特集●屈折矯正的な水晶体手術の今あたらしい眼科32(9):1231.1237,2015特集●屈折矯正的な水晶体手術の今あたらしい眼科32(9):1231.1237,2015眼軸長測定と眼内レンズ度数計算MeasurementofAxialLengthandIntraocularLensCalculation比嘉利沙子*はじめに眼内レンズ(intraocularlens:IOL)度数計算には,正確な眼軸長(axiallength:AL)測定が必要である.AL測定には,長年,超音波が用いられてきたが,1999年に部分光干渉法(partialcoherenceinterferometry:PCI)によるAL測定が登場し,測定精度が飛躍的に向上した.AL測定精度の向上に伴い,術後IOLの位置(effectivelensposition:ELP)予測の問題がより重要視されるようになった.本稿では,Swept-SourceOCT(SS-OCT)による新たなAL測定,計算式の選択“Top2の併用”とIOL定数,特殊角膜眼(laserinsitukeratomileusis:LASIK,phototherapeutickeratectomy:PTK)のIOL度数計算について述べる.ISS.OCTによるAL測定2014年にSS-OCTによるAL測定機能を搭載したIOLMaster700(CarlZeissMeditec)が発売された.1.測定原理と特徴IOLMaster700では,1秒間に2,000本のAscanを30度ごとの6方向で行い,6枚を合成したBscanからALを測定している(図1a).ALは,網膜色素上皮までの長さを内境界膜までの長さに補正した値で表示される.同時に,Bscanから角膜厚(centralcornealthickness:CCT),前房深度(anteriorchamberdepth:ACD),水晶体厚(lensthickness:LT)が測定される.これまでのPCIでは,AL測定は波形でしか捉えることができなかったが,SS-OCTでは断層面で捉えることができる.全眼球断層画像では測定時の眼球の状態を可視化することができ(図1b),中心窩断層画像では固視や黄斑疾患を確認することができる(図1c).2.測定精度と測定率PCIによるAL測定の信頼性は,signal-to-noiseratio(SNR)で表されるが,真に中心窩からの測定か否かは確認することができなかった.しかし,SS-OCTでは,中心窩からの測定が可視化できるようになったので,測定値の再現性が高まった(図2).当院で術前の白内障眼を対象(n=249)に,両者のAL測定率を比較したところ,IOLMaster500vs700(PCIvsSS-OCT)では90%,97%であり,SS-OCTでは測定率も向上した.また,両装置で得られた測定値はよく一致しており,高い相関が得られている(図3).したがって,IOLMaster700でIOL度数計算をする際には,UserGroupforLaserInterferenceBiometry(ULIB)Webサイト(用語解説参照)に掲載されているIOLMaster500と共通のIOL定数が使用できる.IIIOL度数計算式の選択ELP予測は,計算式に依存するので,術後屈折誤差の対策には,計算式の選択も重要となる.*RisakoHiga:井上眼科病院〔別刷請求先〕比嘉利沙子:〒101-0062東京都千代田区神田駿河台4-3井上眼科病院0910-1810/15/\100/頁/JCOPY(3)12311232あたらしい眼科Vol.32,No.9,2015(4)2.計算式の選択“Top2の併用”標準外のK値でELP予測誤差が生じるSRK/T式の弱点を補う戦略として,筆者は,Haigis式を併用している.2式の予測値に差がある症例では,K値に留意し,標準外のK値であれば,Haigis式でIOL度数を選択するとよい(図6).Haigis式を選択する理由は,次の5つである.①SRK/T式と異なりK値を使用しないELP予測法である.②ALの守備範囲が広い(図7).③第3世代以降の計算式でSRK/T式と同等の精度である3.5)(=精度のTop2).④日本でSRK/T式に次いで使用されている(=国内使用率のTop2).⑤ACDのみの追加測定で計算が可能である.1.第3世代以降の計算式の特徴第3世代以降の計算式(用語解説参照)は,ELP予測に各計算式の特徴がある.たとえば,日本で最も使用されているSRK/T式1)では,ELP予測にピタゴラスの定理を取り入れている.そのため,フラットなK値のELPは実際よりも小さく予測され,それを基にIOL度数を選択すると,術後屈折は遠視にずれる(図4).