●連載◯310監修=稗田牧神谷和孝310.ICLサイズの多機種による決定法五十嵐章史代官山アイクリニックICLサイズ計算式は前眼部光干渉断層計によるものが主流となっており,計算式の改良により予想Cvaultのほか,術後前房深度,隅角も解析可能になっている.また,近年主流となっている垂直固定用の式もアップデートされている.●はじめに後房型有水晶体眼内レンズのCICL(implantableCcolla-merClens,STAAR社)はCcentral.ow技術(ICLCKS-AquaPORT)の登場により,国内の屈折矯正手術のゴールデンスタンダードとなっている.安全性が高いCICLであるが,術後合併症をなくすには最適なレンズサイズを選択することが重要である.近年新たなレンズサイズ計算式が続々と登場し,実用化に至っている.C●前眼部解析装置またはマニュアル測定によるWTWを用いた式STAAR社が提供するサイズ計算式はCwhitetowhite(WTW)と前房深度(anteriorCchamberdepth:ACD)から,適切なレンズサイズを推測する式である.しかし,WTWはもともと不明瞭な指標であり,測定機器によって測定値に差があることもわかっており,機器間の互換性に問題がある.STAAR社の式はもともとCOrb-scan(BauschC&Lomb社)で測定したCWTWを採用しているが,すでにこの機器は国内で販売されていないため,ほかの測定機器で代用しなければいけない.筆者が過去にCWTWを種々の検査機器とマニュアル法であるカリパー(Castroviejo型カリパーCHS-2810,はんだや)を用いて同一健常眼のCWTWを測定した結果1)では,Orbscan-2のCWTW値に対して,TMS-4(トーメーコーポレーション)は約C0.3mm,IOLmaster700(CarlZeiss社)は約C0.6Cmm有意に長く計測される傾向にあることがわかっている.現状ではこれらの誤差を考慮してOrbscan測定値に近づけるように他機種の値を変換しなければいけないが,機種により再現性が不良なものもあり,注意が必要である.C●超音波生体顕微鏡を用いたサイズ計算式ICLはCsulcusCtosulcus(STS)に固定するレンズであり,超音波生体顕微鏡(ultrasoundbiomicroscopy:UBM)は唯一直接CSTSを測定できる機器であることか(67)C0910-1810/26/\100/頁/JCOPYら,サイズ計算式の指標としては理想と思われる.過去に小島らはCVuMax-II(Sonomed社)を用いてサイズ計算式であるCK式を考案した2).K式で用いられたパラメータはCACD,STS,STSL(STSと水晶体前面の膨隆量)の三つで,この式を用いた平均CvaultはC0.64±0.25Cmm,0.25.0.75Cmm範囲にC74.1%が入ったとしている.ただし,一般的にCUBMによるサイズ式は測定の再現性に課題(検者間差・解釈のバラつき)があり,患者にとっても侵襲が高く,検査時間が長いことが欠点であり,現状ではサイズに迷う例に対する補助的な役割となることが多い.C●前眼部OCTを用いたサイズ計算式光干渉断層計(opticalCcoherencetomography:OCT)は非接触かつ短時間に再現性の高い高精度な前眼部構造を測定できるため,現在CICLサイズ決定の主流となっている.とくに国内では世界に先駆けてCNK式,KS式といった計算式が発表され,各式は日々改訂を繰り返し精度の高いものになっている.これらの式はすでに前眼部COCTのCCASIA2(トーメーコーポレーション)に搭載済み(図1)であり,国内ユーザーにとっては必須の検査機器となっている.また,ANTERION(HeidelbergEngineering社)によるサイズ計算式を秦らが開発し,臨床応用可能となっている.C1.NK式NK式は強膜岬間距離(anteriorCchamberwidth:ACW)とCcrystallineClensrise(CLR)をメルクマールとして,最適なレンズサイズを算出する計算式で,Naka-muraが報告したオリジナル式3)から改良が加わり,最新はCVer.3式4)となっている.NK式は開発当初から横情報のCACWに加え縦情報のCCLRが採用され,最適なレンズサイズを算出する式であったが,予測Cvaultを算出する式でなかったため,当初は選択するレンズサイズを変更させた時に予測Cvaultが大きく変動する欠点があった.