0910-1810/11/\100/頁/JCOPYはない.3.神経線維腫症1型(neurofibromatosis1:NF1)との関連視神経膠腫の25?60%はNF1患者に発症する.一方NF1患者にスクリーニングとしてMRI(磁気共鳴画像)検査を施行すると15?20%で視神経膠腫を認める.このうち症状を発症するのは1?5%のみである.複数の腫瘍が認められる患者はNF1である可能性が高く,視交叉に腫瘍を認める場合にはNF1患者ではない可能性が高い.4.自然経過視神経膠腫の自然経過はNF1合併の有無,腫瘍の部位,発症時年齢により決まる.NF1患者の視神経膠腫は,NF1でない患者の腫瘍に比較し予後が良い.NF1合併視神経膠腫のうち3分の2は,進行しないまま経過する.視神経膠腫は,図1のように眼球後部から視放線までの視路のどの領域にも発生する.部位では,視交叉の腫瘍は,視床下部まで進展し,モンロー(Monro)孔を閉塞し閉塞性水頭症を起こすなど,侵襲的な経過をたどる傾向がある.年齢では,5歳以下に発症するものはより侵襲的で予後が悪い傾向が強い.II病理学多くがLGGであり,ほとんどが毛様性星細胞腫(pilo-はじめに視神経膠腫(opticglioma)は,小児期低年齢に頻度の高い視神経路(opticpathway)に発症する腫瘍である.初発症状として,眼振,斜視,視力低下,視野異常,眼球突出などの眼科学的症状を初発症状として発症する場合も多い.これらの症状が出現した後,眼科学的診断によって早期に診断に至る場合もある.病理学的には低悪性度の神経膠腫(low-gradeglioma:LGG)であり,全摘出が可能であれば生命予後は良好である.しかし,摘出による障害が重大となる場合が多く,qualityoflife(QOL)を考慮して他の治療が必要となる.QOL重視の観点から,視機能や他の機能の温存のため放射線治療,化学療法が用いられ,近年その成果が集積され,本疾患の診断方法,治療適応,治療方法が大きく変化している.本論は,子供たちの視機能の守り手である読者諸氏に,これらの変化と治療の進歩を伝えることを目的とする.I疫学1.頻度視神経膠腫は,小児脳脊髄腫瘍の4?6%,成人腫瘍の2%を占める.小児期の全神経膠腫の20?30%を占める1).2.発症年齢と性差年齢では,10歳までの発症が最も多い.発症に性差(21)1389*TakaakiYanagisawa:埼玉医科大学国際医療センター包括的がんセンター脳脊髄腫瘍科小児脳脊髄腫瘍部門〔別刷請求先〕柳澤隆昭:〒350-1298埼玉県日高市山根1397-1埼玉医科大学国際医療センター包括的がんセンター脳脊髄腫瘍科小児脳脊髄腫瘍部門特集●眼の腫瘍¦最近の考え方¦あたらしい眼科28(10):1389?1396,2011視神経膠腫に対する化学療法の現状OpticGlioma:SurvivalandFunctionalOutcomes柳澤隆昭*1390あたらしい眼科Vol.28,No.10,2011(22)ことがあり,そのリスクは他のLGGの20倍くらいとされる.III症状と徴候初発症状と徴候は,腫瘍の局在と,発症時の年齢により影響を受ける.1.片側視神経に限局している腫瘍眼球突出と片側の視機能低下で発症するのが典型的である.2.視交叉にある腫瘍小学生以上の年齢の患者では視機能低下の訴えで診断に至るが,乳幼児や幼若な患者では視機能の低下を同定cyticastrocytoma:PA)である.原線維性星細胞腫(fibrillaryastrocytoma)など他のLGGも認めるが頻度が少なく,組織型による予後の違いは明らかにされていない.近年,毛様類粘液性星細胞腫(pilomyxoidastrocytoma)といった亜群が特定され,乳幼児に多く重篤な症状で発症することが知られているが,一般的に言われてきたように,予後がPAに比較して悪いのかどうかは明らかにはなっていない.組織学的にもNF1患者とNF1でない患者の腫瘍には差がある.NF1のない患者では,腫瘍は視神経に限局しており,髄膜には及ばないが,NF1患者では,腫瘍細胞がクモ膜下腔に侵入し,反応性に線維芽細胞が増殖し髄膜細胞の過形成を起こしていることが多い.視交叉から視床下部にある腫瘍は,髄液播種を起こすADBECF図1視神経膠腫のMRI所見A:右視神経に限局した腫瘍(T1強調ガドリニウム造影水平断像).B:左視神経に限局した腫瘍(T1強調ガドリニウム造影矢状断像).C:両側視神経に限局した腫瘍(T2強調水平断像).D:視交叉から視床下部に及ぶ腫瘍(T1強調ガドリニウム造影水平断像).E:視交叉から視床下部に及ぶ腫瘍(T1強調ガドリニウム造影矢状断像).F:視放線の腫瘍性病変(T1FLAIR水平断像).