特集●今,注目すべき眼感染症とその治療戦略あたらしい眼科33(11):1555?1560,2016PCR時代の新しい急性網膜壊死の診断基準NewDiagnosticCriteriaforAcuteRetinalNecrosisinthePCREra高瀬博*はじめに急性網膜壊死は桐沢型ぶどう膜炎ともよばれる劇症の壊死性網膜炎であり,単純ヘルペスウイルス1型(herpessimplexvirustype-1:HSV-1),HSV-2,水痘帯状疱疹ウイルス(varicella-zostervirus:VZV)のいずれかの網膜感染により生じる予後不良な疾患である.1971年に浦山,桐沢らにより,網膜動脈周囲炎,硝子体炎,網膜壊死,裂孔原性網膜?離を生じる片眼性の汎ぶどう膜炎の6例が初めて報告された1).その後,Youngらにより4例の両眼性急性網膜壊死が報告されたが,これは後に浦山らの報告と同一の疾患であることが明らかとなり,さらにその原因がHSVとVZVにあることが判明し現在に至っている.本症は,無治療で経過した場合,数週間~数カ月の経過で裂孔原性網膜?離や視神経萎縮を生じ,最終的に視力喪失に至る劇症の疾患である.近年のさまざまな治療の努力によってもその予後は依然として不良である.急性網膜壊死は稀な疾患であり,わが国においては,2002年に施行された疫学調査ではぶどう膜炎の原因疾患の1.3%2),2009年の調査では1.4%の頻度であった3).また,英国の調査では,年間160~200万人に1人の割合で発症すると報告されている4,5).日常診療で本症に遭遇する可能性は低く,一般眼科医が急性網膜壊死の自然経過を実感として学べる機会はきわめて少ない.しかし,ひとたび本症に遭遇した際には,その診断は迅速に行われなければならず,数日・数週間単位の治療開始の遅れは患者の視力予後を不良とするもっとも大きな要因となる.そのため,急性網膜壊死をみたことはなくとも,ぶどう膜炎患者を診察する機会には,他のいくつかの鑑別疾患と同様に,急性網膜壊死も常に念頭におきながら診療を行う必要がある.本稿では,治療の詳細については成書に譲ることとし,急性網膜壊死を見逃さないために知っておくべき病態と,近年報告された急性網膜壊死の新しい診断基準について,筆者の私見を交えつつ概説する.I急性網膜壊死の臨床像のイメージ急性網膜壊死の臨床所見に関する一般眼科医のもつイメージの多くは,網膜の黄白色病変が広汎に存在するぶどう膜炎,という一点に尽きるのではないかと考えられる.これは無論正しいイメージではあり,事実,網膜の黄白色病変は本症急性期にもっとも高い頻度でみられる所見である6).しかし,網膜に黄白色病変を生じる疾患は,同じウイルス性疾患であるサイトメガロウイルス網膜炎や進行性網膜外層壊死(progressiveouterretinalnecrosis:PORN)などに加え,サルコイドーシス,Behcet病,結核性ぶどう膜炎,眼トキソプラズマ症,そして眼内リンパ腫など数多くあり,網膜黄白色病変のキーワードのみで本症を診断することはきわめて困難であるといえる.そもそも眼底検査を行わなければ網膜病変の所見すら得ることはできないわけであるが,急性網膜壊死はしばしば強い前眼部炎症を生じるため,眼底精査を行うことなく虹彩炎の診断のもとに点眼加療のみが行われ,本来必要な抗ウイルス薬の全身投与が開始されるまでの貴重な時間が失われたといわざるを得ない症例もときに存在する.また,眼底検査を行ったとしても眼底後極部から中間周辺部までの診察にとどまった場合には,網膜周辺部の病変が見逃されてしまうことも考えられる.そのため,ぶどう膜炎眼に対する散瞳検査の重要性はもちろんのこと,網膜病変以外の臨床所見についても,もっと一般に啓発されるべきであると考えられる.II急性網膜壊死の前眼部病変では,どのような臨床所見をみたら急性網膜壊死を疑うべきなのだろうか.そもそも急性網膜壊死の原因はHSVとVZVであることがほぼ明らかとなっているが,このHSVやVZVを原因とする前部ぶどう膜炎が存在する.