0910-1810/10/\100/頁/JCOPYがある.一方,VEGFは血管透過性亢進因子(VPF:vascularpermeabilityfactor)としての側面ももっている.VEGFとVPFは別々の分子として発見され,その後のクローニングにより同一の分子であることが判明したという歴史的背景がある.したがって,糖尿病・網膜静脈閉塞症などに伴ってVEGFが産生されると,網膜血管の血管透過性が亢進することにより黄斑浮腫は形成され,中心視力の低下に至る.II眼疾患におけるVEGFの阻害のストラテジー網膜の細胞に虚血などの変化が生じると細胞内のシグナルにより,VEGFが組織中に分泌される.分泌されたVEGFは血管内皮細胞上に発現されているレセプターに結合し,チロシンキナーゼのリン酸化が生じる.その後,種々のカスケードを伝わって,最終的には血管新生の誘導・透過性の亢進に繋がる1).VEGFを介するこのような一連の働きを阻害するためには,VEGF産生の抑制を目的としたストラテジー,産生されたVEGFがレセプターに結合するのを阻害することを目的としたストラテジー,VEGFがレセプターに結合したのちのシグナルが伝わるのを阻害することを目的としたストラテジーに分けることができる.また,違ったストラテジーをもつ薬剤を併用することにより,さらに,効果が増強される可能性もある.I眼疾患におけるVEGFのはたらき治療法の進歩に伴ってこれまで治療が困難であった種々の病態が治療可能となってきた.しかし,現在でも治療に難渋することの多い病態として,網膜・脈絡膜新生血管・黄斑浮腫・血管新生緑内障をあげることができる.これらの病態に血管内皮増殖因子(VEGF:vascularendothelialgrowthfactor)が最も深く関わっていることは近年の研究から疑う余地はない.近年,この分子をターゲットとした治療薬が盛んに開発され,すでに実用化されている薬剤もある(表1).VEGFは生理的な血管形成においても重要な働きをもった分子である.それは,VEGFノックアウトマウスはヘテロ接合体でも胎生致死に至ることからもわかる.そのほか,加齢・糖尿病・網膜虚血などの病的な状態でもVEGFは盛んに分泌され,血管新生を誘導する.代表的な疾患としては増殖糖尿病網膜症・未熟児網膜症・加齢黄斑変性・血管新生緑内障などがある.増殖糖尿病網膜症・未熟児網膜症では網膜の虚血に伴い,VEGFが産生され,網膜の血管新生・線維血管増殖が生じる.加齢黄斑変性は網膜色素上皮・Bruch膜の加齢変化・慢性炎症などにより,視細胞・網膜色素上皮細胞などからVEGFが産生され,脈絡膜新生血管が誘導される結果,中心視力の低下を伴う.また,糖尿病網膜症や網膜中心静脈閉塞症では網膜の広汎な虚血により隅角に血管新生が生じると,血管新生緑内障を発症すること(3)1325*AkitakaTsujikawa:京都大学大学院医学研究科視覚病態学〔別刷請求先〕辻川明孝:〒606-8507京都市左京区聖護院川原町54京都大学大学院医学研究科視覚病態学特集●眼科薬物療法の新たな展開あたらしい眼科27(10):1325.1331,2010抗VEGF剤Anti-VEGFAgent辻川明孝*1326あたらしい眼科Vol.27,No.10,2010(4)VEGF産生の抑制を目的としたストラテジーのターゲットとしてはセリン/チロシンキナーゼであるmTOR(mammaliantargetofrapamycin),HiF-1a(hypoxiainduciblefactor-1a)などが注目されている.また,血管内皮細胞内でシグナルが伝わるのを阻害することを目的としたストラテジーとしてはチロシンキナーゼインヒビターが注目されている.一方,VEGFそのものを阻害するストラテジーでは組織中のVEGFもしくはそのレセプターをターゲットとしている.VEGFには5つのアイソフォームが知られている.そのうち,眼内での血管新生・透過性亢進に関与するのは主にVEGF165とVEGF121である(図1).