特集●カラーコンタクトレンズの安全性を問うあたらしい眼科31(11):1607~1612,2014特集●カラーコンタクトレンズの安全性を問うあたらしい眼科31(11):1607~1612,2014カラーコンタクトレンズの種類ClassificationsofCosmeticSoftContactLenses佐渡一成*はじめに日本コンタクトレンズ学会では2012年7月から3カ月間,カラーコンタクトレンズ(カラーCL)に関する眼障害調査を行い,全国の97施設から395例の報告があった1).この結果を受けて,国民生活センターが,カラーCL17銘柄に参考として日本で承認を受けていない個人輸入品3銘柄を加え,安全性や使用実態などを調べた結果を公表した*1).今回は,2010年3月から2014年7月の間に,さど眼科(以下,当院)から厚生労働省医薬食品局安全対策課へカラーCLに関する医療機器安全性情報報告書*2)をFAXした結果(当院の報告)*3)のサマリーを示す.1)合計148人(1人で複数のCLを装用していた者がありカラーCLは157件).2)性別:148人すべて女性.3)年齢:16~19歳31名(20.9%),20~29歳95名(64.2%)30~39歳19名(12.8%),40~45歳3名(2.0%)4)レンズ名の判明率:157件中148件のレンズ名が判明(94.3%)し,不明は9件であった.5)眼障害:角膜潰瘍9例(6.1%),角膜浸潤44例(29.7%),角膜びらん10例(6.8%),表層角膜炎61例(41.2%),続発虹彩炎13例(8.8%),急性結膜炎22例(14.9%),結膜びらん14例(9.5%),アレルギー性結膜炎45例(30.4%)などであった.Iカラーコンタクトレンズの分類・種類1.これまで報告されている分類①目的による分類:整容目的/おしゃれ目的整容目的のカラーCLは虹彩付ソフト*4)(グループⅠ)が1種類あるが,当院の報告中では0件であり,148人(157件)のすべてがおしゃれ目的の美容用レンズであった.②認可の有無による分類わが国の認可について確認できたもの148件中,認可あり134件(90.5%),未認可14件が(9.5%)であった.未認可14件のうち,1件の細隙灯顕微鏡写真を示す(図1).③視力補正を行うか否か(度の有無)による分類非視力補正用(度なし)52件(33.1%),視力補正用(度あり)104件(66.2%),不明1件.度なしの報告例52件のうち5件の細隙灯顕微鏡写真を図2~6に,度ありの報告例104件のうち4件を図7~10に示した.④装用期間による分類1日:50件(31.6%),2週間:21件(13.4%),1カ月:48件(30.6%),1カ月を超えるもの:24件(15.3%),不明:14件.1カ月を超えるもので国内認可を得ているものは整容目的の虹彩付レンズのみであり,未認可のものに加えて,認可を受けた期間より長く装用可能と広告に謳い販売されているものがある.*KazushigeSado:さど眼科〔別刷請求先〕佐渡一成:〒980-0021仙台市青葉区中央2-4-11水昌堂ビル2Fさど眼科0910-1810/14/\100/頁/JCOPY(41)1607図124歳,女性:角膜血管侵入(商品名:ウイスキーロック/使用推奨期間:8カ月/ID:3・・77)図223歳,女性:角膜びらん(商品名:キャンディーマジック/使用推奨期間:6カ月/ID:3・・15)図319歳,女性:角膜びらん(商品名:スターダスト/使用図420歳,女性:角膜びらん(商品名:ツッティ/使用推奨推奨期間:1カ月/ID:3・・45)期間:1カ月/ID:3・・20)図523歳,女性:角膜潰瘍(商品名:トゥインクルアイズ/使用推奨期間:不明/ID:3・・09)図628歳,女性:角膜浸潤,アレルギー性結膜炎(商品名:ヴィーナスアイズ/使用推奨期間:1カ月/ID:3・・45)図721歳,女性:角膜潰瘍,角膜浸潤,続発虹彩炎(商品名:ワンデーアキュビューディファイン/使用推奨期間:1日/ID:3・・47)図930歳,女性:角膜浸潤,表層角膜炎(商品名:ビューノ2Wビューティー/使用推奨期間:2週間/ID:3・・65)図824歳,女性:角膜浸潤(商品名:2Wアキュビューディファイン/使用推奨期間:2週間/ID:3・・08)図1020歳,女性:アレルギー性結膜炎(商品名:キャンディーマジック/使用推奨期間:1カ月/ID:3・・99)1610あたらしい眼科Vol.31,No.11,2014(44)例中1例,計20例中13例(65.0%)は量販店隣接眼科で検査を受けて,12例(60.0%)は量販店隣接の販売店で購入していた.