が小さい症例である.臨床的に最も適応しやすいのは,経験的には高齢者に多くみられるわずかな偏位の核上性上下斜視で,つぎに外転神経麻痺や上斜筋麻痺などの症例が多い.眼位が変動したり,回旋偏位が大きい症例や頭位異常をとることで,両眼単一視することが可能となる場合にはプリズムは適応しにくい.しかし,理論的に適応しにくいと考えられる症例でも,複視や頭位異常の辛さが軽減しないか試みることは価値があると思われる.回旋偏位がある程度大きくても垂直や水平の偏位を矯正することにより複視が軽減できる例や,頭位異常で両眼単一視できる症例でも,プリズムで頭位異常を軽減することで首の疲れが楽になり,プはじめに物が二重に見えるという訴えは臨床的によく経験する.そこでまず,その訴えが両眼性のものか,片眼性のものかをしっかり判定してつぎへ進まなければならない.意外に単なる乱視などの未矯正や不十分な矯正が原因している場合もある.白内障は軽度の濁りであっても二重視を訴える人は多い.光学的な原因で起こる単眼複視では,ピンホール試験で複視は消失することが多いので確認が必要である.実際,臨床では片眼性の複視と両眼性の複視が合併している症例もあり,対応がむずかしいこともある.そこで両眼性の複視と判定できた場合はその偏位の状態を詳しく検査して,複視を軽減するため,おもに核上性上下斜視や眼筋麻痺などにプリズムを試みることが多い.術後内斜視による複視や輻湊不全にもプリズムが適応になる場合もある.Iプリズム処方の基本的な考え方プリズム療法は複視の辛さを軽減するための対症療法として行っている.偏位量が安定して,むき眼位による変化が少ない症例が最も適応となりやすい.眼位が変化する症例に処方するのはなかなかむずかしい.処方に際して大切なことは患者本人がそのプリズムを入れることにより,快適な両眼単一視の領域を正面視付近の一部分でも獲得できて,楽に感じるかどうかであり,本人の自覚が一番重要となる.複視を解消するためのプリズムを装用してもその良さがはっきりしない場合,処方は見合(21)881*KeikoNakamura:大阪医科大学眼科学教室〔別刷請求先〕中村桂子:〒569-8686高槻市大学町2-7大阪医科大学眼科学教室特集●物が二重に見えるあたらしい眼科27(7):881.887,2010複視のプリズム療法TreatmentofPrismsforDiplopia中村桂子*882あたらしい眼科Vol.27,No.7,2010(22)最も大切な検査はカバーテストで,特殊な機器がない施設でも十分検査は可能と思われる.1.赤フィルター試験診察室で両眼性複視の診断を行うときの簡便な方法で,赤フィルターを左右眼のどちらかの眼前に交互に置いて検査する.水平の複視なのか,あるいは上下の複視なのか確認しやすく,カバーテストで動きが確認しにくいような小さな上下偏位も検出できる.2.カバーテスト最も中心となる検査法で,特殊な機器がなくてもカバリズムが適応となる場合もある.筆者らが過去に処方した症例の原因疾患を表1に示す.対象となった疾患はかなり幅広い1,2).実際に処方数の多い3疾患で処方したプリズム度数や,処方後,どのくらいの期間でプリズムを外すことができたかについて調べた結果を表2に示す.高齢者に多くみられる核上性上下斜視は半年後でも改善がみられる数は少なく,2割を下回っていた.外転神経麻痺や上斜筋麻痺などは装用後3カ月で約3.4割の症例がプリズムを外すことができ,装用後6カ月で約半数の症例がプリズムを外すことができた.臨床的には偏位量やその予後に合わせて,短期間の装用に向いている膜プリズムにするか,長期間の装用を考えて組み込み式のプリズムにするかなど,臨機応変に対応する必要があると思われる.IIIプリズムを処方する前の検査法プリズムを処方する前の基本的な検査内容をあげてみる.