おおざっぱに分けるのであれば,VEGF121は生理的な血管形成に主要な役割を果たし,VEGF165は病的な血管形成に関与していると考えることができる.VEGFのレセプターにはVEGFR-1(FLT1)とVEGFR-2(KDL)があり,血管内皮細胞の分裂にはVEGFR-2が関与している.VEGFは二量体を形成しており,VEGFR-2と結合する際に,VEGF165と特異的に結合するneuropilin-1とも共結合することにより,VEGFの血管内皮細表1VEGF阻害薬一般名PegaptanibLanibizumabBevacizumabAflibercept商品名MacugenRLucentisRAvastinRVEGFTrap-Eye製剤アプタマー改変Fabフラグメント抗体可溶性蛋白ターゲットVEGF165VEGFVEGFVEGF,PIGF分子量50kD50kD150kD115kD投与方法硝子体内注入硝子体内注入硝子体内注入硝子体内注入特徴VEGF121は阻害しないので安全性が高いといわれている.滲出型加齢黄斑変性に対する治療効果は高い.脳血管障害のリスクが増加するとの解析結果もある.新生血管・黄斑浮腫に対する治療効果は高い.血中での半減期が長く,全身的な副作用のリスクがある.硝子体中での半減期が長く,投与間隔を長くできる可能性がある.日本での眼科適応中心窩CVNを伴った滲出型加齢黄斑変性中心窩CVNを伴った滲出型加齢黄斑変性なしなし日本での現状脳血管障害の既往のある場合になどには用いられることも多い.中心窩CVNを伴った滲出型加齢黄斑変性に対しては第一選択になることが多い.MacugenR,LucentisRの眼科適応のない疾患に対しては多く用いられている.用いることはできない.開発現状糖尿病黄斑浮腫に対する臨床試験が予定されている.糖尿病黄斑浮腫,網膜中心静脈閉塞症,網膜静脈分枝閉塞症に対する第3相臨床試験が進行中.滲出型加齢黄斑変性に対するCATTstudyが進行中.滲出型加齢黄斑変性,網膜中心静脈閉塞症に対する国際共同第3相臨床試験が進行中.糖尿病黄斑浮腫に対する第2相臨床試験が進行中.VEGFR-1VEGF165血管内皮細胞VEGF121Neuropilin-1VEGFR-2視細胞・網膜色素上皮細胞・グリア細胞など図1VEGFのアイソフォームとレセプター眼内での血管新生・透過性亢進に関与するのは主にVEGF165とVEGF121である.VEGF121は生理的な血管新生に主要な役割を果たし,VEGF165は病的な状態に関与している.VEGFのレセプターはVEGFR-1とVEGFR-2があり,血管内皮細胞の分裂にはVEGFR-2が関与している.VEGFR-2と結合する際に,VEGF165と特異的に結合するneuropilin-1とも共結合することにより,VEGFの血管内皮細胞への作用は増強される.(文献1を改変)(5)あたらしい眼科Vol.27,No.10,20101327る.また,糖尿病黄斑浮腫に対する臨床試験が予定されている.IVRanibizumab(LucentisR)とBevacizumab(AvastinR)Bevacizumab(AvastinR)はマウス由来の抗VEGF抗体として転移性大腸癌・結腸癌などに対して臨床使用されている.しかし,全長の抗VEGF抗体AvastinRは分子量が大きく(150kD),硝子体内注入した場合に新生血管への移行が悪いと考えられ,抗VEGF抗体のFabフラグメントからより小さな分子量(50kD)の誘導体としてLucentisRが開発された(図2).LucentisRはVEGFアイソフォームに対する特異性はなく,すべてのアイソフォームのVEGFを阻害する.さらに,アミノ酸配列を改変し,VEGFへの親和性はAvastinRよりも高くなっている.LucentisRは2006年にFDAの承認,わが国でも2009年に中心窩下脈絡膜新生血管を伴った加齢黄斑変性に対して認可を受けて,現在,第一選択の薬剤として用いられている.LucentisRの滲出型加齢黄斑変性への治療効果について,欧米でのMARINA4),FOCUS,ANCHOR5)studyなどの大規模多施設臨床研究がなされている.脈絡膜新生血管のサブタイプにかかわらず,LucentisRを4週間ごとに硝子体注入を続けることにより既存の治療法より胞への作用は増強される.IIIPegaptanib(MacugenR)MacugenRは眼科領域で最初に承認された抗VEGF剤であり,2004年にFDA(米国食品・医薬品局)の承認を受け,わが国でも2008年から中心窩下脈絡膜新生血管を伴った加齢黄斑変性に対して認可されている.