定期的に検査を受けていたものが10例(50.0%)であったが,最初だけ検査を受けたものの以後は検査を受けずにネット通販で購入を繰り返していたもの,検査をまったく受けていなかったものがそれぞれ5名(25.0%)ずつであった.〇眼科で検査を受けることなくネットで販売されているカラーCLキャンディーマジック(10例).エンジェルカラー(8例).ツッティ(6例).ラヴェール,ティアモ,エバーカラーワンデー,アイラックスイノバ(各5例),パラカラグレイリー,ドーリーポップ,スゥイートデイズ,アイコフレワンデーUV(各4例).ワンデーピュアナチュラル,フォーリンアイズ,ヴィーナスアイズ(各3例).ラバーズカラー,ビーハートビーワンデー,ネオサイトワンデーリング,トゥインクルアイズ,ロデオ,ダリエクストラ,アイビーブラック(各2例).ウルコン,マックスカラー,マジックブラウン,プリメ,ピュリーム,セクシービジョン,スターダスト,シルキーレーベル14,パシャブラック,シュプリーム,ザピエル,ウイスキーロック,sb3カラコン,マリーブラウン(各1例),合計97件は量販店隣接眼科を含めて一切眼科的な検査を受けずに,ネット通販や総合ディスカウントストアで購入が繰り返されていた.「はじめだけ」6件,「しばらく受けていない」4件を含めて97件全員が当院受診時には検査を受けずにカラーCLを装用していた.(レンズ名に下線を引いたものは国内での認可を受けていないと思われたもの)上記のように,眼科での処方も定期検査も受けない状態でも容易にCLが購入できること.販売されていることは早急に対処を要する事態である.一方,「比較的安全であると考えられている1日使い捨てタイプで,グループIVのサークルレンズ」であるワンデーアキュビューディファインのトラブル発生数がCL商品別では最多の17件であった.ディファインは販売量,使用者数も多いことからトラブルの数が多くみられた面も大きいと思われるが,17例中8例(47.1%)は検査を受けずに購入を繰り返しており,「比較的安全2.これまでされてこなかった分類「どこで処方を受けていたか」「定期検査を受けていたか」「どこで購入していたか」による分類ⅰ)どこで処方を受けていたか眼科専門医5件(3.2%),量販隣接眼科29件(18.5%),処方医療機関なし113件(72.0%),不明10件(6.4%).ⅱ)定期検査を受けていたかあり30件(19.1%),なし106件(67.5%),最初だけ・しばらくなし16件(10.2%),不明5件(3.2%).ⅲ)どこで購入していたかネット通販74件(47.1%),総合ディスカウントストア39件(24.8%),量販店隣接の販売店30件(19.1%),カラコン専門店3件(1.9%),薬局チェーン店3件(1.9%),眼鏡チェーン店2件(1.3%),不明6件(3.8%).ⅰ)ⅱ)ⅲ)の結果,カラーCLは,「眼科や量販店で処方されているカラーCL(ネットでも購入可能)」と「眼科で検査を受けることなくネットで販売されているカラーCL」の2つに分類できることがはっきりした.〇眼科や量販店で処方されているカラーCL(ネットでも購入可能)ワンデーアキュビューディファインの報告例は,17件中10件(58.8%)が量販店隣接眼科で処方を受けていた.検査を受けていないものが6名(35.3%),眼科専門医で処方を受けていたものが1例であった.購入は量販店隣接の販売店が12名(70.6%),ネット通販が5名(29.4%).定期的に検査を受けていたものが9例(52.9%)であったが,最初だけ検査を受けたものの以後は検査を受けずにネット通販で購入を繰り返していたものが2名.