特集●視神経炎と視神経症:全身と眼の架け橋あたらしい眼科33(5):671〜677,2016レーベル遺伝性視神経症の最前線CuttingEdgeofLeberHereditaryOpticNeuropathy中村誠*はじめにレーベル遺伝性視神経症(Leberhereditaryopticneuropathy:LHON)は,母系遺伝形式をとり,若年男性に好発する視神経症である.ヒトで初めて発見されたミトコンドリア病であり,非常にユニークな遺伝学上,臨床上の特徴をもっている.昨年,わが国におけるLHON認定基準が策定された1).ほかのミトコンドリア病と同様,有病率推計が難しかったが,現在その推計作業が進んでいる.近年,薬物や遺伝子治療に関する臨床研究・治験成績が報告されており,「治療可能な遺伝病」である可能性が指摘されつつある.本稿ではこうした話題について解説する.I遺伝学的・臨床的特徴と認定基準最近,LHONの認定基準1)が策定され,厚生労働省の難病にも指定された(表1).基準は,LHONに特徴的な主徴候と検査所見を基に確定例,確実例,疑い例,保因者に区分している.主徴候にあるように,LHONは視神経炎とは異なり,眼球運動時痛がない.多くは片眼で症状が始まり,数週~数カ月の間隔を経て反対眼へ移行する.急性期には,特徴的な視神経乳頭の発赤,神経線維の腫脹,乳頭周囲の毛細血管拡張がみられる(図1a).乳頭黄斑線維束を中心に,視神経は次第に萎縮する.光干渉断層計では耳側乳頭周囲網膜神経線維層厚と黄斑部内層網膜厚の菲薄化が進行性にみられる.検査所見としては,視神経炎とは異なり,フルオレセイン蛍光眼底造影で毛細血管からの色素漏出を認めない(図1b).また,眼窩部造影MRIにおいても視神経の増強効果はみられない.LHONは,10~20歳代の男性に好発する一方,10歳未満や中高齢,女性の発症もみられる.中高齢者では,過度の飲酒・喫煙,頭部・眼窩部の鈍的外傷,糖尿病などの代謝疾患の発症などがトリガーとなることが多い.多くの場合,片眼の視力低下と中心暗点が生じ,その後,僚眼にも発症する.極期の視力は0.1以下,多くの場合0.01ないし手動弁程度まで低下する.視野障害は,乳頭黄斑線維束障害を反映して中心窩耳側の感度低下で始まり2),広範囲の深い中心暗点の形成に至る(図2).こうした視力や視野障害の程度に比べて,LHONの対光反応の障害は軽度であることが知られていた.最近,対光反応は視細胞を介さず,メラノプシンを産生する網膜神経節細胞(intrinsicallyphotosensitivemelanopsinRGC:ipRGC)(用語解説参照)が直接光を感受することがわかってきた.実はLHONでは,このipRGCが選択的に障害を免れている可能性が示されている3).LHONのもう一つの臨床的特徴として,自然回復例の存在があげられる4)(図2).発症後半年から1年かけてゆっくりと回復したり,中には発症後何年も経って突然劇的に視力が回復する例も存在する.視力は不変であっても,暗点内部にモザイク状に感度が改善する領域が現れることもある.穴あき暗点(fenestratedscotoma)とかドーナツないしベーグル暗点とよばれる.通常の視標サイズIIIでははっきりわからなくても,サイズVにすると暗点の縮小化が顕著に捉えられることがある.10歳未満での発症例は自然回復する率が高い4).確定診断にもっとも威力を発揮するのがミトコンドリア遺伝子(mtDNA)検査である.mtDNAは約16,500塩基対の長さをもつ環状DNAであり,1つの細胞内に数百~数千個存在する.ミトコンドリアは母親由来で子孫に受け継がれるため,mtDNA変異も同様に母系遺伝を取る.LHON家系の95%はmtDNAの3460,11778,14484番目の塩基のいずれかにミスセンス変異を有する.とりわけ,日本人家系は11778変異症例が90%を占める(図3).ただし,日本人家系といえども3460変異例や14484変異例が存在するので,LHONを疑えば,これら3変異の有無は調査しなければいけない.現在は,委託により検査可能である.また,少数例ではそれ以外の場所の変異も見いだされている(表2)1).これらの変異を検索するには,専門の施設に依頼する.確定例,確実例,疑い例と判定された場合,視力が良いほうの眼の矯正視力が0.3未満の重症のものは,難病認定対象となる.LHONと鑑別すべき疾患を表3に示す1).上記認定基準により,LHON患者が一定の社会保障を享受できるようになったことは朗報であろう.また,2015年には日本神経眼科学会と厚生労働省網脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班が合同で,2014年のLHON新規発症患者数と,それに基づく2014年における有病率を推計する全国調査を行った.