症例によって必要な検査は異なるが,そのなかでも表1原因疾患の内訳外転神経麻痺Skewdeviation滑車神経麻痺後天性斜視輻湊不全網膜.離手術後甲状腺眼症眼窩底骨折斜視手術後38名37名32名17名9名8名7名4名4名MLF症候群4名動眼神経麻痺3名重症筋無力症3名Fisher症候群2名その他の麻痺性斜視2名開散麻痺1名中脳水道症候群1名原因不明8名合計180名MLF:mediallongitudinalfasciculus(内側縦束).(文献2より)表23疾患の眼位が改善してプリズムを外した割合疾患名症例数処方度数(平均Δ)プリズムを外せた割合3カ月後6カ月後核上性上下斜視372.12Δ(平均4.8Δ)16.2%18.9%外転神経麻痺382.40Δ(平均11.9Δ)39.5%44.7%滑車神経麻痺322.20Δ(平均6.2Δ)34.4%56.3%(文献2より改変)図15方向カバーテストの測定カバーテスト時,固視目標は遠見5mのところに,目の高さに置いた調節視標(たとえば:十字のマークなど)を使い,正面,上方視,下方視,右方視,左方視を患者の顔の向きを変えながら測定する.測定時は視線がプリズムバーから外れないように,側方視時のプリズムバーの当て方に注意.シングルプリズムでも可能.プリズムバーでは1つのプリズムの幅が狭いので視線が必ずその位置を通っているかどうか気をつけながらカバーをする.(23)あたらしい眼科Vol.27,No.7,20108836.大型弱視鏡による9方向眼位(回旋偏位の測定)上斜筋麻痺などの回旋偏位を定量的に測定できるので有用である.しかし回旋偏位は臨床的には自覚的な検査でしか測定できないので,両眼視時に同時視ができない症例には検査を行うことができない.IVプリズム対応の3つの選択肢プリズムを処方する場合,以下のようにいくつかの方法がある.症状により適するプリズムの選択が必要だが,眼筋麻痺など病状が変化する可能性が高い疾患には膜プリズムの処方が一般的である.1.眼鏡レンズにプリズムを組み込む2.Fresnel膜プリズムを眼鏡レンズに貼る3.眼鏡レンズを偏心させてプリズム効果を出す組み込み式プリズムと膜プリズムの利点と欠点プリズムの種類としては,組み込みレンズとFresnel膜プリズムとに大きく分けられる.2種類のプリズムにはそれぞれ特徴があるので適応を見きわめて対応する必ーテストで眼の見直しの動きを見るだけで検査は十分にできる.カバーテストのテクニックを身につければ,わずかな偏位でも検出できる最も精度の高い検査といえる.偏位が遠見と近見で違い,いろいろなむき眼位によっても偏位量が変化することが多いので,検査にあたっては正面だけではなく,いろいろなむき眼位での測定が必要で,遠見での上下,左右の5方向でのカバーテストを健眼固視で行う(図1).麻痺性の偏位の場合は固視眼を決めて偏位量を測定しないと麻痺眼固視となった場合に二次偏位を測定し,偏位量を大きく検出してしまうことがあるので注意が必要である.3.Hessコージメータ眼球運動障害の症例での動きのパターンを確認するのに役立ち,麻痺眼,麻痺筋の判定に有用である.しかし発症して間もない例は判定しやすいが,発症から長く経過している症例は感覚適応しており,本来の純粋な筋肉のバランスを表さないことがあるのでその場合は参考程度にする.この検査は両眼性の麻痺例には適さない検査である.4.Bielschowsky頭部傾斜試験上下偏位がある場合に行う.回旋偏位はプリズム対応がむずかしい場合が多いため,頭を傾けることで複視が解消できないかなど確認する.遠見にて検査を行うほうが偏位を検出しやすい.また定性だけでなく,プリズムを用いて定量も行うと経過観察するときに役立つ.5.DiplopiafieldGoldmann視野計を用いて二重に見える範囲を定量的に測定する.