逆にスティープなK値では近視にずれる.Haigis式2)は,K値を用いず,術前のACDとALの重回帰式からELPを予測している.ELP予測法が異なる2式(SRK/T式とHaigis式)の術後予測屈折値の差は,ALによる傾向はなく,K値が標準外(42D未満と46D以上)の場合に生じている(図5).2つの計算式の予測値の差が0.5D以上の症例は,自験例では約18%(n=472眼)であった.abc図1SS.OCTの測定原理と断層画像a:測定原理(Scanspeed:2.000Ascans/sec,Angle:0,30,60,90,120,150°).b:全眼球断層画像(Depth:44mm,Wide:6mm).c:中心窩断層画像(Wide:1mm)左から,中心窩陥凹検出(固視良好例),中心窩陥凹未検出(固視不良例),黄斑円孔.abALの差0.01mmK値の差0.05DALの差0.08mmK値の差0.63D図2固視状態による測定精度同一症例で複数回測定した結果を比較.a:固視良好な場合(矢印は中心窩陥凹を示す),測定値の再現性が高い.b:固視不良な場合(中心窩陥凹未検出),測定値の再現性が低い.①SRK/T式と異なりK値を使用しないELP予測法である.②ALの守備範囲が広い(図7).③第3世代以降の計算式でSRK/T式と同等の精度である3.5)(=精度のTop2).④日本でSRK/T式に次いで使用されている(=国内使用率のTop2).⑤ACDのみの追加測定で計算が可能である.1.第3世代以降の計算式の特徴第3世代以降の計算式(用語解説参照)は,ELP予測に各計算式の特徴がある.たとえば,日本で最も使用されているSRK/T式1)では,ELP予測にピタゴラスの定理を取り入れている.そのため,フラットなK値のELPは実際よりも小さく予測され,それを基にIOL度数を選択すると,術後屈折は遠視にずれる(図4).逆にスティープなK値では近視にずれる.Haigis式2)は,K値を用いず,術前のACDとALの重回帰式からELPを予測している.ELP予測法が異なる2式(SRK/T式とHaigis式)の術後予測屈折値の差は,ALによる傾向はなく,K値が標準外(42D未満と46D以上)の場合に生じている(図5).2つの計算式の予測値の差が0.5D以上の症例は,自験例では約18%(n=472眼)であった.abc図1SS.OCTの測定原理と断層画像a:測定原理(Scanspeed:2.000Ascans/sec,Angle:0,30,60,90,120,150°).b:全眼球断層画像(Depth:44mm,Wide:6mm).c:中心窩断層画像(Wide:1mm)左から,中心窩陥凹検出(固視良好例),中心窩陥凹未検出(固視不良例),黄斑円孔.abALの差0.01mmK値の差0.05DALの差0.08mmK値の差0.63D図2固視状態による測定精度同一症例で複数回測定した結果を比較.a:固視良好な場合(矢印は中心窩陥凹を示す),測定値の再現性が高い.b:固視不良な場合(中心窩陥凹未検出),測定値の再現性が低い.あたらしい眼科Vol.32,No.9,20151233(5)IIIIOL定数と最適化計算式から考える屈折誤差のもうひとつの戦略は,IOL定数の最適化である.ただし,Haigis式単独使用の際には,3つのIOL定数が最適化されていることが精度には重要である.IOL定数については,次項で述べる.abcN=336N=336Bland-AltmanPlotR=1.000P<0.0001mean:-0.011mmN=404N=404Bland-AltmanPlotR=0.995P<0.0001mean:0.046DN=223N=223Bland-AltmanPlotR=0.958P<0.0001mean:-0.056mm-0.2-0.1Difference(mm)Average(mm)Average(mm)Average(mm)Difference(mm)Difference(mm)0.10.10.2-1.2-0.600.61.2-0.8-0.400.40.820242832394347512.03.04.05.03228242020242832IOLMaster500(mm)IOLMaster700(mm)3228242020242832IOLMaster500(mm)IOLMaster700(mm)5046423838424650IOLMaster500(D)IOLMaster700(D)図3測定値の比較(IOLMaster500vsIOLMaster700)a:AL(PCIvsSS-OCT).b:K値(f2.5mm).c:ACD(スリット方式vsSS-OCT).abcN=336N=336Bland-AltmanPlotR=1.000P<0.0001mean:-0.011mmN=404N=404Bland-AltmanPlotR=0.995P<0.0001mean:0.046DN=223N=223Bland-AltmanPlotR=0.958P<0.0001mean:-0.056mm-0.2-0.1Difference(mm)Average(mm)Average(mm)Average(mm)Difference(mm)Difference(mm)0.10.10.2-1.2-0.600.61.2-0.8-0.400.40.820242832394347512.03.04.05.03228242020242832IOLMaster500(mm)IOLMaster700(mm)3228242020242832IOLMaster500(mm)IOLMaster700(mm)5046423838424650IOLMaster500(D)IOLMaster700(D)図3測定値の比較(IOLMaster500vsIOLMaster700)a:AL(PCIvsSS-OCT).b:K値(f2.5mm).c:ACD(スリット方式vsSS-OCT).aCwHrrフラットなK値標準なK値b実際のaxialpositionピタゴラスの定理Cw2H=r-r2-─()2HCw:角膜高:角膜径r:角膜曲率半径ELPが小さく算出遠視ずれ図4SRK.T式のELP予測a:ピタゴラスの定理.b:SRK/T式で予測されるELP.