現在論文投稿中のため詳細は伏せるが,わが国にはおおよそ5,000人のLHON患者がいると推定される.IIミトコンドリア遺伝子変異のLHON発症へのかかわり冒頭で述べたように,LHONはミトコンドリア遺伝子変異の関連がヒトで最初に示された疾患である.ミトコンドリアは,細胞のエネルギーであるATPを産生する細胞内小器官であり,内外2つの膜,膜間スペース,内膜の内側にあるマトリックス(基質)に区分される5).内膜には酸化的燐酸化によりATPを合成する呼吸鎖複合体が埋め込まれ,マトリックスにはmtDNAが多数存在している.呼吸鎖複合体は90個の蛋白質から構成されるが,このうち13個はmtDNA支配,残りは核遺伝子支配である.この90個の蛋白は4つの巨大分子を形成し,複合体I,III,IV,Vとよばれる.mtDNAがコードするものは,6個の電子伝達系酵素サブユニット,22個の転移RNA,2個のリボゾームRNAである.mtDNA変異により,酸化的リン酸化の過程で活性酸素が過剰産生され,ミトコンドリア膜透過遷移小孔が開いて,apoptosisinducingfactorやcytochromecがミトコンドリアから細胞質へ流出し,RGCのカスパーゼ非依存性アポトーシスが誘導されると考えられている6).IIILHON発症の修飾因子しかしながら,mtDNA変異だけではLHONの発症には至らない.上記の3つのmtDNA変異をもつ率は約8,000人に1人とする報告6)があるのに,実際の発症率は半分以下である.海外の報告によれば,14,000~31,000人に1人の有病率と推定されている.また,浸透率も男性ではおおむね40~50%,女性では10~20%程度である.しかもこの男女比は,3460変異家系では1.73なのに対し,11778変異家系では5.13と大きく異なる.このような低浸透率と発症の性差はmtDNA変異単独では説明できず,別の遺伝ないし環境因子がLHON発症を修飾すると考えられている.遺伝因子としては,一つにはmtDNAhaplogroupがある.mtDNAは共通の祖先をもつ家系ごとに,一定の変異モチーフを共有するhaplogroupに分けることができる.同じLHON特異的3大mtDNA変異をもっていても,背景にもつhaplogroupによって発症頻度が変わることが知られている.11778(G⇒A)変異をもつものはhaplogroupJ2を,14484(T⇒C)変異をもつものはhaplogroupJ1を,3460変異をもつものはhaplogroupKを背景にもつほうが,視機能障害のリスクが高い7).二つめはX染色体連鎖劣性遺伝子の関与である.理論上,この遺伝子異常とmtDNA異常の両方をもつ個人のみがLHONを発症することが示されている.男性好発性もこの理論であれば説明できる.つまり女性ではこの遺伝子異常がホモ接合体である場合か,ヘテロ接合体の場合,正常遺伝子を有するX染色体が不活化されなければ発症しないが,男性では1つしかないX染色体に異常遺伝子が乗っていれば発症しえるからである8).環境因子としては,喫煙が発症の明らかな危険因子であることが報告されている7).11778変異を有するブラジルのLHON大家系の調査によれば,世代を経るにつれ,LHONの浸透率は著しく低下しいていた7).わが国において2014年の喫煙率は1966年に比べ約1/3に低下している.こうした環境因子の劇的な変化は,わが国におけるLHONの発生率の変化にも寄与している可能性がある.視機能予後にも良好因子と危険因子が存在する.良好因子は,14484(T⇒C)変異型,若年(20歳未満,ことに10歳未満)発症,ならびに発症時厚い神経線維層や大きな垂直乳頭径である.一方,危険因子は,11778(G⇒A)変異型,壮年・高齢発症,ならびに喫煙と大量飲酒である.IV治療方法の開発現時点では確立された有効な治療法はない.しかしながら,上述のように,LHONには少数例ながら自然回復例が存在すること,片眼が発症してから僚眼に移行するまで一定の時差があること,環境因子が発症のトリガーになっていることなどから,適切な時期に,適切な方法で介入することができれば,少なくとも後から発症する眼については予防できるか,あるいは先に発症した眼も含めて回復させることができる可能性が考えられる.こうした考えを背景に,現在,薬物療法と遺伝子治療を中心に臨床研究や治験が行われている.イデベノンは,抗酸化作用や呼吸機能保護ないしミトコンドリア内エネルギー代謝改善作用を潜在的に有するコエンザイム(co-enzyme)Q10の誘導体である.