前述のように,眼内ではVEGF121は生理的な機能が強く,脈絡膜新生血管の形成・維持にはVEGF165の関与が強い.MacugenRはVEGF165に対して選択的に結合するように作製されたアプタマー製剤である.ランダムな配列のオリゴヌクレオチドのライブラリーからVEGF165に対して選択的に結合するリガンドを選別して作製する.MacugenRの基本構造は28塩基からなるRNAであり,半減期を延長する目的で高分子ポリエチレングリコールを5末端に付加されており,分子量はほぼ50kDである.MacugenRは硝子体内注入で使用されるが,臨床上は6週間ごとの使用が推奨され,LucentisR,AvastinRに比べると投与間隔が長い.しかも,VEGF165に選択的に結合し,生理的なVEGF121の作用は阻害しないため,安全性が高いことが推測されている.しかし,脈絡膜新生血管に対する治療効果を検討したVISIONstudy2)では,自然経過よりは視力予後は改善されるが,くり返し治療を行っても平均視力は低下している.LucentisR,AvastinRに比べると治療効果はマイルドであると考えられている.しかし,わが国での臨床試験ではMacugenRの硝子体注入で1年間視力は維持されており,欧米での結果よりは良好である.しかし,現在では滲出型加齢黄斑変性に対してはLucentisRが第一選択となることが多い.MacugenRは脳血管障害の既往がある患者などに対しては安全性を考慮して用いられることもある.また,抗VEGF剤はくり返し投与する必要があるので,導入期にはLucentisR,AvastinRなどの強力な薬剤を用いて病態を沈静化させ,その後の維持期には,安全性が高く投与間隔の長いMacugenRを用いる使用法も試みられている3).他疾患に対しては,MacugenRの網膜中心静脈閉塞症,網膜静脈分枝閉塞症に対する有効性が報告されてい図2Ranibizumab(LucentisR)とBevacizumab(AvastinR)Bevacizumab(AvastinR)はマウス由来の抗VEGF抗体である.LucentisRは抗VEGF抗体のFabフラグメントからより小さな分子量の誘導体として開発された.アミノ酸配列を改変し,VEGFへの親和性はAvastinRよりも高くなっている.(文献9を改変),O.O.,..LightchainHeavychainHumanizedFabフラグメントHumanizedFabフラグメント全長Humanized抗体(約149kD)Humanized抗体フラグメント(48kD)Humanized抗体の合成選択的結合能の向上FcFcBevacizumab(AvastinR)Ranibizumab(LucentisR)1328あたらしい眼科Vol.27,No.10,2010(6)VVEGFTrap.EyeMacugenR,LucentisRに続く第3の抗VEGF剤として期待されているのがaflibercept(VEGFTrap)である.VEGFTrapはVEGFR-1(FLT1)の細胞外イムノグロブリンドメイン2とVEGFR-2(KDR)の細胞外イムノグロブリンドメイン3とをヒトIgG1Fcとに結合させた可溶性融合蛋白で,VEGFだけでなく胎盤成長因子(PIGF)とも結合する(図3)11,12).VEGFTrapのVEGFとの結合能は非常に高い.VEGFTrapはすべてのアイソフォームのVEGF,血管増殖作用のあるPIGFなどとも結合することにより,これまでの製剤と比べて高い血管新生抑制効果が期待されている.また,Fcフラグメントで結合されていることにより,組織中での半減期が長くなっている.現在,中心窩下脈絡膜新生血管を伴った加齢黄斑変性に対する国際共同第3相臨床試験が行われている.LucentisRを対照とした非劣性試験であるが,投与間隔を長くすることができる可能性がある.そのほかにも,網膜中心静脈閉塞症に対して国際共同第3相臨床試験,糖尿病黄斑浮腫に対する第2相臨床試験が進行中である.も有意に視力改善効果があることが示された.しかも,初期の投与により大幅に視力が改善し,さらに毎月投与し続けることにより,視力改善効果が維持されている.