特集●糖尿病網膜症2015年あたらしい眼科32(3):361~367,2015特集●糖尿病網膜症2015年あたらしい眼科32(3):361~367,2015びまん性糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術の現状VitrectomyforDiabeticMacularEdema森實祐基*はじめに2014年11月に糖尿病黄斑浮腫(diabeticmacularedema:DME)に対するアフリベルセプトの保険適用が認可され,DMEに対する抗血管内皮細胞増殖因子(vascularendothelialgrowthfactor:VEGF)療法に新たな選択肢が加わった.さらに,ステロイド局所療法や低侵襲レーザー治療が進歩し,DMEの治療法は近年急速に多様化している.一方で,硝子体手術については,これらの治療法を凌駕するような治療効果をもたらす技術革新は近年みられていない.そして,よりエビデンスレベルが高く,侵襲が小さい治療法が優先される結果,DMEの治療に硝子体手術が登場する機会は著しく減少している.それでは,すべてのDMEが抗VEGF療法で改善するかというと,実態はそうではない.DMEに対するラニビズマブの適用が認可されてから約1年が経過し,抗VEGF療法にまつわるさまざまな問題,すなわちVEGFのみを治療対象とすることの限界,薬剤耐性や眼および全身合併症の発症,個人および社会の経済的負担の増大などが指摘されている.一方で,抗VEGF療法に抵抗するDMEが,一度の硝子体手術で改善し,改善効果が長期間持続することがしばしば経験される.このような強力かつ長期的な治療効果は,これまでにわが国から数多く報告された硝子体手術の治療成績と合致する.このように,DME治療を取り巻く状況は混沌としており,われわれはこれまでに経験したことがないDME治療のパラダイムシフトの真っ只中にいるといっても過言ではない.本稿では,硝子体手術の現状や問題点を改めて整理し,そのうえで,筆者らの施設で行っている術式について述べる.混沌とした状況にあっても,硝子体手術の適応を適切に判断するための一助となれば幸いである.なお,DMEに対する硝子体手術の歴史,術式の変遷,奏効機序の詳細については,すでに多くの解説がなされているので,そちらを参考にしていただきたい1~6).また,本稿で取り上げるDMEはびまん性のDMEであり,網膜微小血管瘤による局所性DMEは対象としていないことをお断りしておく.I現状と問題点1:硝子体手術の適応患者はどの程度存在するか?現在,DMEの治療として最初に行われる眼科治療は抗VEGF療法である.さらに,状況に応じてステロイド局所療法や低侵襲レーザー治療が併施される.そして,これらの治療が奏効しなかった場合に初めて硝子体手術が施行される.このような状況で,果たして硝子体手術の適応患者はどの程度存在するのであろうか?抗VEGF療法に抵抗するDMEの割合をRISE/RIDEStudyを例に考えてみたい7).RISE/RIDEStudyは,2007~2012年に米国で実施された,ラニビズマブ硝子体内投与の第Ⅲ相臨床試験である.sham注射を対照と*YukiMorizane:岡山大学大学院医歯薬学総合研究科機能再生・再建学専攻生体機能再生・再建学講座眼科学分野〔別刷請求先〕森實祐基:〒700-8558岡山市北区鹿田町2-5-1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科機能再生・再建学専攻生体機能再生・再建学講座眼科学分野0910-1810/15/\100/頁/JCOPY(51)361362あたらしい眼科Vol.32,No.3,2015(52)症例が18.9~25.6%存在した.また,視力の改善が15文字に至らなかった割合は,54.3~66.4%であった(このうち,視力の改善が1文字に至らなかった割合は,12.8~15.2%,表1).この結果が,ラニビズマブの毎月投与を厳密に施行した結果であることを考慮すると,抗VEGF療法を行った後であっても20%前後の患者については硝子体手術の適応となる可能性があるのではないし,ラニビズマブおよびsham硝子体内注射を毎月1回,2年間施行した.