●連載⑬抗VEGF治療セミナー─使用方法─監修=安川力髙橋寛二3.ReducedFluence光線力学的療法と山下彩奈香川大学医学部眼科学講座抗VEGF薬中心窩を含む滲出型加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegeneration:AMD)の治療は,基本的に2011年に加齢黄斑変性治療指針作成ワーキンググループが作成した治療アルゴリズムに則って行われる.筆者らの施設では,光線力学的療法(photodynamictherapy:PDT)を低照射エネルギーPDT(reducedfluencePDT)で行っており,その治療成績と抗VEGF薬単独療法,併用療法との比較について述べる.加齢黄斑変性(AMD)の治療選択中心窩を含む滲出型加齢黄斑変性(age-relatedmaculardegeneration:AMD)の治療は,基本的に2011年に加齢黄斑変性治療指針作成ワーキンググループが作成した治療アルゴリズム1)に則って行い,典型AMDは抗VEGF薬,ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidalchoroidalvasculopathy:PCV)は光線力学的療法(photodynamictherapy:PDT)あるいは抗VEGF薬またはPDT+抗VEGF薬併用療法,網膜内血管腫状増殖(retinalangiomatousproliferation:RAP)はPDT+抗VEGF薬併用療法を選択する(図1).筆者らの施設では,PDTを単独療法でも併用療法でも基本的に低照射エネルギーPDT(reducedfluencePDT:RFPDT)で行っている.RFPDTの方法であるが,筆者らは,倍率1倍のコンタクトレンズ使用の設定で,実際は倍率1.44倍のレンズを使用することによって,光照射エネルギー量を通常の50J/cm2から25J/cm2に減らすことで実施している.その他,施設によっては照射時間を減らす方法,投与するベルテポルフィンを減量する方法で行われることもあるが効果の差は不明である.典型AMDに対する治療ANCHORstudy2)において,ルセンティス群で平均11.3文字の視力改善,PDT群で平均9.5文字の視力低下が報告され,国内におけるPDTガイドライン3)でも典型AMDに比べるとPCVのほうが治療成績が良いとされているように,典型AMDは抗VEGF薬療法による治療が効果的である.当科において,RFPDT施行にて12カ月経過観察で(79)0910-1810/13/\100/頁/JCOPY図1加齢黄斑変性の治療指針(文献1より改変)中心窩を含む滲出型加齢黄斑変性(AMD)抗VEGF薬PDTあるいは抗VEGF薬または併用療法規定の間隔で経過観察(最高矯正視力,眼底検査,OCT)/維持期の追加治療PDT+抗VEGF薬併用療法典型AMDPCVRAPきた典型AMD症例15眼の治療後12カ月の視力不変・改善(logMAR0.3以上を変化とした場合)は80%で,平均logMAR視力の有意な改善は認めず,標準PDTと視力成績は変わらなかった.典型AMDの場合,2型脈絡膜新生血管(choroidalneovascularization:CNV)を認める症例では,特に抗VEGF薬ではCNV縮小の効果が得られやすいが,PDTの場合,CNVが縮小することなく閉塞・瘢痕化するため,視力成績に差が出ると考えられる.PCVに対する治療PCVを対象にPDT単独群,ラニビズマブ単独群,両者併用群の比較をアジア5カ国で行ったEVERESTstudyでは,治療6カ月後のポリープ完全退縮の割合は,併用群(77.8%),PDT単独群(71.4%)で,ラニビズマブ単独群(28.6%)と比較して有意に高かったが,ベーあたらしい眼科Vol.30,No.6,2013801スラインからの最高矯正視力の変化量は各群間に有意差はなかったと報告された4).PDT単独療法については,PDTガイドラインでもPCVの治療成績が良いとされているが3),網膜下出血の合併症(4.5%)が報告されるなど,視力低下のリスクがあるため,視力良好例には適用しにくいとされている.しかし,当科において,PCV症例38眼に対するRFPDT単独療法の治療成績を2年間追跡した結果,平均logMAR視力は治療前0.43が治療後1年で0.28(p<0.0001),治療後2年で0.29(p=0.001)と改善しており,logMAR0.3以上の改善・不変の割合は36眼(95%)であり,さらに,治療前小数視力0.6以上の視力良好例13眼についても,治療後1年で有意に視力は改善し,治療後2年でも維持され,視力に影響する重篤な治療後出血もなかった5).また,EVERESTstudyに準じて行ったラニビズマブ併用RFPDTの1年成績は,平均logMAR視力は治療前0.49,治療後12カ月0.39とこちらも有意に改善(p=0.01),logMAR0.3以上の改善・不変の割合は35眼(92%)であったが,RFPDT単独療法とラニビズマブ併用RFPDTの1年成績を比較したところ〔治療前における年齢,最大直径(greatestlineardimension:GLD),logMAR視力,フルオレセイン蛍光造影(fluoresceinangiography:FA)による病変タイプは両群間に有意差なし),1年の経過観察期間では両者の治療成績に有意差はなかった(図2).抗VEGF薬単独療法は,視力改善・維持に有用であるものの,ポリープ閉塞率はPDTに比べて劣るという報告が多い.しかしながら,治療後の視力低下をきたすリスクが低いことから,視力良好例などでは良い適用となる.RAPに対する治療RAPには少ない治療回数で高い治療効果を得るため,視力良好例を除き,PDT+抗VEGF薬併用療法が推奨されている.当科ではラニビズマブ硝子体注射(IVR)+RFPDTの併用療法を行っており,19眼(stageII:13眼,stageIII:3眼)の1年成績は,平均logMAR視0.80.60.40.20-0.2-0.4-0.6単独群logMAR視力変化量p=0.441併用群両群間の治療前~12カ月後の視力変化量に有意差なし(Mann-Whitney検定)図2単独療法群,併用療法群の治療前~治療後12カ月のlogMAR視力変化量の比較力は治療前0.85が治療後1年で0.70(p=0.0012)と改善しており,logMAR0.3以上の改善・不変の割合は17眼(89%)であり,12カ月で要した治療回数は,初回治療を含めてRFPDTが1.3回,IVRが2.7回であった.文献1)髙橋寛二,小椋祐一郎,石橋達朗ほか:厚生労働省網膜脈絡膜・視神経萎縮症調査研究班加齢黄斑変性治療指針作成ワーキンググループ:加齢黄斑変性の治療指針.日眼会誌116:1150-1155,20122)BrownDM,KaiserPK,MichelsMetal:ANCHORstudygroup:Ranibizumabversusverteporfinforneovascularage-relatedmaculardegeneration.NEnglJMed355:1432-1444,20063)TanoY,OphthalmicPDTStudyGroup:GuidelinesforPDTinJapan.Ophthalmology115:585-585,e6,20084)KohA,LeeWK,ChenLJetal:EVERESTstudy:efficacyandsafetyofverteporfinphtodynamictherapyincombinationwithranibizumaboraloneversusranibizumabmonotherapyinpatientswithsymptomaticmacularpolypoidalchoroidalvasculopathy.Retina32:1453-1464,20125)YamashitaA,ShiragaF,ShiragamiCetal:Two-yearresultsofreduced-fluencephotodynamictherapyforpolypoidalchoroidalvasculopathy.AmJOphthalmol155:96-102,2013☆☆☆802あたらしい眼科Vol.30,No.6,2013(80)