新しい治療と検査シリーズ223.光干渉断層計レバミピドクリアランス試験プレゼンテーション:井上康・越智進太郎眼科康誠会井上眼科コメント:藤本雅大京都大学医学部眼科学教室宮崎千歌兵庫県立塚口病院眼科.バックグラウンド涙液動態の解析を目的とした涙液クリアランス測定の歴史は古く,Maurice1)が開発したフルオロフォトメーターを用いて,Mishima2)らが1966年に最初の報告を行っている.その後,涙液のみならず房水などの動態解析に関しても多くの報告があるものの,現在国内ではフルオロフォトメーターが市販されていないこともあり,臨床応用には至っていない.近年,光干渉断層計(opticalcoherencetomography:OCT)の普及はめざましく,眼底や前眼部の解析には必須の検査法となりつつある.涙液の分野においてもOCTの光源が赤外光であるため被検者が眩しくなく,非侵襲下での測定が可能であることから,涙液メニスカスの測定などへの応用が始まっている..新しい検査法OCTにより懸濁性点眼液の粒子を撮影することが可能であり,懸濁粒子の平均反射輝度(meangrayvalue:MGV)から懸濁粒子濃度を算出し,濃度変化から懸濁粒子のクリアランス率を求めることができる.懸濁粒子の動態が涙液の動態と一致すれば,懸濁粒子クリアランスは涙液クリアランスと一致すると考えられる.レバミピド懸濁点眼液(ムコスタR点眼液UD2%,大塚製薬)は他の懸濁点眼液と比べて粒子径が2μmと最小で粘度も低く,その動態が涙液の動態と近いことが予測されること,懸濁粒子濃度がもっとも高く,長時間の測定が可能なことから,トレーサーとして用いた.RS-30002%1%0.5%0.125%0.0625%0.03125%0.015625%0.0078125%CASIAレバミピド濃度(mg/ml)10.10.010.0010.00010.00001RS-3000:y=0.0000552e0.0299xMGVR2=0.993CASIA:y=0.00000937e0.0286xMGVR2=0.967050100150200250MGVRS-3000CASIA図1上:模擬眼におけるレバミピド希釈液のOCT像.下:MGVとレバミピド濃度の相関(97)あたらしい眼科Vol.31,No.12,201418350910-1810/14/\100/頁/JCOPY急速相--2-30.5-4-40.40.5-5TMH(mm)Ln(レバミピド濃度)-6-7緩徐相0.40.30.2Ln(レバミピド濃度)TMH(mm)-50.3-6-7-80.20.1-9-8BL0min1min2min3min4min点眼後の経過時間n=38レバミピド濃度TMH5min00.1図3点眼麻酔下でのレバミピド濃度とTMHの経時変化レバミピド濃度TMH0-9BL0min1min2min3min4min5min6min7min8min点眼後の経過時間n=16図2レバミピド濃度とTMHの経時変化TMHとレバミピド濃度の経時変化を示す.TMHは点模擬眼での測定において,後眼部OCT(RS-3000,ニデック)ではレバミピド濃度=0.0000552e0.0299×MGV…①(R2=0.993)3)前眼部OCT(SS-1000CASIA,トーメーコーポレーション)ではレバミピド濃度=0.00000937e0.0286×MGV(R2=0.967)の関係式が得られ,MGVとレバミピド濃度の間には強い相関が得られた(図1)..実際の検査法本稿では前眼部アダプターを装着したRS-3000を用いての測定方法について述べる.オートコントラストはオフにし,下方涙液メニスカスのみを高解像度で測定するため,垂直方向の測定幅を2mmに設定する.マイクロピペットを用いて10μlのレバミピドを点眼し,点眼前と点眼直後から1分間隔で点眼5分後まで撮影を行う.ImageJ1.48v(NIH)を用いて撮影した画像のMGV,涙液メニスカス高(tearmeniscusheight:TMH)を解析する.①式により涙液メニスカス内のMGVからレバミピド濃度を求め,涙液クリアランス率(%/min)=Ln(slope)×100から涙液クリアランス率を算出する..