(23)あたらしい眼科Vol.28,No.10,20111391群(diencephalicsyndrome)とよばれる.腫瘍が巨大になると,下向性知覚運動路や脳神経3?6の障害により,局所神経障害を示す.IV診断CT(コンピュータ断層撮影),MRIにより腫瘍の存在が描出されれば診断に至る.CTは,腫瘍の存在は特定できる(図2-A,B)が,周囲組織との関係,腫瘍の広がりを判定するのは困難であり,造影MRIが望ましい(図2-C?F).本疾患を疑う場合,これを放射線科医師に伝え,視神経との関連を描出できる撮像を行うことが望ましい(図2-E,F).本疾患では,しばしば?胞性病変を合併する(図3-A?E).?胞の拡大が症状を悪化させる場合もあり注意が必要である.本疾患は,病理学的にするのが困難で,深刻な低下をきたすまで気付かれない場合が多い.一側の眼球を覆うと,内斜視,眼振を認めたり,固視が不安定となり診断可能な場合がある.3.視交叉から視床下部に及ぶ腫瘍腫瘍が増大しモンロー孔を塞ぎ閉塞性水頭症をきたし,腫瘍のmasseffectが加わり頭蓋内圧亢進をきたし頭痛・嘔吐などの症状を認める.年長の患者では,内分泌障害をきたし,成長障害や思春期早発,体重増加,過食症が認められる.乳幼児では,疾患に特徴的な所見を示さないことが多く,他疾患にも認める成長障害や巨頭症などの症状を示すことが多い.乳幼児患者で,視床下部腫瘍のため,著しいるい痩を認め,皮下脂肪がほとんど認められない状態になっていることがあり,間脳症候ADBECF図2視神経膠腫:同一患者のCT,MRI所見A:CT単純像.視交叉に腫瘍性病変を認める.B:CT単純像.水頭症を併発している.C:MRIT1強調ガドリニウム造影水平断像.視交叉に腫瘍を認めるが,視神経との関連は明白ではない.D:MRIT1強調ガドリニウム造影矢状断像.視神経との関連は明白ではない.E,F:MRIT1強調ガドリニウム造影像.視神経膠腫の可能性を考え,このような断面で画像を描出することにより,視神経と腫瘍の関係が明白になり診断を確定することができる.1392あたらしい眼科Vol.28,No.10,2011(24)しば行われ,視路の明らかな病変が認められれば,生検の必要なく診断が可能である.症状のない時期の腫瘍の治療を,すでに症状が出現している患者の治療から得られた情報をもとに考えてよいかどうかは問題である.NF1合併患者の視神経膠腫は,NF1を合併しない患者の腫瘍に比較しより緩慢な経過をたどることを示している報告が多い.NF1患者のスクリーニングMRIで症状がないか軽微な視神経膠腫を検出した場合,ただちに治療をする必要はない.後に腫瘍が増大し,治療が必要な症状を示すものはどの報告でも10?20%にすぎないからである.MRIにおいて,腫瘍の造影性が増強する場合,腫瘍活性を判断するよい指標と考えられ,実際の腫瘍の増大や,臨床症状の出現に先立って認められることが多い.腫瘍のその後の経過を個々の例で予知することは困難良性ながら,髄液播種する場合がある(図3-F?H).播種を起こしても症状がない場合もある.診断時には,頭部MRIの他に,脊髄造影MRI検査を施行し,脊髄播種の有無を確認しておくことが必要である.V治療の適応視神経膠腫では,治療の適応の判断が重要である.CT・MRIの出現する前の時代には,診断時にはすでに視機能低下,視床下部機能障害,頭蓋内圧亢進症状などの症状が出現しており,診断時から治療が明らかに必要であった.画像診断技術が発達し,多くの腫瘍が無症状か症状が軽微な時期に検出されるようになり,治療適応が問題とされるようになった.これらの腫瘍の自然歴は必ずしも明らかではない.NF1患者ではスクリーニングとしてMRI検査がしばABDEGHCF図3視神経膠腫の合併病変のMRI像1)腫瘍に?胞性病変を認める例のMRI像:T1強調ガドリニウム造影水平断像(A,B),T2強調画像水平断像(C,D),T1強調ガドリニウム造影像冠状断像(E).2)多発性頭蓋内播種:T1強調ガドリニウム造影矢状断(F).3)延髄近傍への多発性播種:T1強調ガドリニウム造影矢状断像(G).4)脊髄多発播種:T1強調ガドリニウム造影矢状断像(H).(25)あたらしい眼科Vol.28,No.10,20111393み生検が検討される傾向にある.腫瘍生検は,内視鏡や定位生検など侵襲の少ない方法が用いられ,これらが困難な場合のみ開頭手術が行われる傾向にある.初期治療としての化学療法,放射線治療の有効性が明らかになり,腫瘍の減量手術(debulkingsurgery)は,初期治療として用いられることは少なくなり,化学療法や放射線治療に不応性で,腫瘍が増大し症状が悪化した場合にのみ行われる傾向にある.