酸化的リン酸化複合体IとIIから電子を直接複合体IIIへ運んで,呼吸機能保護とミトコンドリア内のエネルギー代謝の改善作用を発揮したり,抗酸化作用により脂質過酸化障害からミトコンドリア内膜を保護すると推定されている(図4).最近の多施設前向き研究RescueofHereditaryOpticDiseaseOutpatientStudy(RHODOS)によれば,イデベノン1日900mgを24週間投与することにより,片眼の視機能のみ低下している(すなわち発症後間もない)患者群では,治療群と対照群間で,Snellen視力表換算4~5段階の差がみられた(図5)9).しかもこの効果は投与終了後も平均30カ月に及び持続した10).EPI-743はdigitalbiochemicalinformationtransferandsensingcompounds(用語解説参照)とよばれる新しい薬剤クラスのメンバーの一つで,代謝調節と密接にカップリングしたプログラム細胞死を介して働き,抗酸化作用をもつ還元型グルタチオンプールを補充するともいわれる.LHON患者5名9眼に最初100mg,2週後から200mg1日3回投与を行った最近のパイロット研究では,2例に視力の大幅な改善,3例に視野の改善がみられた11).変異mtDNAを野生型に戻すべく遺伝子治療も試みられている12).mtDNAはミトコンドリアのマトリックスに存在するため,外来遺伝子を内膜と外膜の2つの膜を通過させる必要があること,ならびに1つの細胞内にmtDNAは多数存在することなどの理由から,変異型mtDNAを直接修復することはできない.そのため,アデノ随伴ウイルスベクターを用いて,mtDNAの遺伝子配列を基にした人工遺伝子を網膜神経節細胞に導入し,野生型の蛋白を人工的に細胞質で発現させる.異所的な発現なのでallotopicexpressionとよばれる.そして,特殊なシグナルをこの蛋白に付加しておくことでミトコンドリア内に移送されるようにする.少なくとも変異型mtDNAを導入した培養細胞や動物モデルでは有効性が示され,海外では第I相臨床試験が行われ,予備的結果の報告がなされた.5例において硝子体注射による遺伝子治療が行われ,3カ月後の時点で発症早期に注射を受けた2例で有意な視力改善を得たと報告されている13).おわりにLHONはmtDNA変異が母系遺伝と結びついた疾患であると同時に,mtDNA変異以外の因子が複雑に関連しあって発症する多因子疾患でもある.LHON患者の多くは,就職期や壮年期に突如両眼の中心視機能を奪われ,人生設計が大きく狂ってしまう.一方で,少数例とはいえ,自然治癒する症例があるということは,病態が解明されれば治療できる可能性があるということでもある.一刻も早くこの不可思議な疾患の発症メカニズムを突き止め,片眼が発症した時点で介入することにより,僚眼の発症を予防できるようにしたいものである.文献1)中村誠,三村治,若倉雅登ほか:Leber遺伝性視神経症認定基準.日眼会誌119:339-346,20152)WakakuraM,FujieW,EmotoY:InitialtemporalfielddefectinLeberhereditaryopticneuropathy.JpnJOphthalmol53:603-607,20093)MouraAL,NagyBV,LaMorgiaetal:ThepupillightreflexinLeberhereditaryopticneuropathy:evidenceforpreservationofmlanopsin-expressingretinalganglioncells.InvestOphthalmolVisSci54:4471-4477,20134)NakamuraM,YamamotoM:VariablepatternofvisualrecoveryofLeber’shereditaryopticneuropathy.BrJOphthalmol84:534-535,20005)FarrarJG,ChaddertonN,KennaPFetal:Mitochondrialdisorders:aetiologies,modelssystems,andcandidatetherapies.TrendinGenet29:488-497,20136)Yu-Wai-ManP,GriffithsPG,ChinneryPF:Mitochondrialopticneuropathies-Diseasemechanismsandtherapeuticstrategies.ProgRetinEyeRes30:81-114,20117)SadunAA,CarelliV,SalomaoSRetal:ExtensiveinvestigationofalargeBrazilianpedigreeof11778/haplogroupJLeberhereditaryopticneuropathy.AmJOphthalmol136:231-238,20038)BuXD,RotterJL:Xchromosome-linkedandmitochondrialgenecontrolofLeberhereditaryopticneuropathy:EvidencefromsegregationanalysisfordependenceonX-chromosomeinactivation.ProcNatlAcadSciUSA88:8198-8202,19919)KlopstockT,Yu-Wai-ManP,DimitriadisKetal:Arandomizedplacebo-controlledtrialofidebenoneinLeber’shereditaryopticneuropathy.Brain134:2677-2686,201110)KlopstockT,MetzG,Yu-Wai-ManPetal:PersistenceofthetreatmenteffectofidebenoneinLeber’shereditaryopticneuropathy.Brain136:e230,201311)SadunAA,ChicaniCF,Ross-CisnerosFNetal:EffectofEPI-743ontheclinicalcourseofthemitochondrialdiseaseLeberhereditaryopticneuropathy.ArchOphthalmol69:331-338,201212)KoikondaRD,YuH,ChouTHetal:SafetyandeffectsofthevectorfortheLeberhereditaryopticneuropathygenetherapyclinicaltrial.JAMAOphthalmol132:409-420,201413)FeuerWJ,SchiffmanJC,DavidJLetal:GenetherapyforLeberhereditaryopticneuropathy:initialresults.Ophthalmology123:558-570,2016■用語解説■メラノプシン産生光感受性網膜神経節細胞:従来,光を関知するのは視細胞であり,その情報が双極細胞を経て網膜神経節細胞へ伝達され,脳内へ送られると考えられてきたが,一部の網膜神経節細胞は自ら光を感知し,脳内へ直接情報を伝達することが明らかとなった.この網膜神経節細胞はメラノプシンを産生することが知られている.Digitalbiochemicalinformationtransferandsensingcompounds:微生物の感受性などを指標にスクリーニングする古典的な創薬手法ではなく,コンピューターシミュレーションによる生化学的特性情報を元に分子を人工的に合成していく新規創薬方法によって得られた薬物.表1レーベル遺伝性視神経症認定基準(1)主徴候①急性~亜急性,両眼性,無痛性の視力低下と中心暗点を認める.両眼同時発症の場合もあるが,通常は片眼に発症し,数週~数カ月を経て,対側眼も発症する.②急性期に視神経乳頭の発赤・腫脹,視神経乳頭近傍毛細血管拡張蛇行,網膜神経線維腫大,視神経乳頭近傍出血などの検眼鏡的異常所見のうち一つ以上を認める(図1a).③慢性期に乳頭黄斑線維束を中心とした,さまざまな程度の視神経萎縮を呈する.(2)検査所見①特定の塩基対におけるミトコンドリア遺伝子ミスセンス変異を認める.塩基対番号3460,11778,14484の塩基置換が大半を占め,中でもわが国では11778番のグアニンからアデニンへの置換を示す例が,同定された患者の90%にみられる.これら三大変異は委託検査が可能であるが,その他の変異については遺伝子解析を行っている専門施設に検査を依頼する必要がある.②急性期には眼窩部CT/MRIで球後視神経に異常を認めない.③急性期のフルオレセイン蛍光眼底造影検査で,拡張蛇行した視神経乳頭近傍毛細血管からの蛍光色素漏出がない(図1b).視神経乳頭腫脹を呈するほかの疾患では同検査で蛍光色素漏出を示すため,きわめて特異度の高い検査所見である.レーベル遺伝性視神経症の診断確定例(definiteLHON):(1)の①と②もしくは①と③を満たし,かつ(2)の①~③のすべてを満たすもの.確実例(probableLHON):(1)の①もしくは③を満たし,かつ(2)の①と②を満たすもの.