本法の良い点前眼部OCTのみならず前眼部アダプターを装着すれば,広く普及している後眼部OCTでも涙液クリアランスを測定することができる.図2に正常人38眼の1836あたらしい眼科Vol.31,No.12,2014眼直後から点眼2分後まで増加を示し,点眼後3分後以降は点眼前の状態に戻っている.点眼直後から点眼2分後までは反射分泌による量的負荷状態の,点眼後2~5分後は量的負荷のなくなった状態での涙液クリアランスを示していると考えられる.点眼麻酔を用いない本法では,点眼後約5分でMGVが測定下限以下になるため,従来報告されている5分以降の基礎分泌下の涙液クリアランスを測定することができない.点眼麻酔の5分後に同量のレバミピドを点眼すれば,点眼刺激による涙液クリアランスの亢進を抑制し,急速相における濃度低下を抑えることにより長時間の測定が可能であり,基礎分泌下の涙液クリアランス率を測定することができる.図3に点眼麻酔下のレバミピド濃度の経時的変化を示す.点眼後5分以降は直線的に減少しており,涙液クリアランス率が一定の値に達した基礎分泌下の状態にあると考えられる.得られた基礎分泌下の涙液クリアランス率は21.4±13.8%/minであった.本法に改良を加えることでさらに精度を高めることが可能であり,今後,流涙症の診断および治療の評価に用いられることを期待している.文献1)MauriceDM:Anewobjectivefluorophotometer.ExpEyeRes2:33-38,19632)MishimaS,GassetA,KlyceSDetal:Determinationoftearvolumeandtearflow.InvestOphthalmol5:264-275,19663)井上康,越智進太郎,山口昌彦:レバミピド懸濁点眼液をトレーサーとした光干渉断層計涙液クリアランステスト.あたらしい眼科31:615-619,2014(98)あたらしい眼科Vol.31,No.12,20141837(99)涙液クリアランス率算出へとつなげる点,スマートな検査法といえる.気になる点は,涙液クリアランス率のデータ結果にややばらつきがあり,正常値と異常値の境界の決定がむずかしいことである.涙道閉塞があったとしても,結膜からのレバミピドの吸収や,分泌される涙液による希釈などにより,レバミピドの濃度が低下することが予想され,またその濃度低下に個体差も生じると考えられる.さらに精度の高い涙液クリアランス測定の確立を期待する.涙道外来で一般的に行われている検査として,涙液メニスカス高(TMH)測定,蛍光色素残留試験,涙管通水検査などがあげられる.とくにTMH測定に関しては,今回の報告と同様,前眼部OCTを使用した測定の報告があり,より正確な量的データが得られることとなる.今回の検査法は涙液動態という側面から量的データを得ようとする試みである.トレーサーとして懸濁液であるレパミピドへの着目,OCT画像のImageJによる輝度解析で輝度とレバミピド濃度相関を計算し,.「光干渉断層計レバミピドクリアランス試験」へのコメント.☆☆☆あたらしい眼科Vol.31,No.12,20141837(99)涙液クリアランス率算出へとつなげる点,スマートな検査法といえる.気になる点は,涙液クリアランス率のデータ結果にややばらつきがあり,正常値と異常値の境界の決定がむずかしいことである.涙道閉塞があったとしても,結膜からのレバミピドの吸収や,分泌される涙液による希釈などにより,レバミピドの濃度が低下することが予想され,またその濃度低下に個体差も生じると考えられる.さらに精度の高い涙液クリアランス測定の確立を期待する.涙道外来で一般的に行われている検査として,涙液メニスカス高(TMH)測定,蛍光色素残留試験,涙管通水検査などがあげられる.とくにTMH測定に関しては,今回の報告と同様,前眼部OCTを使用した測定の報告があり,より正確な量的データが得られることとなる.今回の検査法は涙液動態という側面から量的データを得ようとする試みである.トレーサーとして懸濁液であるレパミピドへの着目,OCT画像のImageJによる輝度解析で輝度とレバミピド濃度相関を計算し,.「光干渉断層計レバミピドクリアランス試験」へのコメント.☆☆☆