左:標準なK値,右:フラットなK値.術後屈折:S-1.25DC-1.00DAx105°a2.50AL(mm)N=5702.001.501.000.500.00-0.50-1.00-1.50-2.00-2.5032302826242220bK値(D)N=570SRK/T式-Higis式(D)2.502.001.501.000.500.00-0.50-1.00-1.50-2.00-2.50SRK/T式-Higis式(D)50484644424038図5SRK.T式とHaigis式の予測屈折値の差とALおよびK値a:予測屈折値の差とAL.b:予測屈折値の差とK値.術後屈折:S-0.25DC-1.25DAx40°スティープフラットAL:27.23mmK値:K140.23DK240.66DAL:22.42mmK値:K147.07DK247.67D予測屈折値誤差予測屈折値誤差SRK/T式+0.91DSRK/T式-0.84DHaigis式-0.03DHaigis式-0.06D図6計算式による術後屈折誤差フラットまたはスティープなK値では,SRK/T式では遠視または近視に誤差が生じているが,Haigis式では予測通りの屈折値である.1234あたらしい眼科Vol.32,No.9,2015(6)あたらしい眼科Vol.32,No.9,20151235(7)で最適化をすることができる.安定したIOL定数を得るには,50眼以上の症例数が推奨されている.当院で最適化を行った各定数(図8)で術後屈折誤差を検討すると,誤差の単純平均値,平均絶対値ともに,50眼以上の定数では統計学的な有意差を認めなかったが,75眼以上の定数で単純平均値0.05D未満,絶対平均値が0.4D未満でより精度の高い結果が得られた.したがってHaigis式ではより多くの症例数(75眼以上)で最適化した定数を使用したほうがよい.IV特殊角膜眼(LASIK,PTK)のIOL度数計算特殊角膜眼(LASIK,PTK)のIOL度数計算では,さらにK値の評価に留意する必要がある.1.特殊角膜眼の誤差要因通常,オートケラトメータでは,傍中心角膜前面(f約3mm)の4点から,角膜前後面の曲率比が一定と仮定した換算屈折率(n=1.3375)を用いてK値を算出している.しかし,LASIKやPTK後では,角膜前後面の比率が変化しているため,オートケラトメータのK値が実際には当てはまらないのが,誤差のもっとも大きな要因である.1.SRK.T式のIOL定数SRK/T式の最適なA定数は,ALやIOL度数によって変化するが6),短から長ALまで同一A定数を使っても屈折誤差が少ないIOLモデルと,短,標準,長ALとそれぞれの定数を最適化しないと屈折誤差が生じるIOLモデルがある.つまり,ALによる誤差傾向は,IOLモデルでも異なるので,使用IOLモデルの誤差傾向を把握しておく必要がある.2.Haigis式のIOL定数ULIBWebサイトでは,日本国内のデータから導き出されたIOL定数(日の丸の表示つき)が日本人には適している7).Haigis式は,計算式のなかで唯一,3つのIOL定数を必要とする.ULIBWebサイトのn欄に記載されている症例数が200眼以下のIOLでは,a0のみが最適化されており,a1,a2はそれぞれ固定値(0.4,0.1)となっているが,定数を3つ最適化することで精度が高まる.したがって,Haigis式を使用する際には,日本のIOL定数で,かつ十分な症例数で最適化された3つの定数を有するIOLモデルを推奨する.3.IOL定数の最適化術前にIOLMasterで生体計測を行っている症例では,挿入したIOLモデルとIOL度数,術後屈折値をIOL-Master本体に入力すると,各計算式のIOL定数を自動当院HofferIOLMasterSRK/T式SRK/T式SRK/T式Holladay2式Holladay2式Holladay式Holladay式Holladay2式HofferQ式Haigis式Haigis式Haigis式HofferQ式3432302826AL(mm)24222018図7各計算式のALに対する守備範囲下:IOLMaster推奨計算式,中:Hoffer推奨計算式,上:当院推奨計算式.