その結果,中心窩網膜厚(centralreti-nalthickness:CRT)は,ラニビズマブ投与群がsham群に比べて有意に減少し(図1),矯正視力が15文字以上改善した患者の割合はラニビズマブ投与群がsham群よりも有意に高くなった(図2).しかし一方で,ラニビズマブを毎月投与しても,CRTが250μmよりも厚い100806040200中心窩網膜厚が250μm以下の患者の割合ラニビズマブSham(n=127)0.3mg(n=125)0.5mg(n=125)43.374.476.0p<0.0001p<0.0001100806040200中心窩網膜厚が250μm以下の患者の割合ラニビズマブSham(n=130)0.3mg(n=125)0.5mg(n=127)46.276.081.1p<0.0001p<0.0001AB図1RISE.RIDEStudyにおける中心窩網膜厚の結果RISE(A),RIDE(B)Studyにおいて,ラニビズマブ毎月投与後(24カ月後)に中心窩網膜厚が250μm以下であった患者の割合.(文献7より改変)10080604020015文字以上視力が改善した患者の割合ラニビズマブSham(n=127)0.3mg(n=125)0.5mg(n=125)18.144.839.2p<0.0001p=0.000210080604020015文字以上視力が改善した患者の割合ラニビズマブSham(n=130)0.3mg(n=125)0.5mg(n=127)12.333.645.7p<0.0001p<0.0001AB図2RISE.RIDEStudyにおける視力の結果RISE(A),RIDE(B)Studyにおいて,ラニビズマブ毎月投与後(24カ月後)に15文字以上視力が改善した患者の割合.(文献7より改変)100806040200中心窩網膜厚が250μm以下の患者の割合ラニビズマブSham(n=127)0.3mg(n=125)0.5mg(n=125)43.374.476.0p<0.0001p<0.0001100806040200中心窩網膜厚が250μm以下の患者の割合ラニビズマブSham(n=130)0.3mg(n=125)0.5mg(n=127)46.276.081.1p<0.0001p<0.0001AB図1RISE.RIDEStudyにおける中心窩網膜厚の結果RISE(A),RIDE(B)Studyにおいて,ラニビズマブ毎月投与後(24カ月後)に中心窩網膜厚が250μm以下であった患者の割合.(文献7より改変)10080604020015文字以上視力が改善した患者の割合ラニビズマブSham(n=127)0.3mg(n=125)0.5mg(n=125)18.144.839.2p<0.0001p=0.000210080604020015文字以上視力が改善した患者の割合ラニビズマブSham(n=130)0.3mg(n=125)0.5mg(n=127)12.333.645.7p<0.0001p<0.0001AB図2RISE.RIDEStudyにおける視力の結果RISE(A),RIDE(B)Studyにおいて,ラニビズマブ毎月投与後(24カ月後)に15文字以上視力が改善した患者の割合.(文献7より改変)表1RISE.RIDEStudyにおける視力変化の内訳RISERIDERanibizumabRanibizumabSham(N=127)0.3mg(N=125)0.5mg(N=125)Sham(N=130)0.3mg(N=125)0.5mg(N=127)視力低下30文字以上,患者数(%)3(2.4)2(1.6)03(2.3)02(1.6)視力低下25~29文字,患者数(%)2(1.6)02(1.6)4(3.1)01(0.8)視力低下20~24文字,患者数(%)3(2.4)1(0.8)1(0.8)2(1.5)1(0.8)1(0.8)視力低下15~19文字,患者数(%)5(3.9)002(1.5)1(0.8)1(0.8)視力低下10~14文字,患者数(%)8(6.3)1(0.8)2(1.6)7(5.4)2(1.6)0視力低下5~9文字,患者数(%)12(9.4)7(5.6)4(3.2)9(6.9)8(6.4)3(2.4)視力低下1~4文字,患者数(%)12(9