しかし,その後の研究により,維持期のLucentisRの投与を3カ月間隔にすると,導入期の視力改善効果は失われることが報告された6).現実的には毎月の投与は患者側にとっても,医師側にとっても大変である.そこで,現在では導入期の3回の毎月投与に引き続いて,毎月診察し,滲出性変化や視力低下を認めた場合には再投与を行うという方針で一般的に治療が行われている7).また,糖尿病黄斑症,網膜静脈閉塞症に対しての臨床試験も現在行われており,今後使用できるようになる可能性がある.AvastinRは眼科領域での適応がないものの,加齢黄斑変性・網膜静脈閉塞症・未熟児網膜症・糖尿病網膜症・新生血管緑内障などさまざまな疾患に対しての有効性が報告されて,off-labelで用いられている8).臨床の場でもLucentisRに比べると安価であることもあり,世界中で用いられている9).大規模な比較試験は行われていないため,効果の違いは定かではないが,AvastinRの効果はLucentisRに劣らないのではないかと一般に考えられている.現在,滲出型加齢黄斑変性を対象とした大規模臨床研究CATTstudyが進行中であるが,結果が待たれるところである.AvastinR,LucentisRは硝子体内注入を行っても薬剤は血中にわずかに移行する.LucentisRはすべてのアイソフォームのVEGFを阻害するため,脳血管障害のリスクが上昇する可能性が報告されている10).しかし,LucentisRは血漿中での半減期は約半日であり,血中では速やかに分解される.一方,AvastinRは元来静脈内投与を目的とした薬剤であるため血中で分解されにくいように修飾されており,血中での半減期は約20日である.したがって,AvastinRの硝子体内投与を行った際の血中の濃度はLucentisRを投与した場合に比べて,100倍以上高くなるため全身的な副作用が懸念されている.実際,片眼にAvastinRの硝子体内注入を行っても,他眼にも効果がみられることが報告されている.図3VEGFTrap.EyeVEGFTrapはVEGFR-1の細胞外イムノグロブリンドメイン2とVEGFR-2の細胞外イムノグロブリンドメイン3とをヒトIgG1Fcとに結合させた可溶性融合蛋白で,VEGFだけでなく胎盤成長因子(PIGF)とも結合する.VEGFTrapのVEGFとの結合能は非常に高い.すべてのアイソフォームのVEGFと結合するだけではなく,血管増殖作用のあるPIGFなどとも結合する.また,Fcフラグメントで結合されていることにより,組織中での半減期が長くなっている.(文献11を改変)①②③④⑤⑥⑦VEGFR-1KinaseKd10~20pMKd<1pMKinaseKd100~300pMVEGFTrap②③Fc①②③④⑤⑥⑦VEGFR-2②③(7)あたらしい眼科Vol.27,No.10,20101329VIISiRNA細胞内ではDNAからmRNAが合成され,コードされた蛋白質が合成される.そこで,抗体などを用いて合成された蛋白質を抑制するのではなく,蛋白質を合成するためのmRNAをターゲットとした治療のほうが効率がよいことが推測される.mRNAをターゲットとしたストラテジーとして注目を集めているのがRNA干渉(RNAi)という現象である.RNAの断片を細胞内に導入すると特定の遺伝子の働きが抑制され,その結果,本来この遺伝子がコードする蛋白質が合成されなくなる.ターゲットとする蛋白質の情報をもったmRNAに対して結合するような20塩基程度の長さの二本鎖RNAを細胞内に投与すると,細胞内で一本鎖になった導入RNAはターゲットとされたmRNAに結合し,mRNAは分解されてしまう.抗体などを投与し蛋白質を阻害するより100倍効果が高いと注目を集めたが,現在のところ開発は難航している.1.BevasiranibsiRNA薬剤として開発が最も進んでいたのがbevasiranibである.BevasiranibはVEGFを標的とした天然型siRNAであり,VEGFのmRNAを阻害することにより,VEGF合成が抑制される.