腫瘍の減量が可能なら,術後療法を加え,長期にわたる腫瘍の制御が可能となることもある.VII放射線治療放射線治療は,長いこと切除困難な視神経膠腫の治療の主流であった.放射線治療は,腫瘍進行の阻止に効果的であり,診断前の視機能の障害の期間が長くない場合,視機能改善のうえでも効果的である.視神経膠腫を含めLGGの最近の報告の結果を表1に示す.放射線治療は,治療後に重篤な高次機能障害や内分泌機能障害を起こすことが多い.さらに二次癌発症や,モヤモヤ病などの血管障害のリスクが高くなる.特にNF1患者ではそのリスクがいっそう高い.最近の北米のSEER(Surveillance,Epidemiology,andEndResults)研究では,放射線治療を受けた患者の血管障害の相対危険度から,治療を受けたほぼ全患者に血管障害を発症する可能性があることが示唆されている.Shariffによれば,NF1合併患者では放射線治療をうけた18例中9例(50%)が二次癌を発症しているのに対し,放射線治療を受けていない患者の二次癌発症は40例中8例(20%)と低かった2).NF1患者の視神経膠腫では放射線治療は禁忌と考えてよい.このようなリスクを軽減するため,最新の放射線治療であり,腫瘍による視機能低下は回復不可能である場合も多いために,自然経過に確信をもつことができるまでは,定期的に神経眼科学的診察とMRIによる経過観察を行ったほうがよい.こうした方針は,すでに重篤な視機能障害を発症している場合にはあてはまらない.その後急速にさらに視機能が低下する場合が多く,臨床的に診断可能なら,生検の時間も惜しんで緊急に治療を開始したほうがよい.最初の画像診断において,巨大な造影性病変が描出された乳幼児の場合にも,腫瘍は急速に増大し,症状がさらに悪化することが多いため,早急に治療を開始したほうがよい.VI手術視神経膠腫は,発症部位から,重篤な障害なく全摘出することは困難である.腫瘍が増大しないまま静止している場合もあり,一方,放射線治療や化学療法の効果が明らかにされ,手術の適応は大きく変化してきた.歴史的には,片側の視神経に限局する腫瘍は,眼球突出を改善させ,視交叉や対側の神経に腫瘍が進展するのを防ぐため切除されていた.こうした病変を認めるのは多くがNF1患者であり,最新のMRI検査では,対側にも異常を認める場合が多く,切除された場合も,後に頭蓋内病変が出現することがあることが報告され,上記の予防的効果は疑問視されている.今日では,腫瘍の限局が明らかで,眼球突出を認め視機能がすでに失われている場合に適応を限る施設が多い.視交叉に病変が及ぶ腫瘍の場合,組織診断と腫瘍の減量が問題となる.典型的な経過と画像所見を示す場合には,病理診断なしで臨床診断によって治療適応が判断されることが多い.他疾患との鑑別が非常に困難な場合の表1視神経膠腫の放射線治療論文筆頭者論文発行年照射線量(Gy)治療対象患者数無再発生存率(event-orprogression-freesurvival)(%)2年3年5年8年10年Merchant3)2009547885Marcus4)200552.2508265Saran5)200250~551487Grabenbauer6)200045~602569Erkal7)19975030821394あたらしい眼科Vol.28,No.10,2011(26)1.化学療法の効果(図4)ほとんどの腫瘍で進行や増大が阻止され腫瘍は静止するが,縮小するものは多くはない.いずれの治療法でも,画像上腫瘍がほとんど認められなくなる完全奏効率は数%以下で,ほとんどが治療終了時に腫瘍が残存する.腫瘍縮小が認められる場合も治療開始後に時間が経ってからのことが多い.治療終了後も腫瘍の縮小が続くことがある.2.再発とその治療いずれの化学療法を用いた場合も,治療後半数近くで腫瘍が再増大し,治療が必要となる.こうした再発時にも,治療毒性の問題がなければ初期治療と同じ化学療法,あるいは異なった化学療法で,再び腫瘍の進行を阻止できる場合が多い.治療後の腫瘍の経過には幅があり,一時的に再増大した後に再び縮小する場合もある.治療の再開の判断には慎重になる必要がある.3.化学療法による視機能の変化化学療法単独による前後の視機能の変化については,最近ようやく報告がみられるようになっている.いずれの報告でも約3分の2で症状が改善するか不変,残り3分の1が悪化している.視機能予後を左右する因子はまだ確定されていない.診断までの障害の持続期間が影響を与えるものと考えられるが,年齢や,視放線の病変の有無を予後因子として同定している報告もある.改善の程度は,必ずしも腫瘍の縮小の程度とは相関しない.