報告により各計算式のAL守備範囲は異なるが,Haigis式は,共通して短ALから長ALまでを守備している.N=180IOL定数(Haigis式)IOL定数(SRK/T式)最適化した症例数(眼)(変換値)30027525022520017515012510075503302.00119.1119.1119.11.1100.40.11.1970.8050.0700.3990.6700.122-1.1000.4020.174-0.1500.3500.1820.2150.3590.1660.0100.3290.1770.0260.3420.175-0.0700.3530.178-0.0380.3290.180-0.0700.3140.183-0.3100.3180.193-0.2900.2960.197119.1119.1119.0119.0119.0119.0119.0119.0119.0119.01.601.200.800.400.00-0.40a0a1a2a0A定数a1a2120.0119.5119.0118.5118.0117.5図8最適化によるIOL定数の変化IOLMaster本体で,箱書きのIOL定数を光干渉用に変換した値を基準に最適化を行った.Haigis式の3つの定数(a0:IOL固有の定数,a1:ACDにかかわる定数,a2:ALにかかわる定数)を最適化するには,AL22mm未満,22以上25mm未満,25mm以上を各11眼以上含むことが条件である.当院HofferIOLMasterSRK/T式SRK/T式SRK/T式Holladay2式Holladay2式Holladay式Holladay式Holladay2式HofferQ式Haigis式Haigis式Haigis式HofferQ式3432302826AL(mm)24222018図7各計算式のALに対する守備範囲下:IOLMaster推奨計算式,中:Hoffer推奨計算式,上:当院推奨計算式.報告により各計算式のAL守備範囲は異なるが,Haigis式は,共通して短ALから長ALまでを守備している.N=180IOL定数(Haigis式)IOL定数(SRK/T式)最適化した症例数(眼)(変換値)30027525022520017515012510075503302.00119.1119.1119.11.1100.40.11.1970.8050.0700.3990.6700.122-1.1000.4020.174-0.1500.3500.1820.2150.3590.1660.0100.3290.1770.0260.3420.175-0.0700.3530.178-0.0380.3290.180-0.0700.3140.183-0.3100.3180.193-0.2900.2960.197119.1119.1119.0119.0119.0119.0119.0119.0119.0119.01.601.200.800.400.00-0.40a0a1a2a0A定数a1a2120.0119.5119.0118.5118.0117.5図8最適化によるIOL定数の変化IOLMaster本体で,箱書きのIOL定数を光干渉用に変換した値を基準に最適化を行った.Haigis式の3つの定数(a0:IOL固有の定数,a1:ACDにかかわる定数,a2:ALにかかわる定数)を最適化するには,AL22mm未満,22以上25mm未満,25mm以上を各11眼以上含むことが条件である.1236あたらしい眼科Vol.32,No.9,2015(8)Webサイトは使用できない.よって,筆者はCamellin-Calossi式,OKULIXの2つを主として,IOL度数を決めている.OKULIXは,TMSにも搭載されているが,PTK後の残余角膜混濁に対してはSS-OCTを測定原理としたCASIAがK値の評価に有利と考えている.LASIK眼でのIOL度数計算精度は向上してきたが,PTK眼では結果がばらつく場合もあり,未だ精度は十分ではない.特殊角膜眼では,必ずしも精度のよい計算式が一つと決まっているわけではないので,検討した種々の計算方法のなかから精度のよいものを2つ以上使用するのがよいのではないかと考えている.おわりに現在,計算式においては,ELP予測の問題が残るが,計算式にはまだ改良の余地がある.SS-OCTでは,全2.LASIK後のIOL度数計算方法LASIK眼のIOL度数計算では,K値の評価をどのように行うかがポイントである.計算式(法)には多数の報告があるが,屈折矯正術後専用の計算式を使用する方法,補正したK値または各種角膜形状解析装置推奨のK値(表1)を,通常の計算式か屈折矯正術後専用の計算式で使用する方法がある.施設で所有している機器により計算可能な方法が異なってくる.また,通常の計算式には,ELP予測にK値を用いないHaigis式が理論上は適している.ただし,IOL定数が十分に最適化されていることが条件である.筆者は,表2であげた4つのツールを使用している.