患者の自覚的な複視の領域が記録できるので非常に有用であり,経過観察に役立つ.しかし,近見での検査なので患者自身の複視の訴えとは少し異なる結果となることもある.重要なこととして問題にしなくてはいけないのは複視領域の広さだけではなく,固視している中心付近や日常生活に重要な下方視の領域にどの程度複視が影響しているかを知ることである.図3Fresnel膜プリズムの貼付例図2組み込み式プリズム6Δをbaseoutに組み込んだ眼鏡.この例では基底が耳側で8mmと厚くなり,重くなっている.884あたらしい眼科Vol.27,No.7,2010(24)い.屈折異常が軽度の場合は有効なプリズム作用を期待できない.強度の屈折異常のある場合に故意にレンズの光学中心を本人の瞳孔間距離より広くしたり,狭くしたりすることでのプリズム効果を利用する.Prenticeの公式(表3)により,レンズ度数と偏心量を掛けるとそのプリズム効果の量が計算できる3).しかし,屈折異常が軽度の場合は本人の瞳孔間距離とレンズの光学中心からのずれが大きいとレンズの収差が大きくなり,見にくくなるのであまり,実用的ではない.Vプリズム度数と基底の決定,貼り方プリズムカバーテストなどの検査結果を基に,日常生活において最も重要である第一眼位から下方視の複視が消失するプリズム度数を予測する.眼筋麻痺の症例に膜プリズムを貼る場合は訓練効果を期待して優位眼に貼るという考え方もある.しかし,筆者らは患者の二重にみえるという辛さを少しでも解消する目的でプリズムは原則として非優位眼(麻痺眼,視力の悪いほうの眼)に貼っている.プリズムを優位眼に貼ると膜プリズムにより視力が低下し,不快感があるが,非優位眼に貼るとあまり気にならずに日常生活を送ることができることが多い.しかし麻痺眼が優位眼という場合もあるので,装用テストで自覚的にどちらの眼に貼るほうがよいかを必ず確認する.水平と垂直の偏位が合併している場合は左右の眼に水平方向と垂直方向に分けて貼る場合もあるが,通常は片眼に水平と垂直のプリズムを合成した斜めの角度で貼ることが多い.プリズムの合成は方眼紙を利用したり,換算表を利用すれば簡単に求めることができる4).しかし,実際にプリズム角度を決定するときには,プリズムカバーテストで測定した正面視と下方視の偏位を重視しながら,トライアルのプリズムを装用して自覚を聞き,最適な度数と基底を微調整することが大切である.臨床的には膜プリズムトライアルセットが非常に有用で検査時には欠かせない(図4).トライアルセットには大きな度数と小さな度数の2セットあり,どちらも必要である.検眼枠は角度が360°回転できるタイプのものを使用する.まず検眼枠にトライアルのプリズムを入れて,複視の解消する度数と角度を決め,その後本人の眼要がある.組み込み式プリズムは通常の眼鏡レンズと同じ透明で,光学的に視力低下はきたさないが,眼鏡レンズとして作製するため固定のプリズム度数となり,症状の変化に柔軟に対応することができない.また,基底方向にかなり厚みがあるため,軽度の偏位量の症例に処方するのが原則で,片眼に通常は5Δが限度となる.それ以上の度数の場合は特別注文での作製となる.プリズム度数が大きい場合には外見上も厚みが目立ち(図2),重くなるため装用感も悪い.一般的には偏位量が少なく,安定している場合は組み込み式のプリズムがよく,偏位量が大きい場合や,変動がある場合は取り外し可能な膜プリズムが適応となる(図3).膜プリズムは組み込み式プリズムに比べて安価で,レンズの厚さも薄くて軽いという利点がある.度数範囲も1.40Δまであり,大きな偏位にも対応が可能で,取り外しが手軽にできるために,症状の変化に対応して度数を変えることもできる.