縮小をほとんど認めないものでも視機能の改善を認める場技術を用いて照射野を正確に腫瘍に限定し,周囲の正常組織に照射が及ばないようにする定位放射線照射の試みが行われている.最新の前向き研究の報告では,これらの方法により治療効果を保ったまま後遺症を軽減できることが示されているが,乳幼児をはじめ幼若な患者では,高次機能障害を回避できず,二次癌や血管障害の問題も回避することはできず,問題は解決したといえない3).将来的には,化学療法不応性で腫瘍減量術が困難な場合など適応を限って使用される可能性が高いと思われる.VIII化学療法放射線治療による後遺症の問題から化学療法の導入は始まった.初期には,高次機能障害が特に問題となる乳幼児で,放射線治療を遅らせる「時間稼ぎ」として化学療法は行われ,効果が明らかになるにつれ対象年齢を年長に広げる形で,広く初期治療として用いられるようになった.世界的にはさまざまな化学療法が行われ,その結果が報告されている.おもな報告を表2に示す.最も世界的に広く用いられるのは,カルボプラチンとビンクリスチン併用の化学療法である.同様に広く用いられる治療としてチオグアニン,プロカルバジン,CCNU(ロムスチン),ビンクリスチンを併用したTPCV療法がある.これら2つの治療の優劣を検証するランダム化臨床試験COGA9952が北米で行われ,最終報告を待つ段階にある.本疾患での化学療法にはつぎの特徴があり,注意が必要である.表2視神経膠腫の化学療法論文筆頭者論文発行年治療方法(レジメン)治療対象患者数無再発生存率(event-orprogression-freesurvival)(%)2年3年5年8年10年Ater8)2008CBDCA/VCR13735TPCV13748Gnekow9)2004CBDCA/VCR19861Massimino10)2002CDDP/VP163178Prados11)1997TPCV4250Packer12)1997CBDCA/VCR7868CBDCA:カルボプラチン,VCR:ビンクリスチン,TPCV:チオグアニン,プロカルバジン,CCNU(ロムスチン),ビンクリスチン併用,CDDP:シスプラチン,VP16:エトポシド.あたらしい眼科Vol.28,No.10,20111395合がある.4.治療毒性への配慮の必要性本疾患は生命予後の良い疾患であり,化学療法そのものの毒性への配慮が必要である.二次癌誘発(エトポシド,テモゾロミドなど),聴神経毒性や腎毒性(シスプラチン)などの可能性に留意し,これらの薬剤はできるだけ用いないか,secondline以降の化学療法で用いるべきであると考えられる.IX予後とフォローアップの方針本疾患は病理学的に良性の腫瘍であるが,腫瘍の切除が困難なことから,他の切除可能なLGGに比較して予後は悪い.視神経に限局する腫瘍が生命を脅かすことはほとんどないが,視交叉から視床下部に及ぶ腫瘍では腫瘍の進展のために,大きな障害を残すこともあり,生命が脅かされることもまれではない.治療終了後の腫瘍の経過は,個々に多様性があり,終了時の状態からは予想できない場合が多い.他の腫瘍のように診断後5年を超え10年,20年と時間が経ったときに全生存率がどうなっているのかを評価する必要がある.機能予後に関しても5年以上の長期予後を把握する必要がある.おわりにこれまで述べてきたように,視神経膠腫は,病理学的には低悪性度の神経膠腫であり,摘出可能であれば手術のみで生命予後は良好であるが,手術による術後合併症は無視できない場合が多く,機能予後を考慮した場合には他の治療法が初期治療として選択される.放射線治療は,腫瘍制御と症状の改善の双方におい(27)ABDEGHCF図4視神経膠腫患者の化学療法の効果(上段:治療前,下段:治療後)患者1:治療前(A,B)および化学療法終了後(E,F)のMRIT1強調ガドリニウム造影像.偶発的に発見された例で,無治療経過観察中,視機能の低下を認めてただちに治療を開始した.治療後のMRI検査では,造影剤のとり込みは著しく低下しているが,腫瘍は残存している.左眼の視力は治療前0.1から治療後1.2まで回復した.患者2:治療前(C,D)および化学療法終了後(G,H)のMRIT1強調ガドリニウム造影像.水頭症を併発して診断に至った例で,右眼は診断時光覚弁,治療によって腫瘍の著しい縮小を認めているが,治療中,治療後も右眼の視機能は回復しなかった.1396あたらしい眼科Vol.28,No.10,2011て,多くの化学療法の効果にまさるが,治療によって起こされる血管障害,高次機能障害,内分泌障害,二次癌の発症は容認しがたい.