.4)6(4.8)3(2.4)14(10.8)3(2.4)2(1.6)視力不変,患者数(%)10(7.9)2(1.6)4(3.2)5(3.8)3(2.4)7(5.5)視力改善1~4文字,患者数(%)13(10.2)6(4.8)13(10.4)27(20.8)7(5.6)14(11.0)視力改善5~9文字,患者数(%)21(16.5)22(17.6)18(14.4)24(18.5)26(20.8)14(11.0)視力改善10~14文字,患者数(%)15(11.8)22(17.6)29(23.2)17(13.1)32(25.6)24(18.9)視力改善15~19文字,患者数(%)7(5.5)17(13.6)19(15.2)6(4.6)19(15.2)29(22.8)視力改善20~24文字,患者数(%)9(7.1)19(15.2)13(10.4)5(3.8)12(9.6)11(8.7)視力改善25~29文字,患者数(%)4(3.1)11(8.8)8(6.4)1(0.8)5(4.0)12(9.4)視力改善30文字以上,患者数(%)3(2.4)9(7.2)9(7.2)4(3.1)6(4.8)6(4.7)視力改善が1文字に至らなかった症例を赤で示し,15文字以上の視力改善がみられた症例を青で示す(白色は視力改善が1~14文字であった症例).(文献7より改変)かと推察される.このように,抗VEGF療法がDME治療の主体となった今日においても,一定数の症例に対しては,硝子体手術は治療選択肢として存続するものと思われる.しかし一方で,今後,VEGF以外のサイトカインを対象とした新しい分子標的薬や,徐放性のステロイド製剤が登場すると,上記の割合は低下すると考えられる.II現状と問題点2:硝子体手術の治療効果におけるパラドックスDMEに対する硝子体手術の治療効果について以前から指摘されている問題点として,「硝子体手術はCRTを減少させるが,視力を改善する効果に乏しい」という点があげられる.この問題提議の根拠としてDRCR.netによる前向き研究の結果が引き合いに出されることが多い.その報告によれば,硝子体手術後6カ月で,CRTが減少した患者が82%あり,そのうち62%で視力が改善したが,38%においては,CRTが減少したにもかかわらず視力が低下した8)(図3).通常は,DMEが改善すると視力も改善するはずであるが,硝子体手術でこのようなパラドックスが生じるのはどうしてであろうか?術前後の光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)所見と視力予後を検討した報告によれば,硝子体手術に至るまでの期間に,視細胞に不可逆的な障害が進行してしまうことが理由の一つと考えられる9~11).より良い術後視力を得るためには視細胞障害が進行する前に硝子体手術を行う必要がある.それでは,硝子体手術後の期間についてはどうであろうか?これまでの報告によれば,硝子体術後にCRTが250μm以下に改善するまでには,約半年から1年を要することが多い12,13).この期間にも視細胞障害が進行し,視力改善効果が得られなくなっている可能性がある.(53)あたらしい眼科Vol.32,No.3,2015363364あたらしい眼科Vol.32,No.3,2015(54)るものの,効果の持続時間が短縮するように感じている術者が多いのではないだろうか.硝子体術後の長期経過を検討した報告によれば,硝子体手術に抵抗して術後にDMEの残存がみられる頻度は,0~30%である18)(表2).部分的にDMEが残存する場合を含めると,この頻度はさらに高くなる.したがって,硝子体手術が術後の抗VEGF療法に及ぼす影響を考えると,DMEに対する硝子体手術の適応に慎重にならざるを得ない.KogaらやSatoらは,硝子体術後にみられたDMEにトリアムシノロンのTenon.下投与(sub-Tenoninjec-tionoftriamucinoloneacetonide:STTA)が有効であったと報告している19,20).筆者の所属する施設でも,眼内レンズ挿入眼で,術後のステロイド点眼でステロイドレスポンダーでないことが確認されれば,積極的にSTTAを行うようにしている.IV現状と問題点4:硝子体手術のエビデンスわが国におけるDMEに対する硝子体手術の適応は,欧米の適応とは大きく異なることが以前から指摘されてきた.