これまで,滲出型加齢黄斑変性に対する臨床開発が進められてきた.2004年に第1相,2005.6年に第2a相臨床試験がなされ,第3相臨床試験ではLucentisR単独治療と,Lucen-VISilolimus(rapamycine)Silolimusは多彩な生理作用をもつが,rapamycineとして知られ,免疫抑制薬として使用されている.SilolimusはVEGF発現の上流にあるmTOR(mammaliantargetofrapamycin)というセリン/チロシンキナーゼを抑制することが知られている.mTORは細胞の増殖・細胞死・蛋白質合成などに重要な働きを行っており,mTORを抑制することにより,VEGF,TGF(変換成長因子)-b,HIF(低酸素誘導因子)-1a,FGF(線維芽細胞増殖因子)-1などの分子発現が抑制されることが知られている.現在,糖尿病黄斑浮腫・加齢黄斑変性に対するsilolimusの臨床効果を検討するための第1相/前期第2相試験臨床試験が行われている(表2).臨床試験ではsilolimusは結膜下投与で用いられ,比較的長い効果が期待されている.表2開発中のVEGF関連薬剤mTOR阻害薬転写因子阻害薬Integrin阻害薬薬剤SilolimusBevasiranibSirma-027PF-04523655VolociximabJSM6427製剤siRNAsiRNAsiRNA抗体抗体ターゲットmTORVEGFVEGFR-1RTP801integrinintegrin投与方法硝子体注入結膜下注射硝子体内注入硝子体内注入硝子体内注入硝子体内注入硝子体内注入徐放剤開発現状糖尿病黄斑浮腫・加齢黄斑変性に対する第1相/前期第2相試験臨床試験進行中.滲出型加齢黄斑変性に対する第3相臨床試験が行われたが,2009年に開発が中断された.滲出型加齢黄斑変性に対する第2相臨床試験が行われる予定であったが,2009年に開発が中断された.滲出型加齢黄斑変性に対する第2相臨床試験が進行中.第1相臨床試験が進行中.第1相臨床試験が終了.チロシンキナーゼ阻害薬薬剤PazopanibAG013958製剤アプタマーターゲットVEGFRリン酸化VEGFRリン酸化投与方法点眼Tenon.下注入開発現状1330あたらしい眼科Vol.27,No.10,2010(8)Pazopanibはアプタマー製剤であり,点眼での臨床応用をめざし開発中である.また,AG013958はTenon.下注入にて開発中である.おわりにVEGF分子そのものをターゲットとした治療薬はMacugenR,LucentisRなどすでに臨床使用可能となっている.理論上は,分子自体をターゲットとするより,VEGFの作用カスケード上の分子をコードするmRNAをターゲットとしたほうが効率がよい可能性が考えられてきた.しかし,VEGF分子そのものをターゲットとした治療薬のつぎに,臨床使用が可能となると目されていたsiRNAの開発はあまり進んでいないのが現状である.しかし,他領域でもsiRNAの開発は盛んに行われており,今後の進展が期待される.文献1)FerraraN,GerberHP,LeCouterJ:ThebiologyofVEGFanditsreceptors.NatMed9:669-676,20032)GragoudasES,AdamisAP,CunninghamETJretal:Pegaptanibforneovascularage-relatedmaculardegeneration.NEnglJMed351:2805-2816,20043)FribergTR,TolentinoM:Pegaptanibsodiumasmaintenancetherapyinneovascularage-relatedmaculardegeneration:theLEVELstudy.BrJOphthalmol,inpress4)RosenfeldPJ,BrownDM,HeierJSetal:Ranibizumabforneovascularage-relatedmaculardegeneration.NEnglJMed355:1419-1431,20065)BrownDM,KaiserPK,MichelsMetal:Ranibizumabversusverteporfinforneovascularage-relatedmaculardegeneration.NEnglJMed355:1432-1444,20066)RegilloCD,BrownDM,AbrahamPetal:Randomized,double-masked