自己紹介加茂純子(かも・じゅんこ)甲府共立病院眼科熊本の稲田晃一朗先生から引き継ぎました.ロービジョン学会でいろいろ教えていただいています.被災された熊本の方々には心よりお見舞い申し上げます.私の趣味は,細々ながらですがバイオリン演奏(4歳より,浜松医大のオーケストラ創設),ガーデニング,お菓子作り,最近ではポケモンgoしながらのウォーキング(日に6千歩は必ず),テニス(錦織ブームで30年ぶりに),古代エジプト考古学,などいろいろありますが,眼科医としては,「山梨県視覚障害を考える会」を創設し,ロービジョンケアについて海外の方法を紹介するのが今のmyboomなので,紹介させていただきます.2006年ごろから,視機能の国際基準であるFunction-alVisionScoreを日本の基準にできないかと論文を書いてまいりました.現行の制度では救われない人が確実に救われる理論的な制度で,諦めずに広めたいと思っております.今は,すでに雇用されている視能訓練士はもとより,理学療法士,作業療法士,さらには盲学校の先生を巻き込んで,視覚リハビリの勉強会をしています.Whittaker著“LowVisionRehabilitation”(SlackIncorporated)の400ページの教科書(写真1)を2015年12月から隔月に2章進むペースで翻訳しつつ,症例検討をする会をもっております(「山梨県視覚障害を考える会」のHPやFacebookをご参照ください).2015年のロービジョン学会で,日本の視覚障害者に対する制度は医師にも患者にも複雑で,英国ではどうなっているのか学習したことを述べました.その中で,英国にはある診断をされて心理的に参っている患者様をサポートして,心理ケア,制度の説明,リハビリにつなげ写真1Whittaker著“LowVisionRehabilitation”る制度があることを知りました.そして成人中途失明者向けの「10のアウトカム」があることも知りました(表1).ほとんどノーマライゼーションをめざすアウトカムを目標としているが,心理ケアをして,ロービジョンケアやリハビリ,歩行訓練,また行政のサービスなどにつなげる最初の役割をEyeClinicLiaisonO.cer(ECLO:エクロ)がする.その資格を得るための講習会があることを知り,2016年当初からRoyalNationalInstitutefortheBlind(RNIB)にメールし続けたのですが,返事がなく,25年ほど前に留学したDundeeのNinewellsHospitalで当時コンサルタント(講師クラス)だったDr.CarrieMcEwenがなんと英国眼科学会の理事長に表1英国の成人中途失明者に対する戦略の10のアウトカム1.私の眼の状態と登録の過程を理解する.2.だれか話す人がいる.3.私は自分,自分の健康,自分の家,自分の家族を世話することができる.4.私は必要なベネフィット,情報とサポートを受けることができる.5.私は自分のもっている視覚を最大限活用できる.6.テクノロジーを最大限活用して,情報にアクセスできる7.外出し,あちこち歩くことができる.8.コミュニケートするツールと,技術と,自信を持っている.9.私には教育と生涯教育への平等なアクセスがある.10.私は仕事とボランティアもすることができる.(95)あたらしい眼科Vol.34,No.1,2017950910-1810/17/\100/頁/JCOPY写真2CathedralofBirminghamで朝8時から写真3RNIBの入り口写真4ECLOコースの分厚い資料の礼拝に参加と副読本写真5参加メンバー写真6ratatouille写真7chocolatecovered.apjackあたるPresidentofRoyalCollegeofOphthalmologistになっているのを知り,返事がないことを言うとすぐに対応してくださり,交渉して空きを作ってくださいました.こうしたら行かないわけにいかず,4日間ランチ込みで750ポンド(約10万円)というお高いコースで,しかも錆びついた英語でついて行けるか不安もありましたが,腹をくくって行くことにいたしました.Birminghamはロンドンからコーチで3時間ちょっとのところにある人口110万人ほどの美しい市でした(写真2).RNIBはコーチステーションからも鉄道駅からも4分と近いところにありました(写真3).行くと,講師のStevieJohnson(オプトメトリスト)はじめ4人の講師から,眼科医の参加は初めて,日本からの参加も初めてで,光栄ですとあいさつされました.クラスメートは12名で,ロービジョンや全盲の方も3人おられました.テキストは分厚いバインダーに綴じられていて(版権はLondonCityUniversityにあり,複写できない),また副読本として“SightLoss:Whatweneededtoknow”と“PracticeassessmentguideforECLOservice”が渡されました(写真4).これは翻訳許可が得られたので,後日どこかでご紹介したいと思っています.内容は1日目:自己紹介とコースの紹介,ECLOの役割,アイケアの旅,ランチ,ただ二つの眼ではない,2日目:視力測定,お茶,視野測定,ランチ,眼科にECLOを統合する,お茶,登録とECLO,3日目:視覚96あたらしい眼科Vol.34,No.1,2017インペアメントのある子どもと若い成人のニードを合わせる,お茶,視覚喪失の原因と機能的影響,ランチ,視覚喪失の原因と機能的影響,お茶,さあ,働かせよう(雇用のセッション),4日目:視覚喪失のインパクトとサポートスキル,お茶,データとインパクト,ランチ,法的権利のセッション,ゴール・目的,試験とケーススタディの情報.講義は講師が質問を投げかけ,参加者が次々と意見を言うインターラクティブなものでした(写真5).ランチも教室の向かいがキッチンで,時刻になると良い匂いがしてきます(写真6).また英国らしく,1時間半するとお茶の時間が来て,それぞれにお菓子が振舞われます(写真7).8週間後にケーススタディと3時間の試験を受けると,ECLOの正式な視覚とマスターの単位も与えられる素敵なシステムでした.日本には医師に対する視覚障害用補装具適合判定医師研修会がありますが,心理ケアや制度の案内もできるスタッフを育てる,こんな制度と講習会があると良いなと思いました.次回は障害者スポーツに熱心で,国際視覚障害のクラシファイアの大野建治先生にお願いします.注)「Myboom」は和製英語であり,正しくは「Myobsession」と表現します.ただ,国内で広く使われているため,本誌ではこの言葉を採用しています.(96)