その後CNK3式になり,その点は改善され,現在あたらしい眼科Vol.43,No.3,2026295垂直固定用の式も開発されている.C2.KS式KS式はCangletoangle(ATA)をメルクマールとして予測Cvaultを算出する計算式で,2019年に筆者が考案したオリジナル式5)から改良が加わり,現在はCVer.5となっている.当初は単純にCATAのみから術後Cvaultを予測した式であったが,その後CNK式で採用されているCLRを加え,水平・垂直固定式を別に作成した.現在の最新CVer.5はCATAの描出が向上し,各サイズ別に水平・垂直固定用の計C8式を作成することで,任意のサイズ・固定位置に対して精度の高い予測Cvaultを算出可能としている.C3.術後の予測ACD,隅角最新のCCASIA2には予測Cvaultのほか,術後の予測ACD(角膜内皮.ICL前面)やCtrabecular-irisCangle(TIA)500が算出可能となっている(図1).それぞれの予測値のカットオフ値はC2.0mm,15.2°とされており,最低でもその値を超えるようなサイズを選択すべきとしている.C4.ANTERIONを用いたICLサイズ計算式前眼部COCTは機器間による測定値の互換性に課題があるとされている.過去の報告6)でもCCASIA2とANTERIONでは主要なメルクマークとなるCATAやCLRに差がみられる傾向があり,当然これまでの計算式をそのまま導入すると誤差が生じるため,別の式を作成する必要がある.その問題に対して秦らは,ANTERIONC296あたらしい眼科Vol.43,No.3,2026図1CASIA2におけるICLサイズ選択画面最新のソフトではCNK式,KS式の最新CVerおよび水平(H),垂直(V)式を任意に選択することが可能となっている(Ca).また,水平固定のみになるが予想CACD,TIA500も算出可能で,総合的な術後前房形状の予測からサイズ選択を行うことができる(Cb).Cbの測定値を用いたCICLサイズ式を構築し良好な結果を得たと報告6)している.垂直固定用の式も今後登場予定となっており,機器内にこれら式が標準装備されると臨床的には魅力的な機器となりえる.C●おわりにICLサイズ計算式は前眼部COCTが主流となっており,今後CAIを導入した新たな式の発表も控え,より普及が見込まれている.文献1)五十嵐章史:ICLのサイズ選択.あたらしい眼科C32:C75-76,C20152)KojimaCT,CYokoyamaCS,CItoCMCetal:OptimizationCofCanCimplantableCcollamerClensCsizingCmethodCusingChigh-fre-quencyultrasoundbiomicroscopy.AmJOphthalmolC153:C632-637,C20123)NakamuraT,IsogaiN,KojimaTetal:Implantablecolla-merClensCsizingCmethodCbasedConCswept-sourceCanteriorCsegmentopticalcoherencetomography.AmJOphthalmol187:99-107,C20184)NakamuraCT,CNishidaCT,CIsogaiCNCetal:EvaluationCofCimplantableCcollamerClensCsizingCdevelopedCbyCreviewingCtheChorizontalCcompression-vaultCcoe.cient.CJCCataractCRefractSurgC49:525-530,C20235)IgarashiA,ShimizuK,KatoSetal:PredictabilityofthevaultCafterCposteriorCchamberCphakicCintraocularClensCimplantationCusingCanteriorCsegmentCopticalCcoherenceCtomography.CJCataractRefractSurg45:1099-1104,C20196)YamashitaK,KobayashiM,Igarashietal:EnhancedICLsizingCaccuracyCusingCadvancedCopticalCcoherenceCtomog-raphy-basedCpredictiveCformula.CAmCJCOphthalmolC268:C86-93,C2024(68)