特集●OCTを使いこなす2016あたらしい眼科33(2):223~228,2016特集●OCTを使いこなす2016あたらしい眼科33(2):223~228,2016脈絡膜OCTの新しい評価OCTandChoroid黒岩宣宏*園田祥三*はじめに光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)の登場は,眼科における歴史的変革の一つといえる.2006年,spectral-domainOCT(SD-OCT)が登場したことで,OCTの高速化と高解像度化がさらに進み,組織学的な構造を非侵襲的に詳細に観察することが可能となった.これにより,さまざまな病態の解明が進み,また疾患の状態を定量的・定性的に評価できるようになったという点でも眼科診療における大きな転換点となった.脈絡膜は,眼球血流全体の80~90%を占めており,脈絡膜の視機能へ及ぼす影響を無視することはできない.また,脈絡膜は,網膜色素上皮(retinalpigmentepithelium:RPE)細胞や網膜の構造や機能を保つために重要な役割を担っており,さまざまな網膜疾患と重要な関係があることも解明されてきている.これまで,脈絡膜の評価にはインドシアニングリーン蛍光眼底造影検査(indocyaninegreenangiography:IA)が用いられることが多かったが,IAには侵襲的な検査であることや,厚みのある三次元構造の脈絡膜を二次元でしか評価できないなどの欠点があった.その他,脈絡膜血流の評価にはレーザースペックルフローグラフィーやレーザードップラーフローメトリーを用いた研究が行われ,近年注目が集まっているが,脈絡膜のどのレベルの血流を評価しているのかという問題が解決できておらず,何らかのブレークスルーが必要である.I生体における脈絡膜の観察1.EDI.OCT(enhanceddepthimaging.OCT)法の登場OCTで生体での脈絡膜を観察するという試みは,OCTの進歩に伴う自然な流れともいえる.これまで,高侵達OCTで脈絡膜を観察するという研究レベルでの報告はあったが,2009年にSpaideらが市販のOCTを用いて生体脈絡膜を観察する方法としてEDI-OCTの手法を初めて報告した1).EDI-OCTの手法は,OCT装置(Spectralis,Heidelberg社)を通常の撮影時よりも押し込み,画像を上下反転させることで,OCTのピントを網膜後面に合わせ,さらに50~100枚の画像を加算処理することによって脈絡膜が従来よりも明瞭に描出され,観察しやすくなるというものである(図1a,b).最近のSpectralisは,EDIモードでの撮影が簡便となり,EDIのボタンを押すだけで自動的に上下反転を修正してくれるため,脈絡膜の観察はより容易になっている.また,Spectralis以外のOCT装置でも,画質の優劣はあるが,EDI-OCT法での脈絡膜の評価が可能である.2.Sweptsource.OCT(SS.OCT)の登場いわゆる高侵達OCTとよばれる技術と融合し,2012年にTOPCON社からSS-OCT(DRIOCT-1Atlantis,中心波長1,050nm,走査速度は毎秒10万A-scan)が発売された.SS-OCTの登場によって,SD-OCTでは*NobuhiroKuroiwa&ShozoSonoda:鹿児島大学大学院医歯学総合研究科感覚器病学眼科学〔別刷請求先〕黒岩宣宏:〒890-8520鹿児島市桜ヶ丘8-35-1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科感覚器病学眼科学0910-1810/16/\100/頁/JCOPY(63)223224あたらしい眼科Vol.33,No.2,2016(64)IIOCTによる生体脈絡膜観察から解明されたことEDI-OCTの登場によってもたらされたもっとも大きな進歩は,生体脈絡膜の描出がなされたことで脈絡膜厚の測定が可能となり,網膜同様に脈絡膜も定量的に評価ができるようになったことである.また,SS-OCTでは脈絡膜厚のマップも作成可能であり,これまでIAで二次元でしか評価できなかった脈絡膜を,三次元的に評価できるようになった.2009年以降,さまざまな疾患での脈絡膜厚を中心とする検討が行われ,多くの新たな知見が報告されている.1.疾患のない眼における脈絡膜厚の検討非疾患眼における脈絡膜厚に関する検討では,中心窩下でもっとも厚く,日内変動が存在することが知られている.さらに,眼軸の伸長や加齢,屈折の近視化などによって脈絡膜は薄くなり,一方遠視眼では脈絡膜は厚くなる傾向があることが解明されている.2.