———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.5,20086690910-1810/08/\100/頁/JCLS神経堤細胞んのとお前眼部部とのをるるを路とすのと神経神経堤細胞神経細胞とのの細胞群でににを与とでに形成すので神経堤細胞とを部分の前眼部の形成にをす神経堤細胞と神経の部に形成る細胞で化するとで細胞の発ににすの後にグ細胞細胞細胞にに細胞に分化するをとのをすで眼での神経堤細胞の分ととをグで内一子の分すとるでにに分前眼部発に与す神経堤細胞の分化に関与する因子と発達緑内障をとにする神経堤細胞で分化後のとお発で発部との分化です前眼部神経堤細胞の発とを発達緑内障をわわ眼にるとす前眼部神経堤細胞の分化に関わる因子群分にんのる因子ので発達緑内障に関する因子群をにす因子でる前眼部形成にをとすののと子群の因子とですと眼発に眼のに発すににの発部に部に発すので内の形成との分を前形成と前眼部形成に因子でるとわすでのの発神経堤細胞を分化にととるを化を化成にす神経堤細胞の分化をする分子ルととグ成因子b(TGF-b)があげられます(図1).TGF-bスーパーファミリーは細胞の増殖・分化・アポトーシスのみならず,(93)◆シリーズ第89回◆眼科医のための先端医療=坂本泰二山下英俊岩尾圭一郎(熊本大学大学院医学薬学研究部視機能病態学)前眼部形成に関わる因子群と発達緑内障図1前眼部神経堤細胞におけるシグナル経路神経堤細胞は,TGF-bスーパーファミリー(TGF-b2やBMP4)の刺激を受けると,SMAD経路を経て,FOXC1やPITX2などの転写因子を発現し,活性レベルや時期によりさまざまな前眼部組織へと分化していく.角膜実質や角膜輪部などでは活発にコラーゲンなどの細胞外マトリックスを産生する.PITX2PloPitx2SMADFoxH1SMAD2/3FOXC1CMSMADPLODSMAD1/5/8Foxc1細胞質内細胞外マトリックスBMP4TGF-b2———————————————————————-Page2670あたらしい眼科Vol.25,No.5,2008細胞外基質の産生,免疫系の制御など多岐にわたる役割を担っています.和歌山県立医科大学の雑賀司珠也先生7)のマウスを用いた研究で,そのなかのアイソフォームのなかでも特にTGF-b2が重要であることが報告されています.前述のFoxc1やPitx2の発現も,その上流でTGF-b2の制御を受けていることが知られています8).TGF-b2やそのレセプターをKOしたマウス実験でも,Foxc1やPitx2をKOした際と同様に,角膜や隅角に分化・増殖異常が生じ,Axenfeld-Rieger症候群やPeters奇形に類似した眼所見を呈することが証明されています7,8).このほかの前眼部形成に必要な分子に,CYP1B1(cytochromeP-450,family1,subfamilyb,polypeptide1)9)やtyrosinase10)があります.Cyp1b1は発達緑内障の原因遺伝子として有名ですが,CYP1B1はtrans-retinolの酸化,TCFAP2Aを介し,tyrosinehydroxy-laseを調節している可能性が示されています11).Tyrosinehydroxylaseもtyrosinaseも,メラニン代謝に重要な酵素であり,隅角形成に関与している可能性がトランスジェニックマウスを用いた実験から示唆されています10)が,その代謝産物であるL-dopaがどのような経路を経て,前眼部形成に関与しているかについては,まだ詳細は不明です.今後の展望神経堤細胞前眼部形成におをす細胞群です今因子群神経堤細胞の分化にわるに因子にのですお山の一でのに因子群にを形成るとすの分のにとで前眼部形成にる眼ルの緑内障の因子発発達緑内障群と神経堤細胞関与するのとす文献1)CreuzetS,VincentC,CoulyG:Neuralcrestderivativesinocularandperiocularstructures.IntJDevBiol49:161-171,20052)GagePJ,RhoadesW,PruckaSKetal:Fatemapsofneu-ralcrestandmesoderminthemammalianeye.InvestOphthalmolVisSci46:4200-4208,20053)KidsonSH,KumeT,DengKetal:Theforkhead/winged-helixgene,Mf1,isnecessaryforthenormaldevelopmentofthecorneaandformationoftheanteriorchamberinthemouseeye.DevBiol211:306-322,19994)HjaltTA,SeminaEV,AmendtBAetal:ThePitx2pro-teininmousedevelopment.DevDyn218:195-200,20005)GagePJ,SuhH,CamperSA:DosagerequirementofPitx2fordevelopmentofmultipleorgans.Development126:4643-4651,19996)HjaltTA,AmendtBA,MurrayJC:PITX2regulatespro-collagenlysylhydroxylase(PLOD)geneexpression:implicationsforthepathologyofRiegersyndrome.JCellBiol152:545-552,20017)SaikaS,SaikaS,LiuCYetal:TGFbeta