●シリーズ後期臨床研修医日記三重大学眼科学教室一尾享史小林真希大井里恵布目貴康はじめに私たち4人は,昨年4月に三重大学眼科学教室に後期研修医として入局しました.優しくて面白く,カラオケとAKBが大好きな教授として有名な近藤峰生先生の指導の下,研修生活を送っています.手術件数や外来患者数も多く忙しい日々ですが,同期にも恵まれて楽しく過ごしています.月曜日月曜日の午前中は検査番か外来です.専門分野も決まってきており,それぞれ黄斑や糖尿病,角膜の外来をしたり,また再来の患者さんを診察したりしています.一人での外来は不安ですが,わからないことは指導医に相談すると,すぐ丁寧に教えていただけるので,とても勉強になります.そして午後は,手術です.白内障はもちろん,網膜.離や緑内障,糖尿病網膜症,斜視の手術など幅広くしているので,症例は多いです.覚えるまでは助手に入らせていただき,執刀医の技術を学んでいます.(小林真希)火曜日火曜日は外来付きの日です.朝,外来が始まる前に,昨日の手術患者さんを中心写真1同期の4人左から一尾,小林,大井,布目.に,受け持ち患者さんの回診をします.手術をして見えるようになった,明るくなったと患者さんがいわれるのを聞くと,朝から嬉しくなります.回診が終わったら角膜,涙道専門外来で処置の助手をしたり,外来を見学したりします.角膜,涙道外来では,よく目にする疾患からとてもマニアックな疾患まで,多くの症例に触れることができます.角膜感染症の方が来られると,角膜を擦過し,検体をとり,鏡検します.角膜の検体をとったり染色したりするのはまだ慣れていないため,少し緊張しますが,うまく原因菌が見つかると少しホッとします.涙道閉塞の患者様が来られたら,涙道内視鏡の助手をします.涙道の構造を立体的に把握するのはむずかしいです.角膜,涙道外来が終わると,特殊コンタクトレンズ外来が始まります.一般的なコンタクトレンズと違って,円錐角膜の人などの特殊なコンタクトレンズが必要な患者さんが来られます.微調整を行いますが,なかなか合うコンタクトレンズが見つからず苦労することもあります.特殊コンタクトレンズ作製のためにORTさんや業写真2wetlaboの様子小林(左)と指導してくださっている講師の生杉先生.(93)あたらしい眼科Vol.31,No.6,20148670910-1810/14/\100/頁/JCOPY写真3勉強会指導してくださっている松井先生(右).者の方にも協力していただいて,とてもありがたいです.専門外来は,専門の先生に直接基本的なことから専門的なことまで教えていただける機会であり,とても勉強になります.(大井里恵)水曜日水曜日は網膜.離の外来日です.朝に手早く回診を終え,8時半には外来に向かいます.上級医の先生の外来をお手伝いしながら一緒に診察します.自分で診察し見立てた所見と,上級医の先生の所見とを比べながら指導していただきます.所見がおかしかった点や,見落としを指摘され,それを踏まえてもう一度診察したりします.そうこうするうちに外来も終了です.急いで昼食をすませ,蛍光眼底造影とサブテノン注射に向かいます.ここは僕たちがほぼ一人でドキドキしながら行います.その後急いで病棟に上がり,木曜日の手術の患者さんを診察し,IOLを準備したりします.水曜日は医局会兼カンファランスがあります.この1週間で気になった症例や勉強になる症例を提示していただいたり,明日の手術症例をプレゼンテーションしたりします.教授をはじめ,上級医の先生方に解説や指導していただき,とても勉強になります.帰宅前に医局図書館で今日わからなかったことを調べたり,他愛もないことを同期や若手の先生方と談笑して帰宅します.明日は手術日なので,さっさと寝て翌日に備えます.(一尾享史)868あたらしい眼科Vol.31,No.6,2014写真4近藤教授と一緒に“ピース!”左から一尾,近藤教授,小林,大井.