提供コンタクトレンズセミナーコンタクトレンズ処方さらなる一歩監修/下村嘉一39.屈折検査(他覚検査)半田知也北里大学医療衛生学部視覚機能療法学●はじめに眼科臨床における他覚的屈折検査は,短時間測定,簡便性の点からオートレフラクトメータが中心となっている.わが国ではC1980年頃よりオートレフラクトメータの眼科臨床への普及が始まり,現在でも他覚的屈折検査の中心である.その間,オートレフラクトメータの機能は進歩を続けている.今回は,他覚的屈折検査の臨床的中心であるオートレフラクトメータの原理と使用法を改めて紹介する.C●検査対象眼科臨床において通常使用されている据え置き型オートレフラクトメータは,座位を保つことができ,顎台への顔の固定が可能な被検者が対象となる.ポータブルオートレフラクトメータは場所や体位を選ばずに測定が可能である.C●測定原理オートレフラクトメータの測定原理には画像解析式,合致式,検影式,結像式などがある1).いずれの測定原理においても眼科臨床上問題となる測定誤差は認められない.本稿では画像解析式(ARK-1s,ニデック)について紹介する(図1).画像解析式を用いた眼屈折力測定原理は,被検眼眼底に光軸外から測定用光源(superluminescentdiode:SLD)を投影し,眼底に生じる像の図1装置外観および測定原理(画像解析式,ARK.1s,ニデック)高さを検出することで眼屈折力を測定している.眼屈折力に応じて眼底に形成される像を超高感度CCCD(charged-coupledCdevices)センサーで検出し,コンピュータで画像解析して屈折値(球面,円柱,軸)を求める.C●目標と限界オートレフラクトメータは被検眼の球面,円柱度数と軸を,明室下で容易に,しかも精度よく測定できる.オートレフラクトメータは被検眼に調節が介入していない状態の眼屈折測定を目標とする.調節の介入を防ぐために,各社ともさまざまな雲霧機構を採用している.雲霧機構の雲霧量(各社非公開)は機種により異なるが,デフォーカスと調節介入の関係からC1.5~2.0D程度の雲霧量が適当であると考える.検者側からは意識することが少ないが,固視目標も各社各様である.調節介入を防ぎ,日常視を意識するという観点から考えると,固視を促しやすいことと,同時に絵画的遠近感,およびリアリティのある固視目標が望ましいと考える(図2).オートレフラクトメータの測定限界として,中間透光体混濁,角膜不正乱視,測定範囲を超える屈折異常,小瞳孔,固視不良(眼振など)など,被検眼の原因により測定値が不安定または測定不能になる場合がある.オートレフラクトメータを導入する際にはジョイスティックの操作感,各種応答性という検査者側の視点だけでな(97)あたらしい眼科Vol.35,No.1,2018C970910-1810/18/\100/頁/JCOPY図2固視目標(ARK.1s,ニデック)絵画的遠近法により固視目標である気球が遠方に存在するように感じる.リアリティの追及のためか,青空に雲が浮かび,道路には自動車も配置されている.く,雲霧機構と固視目標という被検者側の視点からも考えて機器を選択することが,オートレフラクトメータの正確で安定した測定を行うために考慮すべき点である.C●測定機器の使い方とコツ検者が測定において注意すべき点は,①調節の寛解,②センタリングとピント合わせ,③眼瞼や睫毛への対応である.①調節の寛解日常臨床でおもに用いられる内部視標固視型の機種では,片眼で装置内部を覗き込むため,調節の介入の懸念がある.覗き込むことによる調節の介入要因として器械近視が知られている2~3).器械近視を引き起こす直接的原因は明確ではないが,近接感,視野サイズ制限,瞳孔径4)への影響などが考えられる.②センタリングのピント合わせ器械の測定中心を被検眼の瞳孔中心と正確に合わせることが必要である.測定中,検査者は常にセンタリングを確認し,必要に応じて微調整することが求められる.近年のオートレフラクトメータにはC3Dの自動追尾機能&オート測定が可能な機種もあり,安定したセンタリングとピント合わせが可能になっている.正しいセンタリングのためには,測定開始時に被検者の頭部が傾いていないこと,額当てから額がはずれていないこと,測定前に瞬目を促して眼表面(涙液の貯留)を安定させることなど確認する必要がある.③眼瞼や睫毛に対する対応眼瞼や睫毛が測定光束内にかからないようにする.眼を大きく開けても眼瞼や睫毛が測定光束内にかかる場合には,眼球を圧迫しないように眼瞼挙上が必要である.C●検査データの読み方と解釈左右眼で複数回の測定を行い,各回の測定値に大きな変動がなく,乱視軸も安定している場合には正常に測定されているとみなすことができる.センタリングやピント合わせを正しく測定したにもかかわらず,各回の測定値が大きく変動する場合は,オートレフラクトメータの測定限界,調節の介入,アーチファクトの影響などにより,測定値の信頼性が低下している可能性がある.C●おわりに身近な他覚的屈折検査器であるオートレフラクトメータであるが,その機能は明らかに進歩している.各眼科施設にはオートレフラクトメータが設置されていること多いが,3D自動追尾機構,操作感,雲霧機構,固視目標のデザインなど,各社ごとに多くの違いがあるので,それらの違いについて,検者としてだけでなく,被検者としても改めて試してみることをお勧めしたい.文献1)川守田拓志,半田知也:オートレフラクト(ケラト)メータ.眼科検査ガイド第C2版(根木昭監修),p54-59,文光堂,C20162)大橋利和:器械近視に関する研究.臨眼11:57-60,C19663)霧島正:顕微鏡による眼調節(器械近視).臨眼C8:C55-60,C19674)HandaT,ShojiN,KawamoritaTetal:Developmentofawide-.eld,binocular,open-viewtypeelectronicpupilome-ter.JRefractSurgC28:672-673,C2012CPAS101