これらHSVやVZVによる前部ぶどう膜炎に多くみられる共通の病態としては,片眼性であること,豚脂様角膜後面沈着物などの肉芽腫性炎症像がみられること,しばしば高眼圧を伴うことなどがあげられる7).しかし,これらの臨床所見は,急性網膜壊死においても重要なものであり,おもに片眼性,ときに両眼性の肉芽腫性前部ぶどう膜炎(図1),高眼圧といった所見を呈するぶどう膜炎眼に対しては,急性網膜壊死も鑑別疾患にあげ,散瞳眼底検査を必ず行う必要がある.ちなみに,VZVによる前部ぶどう膜炎で生じる限局性虹彩萎縮は,急性網膜壊死では生じない.その他,前房隅角検査においては色素変化や虹彩前癒着などについての一定の傾向はみられないが,高度の前眼部炎症によると考えられるSchlemm管の充血はしばしばみられる所見である(図2).III急性網膜壊死の後眼部病変眼底病変についても,網膜白色病変そのものの特徴,またその他にも特徴的な眼底所見についても知っておく必要がある.急性網膜壊死の網膜黄白色病変は通常は網膜周辺部より生じ,円周方向に向かって進行する.同時に播種状の小斑状病変が中間周辺部網膜にも散見されることが多い(図3).網膜病変の進行期は,その境界は不整形,顆粒状の所見(図4)を呈するが,消退期には病変境界は平滑となり,また網膜血管に沿った領域から退色が生じる(図5).これらの病変境界部の所見と退色の傾向は,本症の特徴であると同時に,病期を推察するうえでも重要な所見である.黄白色病変が退色した部位の網膜は高度に菲薄化している(図6).単に網膜病変を生じるだけでなく,後眼部炎症を生じることも本症の重要な特徴であることを忘れてはならない.硝子体混濁は,濃厚かつびまん性の混濁から,細隙燈顕微鏡検査で観察される前部硝子体の軽度の細胞浸潤まで,その程度はさまざまであるが,重要な所見としてあげられる.眼底の病変としては,視神経乳頭(図7)および網膜血管に炎症が生じることも重要であり,とくに網膜動脈炎は本症に非常に特徴的といえるものである.視神経乳頭炎や網膜動脈炎の検出には,フルオレセイン(図8)やインドシアニングリーンなどの蛍光眼底造影検査が有用である.検眼鏡的にも視神経乳頭の発赤はもちろんのこと,網膜動脈周囲に白鞘形成がみられることがあり,たとえ未散瞳眼底カメラであっても,注意深くみれば本症を示唆する所見を得られることがある.これらの後眼部炎症は,のちに網膜血管の白線化などの閉塞所見,視神経乳頭の蒼白萎縮などの所見を呈することとなる.IV急性網膜壊死の非典型的な病態急性網膜壊死が長期間無治療の状態であった場合には,上述の臨床像を判別できない場合も多々ある.強い前眼部炎症や濃厚な硝子体混濁は眼底病変の観察を妨げるものとなるし,無治療のまま眼底後極部まで達した網膜黄白色病変(図9)に対する鑑別診断は困難なことが多い.また,急性網膜壊死はあらゆる免疫状態の患者に起こりえる病態であるため,とくに免疫低下状態の患者においては急性網膜壊死の病態は上記のものと著しく異なる場合がある.とくに,前房や硝子体中の炎症細胞浸潤がごくわずかしかみられない,またはまったく欠如した症例において網膜黄白色病変が静かに進行している症例では自覚症状に乏しい.V急性網膜壊死の診断基準従来,急性網膜壊死の診断基準は1994年にAmericanUveitisSocietyにより提唱されたものが広く用いられてきた.これは,急性網膜壊死の臨床所見と経過,すなわち①一つまたは複数の境界明瞭な網膜壊死病巣(滲出斑)が周辺部網膜に存在する.②抗ウイルス薬の投与がなければ病巣は急速に進行する.③病巣は円周状に拡大する.④閉塞性網膜動脈炎が存在する.⑤硝子体および前房にあきらかな炎症反応がある.の5項目を満たすものとされた8).