疑い例(possibleLHON):(1)の①もしくは③と(2)の②を満たし,詳細な家族歴で母系遺伝が明らかであるが,ミトコンドリア遺伝子変異を検出できないもの.保因者(LHONcarrier):確定例,確実例,または疑い例の患者を母系血縁として有し,(2)の①に該当する視機能無徴候者.または,視神経炎や圧迫性視神経症など視機能障害を呈する他疾患で発症する患者のうち(2)の①を満たすもの.この場合,(2)の②に反してもよい.重症度分類視力がよいほうの眼の矯正視力が0.3未満のものを対象とする.ab図1急性期レーベル遺伝性視神経症の視神経乳頭写真(a)とフルオレセイン蛍光眼底造影写真(b)視神経乳頭近傍毛細血管拡張と乳頭の発赤腫脹を認める一方,拡張した毛細血管からの蛍光色素の漏出を認めない.図2右眼静的視野の推移上段:グレースケール.下段:平均偏差(MD)の推移.初診時(2006年11月1日)に比較し,2007年6月時点では視野は悪化しているが,3年後には若干の改善を認め,MDスロープは有意な右肩上がりとなっている.図3ミトコンドリア遺伝子解析例患者mtDNA11778番塩基対を含む300塩基対領域を増幅し,制限酵素MaeIIIで切断処理後,電気泳動した.レーン1は制限酵素未処理,レーン2は正常対照,レーン3はレーベル遺伝性視神経症患者.表2レーベル遺伝性視神経症患者に同定されたミトコンドリアDNA変異(文献1より引用)ミトコンドリア遺伝子塩基変異普遍的変異(〜90%)MTND1m.3460G>A*MTND4m.11778G>A*MTND6m.14484T>C*希少変異(〜10%)MTND1m.3376G>A,m.3635G>A*,m.3697G>A,m.3700G>A*,m.3733G>A*,m.4025C>T,m.4160T>C,m.4171C>A*MTND2m.4640C>A,.5244G>AMTND3m.10237T>CMTND4m.11696G>A,m.11253T>CMTND4Lm.10663T>C*MTND5m.12811T>C,m.12848C>T,m.13637A>G,,m.13730G>AMTND6m.14324T>C,m.14568C>T,m.14459G>A*,m.14729G>A,m.14482C>A*,m.14482C>G*,m.14495A>G*,m.14498C>T,m.14568C>T*,m.14596A>TMTATP6m.9101T>CMTCO3m.9804G>A*MTCYBm.14831G>AMTND:mitochondrialnicotinamideadeninedinucleotidedehydrogenasesubunit遺伝子.MTATP:mitochondrialadenosinetriphosphate遺伝子.MTCO:mitochondrialcytochromeCoxidase遺伝子.MTCYB:mitochondrialcytochromeb遺伝子.表3レーベル遺伝性視神経症の除外診断特発性視神経炎脱髄性視神経炎(多発性硬化症を含む)視神経脊髄炎(抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎を含む)虚血性視神経症圧迫性視神経症中毒性・栄養障害性視神経症外傷性視神経症他の遺伝性視神経症黄斑ジストロフィ非器質性視覚障害図4イデベノンの作用機序の模式図正常では,ミトコンドリア電子伝達系酵素複合体内でコエンザイムQ(Q)を介して,複合体IからIIIへ電子が伝達され,最終的にATPが生成される.レーベル遺伝性視神経症患者では複合体Iの蛋白をコードするmtDNAに変異があるため,電子が漏出し,酸素と反応して活性酸素(O2-)が産生される.イデベノンは自らが電子と酸化・還元反応を生じ,複合体IからIIIへの電子伝達の迂回路を形成すると考えられている.図5RescueofHereditaryOpticDiseaseOutpatientstudyのサブ解析結果(文献9より引用)*MakotoNakamura:神戸大学大学院医学研究科臨床医学領域外科系講座眼科学分野〔別刷請求先〕中村誠:〒650-0017神戸市中央区楠町7-5-1神戸大学大学院医学研究科臨床医学領域外科系講座眼科学分野0910-1810/16/¥100/頁/JCOPY(47)671672あたらしい眼科Vol.33,No.5,2016(48)(49)あたらしい眼科Vol.33,No.5,2016673674あたらしい眼科Vol.33,No.5,2016(50)(51)あたらしい眼科Vol.33,No.5,2016675676あたらしい眼科Vol.33,No.5,2016(52)(53)あたらしい眼科Vol.33,No.5,2016677