———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.3,20083470910-1810/08/\100/頁/JCLS火曜日は8時から永本敏之准教授の白内障カンファレンスがあります.『白内障手術』のテキストを使って読んでいきながら,永本先生が手術のポイントをレクチャーしてくださいます.突然質問が飛んでくるため毎回緊張しますが,手術の手順のほかに理論も理解でき,そこで覚えたことを月3回行われる金曜日の夜のウェットラボで練習して身につけていきます.ウェットラボでは豚眼を使い,白内障班の先生方が手取り足取り(永本先生は横からフックをいれたり,手の動きを細かく修正しな(73)杏林大学医学部眼科学教室では,現在6名の後期研修医が働いています.杏林大学では眼科はアイセンターとして各専門分野のほか,ロービジョンケアも行っており,各専門の先生方の下,幅広い充実した内容の研修生活を送っています.今回は忙しいながらも楽しい私たち後期研修医の日々をご紹介させていただきます.病棟診察一日の初めはまず病棟患者の診察から始まります.基本的に術者の先生と後期研修医の2人チームで病棟業務を担当しています.予定入院手術の方が1週間に30数人,網膜離などの緊急入院が1日2~3人(多い日は7人ということも!)あり,約40床ある眼科病棟は常に満床状態です.外来が8時半から始まるので,術者の先生の診察も朝早くからあります.それより早く視力と眼圧を測って診察しなくてはと焦りつつ毎日頑張って早起きしています.ぎりぎりになってしまう日も多々ありますが….日中は手術に入っているか,外来業務でほとんど病棟に行けないため,入院患者の検査はORT(視能訓練士)に視力・眼圧・散瞳・OCT(光干渉断層計)・写真・Aモードなどをお願いして,空き時間や夕方に診察,手術の説明をしています.毎日夕方に網膜硝子体回診があり,網膜硝子体班の先生方と網膜離など緊急入院の患者について翌日の手術の方針を相談して決定しています.やっと一段落すると,残るはパソコン入力と書類の山….手術病棟の診察が終わり8時半になると外来が動き出します.それぞれ日によって手術の助手,8診(外来予診室),その他(外勤,陪席など)と分担して業務をこなしていきます.手術は外来の患者も,入院の患者もほとんどが後期臨床研修医日●シリーズ④▲筆者が8診予診室でアナムネ中———————————————————————-Page2348あたらしい眼科Vol.25,No.3,2008(74)係です.初診のアナムネや症状に変化がある予約外の患者の主訴を聞いて必要な検査をオーダーしたり,Bモード,OCT,Schirmerなどの検査を行ったり,抜糸,点滴,手術前の検査オーダーや,次週の手術のパソコン入力,他科コンサルト,クレーム処理,日中救急車搬送の患者の診察と仕事内容は多岐にわたっています.お昼の時間もなかなかとれずあっという間に午後になってることが多いのですが,同期のみんなが手助けをしにきてくれるので,とても助かります.持つべきものは頼れる仲間だといつも感謝しています.アナムネをとっていて何の疾患か気になったときは診察室を覗いて,上級医の先生に教えていただいたり,珍しい疾患の患者がいらっしゃると一緒に診察させていただいたりと,非常に勉強になっています.当直16時半からは当直の時間帯です.2人当直なので上の先生と夕飯を何にしようかと悩んでいるとさっそくPHSが鳴り響きます.多摩地域では夜間救急の眼科がほとんどないため,東京の西の端から,時には埼玉からも多くの患者がいらっしゃいます.結膜炎,打撲,飛蚊症,コンタクトレンズトラブル,異物などに加え,ぶどう膜炎発作,緑内障発作や眼球破裂などさまざまな救急疾患を経験できるので,今では何が来ても怖くない.というのは言い過ぎですが,症例によって見なくてはいけないポイントや,応急処置などは身についてきたのを実感しています.おわりに大変忙しい毎日ですが,外来も病棟も多くのコメディカルの方に協力していただきながら6人が一致団結して頑張っています.症例も多く,他の大学からフェローとして勉強に来られる先生も多くいらっしゃいます,専門も多岐にわたっており後期研修医として勉強するには非常によい環境だと思います.ぜひ私たちの仲間になりませんか!!がらフットスイッチも操られて本当に手取り足取りです)教えてくださるので段々上達していくような気がするのですが,いざ本当の患者になると,やっぱり緊張してしまいぜんぜん思ったとおりにはうまくいかず,毎回落ち込んでいます.水曜日の医局会のあとは術前カンファレンスです.