中心性漿液性脈絡網膜症中心性漿液性脈絡網膜症(centralserouschorioreti-nopathy:CSC)については,脈絡膜厚に関する研究がもっとも盛んに行われている.以前よりCSCは,IAの所見から脈絡膜血管の透過性亢進が病態に大きく関与しているといわれていたが,EDI-OCTによってそれを裏付ける脈絡膜の肥厚が確認された.また,未承認ではあるが脈絡膜血管に直接作用する光線力学療法(photody-namictherapy:PDT)は,CSCの病態を考えると親和性があり,実際に有効性が数多く報告されている2).脈絡膜は,PDT後数日でいったん治療前よりも極端に厚みを増した後,約1週間から数カ月で徐々にその厚みが減少しはじめ,治療前と比較して10%程度減少することがわかった.さらに,IAでの脈絡膜透過性亢進を認める部位の脈絡膜厚が,それ以外の領域と比べて厚くなっているなどの興味深い報告がなされている(図2).3.内眼炎原田病や眼内悪性リンパ腫などの病変の主座が脈絡膜EDI-OCT法以外では観察がむずかしかったRPEよりも深部の脈絡膜,強膜や視神経乳頭深部を観察することが可能となった(図1c).SD-OCTは,測定光の組織内で減衰することがおもな原因で脈絡膜などの眼球深部の観察が困難であった.これを改善するために,SS-OCTでは光源の波長を長くすることで組織での深達性を高めた.SD-OCTの光源の波長は840nmであるのに対して,SS-OCTの光源の波長は1,050nmと長いことで,RPEの透過性が高まり,より眼底の深部を観察することが可能である.さらにSS-OCTは,光源に狭帯域の光の波長を毎秒数万~数十万回の高速で変化させる波長掃引光源(sweptsourcelaser)を用いることで,EDI-OCT法に比べ撮影時間が短くなり,固視不良の症例などでも高画質の画像を取得可能となった.このように,SS-OCTは次世代を担う技術として期待されている.abc図1OCTによる生体脈絡膜の実際a:通常のSD-OCTでの撮影.b:EDI-OCTの手法を使うことで,脈絡膜をSD-OCTで観察可能となった.c:SS-OCTを用いると,より網膜および脈絡膜の情報が同時に鮮明に取得できる.abc図1OCTによる生体脈絡膜の実際a:通常のSD-OCTでの撮影.b:EDI-OCTの手法を使うことで,脈絡膜をSD-OCTで観察可能となった.c:SS-OCTを用いると,より網膜および脈絡膜の情報が同時に鮮明に取得できる.あたらしい眼科Vol.33,No.2,2016225(65)の報告が多かったが,その後,軽度の網膜症や糖尿病黄斑浮腫(diabeticmacularedema:DME)を合併している場合,またDMEの漿液性網膜.離を伴う場合,脈絡膜が厚くなっていることや,一方で,汎網膜光凝固を行った場合には脈絡膜厚は薄くなることなどが報告されている5,6)(図3).筆者らは,DMEに対して現在認可されている薬物治療であるステロイド(triamcinoloneacetonide:TA),あるいは抗血管内皮増殖因子(vascularendothelialgrowthfactor:VEGF)抗体の硝子体内投与の脈絡膜への影響を検討したところ,薬剤投与前と比較して,TA投与群では中心窩脈絡膜厚(subfovealchoroidalthick-ness:SFCT)が有意に減少したが,抗VEGF療法群では有意な変化を認めないという結果を得た7)(図4).TA投与後のみ有意に脈絡膜厚が減少したことから考察すると,ステロイドのVEGF産生抑制作用は抗VEGF抗体よりも弱いため,おもにSFCT減少に寄与するのはステロイドのVEGF産生抑制以外の作用であることをはじめとする眼球深部に存在する内眼炎では,これまでの摘出眼球における病理組織の観察と合致する極端な脈絡膜の肥厚を認め,ステロイド大量投与などの治療により病態が鎮静化するにつれて急速に脈絡膜厚が正常に近づいてゆく.これらの内眼炎における一連の脈絡膜厚の変化が解析された結果,脈絡膜厚が早期診断の補助になり,治療効果の判定や再発の有無のチェックなど内眼炎のモニタリングにも活用されている.4.その他脈絡膜観察によって,加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegeneration:AMD)において,いわゆる典型AMDや網膜血管腫状増殖では脈絡膜厚は薄く,一方ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidalchoroidalvascu-lopathy:PCV)では脈絡膜厚が厚い症例が多く存在することなどが報告されている.