そのなかで,Haigis-L式とCamellin-Calossi式を主とし,ほかの計算結果を参照にしながらIOL度数を決定している.3.PTK後のIOL度数計算方法PTK後では,残余角膜混濁によるK値の評価,現疾患(顆粒状角膜変性または帯状角膜変性)による角膜切除量の違い,使用したエキシマレーザー装置による角膜形状変化(不正乱視)の違いなどが,IOL度数予測の問題要素としてあげられる.PTK眼では,前述の4つのツールのうち,PTK眼では,Haigis-L式,ASCRSの表1角膜形状解析装置によるK値機種名測定原理後面K値測定計算に推奨される値OPD-Scan(Nidek)プラチド式─averagepowerinpupil(APP)※2TMS(TOMEY)プラチド式─averagecetaralcorneapower(ACCP)※2プラチド式回転式Scheimpflugカメラ※1可Pentacam(Oculus)回転式Scheimpflugカメラ可Truenetpower(TNP)Orbscan(Bausch&Lomb)スリットスキャン式プラチド式可Totalopticalpower(TOP)CASIA(TOMEY)Swept-SourceOCT可※1回転式Scheimpflugカメラが搭載されているのはTMS-5のみ.※2TMS-4A,4Nは手動で計算,TMS-5は自動で計算される.表2屈折矯正術後のIOL度数計算式(法)計算式(法)搭載機器と計算方法Haigis-L式8)※1使用機器:IOLMaster(CarlZeissMeditec)使用K値:IOLMasterで測定した値IOLMasterでAL,K値,ACDを測定すると,通常の計算と同様で自動で計算されるので簡便であるCamellin-Calossi式9)使用機器:IOL-Station(Nidek)使用K値:OPD-ScanのAPP(3mm)AL,ACD,LTの入力が必要下記のいずれかを入力する①屈折矯正量②(屈折矯正量が不明な場合)CASIA(TOMEY)で測定された中心と直径6mm径の計9箇所の角膜厚OKULIX※2使用機器:CASIA(TOMEY)CASIAで,K値,角膜厚を測定後にOULUX(光線追跡法を用いたIOL度数計算ソフトウエア)を起動させIOLMasterのALを入力すると自動で計算されるASCRS※3のWebサイトhttp://iolcalc.org屈折矯正術(LASIK/PRK/RK)後のIOL度数計算が掲載されている.可能なデータを入力すると,各計算結果とそれらを平均したIOL度数が表示される※1ASCRSWebサイトにも搭載,※2TMSにも搭載.※3ASCRS:AmericanSocietyofCataractandRefractiveSurgery.表1角膜形状解析装置によるK値機種名測定原理後面K値測定計算に推奨される値OPD-Scan(Nidek)プラチド式─averagepowerinpupil(APP)※2TMS(TOMEY)プラチド式─averagecetaralcorneapower(ACCP)※2プラチド式回転式Scheimpflugカメラ※1可Pentacam(Oculus)回転式Scheimpflugカメラ可Truenetpower(TNP)Orbscan(Bausch&Lomb)スリットスキャン式プラチド式可Totalopticalpower(TOP)CASIA(TOMEY)Swept-SourceOCT可※1回転式Scheimpflugカメラが搭載されているのはTMS-5のみ.※2TMS-4A,4Nは手動で計算,TMS-5は自動で計算される.表2屈折矯正術後のIOL度数計算式(法)計算式(法)搭載機器と計算方法Haigis-L式8)※1使用機器:IOLMaster(CarlZeissMeditec)使用K値:IOLMasterで測定した値IOLMasterでAL,K値,ACDを測定すると,通常の計算と同様で自動で計算されるので簡便であるCamellin-Calossi式9)使用機器:IOL-Station(Nidek)使用K値:OPD-ScanのAPP(3mm)AL,ACD,LTの入力が必要下記のいずれかを入力する①屈折矯正量②(屈折矯正量が不明な場合)CASIA(TOMEY)で測定された中心と直径6mm径の計9箇所の角膜厚OKULIX※2使用機器:CASIA(TOMEY)CASIAで,K値,角膜厚を測定後にOULUX(光線追跡法を用いたIOL度数計算ソフトウエア)を起動させIOLMasterのALを入力すると自動で計算されるASCRS※3のWebサイトhttp://iolcalc.org屈折矯正術(LASIK/PRK/RK)後のIOL度数計算が掲載されている.可能なデータを入力すると,各計算結果とそれらを平均したIOL度数が表示される※1ASCRSWebサイトにも搭載,※2TMSにも搭載.※3ASCRS:AmericanSocietyofCataractandRefractiveSurgery.あたらしい眼科Vol.32,No.9,20151237(9)眼球断層画像が撮影できることによって,新たなELP予測法が近い将来に期待される.文献1)RetzlaffJA,SandersDR,KraffMC:DevelopmentoftheSRK/Tintraocularlensimplantpowercalculationformula.JCataractRefractSurg16:333-340,19902)HaigisW:TheHaigisFormula.Intraocularlenspowercalculations.IOLPower(ShammasHJ),41-57,SLACKIncorporated,NJ,20043)比嘉利沙子,魚里博,大内雅之ほか:眼内レンズ度数計算式による白内障術後予測屈折誤差の比較.