たとえば,抗VEGF薬の登場前の時代においては,欧米ではETDRSの結果を背景に格子状光凝固が治療の主体とされ,硝子体手術は肥厚した後部硝子体皮質硝子体術後にDMEの改善に時間がかかる理由としては,硝子体手術による病態改善効果が不十分であることがあげられる.DMEの病態を図4に示す2).このうち,硝子体手術によって改善するのは,硝子体黄斑牽引(vit-reomaculartraction:VMT),硝子体内サイトカインの蓄積,眼内酸素分圧であり,これらによって硝子体および網膜硝子体界面の病態が改善する.しかし,網膜内の病態を改善する効果は乏しい.抗VEGF薬の登場により,硝子体手術に踏み切るタイミングが以前に比べて遅くなっており,今後さらにその傾向が強まることを考えると,網膜内の病態を直接改善するような硝子体手術の技術的革新がなければ,DME治療における硝子体手術の役割はますます縮小する可能性が高い.III現状と問題点3:無効時,再発時の対応DMEに対する硝子体手術の問題点として,硝子体手術を行うと,眼内における抗VEGF薬やトリアムシノロンのクリアランスが亢進し,治療効果の持続期間が短縮することが指摘されている.現時点でヒト眼での報告はなく,動物実験レベルでは,硝子体手術によって薬剤の眼内滞留時間が短縮するという報告14,15)や,影響はないとする報告16,17)があり,一定の見解には至っていない.しかし実際には,抗VEGF薬による治療効果はみられ-700-600-500-400-300-200-100010020030040050060070050403020100-10-20-30-40-50視力変化[文字]中心窩網膜厚の変化[μm]図3DRCR.netstudyにおける硝子体術後の中心窩網膜厚(CRT)の変化と視力変化との関係CRTが減少し視力が改善した症例を青,CRTが減少したにもかかわらず視力が低下した症例を赤で示す.(文献8より改変)VEGFIL-6AGEsVEGFIL-6AGEs12345678図4びまん性糖尿病黄斑浮腫の病態1.硝子体黄斑牽引,2.硝子体内の炎症性サイトカインの蓄積,3.網膜内の炎症性サイトカインの蓄積,4.血管内皮細胞のバリアの破綻,5.膠質浸透圧の上昇,6.炎症細胞の網膜への浸潤,7.網膜色素上皮細胞のバリアの破綻,8.網膜色素上皮細胞の排水機能の低下.-700-600-500-400-300-200-100010020030040050060070050403020100-10-20-30-40-50視力変化[文字]中心窩網膜厚の変化[μm]図3DRCR.netstudyにおける硝子体術後の中心窩網膜厚(CRT)の変化と視力変化との関係CRTが減少し視力が改善した症例を青,CRTが減少したにもかかわらず視力が低下した症例を赤で示す.(文献8より改変)VEGFIL-6AGEsVEGFIL-6AGEs12345678図4びまん性糖尿病黄斑浮腫の病態1.硝子体黄斑牽引,2.硝子体内の炎症性サイトカインの蓄積,3.網膜内の炎症性サイトカインの蓄積,4.血管内皮細胞のバリアの破綻,5.膠質浸透圧の上昇,6.炎症細胞の網膜への浸潤,7.網膜色素上皮細胞のバリアの破綻,8.網膜色素上皮細胞の排水機能の低下.表2糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体術後の長期経過における黄斑浮腫の変化著者硝子体術後の黄斑浮腫完全に消退部分的に残存残存Lewisetal.(10eyes)0%80%20%Harbouretal.(10eyes)50%20%30%Ikedaetal.(3eyes)100%0%0%Pendergastetal.(55eyes)81.8%12.7%5.5%Otanietal.(13eyes)31%61%8%Gandorferetal.(12eyes)100%0%LaHeijetal.(21eyes)100%0%0%Yamamotoetal.