検査をまったく受けていなかったものが6名(35.3%)であった.2Wアキュビューディファインは,14件中9件(64.3%)が量販店隣接眼科で処方を受けており,眼科専門医で処方を受けていたものが4例(28.6%),検査を受けていないものは1名であった.フレッシュルックデイリーズイルミネート5例中3例,ビューノ2Wビューティー5例中3例,ワンデーアイレリアル3例中3例フェアリー5例中2例,ワンデースパークリングカラー1例中1例,グラングラン1例中1例,計20例中13例(65.0%)は量販店隣接眼科で検査を受けて,12例(60.0%)は量販店隣接の販売店で購入していた.定期的に検査を受けていたものが10例(50.0%)であったが,最初だけ検査を受けたものの以後は検査を受けずにネット通販で購入を繰り返していたもの,検査をまったく受けていなかったものがそれぞれ5名(25.0%)ずつであった.〇眼科で検査を受けることなくネットで販売されているカラーCLキャンディーマジック(10例).エンジェルカラー(8例).ツッティ(6例).ラヴェール,ティアモ,エバーカラーワンデー,アイラックスイノバ(各5例),パラカラグレイリー,ドーリーポップ,スゥイートデイズ,アイコフレワンデーUV(各4例).ワンデーピュアナチュラル,フォーリンアイズ,ヴィーナスアイズ(各3例).ラバーズカラー,ビーハートビーワンデー,ネオサイトワンデーリング,トゥインクルアイズ,ロデオ,ダリエクストラ,アイビーブラック(各2例).ウルコン,マックスカラー,マジックブラウン,プリメ,ピュリーム,セクシービジョン,スターダスト,シルキーレーベル14,パシャブラック,シュプリーム,ザピエル,ウイスキーロック,sb3カラコン,マリーブラウン(各1例),合計97件は量販店隣接眼科を含めて一切眼科的な検査を受けずに,ネット通販や総合ディスカウントストアで購入が繰り返されていた.「はじめだけ」6件,「しばらく受けていない」4件を含めて97件全員が当院受診時には検査を受けずにカラーCLを装用していた.(レンズ名に下線を引いたものは国内での認可を受けていないと思われたもの)上記のように,眼科での処方も定期検査も受けない状態でも容易にCLが購入できること.販売されていることは早急に対処を要する事態である.一方,「比較的安全であると考えられている1日使い捨てタイプで,グループIVのサークルレンズ」であるワンデーアキュビューディファインのトラブル発生数がCL商品別では最多の17件であった.ディファインは販売量,使用者数も多いことからトラブルの数が多くみられた面も大きいと思われるが,17例中8例(47.1%)は検査を受けずに購入を繰り返しており,「比較的安全2.これまでされてこなかった分類「どこで処方を受けていたか」「定期検査を受けていたか」「どこで購入していたか」による分類ⅰ)どこで処方を受けていたか眼科専門医5件(3.2%),量販隣接眼科29件(18.5%),処方医療機関なし113件(72.0%),不明10件(6.4%).ⅱ)定期検査を受けていたかあり30件(19.1%),なし106件(67.5%),最初だけ・しばらくなし16件(10.2%),不明5件(3.2%).ⅲ)どこで購入していたかネット通販74件(47.1%),総合ディスカウントストア39件(24.8%),量販店隣接の販売店30件(19.1%),カラコン専門店3件(1.9%),薬局チェーン店3件(1.9%),眼鏡チェーン店2件(1.3%),不明6件(3.8%).ⅰ)ⅱ)ⅲ)の結果,カラーCLは,「眼科や量販店で処方されているカラーCL(ネットでも購入可能)」と「眼科で検査を受けることなくネットで販売されているカラーCL」の2つに分類できることがはっきりした.〇眼科や量販店で処方されているカラーCL(ネットでも購入可能)ワンデーアキュビューディファインの報告例は,17件中10件(58.8%)が量販店隣接眼科で処方を受けていた.検査を受けていないものが6名(35.3%),眼科専門医で処方を受けていたものが1例であった.