木曜日木曜日は手術番の日です.手術が始まる前に患者さんの回診をすませ,手術室で顕微鏡,機械類のセッティングや手術道具の準備をします.この日は白内障手術や硝子体手術,全層角膜移植,斜視,結膜弛緩症の手術がありました.白内障手術も,合併症のない症例から難症例まであり,とても勉強になります.顕微鏡下での操作はむずかしく,もっと練習が必要だなと反省する日々です.硝子体手術で目の中を顕微鏡で見ていると,別世界を見ているような気分になります.予定手術は17時頃に終了しましたが,今日は網膜.離と緑内障の緊急手術がありました.緊急手術も無事終了し,残りの仕事を片付けてから帰宅しました.手術の日は,普段よりも忙しく,緊張もするので,とても疲れます.(大井里恵)金曜日金曜日の朝はいつもより早めです!昨日の手術の患者さんの診察があるからです.病棟で患者さんをまわり,見え方はどうか,昨晩はゆっくりできたか聞き,術後に起きうる合併症などを念頭に置きながら診察します.今日は糖尿病網膜症の専門外来の日です.PRPが必要な症例のレーザーをさせてもらっています.十分に注意しながらレーザーし,その後,上級医に確認してもらっています.最周辺部など,とくにまだまだ上手に打てず,上級医の先生の手を煩わせることもしばしばです.(94)夢中になってがんばっていると,いつの間にか夕方になっています.もうこの頃になると1週間の疲れが大分たまってきてヘロヘロです.残っている仕事を片付けに病棟に行くと,上級医の先生が僕らの仕事を「やっといたよ!」と.仕事が遅くて申し訳ないと思いつつ感謝感激です.こうして1週間は終わっていきます.(一尾享史)土曜日・日曜日基本的に土日は自由です.疲れているときは休みますし,元気なときは当直の先生の手伝いに行ったりもします.朝回診に出かけ,夕方は勉強会や研究会に出席したりしていることが多いです.普段バタバタしているので,土日はゆっくり勉強するチャンス.教科書を読んだり,手術DVDを見たりしています.指導医からのメッセージ2013年に三重大学眼科に入局された4人の研修医の先生,毎日の仕事とても大変だと思いますが,本当に真面目に頑張っておられますね.今年の4人の先生は同期同士とても仲が良いようにみえます.あまり詳しく知らないのですが,噂では「仲の良いみんなのために,ぜひ研修医室に置こう!」と近藤教授が買ってくれた赤い大きなソファ,リラックスムードで,少しうらやましいです.さて,これまでもこれからも,三重大学眼科では研修1年目からどんどん実践トレーニングを積んでいただきます.手術研修も硝子体手術や緑内障手術の助手〈プロフィール〉一尾享史(いちおあつし)大阪医科大学卒.厚生連尾西病院にて初期研修後,2013年4月より三重大学医学部眼科学教室前期専攻医.小林真希(こばやしまき)宮崎大学卒.山本総合病院(現桑名東医療センター)にて初期研修後,2013年4月より三重大学医学部眼科学教室前期専攻医.大井里恵(おおいさとえ)富山医科薬科大学卒.四日市市民病院にて初期研修後,2013年4月より三重大学医学部眼科学教室前期専攻医.布目貴康(ぬのめたかやす)三重大学卒.三重大学附属病院にて初期研修後,2013年4月より三重大学医学部眼科学教室前期専攻医.現在は岡波総合病院勤務.(一尾享史)はもちろんのこと,自らの執刀症例も,結膜手術,白内障手術の基本的な手技などからどんどん始めてもらっています.手術治療は執刀医の技量がダイレクトに患者さんの治療予後に影響します.緊張しますが,それだけやりがいもあります.これからいろいろ失敗することもあるかもしれませんが,それを糧にできるのも研修医ならでは.プライベートを大切にしながらも積極的に研修に参加し,眼科医としての経験を一歩一歩積み重ねていってください.(三重大学眼科生杉謙吾)☆☆☆(95)あたらしい眼科Vol.31,No.6,2014869