この診断基準はポリメラーゼ鎖反応(polymerasechainreaction:PCR)(用語解説参照)が本症診断に広く用いられるようになる以前に提唱されたものであったため,眼内液におけるHSVやVZVの検出の有無については問われておらず,臨床所見のみで急性網膜壊死を診断するものであった.2016年の現時点で,日本国内のすべての臨床現場においてPCRが容易に用いられうる検査であるとはいえないが,少なくとも外注検査によるウイルスPCRはあらゆる施設で行うことが可能であり,さらには未だ少数施設ながらも眼内液に対するウイルスおよび細菌・真菌に対するPCRの先進医療も開始されている.このような,PCRが臨床現場に普及しつつある現状を踏まえ,厚生労働省の助成を受けた急性網膜壊死研究班により眼内液におけるウイルス検査結果を加味した新たな急性網膜壊死の診断基準が作成された6).厚労省研究班による診断基準は,6つの初期眼所見項目,5つの経過項目,そして眼内液検査(PCRまたは抗体率(用語解説参照)でHSVまたはVZVが陽性)からなり,これらの組み合わせにより確定診断群(眼内液検査でウイルス陽性),または臨床診断群(眼内液検査でウイルス陰性または検査未施行)の2つの診断分類を行うものである(表1).この新しい診断基準の妥当性を評価するため,厚労省研究班員が所属する国内7施設において,急性網膜壊死患者45例および対照のぶどう膜炎としてサイトメガロウイルス網膜炎32例,サルコイドーシス135例,眼トキソプラズマ症48例,Behcet病111例,結核性ぶどう膜炎30例,梅毒性ぶどう膜炎5例,眼内リンパ腫患者48例を対象とした後ろ向き調査研究が行われた.この検討は,急性網膜壊死診断のゴールドスタンダードを欠いたものではあるが,ぶどう膜炎の専門施設において,臨床所見と経過,眼内液検査結果,予後などから総合的に判断し,急性網膜壊死と最終診断したものである.結果として新しい診断基準の診断パラメータは,感度89%,特異度100%,陽性適中率100%,陰性適中率99%と高いものとなった.診断感度が89%にとどまった理由としては,前項で述べた非典型的な病態に至った症例があげられる.つまり,初診時にすでに網膜白色病変が眼底全体に及んでいたもの,高度な中間透光体混濁のために眼底病変が明らかではなかったもの,さらには病初期に大量ステロイドが投与されたために劇症型の眼底病変を生じた症例などが含まれる.このような非典型的症例の診断は今後の大きな課題の一つであるが,原因不明のぶどう膜炎症例に対しては,積極的な眼内液検査が重要な役割をもつことは間違いないところであろう.おわりに急性網膜壊死の臨床像と診断基準について述べた.ここで大切なことは,診断基準の詳細を覚えることではなく,どのような所見をみたときに急性網膜壊死を思い浮かべるべきか,である.AmericanUveitisSocietyの診断基準,そしてわが国の新しい診断基準のなかでも初期眼所見項目については,とくに網膜黄白色病変以外の病変についても是非記憶の片隅に残してほしい.また,本稿では治療方針に関してはまったく触れなかったが,それについての最大のexcuseは,急性網膜壊死患者を救うために何より重要なことは早期診断であるという一点に尽きる.抗ウイルス薬の投与法,量,種類,抗凝固薬の意義,ステロイドの使用法,硝子体手術の是非とタイミングなど,急性網膜壊死の治療に関する議論は未だ尽きないが,本症の予後一般がきわめて不良である反面,網膜黄白色病変が周辺部にのみ存在する段階から治療できた場合には,保存的治療のみで良好な矯正視力を維持できる症例もまた多数存在する.そのため,本症患者の予後を左右する因子として,初医の役割はきわめて重いものであるといえる.場合によっては一生に一度遭遇するかどうかという稀少疾患ではあるが,縁あって本稿を目にした眼科医の前に現れた本症患者の予後が,少しでもよいものとなることを願ってやまない.文献1)浦山晃,山田酉之,佐々木徹郎ほか:網膜動脈周囲炎と網膜?離を伴う特異な片眼性急性ブドウ膜炎について.