その他,黄斑円孔や網膜色素変性などの疾患では脈絡膜厚が正常と比較して薄くなっていることや,内眼手術後の脈絡膜厚の変化など多くの疾患で脈絡膜厚の変化が報告されている.III脈絡膜観察からみた疾患の病態解明に関する取り組み生体での脈絡膜観察が可能となったことで,われわれの想像以上に脈絡膜が変化していることが認識させられ,同時に脈絡膜観察が疾患の診断やモニタリングに活用できることがわかった.現在は,重要な役割をもっている脈絡膜の観察から病態メカニズムの解明へのチャレンジが始まっている.1.糖尿病脈絡膜症という疾患概念糖尿病眼における脈絡膜研究の歴史は古く,1990年代後半に組織学検討を中心として,脈絡膜血管の基底膜の肥厚や拡張・狭窄,毛細血管瘤形成,脈絡膜毛細血管の閉塞などの所見が観察されていた.これらの観察に基づき,糖尿病脈絡膜症(diabeticchoroidopathy)という概念が提唱されていた3,4).しかし,その後は脈絡膜観察のむずかしさから研究は進んでいなかったが,EDI-OCTの登場以降,多くの注目がされている.当初は,糖尿病網膜症の重症度に相関して脈絡膜厚は薄くなるとbaselinePDT後2日PDT後3M図2PCVに対するPDT後の脈絡膜の変化PDTによって脈絡膜は一時的に肥厚するが,その後はゆっくりと効果が発現し,脈絡膜の厚みも薄くなってゆく.baselinePDT後2日PDT後3M図2PCVに対するPDT後の脈絡膜の変化PDTによって脈絡膜は一時的に肥厚するが,その後はゆっくりと効果が発現し,脈絡膜の厚みも薄くなってゆく.BaselineIVTA-3MIVTA-10M*BaselineIVTA-3MIVTA-10M*図3DMEにおける治療による脈絡膜厚の変化DME症例における脈絡膜の変化.IVTA後脈絡膜厚が変化していることがわかる.*の脈絡膜血管をみると,IVTA後10カ月目で網膜厚が厚くなるのと呼応するように,脈絡膜厚も少し厚みが厚くなっている.IVTA:トリアムシノロンアセトニド硝子体注射.を示唆している.ステロイドには,炎症反応の形成に重要な種々の因子の発現を抑制したり,血管の拡張を防いだり,細胞膜を安定させるなどのさまざまな作用があり,これらの作用が糖尿病患者の脈絡膜に大きな影響を及ぼしている可能性がある.糖尿病患者の脈絡膜において,血管内への好中球の浸潤をLuttyらが報告していることからも4),糖尿病患者の脈絡膜厚には何らかの炎症が関与している可能性が考えられる.すなわち,糖尿病において脈絡膜は網膜同様,炎症やVEGFなどの作用によってその厚みが変化していて,また薬物による作用を受ける可能性がある.このような脈絡膜厚の変化は,糖尿病脈絡膜症という病態の存在を一層裏付けるものである.脈絡膜側からのアプローチもDME病態の計面に重要になってくると考える.226あたらしい眼科Vol.33,No.2,2016**IVBIVTA0.9図4DME症例の中心窩脈絡膜厚に対するTAと抗VEGF薬の効果の違い抗VEGF薬が脈絡膜への影響が観察されない一方で,TA硝子体投与行った群では有意に脈絡膜厚が薄くなっていた.IVTA:トリアムシノロンアセトニド硝子体注射,IVB:ベバシズマブ硝子体注射.2.Pachychoroid先の項で,PCVには脈絡膜厚が厚い症例が多く含まれると述べたが,CSCとPCVの共通性が指摘されている.脈絡膜厚が厚いPCVに限定すると,IAで血管透過性亢進や脈絡膜大血管の拡張などの所見を共有し,慢性CSCにポリープが発生してくる症例も報告されている.これらの背景から,近年pachychoroidという新しい概念が提唱されている.Pachychoroidとは,CSCの特徴(前述の脈絡膜の肥厚,IAでの血管透過性亢進など)をもち,CSCにみられる漿液性網膜.離やフルオレセイン螢光眼底造影検査での明らかな漏出を示さない症例とされている.これらの症例の経過をみると,その後拡張した脈絡膜血管に一致するようにRPEの異常やPEDが形成され(これをpachychoroidpigmentepithliopathyとよぶ),さらにはRPE下に血管新生が起こり(pachychoroidneovasculopathyとよばれる状態),中にはさらにポリープ状血管を認める症例も存在すると報告されている8,9).