2incornealmor-phogenesisduringmouseembryonicdevelopment.DevBiol240:419-432,20018)IttnerLM,WurdakH,SchwerdtfegerKetal:CompounddevelopmentaleyedisordersfollowinginactivationofTGFbetasignalinginneural-creststemcells.JBiol4:11,20059)StoilovI,AkarsuAN,SarfaraziM:IdenticationofthreedierenttruncatingmutationsincytochromeP4501B1(CYP1B1)astheprincipalcauseofprimarycongenitalglaucoma(Buphthalmos)infamilieslinkedtotheGLC3Alocusonchromosome2p21.HumMolGenet6:641-647,199710)LibbyRT,SmithRS,SavinovaOVetal:Modicationofoculardefectsinmousedevelopmentalglaucomamodelsbytyrosinase.Science299:1578-1581,200311)ChenH,HowaldWN,JuchauMR:Biosynthesisofall-trans-retinoicacidfromall-trans-retinol:catalysisofall-trans-retinoloxidationbyhumanP-450cytochromes.DrugMetabDispos28:315-322,2000(94)☆☆☆———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.25,No.5,2008671(95)「前眼部形成に関わる因子群と発達緑内障」を読んで今回は熊本大学視機能病態学の岩尾圭一郎先生による神経堤細胞の前眼部形成の分子メカニズムと前眼部の先天性疾患病態についてのわかりやすく明快な解説です.前眼部の発生はダイナミックにいろいろの組織が形成されていき,きわめて複雑な期間が形成されていくことは神秘的でさえあります.発達の過程と,その障害によるAxenfeld-Rieger症候群,発達緑内障,ICE(iridocornealendothelial)症候群などの病態を「神秘」で片づけないで,分子レベルでメカニズムを解明する研究がきわめて進歩していることが岩尾先生の解説でとてもよくわかりました.現時点でも,FOXC1,PITX2,TGF-b2,CYP1B1といった種々の因子が神経堤細胞の前眼部形成への関与に関連する機能を制御していることが明らかにされ,Axenfeld-Rieger症候群,発達緑内障の病態への関与のメカニズムも解明されつつあるということがわかります.ただ,最後に述べておられるように「このほかにもさまざまな因子群が複雑に絡み合うネットワークを形成」していることが考えられ,現状の把握も困難です.これはゲノムプロジェクトが終了したいわゆるポストゲノムの時代といわれる現代生命科学の重大なテーマとなると考えられます.ヒトの遺伝子の塩基配列はすべて明らかになりました.ゲノムのなかでの遺伝子としての暗号の解読,その遺伝子としての暗号の解読,つまり,どのように読んだらヒトという生命体の発生,成長,老化などの生命現象を支え機能している幾つもの遺伝子を取り出せるのか,その遺伝子がコードしている蛋白質はどのような構造,機能をもっているかを研究することが生命科学の重大な課題です.たとえば,今回のテーマである神経堤細胞がどのように前眼部の形態形成に関与するかという研究を細胞,分子のレベルだけで積み上げていくことはとても気が遠くなるような作業です.しかし,大切な情報をわれわれ臨床医はもっています.いろいろな疾患を治療するために綿密に患者さんを診察し,治療することを体系的に積み上げて臨床医学としての眼科学という知恵と情報の集積をもっています.Foxc1とPitx2遺伝子の機能がおかしくなるとAxenfeld-Rieger症候群を起こすということから,生体のなかでの遺伝子の動きを予測することができますし,ノックアウトマウスやトランスジェニックマウスなどの手法を用いた動物モデルをつくって検証するときにはそのゴールドスタンダードは臨床医学の情報です.われわれ臨床医は患者さんを最善の方法で治療するという目的のためにこれらの情報を利用していますが,臨床医学のなかで解決できない問題の解決には基礎医学での研究の成果を利用したいと考えています.つまり,臨床医学は研究という大きな戦略のなかの入り口であり,かつ出口であり,またそうあらねばなりません.このように,われわれ臨床医がもっている情報を提供してよりよい研究が進行するようにすることが社会から求められていると考えます.生命科学は近年長足の進歩をして,研究の倫理的な面での規制(再生医療などで顕著ですが)も出てきつつあります.健全で自由で有益な生命科学の研究を遂行していくためには,研究の目的として臨床的な意義をはっきりさせていく努力がわれわれ臨床医には課せられているようです.それはわれわれ臨床医の義務であり,かつ権利でもあるかもしれません.そして,基礎的な生命科学と臨床医学をつなぐ岩尾先生のようなclinicalsci-entistが多く活躍できる研究環境を整備することが,社会的にわれわれに課され期待されていることにこたえる重要な戦略であろうと考えます.山形大学医学部情報構造制御学講座視覚病態学分野山下英俊☆☆☆