,sham-controlledtrialofranibizumabforneovascularage-relatedmaculardegeneration:PIERStudyyear1.AmJOphthalmol145:239-248,20087)LalwaniGA,RosenfeldPJ,FungAEetal:Avariabledosingregimenwithintravitrealranibizumabforneovascularage-relatedmaculardegeneration:year2ofthePrONTOStudy.AmJOphthalmol148:43-58,20098)AveryRL,PieramiciDJ,RabenaMDetal:Intravitrealbevacizumab(Avastin)forneovascularage-relatedmaculardegeneration.Ophthalmology113:363-372,20069)SteinbrookR:Thepriceofsight─ranibizumab,bevacizumab,andthetreatmentofmaculardegeneration.NEnglJMed355:1409-1412,200610)UetaT,YanagiY,TamakiYetal:CerebrovascularaccitisRとbevasiranibの併用両療法の治療効果の比較効果が計画され,2008年12月に患者登録を完了した.しかし,2009年に開発が中断された.詳細な理由は不明であるが,LucentisRに対して十分な効果がみられなかったのが理由ではないかと推察されている.2.Sirma.027Sirma-027はVEGFR-1を標的とした化学修飾siRNAである.血管内皮細胞上でのVEGFレセプターの発現を抑制することにより,VEGFの作用を阻害する.2006年に第1・2相臨床試験の結果が発表され,第2相臨床試験が行われた.この試験ではLucentisR単独治療を対照として,Sirma-027単独療法の治療効果が検討される予定であったが,2009年に開発が中断された.LucentisRに比べて十分な効果がみられなかったのが理由ではないかと推察されている.3.PF.04523655(REDD14NP)mTORの上流にあるRTP801の発現を阻害する目的で作られた19塩基対からなる合成siRNA薬剤である.上記のVEGFまたはVEGFR-1を阻害するsiRNAでは,その長さは21塩基対以上であるため,本来の標的阻害とは別の作用としてTLR3(Toll-likereceptor3)を活性化することによっても臨床効果を発現することが報告されている.一方,PF-04523655は19塩基対なのでTLR3は活性化せず,低酸素により発現誘導される遺伝子であるRTP801の発現を阻害することにより臨床効果を発現すると考えられる.現在,第2相臨床試験が進行中である.VIIIその他の薬剤その他には血管内皮細胞上のintegrinをターゲットとした治療も研究開発されている.内皮細胞上に発現されたa5b1integrinの活性化がVEGFR-2の活性化に寄与している.抗体であるvolociximabや徐放剤のJSM6427の開発が進められている.また,チロシンキナーゼインヒビターも複数開発中である.血管内皮細胞でのVEGF/PDGFレセプターのリン酸化を阻害することにより,血管新生を抑制する.あたらしい眼科Vol.27,No.10,20101331dentsinranibizumab.Ophthalmology116:362,200911)RiniBI,RathmellWK:Biologicalaspectsandbindingstrategiesofvascularendothelialgrowthfactorinrenalcellcarcinoma.ClinCancerRes13:741s-746s,200712)HolashJ,DavisS,PapadopoulosNetal:VEGF-Trap:aVEGFblockerwithpotentantitumoreffects.ProcNatlAcadSciUSA99:11393-11398,2002(9)