また,どのような形にも自由にカットできるので,軽度の外転神経麻痺などで遠見では複視があり,近見では複視がない症例には上方(遠用部)のみに貼ることも可能である.しかし,膜プリズムは度数が強くなるとプリズムの線が目立ち,視力も低下し色収差も生じるという欠点もある.耐久性の面では組み込み式レンズには劣り,長期間装用すると黄変してくるので交換が必要となる.レンズの偏心によるプリズム効果を利用する場合この方法を利用できるのは必要なプリズム度数が軽度で,本人の屈折異常がある程度以上強くなければならな表3Prenticeの公式Prenticeの公式:P=h・D/10P(単位Δ):プリズム度数h(単位mm):偏心量D(単位D):レンズ度数例:両眼.7.0Dの強度近視で輻湊不全があり,デスクワーク時に複視がある症例の場合近用眼鏡の光学中心の偏心によってbaseinのプリズム効果を期待したいとき,レンズの光学中心を耳側に3mmずらすとP=7×3/10=2.1両眼では2.1×2=4.2Δのプリズム効果を出すことができる.(25)あたらしい眼科Vol.27,No.7,2010885やすく,埃もつきにくい.膜プリズムの場合は外見的にプリズムの線が目立つので,抵抗がある場合は色つきの眼鏡であればプリズムの線が目立ちにくい.フレームの形も図7のようにレンズのカーブ面の違いで,膜プリズムが貼りにくい場合もあるので,新たに膜プリズム貼付用に眼鏡を購入する場合は注意が必要である.組み込み式のプリズムを作製する場合はフレームの形があまり大きいと周辺の収差が強く,眼鏡本体が重くなるので,できるだけ小さめのフレームが収差も少なく違和感が少ない.フレームの天地サイズの狭い若者向きのフレームでも水平のレンズが横長になる場合は周辺の違和感が生じやすくなるので注意が必要となる.VI具体例1.外転神経麻痺外転神経麻痺の場合は麻痺眼の外転時に内斜偏位量がかなり大きくなり,反対方向の外転時は偏位量が減るので,麻痺の程度が軽い場合には顔の向きを麻痺眼のほうに回転させるだけで複視を解消することもできる.しかし,麻痺の程度が強くなったり,軽度であっても頭位異常による疲労がある場合にはプリズム処方の適応とな鏡に実際の膜プリズムを貼りつけ装用テストを行い,最終の装用感を確認して処方する(図5,6).膜プリズムは基本的には眼鏡レンズの内側(眼に近い面)に貼るが,強度の屈折異常があり,レンズのカーブが大きい場合はフラットに近い面に貼ることもある.内面に貼るメリットとしては,もし.がれた場合に気づき図4Fresnel膜プリズムのトライアルセットFresnel膜検眼セット4000(2.10Δ)とFresnel膜検眼セット5000(12.40Δ)の2セットがある.検眼枠はレンズ受けの角度が360°回転できるものが必要である.図5トライアルレンズでチェック図7フレームの種類によるレンズのカーブ面の違いカーブの強いフレームには膜プリズムが貼りにくくプリズム収差も感じやすいので,これから眼鏡を購入する場合には注意が必要である.図6本人の眼鏡に実際の膜プリズムを貼る図8上半分だけに膜プリズムを貼付886あたらしい眼科Vol.27,No.7,2010(26)る頭位をとっていた.水平3方向カバーテストで偏位の傾向は顕著に示されており(図9),Hessコージメータでも右の外転障害が明らかである(図10).DiplopiafieldはGoldmann視野計にて測定しているため,近見での測定となり,遠見で複視が強くなる外転神経麻痺では,本人の複視の状態を十分に評価することはできないる.また,軽度の場合は近見では複視はなく,遠見でのみ複視を訴える症例も多いので,遠見用にレンズの上部だけ膜プリズムを貼ることもある(図8).