こうした障害を軽減するために,最新の治療技術を用いた放射線治療の有効性と後遺症が検証されているが,後遺症を完全に回避することは困難で,年齢などその適応が今後検討されると思われる.現行の化学療法は,こうした放射線治療で認められる後遺症がなく腫瘍の制御を達成できることが多いが,その効果は一時的であり,再発する場合も多い.より効果的で晩期障害の可能性の少ない化学療法としてビンブラスチン,ビノレルビンの導入が検討されている.このような放射線治療と化学療法の限界から,現在分子標的薬の導入も検討されている.レナリドミドやベバシズマブのパイロット試験が行われ,有効性が示唆される結果がでている.最近になって毛様性星細胞腫ではしばしばBRAF(V-rafmurineviraloncogenehomologB1)遺伝子の異常が認められることが明らかにされ,治療標的として将来有望であると考えられている.放射線治療や化学療法の問題を克服した新しい治療が将来導入される望みがある.どのような治療も,通常の腫瘍のように5年ではなく,10年,20年あるいはそれ以上の長期間での生命予後と機能予後と後遺症の有無が追跡され,そこから治療法の有効性が評価される必要がある.文献1)PollackIF:Braintumorsinchildren.NEnglJMed331:1500-1507,19942)SharifS,FernerR,BirchJMetal:Secondprimarytumorsinneurofibromatosis-1patientstreatedforopticglioma:substantialrisksafterradiotherapy.JClinOncol24:2570-2575,20063)MerchantTE,KunLE,WuSetal:PhaseIItrialofconformalradiationtherapyforpediatriclow-gradeglioma.JClinOncol27:3598-3604,20094)MarcusKJ,GoumnerovaL,BillettALetal:Stereotacticradiotherapyforlocalizedlow-gradegliomasinchildren:Finalresultsofaprospectivetrial.IntJRadiatOncolBiolPhys61:374-379,20055)SaranFH,BaumertBG,KhooVSetal:Stereotacticallyguidedconformalradiotherapyforprogressivelow-gradegliomasofchildhood.IntJRadiatOncolBiolPhys53:43-51,20026)GrabenbauerGG,SchuchardtU,BuchfelderMetal:Radiationtherapyofoptico-hypothalamicgliomas(OHG):Radiographicresponse,visionandlatetoxicity.RadiotherOncol54:239-245,20007)ErkalHS,SerinM,CakmakA:Managementofopticpathwayandchiasmatic-hypothalamicgliomasinchildrenwithradiationtherapy.RadiotherOncol45:11-15,19978)AterJ,HolmesE,ZhouTetal:ResultsofCOGprotocolA9952:Arandomizedphase3studyoftwochemotherapyregimensforincompletelyresectedlow-gradegliomainyoungchildren.NeuroOncol10:451,2008,abstrLGG189)GnekowAK,KortmannRD,PietschTetal:Lowgradechiasmatic-hypothalamicglioma-carboplatinandvincristinchemotherapyeffectivelydefersradiotherapywithinacomprehensivetreatmentstrategy:Reportfromthemulticentertreatmentstudyforchildrenandadolescentswithalowgradeglioma,HIT-LGG1996,oftheSocietyofPediatricOncologyandHematology(GPOH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