●シリーズ後期臨床研修医日記金沢大学医薬保健学域医学類視覚科学山崎奈津子金沢大学医薬保健学域医学類視覚科学教室では,現在6名の後期研修医〔後期研修医3年目4名(うち2名は関連病院勤務),1年目2名〕が毎日忙しく,楽しく(?)働いています.そんななかで,私の1週間を徒然なるままに書いて,日々の仕事をご紹介します.月曜日杉山和久先生の教授回診から1週間が始まります.約20人の患者さんが教授回診にでてきます.テレビ画面に映るスリット像をみんなで囲みます.緑内障患者さんの診察で杉山教授の「いいブレブですね」が聞けたり聞けなかったりします.その後外勤に出発です.金沢大学眼科は北陸3県にまたがって関連病院があります.月曜日は富山県の黒部市民病院です.金沢からは1時間半の長距離ドライブです.晴れた日には途中,とても美しい立山連峰を見ることができ,ドライブの疲労感が少し癒されます.黒部市民病院は,富山県東部の中核病院の1つなのでさまざまな症例を診ることができます(剣岳から滑落された方もいました!).診療が終わると,また大学に戻り,入院患者さんの指示や手術のムンテラをします.後期研修医1年目では月曜日の午後に杉山能子先生のご指導の下,斜視手術の執刀をします.火曜日火曜日は手術日です.当院眼科は3部屋並列(恵まれている!……が忙しい)で白内障手術,硝子体手術,緑内障手術,角膜移植,眼瞼・眼窩手術などが行われ,さまざまな手術の助手に入ります.また,メディカルレチナ外来も並行して行われており,造影検査やアバスチンR(ベバシズマブ)などの処置も行っています.午後は斜視・弱視外来もあり,後期研修医1年目には順番にローテーションして学ばせていただきます.▲新医局の医員室手前から近澤先生,小澤先生,濱岡先生,山崎,清水先生.(95)あたらしい眼科Vol.30,No.4,20135230910-1810/13/\100/頁/JCOPY〈プロフィール〉山崎奈津子(やまざきなつこ)獨協医科大学卒業,石川県立中央病院,金沢大学付属病院で初期臨床研修,平成22年4月より金沢大学医薬保健学域医学類視覚科学教室後期研修医.水曜日教授回診の後は,各専門外来の日です.外来前では患者さんが待合室の椅子からあふれて待っています.水曜日は教授回診患者さんの眼圧をゴールドマン眼圧計で手際よく測り,予診をとりまくります.正直なところ目が回るくらい忙しいです.若干,みんな殺気立っています(笑).後期研修医1年目はローテーションで教授診察の陪席につきます.水曜日の教授診には川口先生も陪席されるのでとても賑やかで楽しく,また非常に緑内障診察の勉強になります.午後は隔週で角膜外来をしています.ドライアイ,TS-1角膜症,Stevens-Johnson症候群の慢性期の患者さんなど,さまざまな症例を診察しています.わからないことがあれば,小林先生や横川先生に相談しています.たまに患者さんのカルテを開くと小林先生から「軟膏を追加してみましょう」などのコメントが入っていたりすることもあり,陰ながら見守ってくださっていると思うと心強いです.木曜日木曜日も火曜日と同様に手術とメディカルレチナ外来の日です.予診の合間に手術に入ったり,手術の合間に造影検査をしたり慌ただしい一日を過ごします.午後は翌日の手術患者さんの指示やムンテラをします.また,木曜日は医局会が開かれ,抄読会,学会や集談会への発表の予行が行われます.金曜日金曜日は各専門外来と手術が並列で行われます.木曜日と同様に予診の合間に手術に入ったり,手術の合間に予診をとったりと金曜日も相変わらず忙しいです.自分で白内障手術の執刀をすることもあります.まだまだ思っているようにできませんが,指導医から的確な指導を受け,徐々に上達していると思います.また,緑内障発作や角膜潰瘍,網膜.離などの緊急入▲教授外来左から杉山教授,山崎,川口先生.院,手術もあり,手術出しまで1時間ない!?ということもあり,てんやわんやになりながら急いで準備することもあります.土曜日土曜日の午前中は外勤です.外勤前に病棟回診を済ませ,その後外勤に向かいます.外勤先では,大学病院では経験することが少ないと思われる一般疾患を診ることができ勉強になります.また,月に1,2回は土日の日当直があります.当院では土日入院で眼圧の日内変動検査を行っております.3時間毎に眼圧を測るのは,正直面倒だな(汗)と思うこともありますが,眼圧の日内変動が大きく,この検査で手術適応が決まったりすることもあるので非常に慎重になります.▲発表する山崎524あたらしい眼科Vol.30,No.4,2013(96)このように1週間が信じられないくらいあっという間に過ぎていきます.昨年の3月に医局が新棟に移動し,ピカピカの医局で快適に過ごしております(すでにデスクは書類,論文,教科書とお菓子で埋もれ気味ですが……).一日の仕事が終わると,医局でそれぞれが担当している患者さんについて相談したり,わからないことを一緒に調べたり,全然仕事と関係のない話で盛り上がったり,時にはグチったり(笑)と忙しいなかでも和気あいあいと楽しく勤務に励んでおります.当院では緑内障,網膜硝子体,角膜,メディカルレチナ,斜視・弱視,眼瞼・眼窩,神経眼科の各専門外来があり,入院・手術も偏りなく症例が当てられるためさまざまな症例を経験することができ,非常に充実した毎日をすごしています.また,学会発表などの機会にも恵まれ,指導を受けることができます.このように後期研修を行ううえでとても恵まれている環境にあると思います.これからも日々の仕事に励み,一人前の眼科医を目指していきたいと思います.(山崎奈津子)指導医からのメッセージ山崎先生が初期臨床研修の際には,小児外科医への道を考えていたようでした.しかし,当院眼科での短い研修期間中に眼科の魅力に気付き,我々と一緒に眼科医への道を歩むようになってくれたことは,当時の臨床研修医指導の担当をしていた私としては,大変に喜ばしいことでした.現在も順調に研修を続け,今では,隔週ではありますが,角膜外来も担当してもらえるまでに成長しました.飲み会の幹事など,医局の(重要な!)雑用においても,持ち前の社交性をふんだんに発揮して頑張っているようです.来年は4人の新人が後期臨床研修として入局してくる予定なので,これからは後輩の指導という役割も加わり,大忙しの日々になるでしょう.さらに幅広い眼科臨床を学び,無理はしない程度に,充実した後期臨床研修を送って欲しいと考えています.白内障をマスターしたら,次は角膜移植かな?(金沢大学附属病院眼科臨床准教授小林顕)☆☆☆(97)あたらしい眼科Vol.30,No.4,2013525