これらの報告は,脈絡膜血管の透過性亢進や血管の拡張,内圧の亢進など,何からの理由で脈絡膜循環動態が異常をきたし,その結果,脈絡膜の肥厚をきたし,肥厚部位のRPEが障害を受け,血管新生にまで至るといった,脈絡膜の異常を発端とする新たな病態メカニズムに関するアイデアをわれわれに与えてく(66)***10変化率Baseline24H1W1M2M3Mあたらしい眼科Vol.33,No.2,2016227(67)減少することは知られているが,脈絡膜のどの領域が減少しているかは不明であった.2階調化の手法を用いることで,管腔と間質のどちらの領域の面積も加齢および眼軸長の伸長に伴って減少し,その減少率は血管腔でより大きいことがわかった12).疾患眼では,PCV患者にPDT治療を行うと脈絡膜厚が減少するが,脈絡膜の血管腔と間質では血管腔の減少の割合が高く,PDTがおもに血管に対して作用していることが改めて確認された.また,原田病に対するステロイド大量療法による脈絡膜厚の減少は,間質の減少率がより大きく,これまでの病理学的な検討で間質への細胞浸潤がステロイドの作用により改善するという報告と一致する結果となった.筆者らは,網膜色素変性,内眼炎,CSC,AMDなどさまざまな疾患で2階調化による脈絡膜構造分析を進め,新たな知見を報告している.このように,脈絡膜厚に加えて新たな評価軸が加わったことで,より正確な脈絡膜構造の把握,脈絡膜の病態への関与が解明されることが期待される.おわりにOCTが登場して20年が経過したが,OCTの進歩は著しく,今後さらなる脈絡膜解析の方法が登場してくると予想される.OCTangiographyはその代表だが,網れる.近年,高齢者のCSCの報告の増加やPCVにおける病型の多様性などを考えると,pachychoroidという概念は非常に重要になってくると筆者らは考えている.IV2階調化による脈絡膜構造の評価これまで述べたように,より正確に病態を解明したり治療方針を決定するためには,多くの眼底疾患において脈絡膜を含めて包括的に解析を行うことが重要である.しかし現状は,評価軸が脈絡膜厚の一つに限られているため,十分とはいえない.血管に富む組織である脈絡膜の構造を解析するために,厚みに加え新たな評価軸が求められている.Branchiniらは,脈絡膜血管による層別解析を報告し10),また他のグループはOCTのC-scan像を用いたEnface画像による解析を試みている.筆者らは,脈絡膜構造解析の新たな手法として,2階調化を用いた解析を行っている.1.脈絡膜の2階調化解析とは脈絡膜は脈絡毛細血管板(choroidocapillaris:CC)と脈絡膜中大血管およびそれ以外の間質で構成されているが,OCTでは血管腔は黒っぽく,間質は白っぽく描出される.この点に注目して脈絡膜血管とそれ以外の成分を2階調化の手法を用いて分けて解析を行うものである.階調とは色の濃淡の変化のことで,通常のデジタル画像では256階調で表現されるが,これを白と黒の2つに置き換えるのが2階調化である.解析にはオープンアクセスのソフトウェアであるImageJを用いる.ImageJ内にはさまざまな2階調化のプログラムが内包されているが,筆者らの検討では2階調化のプログラムの一つであるNiblack法を用いることで,脈絡膜の血管腔とそれ以外の部分をもっとも正確に分離可能であるため,Niblack法を採用し検討を行っている.これまでの検討から,本法は脈絡膜の血管腔・間質の客観的な定量解析が可能で,かつ非常に再現性が高いことがわかった.2階調化による脈絡膜構造解析の詳細については,文献を参照していただきたい11)(図5).2.2階調化解析によって解明されたこと非疾患眼では,加齢や眼軸長の伸長に伴い脈絡膜厚が図52階調化による脈絡膜の構造解析2階調化を用いることで,脈絡膜血管と間質を分けて解析が可能となる.図52階調化による脈絡膜の構造解析2階調化を用いることで,脈絡膜血管と間質を分けて解析が可能となる.228あたらしい眼科Vol.33,No.2,2016(68)6)KimJT,LeeDH,JoeSGetal:Changesinchoroidalthicknessinrelationtotheseverityofretinopathyandmacularedemaintype2diabeticpatients.InvestOphthal-molVisSci54:3378-3384,20137)SonodaS,SakamotoT,YamashitaTetal:Effectofintra-vitrealtriamcinoloneacetonideorbevacizumabonchoroi-dalthicknessineyeswithdiabeticmacularedema.InvestOphthalmolVisSci55:3979-3985,20148)WarrowDJ,HoangQV,FreundKB:Pachychoroidpig-mentepitheliopathy.Retina33:1659-1672,20139)PangCE,FreundKB:Pachychoroidneovasculopathy.Retina35:1-9,201510)BranchiniLA,AdhiM,RegatieriCVetal:Analysisofchoroidalmorphologicfeaturesandvasculatureinhealthyeyesusingspectral-domainopticalcoherencetomography.Ophthalmology120:1901-1908,201311)SonodaS,SakamotoT,YamashitaTetal:Choroidalstructureinnormaleyesandafterphotodynamictherapydeterminedbybinarizationofopticalcoherencetomo-graphicimages.InvestOphthalmolVisSci55:3893-3899,201412)SonodaS,SakamotoT,YamashitaTetal:Luminalandstromalareasofchoroiddeterminedbybinarizationmeth-odofopticalcoherencetomographicimages.AmJOph-thalmol159:1123-1131,201513)MakitaS,JaillonF,YamanariMetal:Comprehensiveinvivomicro-vascularimagingofthehumaneyebydual-beam-scanDoppleropticalcoherenceangiography.OptExpress19:1271-1283,201114)ZotterS,PircherM,TorzickyTetal:Visualizationofmicrovasculaturebydual-beamphase-resolvedDoppleropticalcoherencetomography.OptExpress19:1217-1227,2011膜血管の描出は明瞭になされる一方,脈絡膜血管の観察となるとCCまでが限界であり,今後の発展が期待される.また,ドップラーOCTも実用化に向けて開発が進んでいる13,14).ドップラーOCTは,これまでのOCTによる形態解析に加え,同時に血流の評価が可能となることが最大の強みである.これらのすぐそこまで迫っている技術によって,脈絡膜構造,血流動態の評価ができるようになると,さらに脈絡膜解析が深化することは疑う余地がない.今後はさまざまな後眼部疾患において,感覚網膜やRPEからのアプローチに加え,脈絡膜からの研究が進むことで,より包括的な病態メカニズムの解明が進み,新たな展開が得られることが期待される.文献1)SpaideRF,KoizumiH,PozzoniMC:Enhanceddepthimagingspectral-domainopticalcoherencetomography.AmJOphthalmol146:496-500,20082)MarukoI,IidaT,SuganoYetal:Subfovealchoroidalthicknessaftertreatmentofcentralserouschorioretinopa-thy.Ophthalmology117:1792-1799,20103)HidayatAA,FineBS:Diabeticchoroidopathy.Lightandelectronmicroscopicobservationsofsevencases.Ophthal-mology92:512-522,19854)McLeodDS,LuttyGA:High-resolutionhistologicanalysisofthehumanchoroidalvasculature.InvestOphthalmolVisSci35:3799-3811,19945)XuJ,XuL,DuKFetal:Subfovealchoroidalthicknessindiabetesanddiabeticretinopathy.Ophthalmology120:2023-2028,2013