(30eyes)20%57%23%KalvodovaandZahlava(10eyes)0%100%0%OtaniandKishi(7eyes)0%100%0%TachiandOgino(58eyes)98%0%2%Ikedaetal.(5eyes)60%20%20%Yang(13eyes)0%100%0%(文献18より改変)366あたらしい眼科Vol.32,No.3,2015(56)5.網膜光凝固硝子体手術中に網膜光凝固を併施できることは,硝子体手術の大きな長所である.無灌流領域に光凝固を行うと,網膜の虚血が改善し網膜からのVEGFの産生が低下することによって黄斑浮腫の改善にプラスに働くと考えられる.また,硝子体術後に血管新生緑内障をきたす割合は約4%と報告されている25).そのため,術前にフルオレセイン蛍光眼底造影検査を行い,必要であれば網膜の最周辺部まで光凝固を行う.6.手術終了時硝子体手術の治療効果を促進することを目的として,手術終了時にトリアムシノロンの硝子体内もしくはTenon.下投与が行われることがある.しかし,手術終了時のトリアムシノロンの効果は一時的で,長期的には無効という報告もある26).ステロイドの徐放剤が使えるようになれば有効であるかもしれない.おわりに以上,DMEに対する硝子体手術に関する問題点と術式についてまとめた.今後,硝子体手術がDMEの治療選択肢として生き残っていくためには,次の点について技術革新が必要である.1)網膜内の病態を直接改善する術式の開発2)手術侵襲のさらなる軽減また,抗VEGF療法から硝子体手術に踏み切るタイミングや,硝子体手術後のDMEの再発への対応策を検討し,治療ガイドラインを策定することも必要であると考える.文献1)大越貴志子:糖尿病黄斑浮腫の治療選択.眼科55:813-823,20132)志村雅彦:糖尿病黄斑浮腫.眼科55:1525-1536,20133)大谷倫裕:糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術.眼科56:491-497,20144)山﨑舞,齋藤公子,佐藤浩章ほか:糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術.臨眼68:14-19,20145)志村雅彦:糖尿病黄斑浮腫の治療のコツ.臨眼68:425-431,20146)山切啓太:糖尿病黄斑浮腫の手術治療の進歩.あたらしいて,手術侵襲が軽減し安全性が向上した.これは,DMEの治療選択肢として硝子体手術が生き残るために大きなプラスとなる技術革新の一つであるといえる.現在は25ゲージシステムが主流であるが,27ゲージシステムの普及が進んでいる.b.広角観察システム後述のように,DMEに対する硝子体手術では,できるだけ硝子体を切除したほうが良いと考える.広角観察システムを用いることでより安全確実に,また短時間に硝子体切除が可能となる.2.水晶体超音波乳化吸引+眼内レンズ挿入50歳以上であれば原則として白内障手術を併施する.眼内レンズは光学径の大きなものを選択し,硝子体切除の前に挿入している.3.硝子体切除トリアムシノロンで硝子体を可視化し,後部硝子体.離を確実に起こす.DMEの硝子体中に存在する炎症性サイトカイン(インターロイキン-6,VEGF)を除去するため,また,酸素を多く含んだ房水を眼内に十分灌流するため,できるだけ硝子体を切除する23,24).4.内境界膜(ILM).離内境界膜(internallimitingmembrane:ILM).離を併施するかどうかについては意見の分かれるところである.ILMを.離すると,神経線維層の障害や網膜の菲薄化が懸念される.しかし,筆者の所属する施設では,1)硝子体皮質を確実に除去し黄斑牽引を完全に解除する,2)術後のERMの形成を防止する,という理由で原則的にILM.離を行っている.ILMはブリリアントブルーGで可視化し,ILM鑷子を用いて.離除去する.DMEでは,ILMが.離時に容易にちぎれるため,他の黄斑疾患に比べてILM.離がむずかしいことが多い.また,黄斑部の.胞に過剰な牽引がかかると,術後に黄斑円孔をきたすことがあるので,ILM鑷子を網膜面に平行に動かし慎重に.離することが重要である.術前のOCTで,硝子体腔側の.胞壁がきわめて薄くなっている場合は,黄斑部のILMを残存させても良い.-