購入は量販店隣接の販売店が12名(70.6%),ネット通販が5名(29.4%).定期的に検査を受けていたものが9例(52.9%)であったが,最初だけ検査を受けたものの以後は検査を受けずにネット通販で購入を繰り返していたものが2名.検査をまったく受けていなかったものが6名(35.3%)であった.2Wアキュビューディファインは,14件中9件(64.3%)が量販店隣接眼科で処方を受けており,眼科専門医で処方を受けていたものが4例(28.6%),検査を受けていないものは1名であった.フレッシュルックデイリーズイルミネート5例中3例,ビューノ2Wビューティー5例中3例,ワンデーアイレリアル3例中3例フェアリー5例中2例,ワンデースパークリングカラー1例中1例,グラングラン1図1145歳,女性:pre.perimetricglaucoma(商品名:ワンデーアキュビューディファイン/使用推奨期間:1日/ID:3・・01)1612あたらしい眼科Vol.31,No.11,2014(46)が必要」で「販売店は医師の処方を順守するシステム(現在模索中)を早急に構築すること」が欠かせないと筆者は考えている2).将来,「いわゆるCL処方せんの法制化(購入には医師の処方が必須とする一方,医師は処方に責任を持つこと)」に加えて,「医師の処方に従ったものしか販売・購入できないルール」が確立され,保険診療の枠外であれば,筆者はカラーCLの処方を否定するつもりはない.文献1)渡邉潔,植田喜一,佐渡一成ほか:カラーコンタクトレンズ装用にかかわる眼障害調査報告.日コレ誌56:1-10,20142)佐渡一成:CLバトルロイヤルサードステージ第37回カラーコンタクトレンズに対する取り組み.日コレ誌56:206-213,2014参考URL*1)独立行政法人国民生活センター:カラーコンタクトレンズの安全性─カラコンの使用で目に障害も─.http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20140522_1.html*2)医薬品・医療機器等安全性情報報告制度:http://www.info.pmda.go.jp/info/houkoku.html*3)さど眼科で経験・報告したカラーコンタクトレンズトラブル一覧(2010年3月から2014年7月).http://www.sado-ec.com/images/pdf/c_trouble.pdf*4)虹彩付ソフト(シード):http://www.seed.co.jp/products/contact/list/list_01.html*5)カラーCL比較通販データベース:http://contactkontakuto.web.fc2.com/color/bunrui.htm問題,3)使用者のコンプライアンスが悪いという問題がある.医師の処方が必須となれば,粗悪品は淘汰されるが,2)の販売ルートの問題が解決しなければ,使用者は「検診は受けずに,ネットや雑貨店で購入を繰り返す」ので責任を持った処方・指導はできない.結果,「軽い気持ちで利用して目に障害が起きる(消費者庁長官の発言)」という悪循環は断ち切れない.販売ルート問題の解決には「いわゆるCL処方せんの法制化(購入には医師の処方が必須とする一方,医師は処方に責任を持つこと)が必須である」が,法制化だけでは不十分で「医師の処方に従ったものしか販売・購入できないルールを確立する」ことが欠かせない.このような状況にならない限り,「国民の健康的な生活を確保(医師法1条)」することはできないと考えている.(日コレ誌56巻3号CLバトルロイヤルサードステージ第37回カラーコンタクトレンズに対する取り組み.より引用).コンプライアンスの悪い使用者はそもそもCL装用の禁忌であり,コンプライアンスが改善しないのであればCLを処方してはならない.そして,コンプライアンスの悪い使用者が多い原因の一つは,「眼科を受診しなくてもCLを自由に購入できる現在の状況」である.コンプライアンスの悪い使用者を減らす(結果的にCLトラブルが減る)ためには「CL購入には医師の処方