次週の手術予定の症例で方針を検討する必要のあるものや,その週緊急入院してきた珍しい症例について発表,検討します.意見が白熱して時間が延長してしまうこともあります.木曜日の朝は8時から抄読会や,FA(フルオレセイン蛍光造影)の読み方について症例を提示しながら細かく講義していただくFAカンファレンス,そしてぶどう膜炎や加齢黄斑変性症を中心に各専門の先生がテーマに沿って講義してくださる臨床カンファレンスなどが隔週で行われています.回診金曜日の朝は7:45から教授回診,月曜日は夕方から准教授回診があります.上申のときはカルテを見てはいけないので,診察室に入る前に必死で視力・眼圧・術式・術中所見などを覚えるのですが,慌しく順番が回ってきて,次というときに患者がいない!などドタバタしているため,診察室に入っていざ上申するときに頭が真っ白になってしまったり,言い間違えをしてしまったり….外来週2回は朝から8診という名の外来予診室担当兼雑用プロフィール夕子(にのみやゆうこ)平成16年杏林大学医学部卒業,同病院にて初期臨床研修,平成18年4月より杏林大学医学部眼科学教室後期研修医.▲教授の手術は機械出しでも緊張します———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.3,2008349(75)医からのメッセージ「oureapwhatyousow」眼科の知識を学ぶためには多くのハードルがあります.まず,所見を観察できるまでに要する長い時間.5年の経験をもってしても正しく評価することがむずかしい眼底所見もあります.また,恐らく眼科ほどハイテク技術を早く取り込む専門分野はなく,さまざまな機械を操作できるようになるにも相当な時間がかかります.さらには(杏林大学病院では救急外来も充実していることから)平日,週末,夜中,年末年始を問わずつぎからつぎに来院する患者様!眼科の研修は大変だという評判がたつのも無理がありません.そこで皆さんに「youreapwhatyousow」という英語の諺を紹介したいと思います.自分のやったことだけが,結果として自分に還ってくるという意味です.逆に言えばやらなければ自分が得るものはないということにもなるでしょう.聖書の「人は自分が蒔いたものを刈り取ることになる」という一節からきました.研修医期間については,この諺がぴったりあてはまると思います.たくさんの症例を診て,経験する.ハードな研修プログラムほど多くの勉強ができて,将来の仕事に大きく役立ちます.教科書から学ぶ眼科学よりも,目の前で実例を診るほうがはるかにインパクトがあり,身につきます.その土台のうえに,眼科医としての人生が広がるのです.したがって,今の大変さは,のちのち絶対に役立ちます.だから頑張ってください.最後に自分の経験から申し上げると,後で振り返ったときには研修医時代が一番楽しかったと思います.研修医の仲間と一緒に助け合い,非常に忙しい時期を乗り越えたという実感をもつことができ,人生における自分の誇りとして残ることは間違いありません.杏林大学医学部眼科・准教授岡田アナベルあやめ眼科領域に関する症候群のすべてを収録したわが国で初の辞典の増補改訂版!〒113-0033東京都文京区本郷2-39-5片岡ビル5F振替00100-5-69315電話(03)3811-0544メディカル葵出版株式会社A5判美装・堅牢総360頁収録項目数:509症候群定価6,930円(本体6,600円+税)眼科症候群辞典<増補改訂版>内田幸男(東京女子医科大学名誉教授)【監修】堀貞夫(東京女子医科大学教授・眼科)本書は眼科に関連した症候群の,単なる眼症状の羅列ではなく,疾患自体の概要や全身症状について簡潔にのべてあり,また一部には原因,治療,予後などの解説が加えられている.比較的珍しい名前の症候群や疾患のみならず,著名な疾患の場合でも,その概要や眼症状などを知ろうとして文献や教科書を探索すると,意外に手間のかかるものである.あらたに追補したのは95項目で,Medlineや医学中央雑誌から拾いあげた.執筆に当たっては,眼科系の雑誌や教科書とともに,内科系の症候群辞典も参考にさせていただいた.本書が第1版発行の時と同じように,多くの眼科医に携えられることを期待する.(改訂版への序文より)1.眼科領域で扱われている症候群をアルファベット順にすべて収録(総509症候群).2.各症候群の「眼所見」については,重点的に解説.3.他科の実地医家にも十分役立つよう歴史・由来・全身症状・治療法など,広範な解説.4.各症候群に関する最新の,入手可能な文献をも収載.■本書の特色■☆☆☆