経過観察中に症状の悪化や改善による偏位量の変動が多いので,その症状に合わせて膜プリズムは度数を容易に変更することができる利点がある.以下症例を紹介する.右外転神経麻痺の77歳の女性.甲状腺癌の手術後,複視が出現し,眼科受診.視力,眼位は表4のとおりである.右の外転が悪く,右方視で複視が強くなり,少し右へfaceturnをして複視を解消す表4外転神経麻痺例の視力とカバーテストの結果症例1:77歳,女性RV=0.35(1.0×sph+2.75D(cyl.1.25DAx90°)LV=0.2(1.2×sph+3.25D(cyl.2.5DAx100°)APCT(c.c.)(L-FIX)30cm6ΔE¢RLGLLG5m45ΔET20ΔET4ΔERLG:右方視(rightlateralgaze).LLG:左方視(leftlateralgaze).図9外転神経麻痺例の3方向の眼位写真図10外転神経麻痺例のHessコージメータの結果図12右外転神経麻痺例に膜プリズム貼付右眼に膜プリズム25Δ貼付.正面からは膜プリズムはあまり目立たない.図11外転神経麻痺例のdiplopiafieldの結果図13膜プリズム25Δbasein貼付側方から見るとプリズムが目立つ.あたらしい眼科Vol.27,No.7,2010887が,右方視で複視があることがわかった(図11).プリズム度数は遠見時,正面で20ΔETであるが,側方視での見え方など確認しながら装用テストを行うと25Δbaseoutがベストとなり麻痺眼である右眼に膜プリズムを貼りつけた(図12).これまでは歩くのが怖かったが,これで歩きやすくなりテレビも見られるようになったと喜ばれた.膜プリズムは側方から見ると白っぽく見えて,プリズムの線が目立つ(図13)が,この症例では複視が解消できるのならそのくらいはまったく問題ないとの感想だった.2.輻湊不全輻湊不全はその症状により輻湊訓練や手術,プリズム眼鏡など治療法はさまざまで,プリズムによる治療が第一選択となる疾患ではない.その点,眼球運動障害のプリズム処方と異なり,慎重な対応が必要となる.複視を解消するためにプリズムを処方する場合は近見の偏位量をすべて矯正するのではなく,実際に処方するのは各自の融像力との関係から偏位量より小さなプリズム度数で複視が解消される例がほとんどで,偏位量の半分以下のプリズム度数で満足が得られている.プリズムを装用することにより,本来もっている輻湊力が働きやすい条件にして融像を助けていると思われる.プリズムの種類は眼鏡に組み込むタイプのプリズムが一般的で,両眼等量に分けて処方する.実際にはプリズムの基底は内方で片眼に各々3Δ前後の処方例が多い.試験的に膜プリズムを用いて,安定すれば組み込み式のプリズムに移行する場合もある.その場合には膜プリズムを片眼に貼ったり,両眼に貼ったり,本人の自覚を確認しながら臨機応変に対応できる.おわりに複視に対するプリズム療法は対症療法であるが,複視で悩む患者にとって,満足度の高いものである.治療中は症状の変化に対応しやすい膜プリズムが用いやすく,症状に合わせて度数を変更することも可能である.偏位量が軽度で,症状が固定している場合は組み込み式プリズムへと移行するなどの配慮も必要である.臨床的には適応範囲をあまり限定することなく,複視で悩む症例に試みる価値があると思われる.文献1)清水みはる,菅澤淳,中村桂子ほか:成人の複視に対するフレネル膜プリズムの処方.眼臨96:420-423,20022)筒井亜由美,中村桂子,澤ふみ子:成人の複視に対するフレネル膜プリズムの装用状況.眼臨紀1:233-239,20083)澤ふみ子:プリズム眼鏡のこんなときどうしよう?眼鏡調整の達人─困ったときに役立つ25事例.メディカ出版,p121-135,20104)濱村美恵子:麻痺性斜視に対するプリズム療法.眼臨紀3:43-51,2008(27)