臨床眼科25:607-619,19712)GotoH,MochizukiM,YamakiKetal:EpidemiologicalsurveyofintraocularinflammationinJapan.JpnJOphthalmol51:41-44,20073)OhguroN,SonodaKH,TakeuchiMetal:The2009prospectivemulti-centerepidemiologicsurveyofuveitisinJapan.JpnJOphthalmol56:432-435,20124)MuthiahMN,MichaelidesM,ChildCSetal:Acuteretinalnecrosis:anationalpopulation-basedstudytoassesstheincidence,methodsofdiagnosis,treatmentstrategiesandoutcomesintheUK.BrJOphthalmol91:1452-1455,20075)CochraneTF,SilvestriG,McDowellCetal:AcuteretinalnecrosisintheUnitedKingdom:resultsofaprospectivesurveillancestudy.Eye(Lond)26:370-377;quiz378,20126)TakaseH,OkadaAA,GotoHetal:Developmentandvalidationofnewdiagnosticcriteriaforacuteretinalnecrosis.JpnJOphthalmol59:14-20,20157)TakaseH,KubonoR,TeradaYetal:Comparisonoftheocularcharacteristicsofanterioruveitiscausedbyherpessimplexvirus,varicella-zostervirus,andcytomegalovirus.JpnJOphthalmol58:473-482,20148)HollandGN:Standarddiagnosticcriteriafortheacuteretinalnecrosissyndrome.ExecutiveCommitteeoftheAmericanUveitisSociety.AmJOphthalmol117:663-667,1994*HiroshiTakase:東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科眼科学〔別刷請求先〕高瀬博:〒113-8519東京都文京区湯島1-5-45東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科眼科学0910-1810/16/\100/頁/JCOPY図1右眼急性網膜壊死の前眼部写真(67歳,女性)豚脂様角膜後面沈着物と毛様充血がみられる.図2左眼急性網膜壊死の上方前房隅角(39歳,男性)線維柱帯に沿って赤色,バンド状の変化が生じている.1556あたらしい眼科Vol.33,No.11,2016(18)図3左眼急性網膜壊死の眼底写真(32歳,男性)視神経乳頭の発赤・腫脹,周辺部網膜に黄白色病変がみられる.鼻側網膜の黄白色病変は癒合しているが,その他の病変は斑状・顆粒状を呈している.網膜動静脈には白鞘形成または白線化がみられる.図4左眼急性網膜壊死の耳側周辺部の眼底写真(39歳,男性)網膜黄白色病変と健常網膜の境界部は,不整形な顆粒状となっている.図5左眼急性網膜壊死(図4と同一症例)消退期の耳側周辺部の眼底写真網膜黄白色病変はおもに網膜血管に沿った領域から消退しており,黄白色病変と健常網膜の境界部は平滑となっている.(19)あたらしい眼科Vol.33,No.11,20161557図6左眼急性網膜壊死消退期の眼底写真とOCT(71歳,男性)黄斑部耳側の網膜黄白色病変はすでに退色しているが,OCTでは同部位の網膜が高度に菲薄化している.