臨眼65:687-692,20134)比嘉利沙子,魚里博,大内雅之ほか:新しい光干渉式眼軸長測定装置AL-Scanの臨床評価(第2報).術後予測屈折誤差と最適化定数の検討.眼科手術26:248-252,20135)比嘉利沙子,魚里博,新井ゆりあほか:Holladay2式,Haigis式,SRK/T式による術後予測屈折値の精度.眼科手術27:261-264,20146)禰津直久:個別A定数からみたSRK/T眼内レンズパワー計算式の検討.臨眼51:911-914,19977)比嘉利沙子:IOL計算式選択のコツとIOL定数.眼科グラフィック24:358-364,20158)HaigisW:Intraocularlenscalculationafterrefractivesur-geryformyopia:HaigisLFormula.JCataractRefractSurg34:1658-16639)CamellinM,CalossiA:Anewformulaforintraocularlenspowercalculationafterrefractivecornealsurgery.JRefractSurg22:187-199,2004■用語解説■ULIB(UserGroupforLaserInterferenceBiome-try)Webサイト:光干渉式AL測定装置専用のIOL定数データベースWebサイト(http://www.augenklinik.uni-wuerzburg.de/ulib/const.htm).IOL度数計算に光干渉で測定したALを使用する場合,光干渉専用のIOL定数を用いる必要がある.第3世代以降の計算式:67年以降の理論式を第1世代,SRK式,SRKII式で代表される回帰式を第2世代と呼ぶ.Holladay式,SRK/T式,HofferQ式,Holla-dayII式,Haigis式が第3世代以降の計算式にあたる.理論式と回帰式の要素を合わせもつ.■ULIB(UserGroupforLaserInterferenceBiometry)Webサイト:光干渉式AL測定装置専用のIOL定数データベースWebサイト(http://www.augenklinik.uni-wuerzburg.de/ulib/const.htm).IOL度数計算に光干渉で測定したALを使用する場合,光干渉専用のIOL定数を用いる必要がある.第3世代以降の計算式:67年以降の理論式を第1世代,SRK式,SRKII式で代表される回帰式を第2世代と呼ぶ.Holladay式,SRK/T式,HofferQ式,HolladayII式,Haigis式が第3世代以降の計算式にあたる.理論式と回帰式の要素を合わせもつ.眼球断層画像が撮影できることによって,新たなELP予測法が近い将来に期待される.文献1)RetzlaffJA,SandersDR,KraffMC:DevelopmentoftheSRK/Tintraocularlensimplantpowercalculationformula.JCataractRefractSurg16:333-340,19902)HaigisW:TheHaigisFormula.Intraocularlenspowercalculations.IOLPower(ShammasHJ),41-57,SLACKIncorporated,NJ,20043)比嘉利沙子,魚里博,大内雅之ほか:眼内レンズ度数計算式による白内障術後予測屈折誤差の比較.臨眼65:687692,20134)比嘉利沙子,魚里博,大内雅之ほか:新しい光干渉式眼軸長測定装置AL-Scanの臨床評価(第2報).術後予測屈折誤差と最適化定数の検討.眼科手術26:248-252,20135)比嘉利沙子,魚里博,新井ゆりあほか:Holladay2式,Haigis式,SRK/T式による術後予測屈折値の精度.眼科手術27:261-264,20146)禰津直久:個別A定数からみたSRK/T眼内レンズパワー計算式の検討.臨眼51:911-914,19977)比嘉利沙子:IOL計算式選択のコツとIOL定数.眼科グラフィック24:358-364,20158)HaigisW:Intraocularlenscalculationafterrefractivesurgeryformyopia:HaigisLFormula.JCataractRefractSurg34:1658-16639)CamellinM,CalossiA:Anewformulaforintraocularlenspowercalculationafterrefractivecornealsurgery.JRefractSurg22:187-199,2004(9)あたらしい眼科Vol.32,No.9,20151237