図7急性網膜壊死の左眼後極部眼底写真(21歳,男性)視神経乳頭の発赤・腫脹,黄斑部網膜の皺襞形成,上耳側網膜動脈に沿った出血(↑),網膜の小斑状病変(▲)の散在を認める.図8右眼急性網膜壊死のフルオレセイン蛍光眼底造影検査(55歳,男性)視神経乳頭の発赤,鼻下側静脈および鼻側動静脈からの蛍光漏出がみられる.図9未治療のまま進行した右眼急性網膜壊死の眼底写真(34歳,男性)網膜出血,視神経乳頭腫脹,網膜全体の白色変化がみられる.網膜黄白色病変が血管アーケード内にまで達した状態である.1558あたらしい眼科Vol.33,No.11,2016(20)表1急性網膜壊死の診断基準<診断基準の考え方>初期眼所見項目,経過項目,検査項目を総合して診断する.初期眼所見項目の1aと1bを認めた場合には急性網膜壊死を強く疑い,必要な検査と治療を開始することが望ましい.その後の経過と検査結果に基づいて診断を確定する.急性網膜壊死は免疫健常人に発症する疾患であるが,免疫不全の背景を有する患者においては,以下に限らない多彩な眼所見を呈することに留意する.1.初期眼所見項目1a.前房細胞または豚脂様角膜後面沈着物がある.1b.一つまたは複数の網膜黄白色病変(初期は顆粒状・斑状,次第に癒合して境界明瞭となる)が周辺部網膜に存在する.1c.網膜動脈炎が存在する.1d.視神経乳頭発赤がある.1e.炎症による硝子体混濁がある.1f.眼圧上昇がある.2.経過項目2a.病巣は急速に円周方向に拡大する.2b.網膜裂孔,網膜?離を生じる.2c.網膜血管閉塞を生じる.2d.視神経萎縮をきたす.2e.抗ヘルペスウイルス薬に反応する.3.眼内液検査前房水または硝子体液を用いた検査(PCR法あるいは抗体率算出など)で,HSV-1,HSV-2,VZVのいずれかが陽性.4.分類(1)確定診断群:1.初期眼所見項目のうち1aと1b,および2.経過項目のうち1項目を認め,かつ3.眼内液検査でHSVまたはVZVが病因と同定されたもの.(2)臨床診断群:眼内液においてウイルスの関与を証明できない,あるいは検査未施行であるが,初期眼所見項目のうち1aと1bを含む4項目と経過項目のうち2項目を認め,他疾患を除外できるもの.(文献6より引用,和訳)(21)あたらしい眼科Vol.33,No.11,20161559■用語解説■ポリメラーゼ鎖反応(polymerasechainreaction:PCR):反応チューブ内に,患者眼内液などの検査対象試料から抽出したDNA,プライマー(標的遺伝子領域に特異的に結合する一対の短い核酸断片),DNA合成酵素,DNA合成のための基質などを混合し,PCR装置で以下の3つのステップで温度を変化させる.①熱変性:94℃に加熱すると,2本鎖構造であるDNAが変性して1本鎖DNAとなる.②アニーリング:60℃に急速冷却すると1本鎖DNAとプライマーが結合する.③伸長:72℃まで加熱するとDNA合成酵素が活性化し,それによりプライマーがDNA合成を開始し,2本鎖DNAが複製される.この①~③を一つのサイクルとして,20~30サイクル程度反応を繰り返すことで,目的のDNAを大量に複製することができる.PCRによる増幅の有無は,アガロースゲルなどへの電気泳動や,蛍光色素の発色の有無などで判定する.抗体率:Q値,またはGoldmann-Witmercoefficientともよばれる,眼内局所における病原微生物(ウイルス,寄生虫など)に対する特異的な抗体産生の有無を調べる検査法である.同日に採取した眼内液と血清それぞれについて,総IgG量(totalIgG)と病原微生物特異的IgG量(specificIgG)を測定し,以下の式にそって計算する.すなわち,抗体率=(眼内液specificIgG/眼内液totalIgG)/(血清specificIgG/血清totalIgG)となる.抗体率が1以上6未満であれば疑いとなり,6以上であれば眼内局所で病原微生物に特異的な抗体産生を生じていると判断される.1560あたらしい眼科Vol.33,No.11,2016(22)