●シリーズ⑲後期臨床研修医日記神戸大学医学部眼科学教室山崎悠佐松本佳子大西健寺岡力新宇津永遠前田早織(執筆順)神戸大学医学部眼科教室には現在7人の専攻医がおり,みんなで日々楽しく勉強しています.そんな専攻医の生活を,1週間を通してご紹介します.月曜日1週間のはじめ,月曜日は教授回診から始まります.自分の診察記事,スケッチがチェックされることもあるので,少し緊張します.それが終わると,火曜日に手術予定の患者さんが入院してくるため,入院時の診察をします.対光反射や眼球運動から始まり,隅角所見,散瞳して眼底スケッチまで一通り診察するため,それなりに時間がかかってそれだけで午前中が終わってしまいます.昼からは入院中外来.入院中の患者さんは月曜日にまとめて専攻医で診察していますが,大学病院なので脳神経外科や神経内科の疾患,小児科の疾患,その他むずかしい疾患の患者さんが来ることもあります.そのときは上級医の先生方に教えを仰いで勉強させていただいています.はじめは眼底もなかなかみられなかったので,上の専攻医の先生方と一緒に診察させていただいていましたが,ようやく独り立ちして何とか頑張っています.夕方からはカンファレンスがあります.スタッフの先生方による専攻医のためのエッセンシャルレクチャーは,普段授業を受けて学ぶ機会がないので,大変勉強になります.たまに学会の予演会や症例発表に変更になるときもあります.このような感じで月曜日は過ぎていきます.(山崎悠佐)火曜日火曜日と木曜日は手術日です.特に全身麻酔での手術は火曜日に集中します.全身麻酔が適応になる方は,他の疾患を抱えていたり年齢が若かったりと局所麻酔に比べて注意点が多く,手術開始ギリギリまで気を遣います.特に赤ちゃんの手術(67)0910-1810/12/\100/頁/JCOPY▲初期研修医と一緒にでは,麻酔導入後から手術開始までの間が普段できない検査のチャンスタイムです.手持ちオートレフなどありとあらゆる機材を手術室に持ち込み,寝ている間に検査してしまいます.手術そのものも複雑かつ繊細で,術者の先生の横に座っているだけでも緊張し,終わった頃には汗だくです.術後の診察も大事です.白内障術後の方が眼帯を外した瞬間に「よく見えます」と言ってくださったときは喜びも一入です.術後診察が終わったら,後は明日入院してくる方の予習と準備をしつつ日が暮れてゆきます.(松本佳子)水曜日水曜日の朝は抄読会が8時に始まるため少し早いです.火曜日手術の担当患者さんを一通り診察し終えた頃に,木曜日手術予定の患者さんたちが入院して来られます.今年は専攻医および研修医の数が多く,担当する手術症例は週に2,3例程度,その分入院時の診察は眼底スケッチを含めて時間を十分にかけ詳細に行うことができます.時間があれば黄斑専門外来の見学をさせていたあたらしい眼科Vol.29,No.10,20121383▲術前カンファレンス風景だき,AMDなどさまざまな黄斑疾患の眼底を造影検査の結果と照らし合わせてみることもできます.2年目,3年目の専攻医はときどき,外来や手術介助の外勤があり,臨時収入も有難いし,異なった環境で勉強になることもあります.14時半頃からは本田講師による病棟医長回診があり,術前術後の患者さんを診ていただき,いろいろと相談できる格好の場です.病棟係の水曜日は割と時間に余裕があるので,担当疾患についての基礎知識や手術法を勉強することができます.外来係の水曜日は雑用に追われ忙しいですが,PDTもあり学べる機会も多いです.(大西健)木曜日木曜日,2人の専攻医が術前外来を担当します.今日は術前患者さんが11人もいました.一人一人の血液検査,レントゲン,心電図を確認し,患者さんに説明します.あれれ,硝子体トリプル手術予定患者さんのHbA1Cが10.7%です.手術を延期のうえ,糖尿病内科へ血糖コントロール依頼となりました.大学病院となりますと全身状態の良くない患者さんがよくいますので,他科受診依頼書の作成などに時間と手間がかかります.また,手術の内容や合併症なども説明し,患者さんからの質問にも答えないといけません.この業務の合間に薬のみ希望の患者さんに対応しつつ,初診患者さんの問診もします.午後からは造影外来を担当します.日によって違いますが,大体5,6人予約患者さんがいます.一人一人を1384あたらしい眼科Vol.29,No.10,2012〈プロフィール〉(50音順)宇津永遠(うづとわ)平成23年より神戸大学医学部眼科学教室にて眼科後期研修開始.大西健(おおにしけん)平成22年より眼科後期研修開始し,平成23年4月より神戸大学医学部眼科学教室にて研修.寺岡力新(てらおかりきしん)平成20年より眼科後期研修開始し,平成23年4月より神戸大学医学部眼科学教室にて研修.前田早織(まえださおり)平成22年より眼科後期研修開始し,平成23年4月より神戸大学医学部眼科学教室にて研修.松本佳子(まつもとよしこ)平成23年より神戸大学医学部眼科学教室にて眼科後期研修開始.山崎悠佐(やまさきゆさ)平成23年より神戸大学医学部眼科学教室にて眼科後期研修開始.診察し,所見の記録,造影剤の処方,静脈注射などをします.それから次週の術前カンファレンスの準備があります.前の週に出された課題の復習もしないと,カンファレンス時にいきなり発表させられるかもしれません.次週の入院患者さんの振り分けは術前カンファレンスの直前に決まりますので,病棟担当医の皆が注目します.なぜなら振り分けられた症例によって,手術執刀のチャンスが違ってくるからです.カンファレンス後,主治医の先生と一緒に担当患者さんを診察して,長い一日が終わります.(寺岡力新)金曜日金曜日は病棟業務,カンファレンスの日です.まずは木曜日に手術をした患者さんの術後診察から始まります.昨日の線維柱帯切除術の濾過胞の具合はどうか,眼圧が上がっていないか,白内障の眼内レンズは固定されているか,術後感染症などは起こっていないか,など緊張しながら診察しています.術後経過の良好であるのを確認し,病棟業務を切り上げ専門外来を見学に行きます.金曜日の専門外来は角膜外来,緑内障外来で,各々の特徴的な所見をスリットなどで観察できるチャンスの場です.そうしているうちに16時から網膜カンファレンスが(68)始まります.このカンファレンスは1週間の間に行われた蛍光眼底造影の検査を自分で撮影し,さらに読影を行い簡単なプレゼンテーションを行います.緊張の瞬間ですが…スタッフの先生方が優しく丁寧にご指導してくださるのでとても勉強になります.そして引き続きぶどう膜カンファレンス,緑内障カンファレンスが行われ,各分野の専門の先生方に熱心に教えていただけるので大変貴重な機会になっています.(宇津永遠)土曜日土曜日,病棟は退院のラッシュです.指導医からのメッセージみなさん眼科医としてのスタートを切ったばかりで,勉強すべきことがたくさんあり大変ではありますが,最も大切な時期でもあります.三つ子の魂百まで,専攻医としての初めの3年はその後の眼科医人生の方向性に大きく影響するでしょう.大変なこともたくさんあるでしょうが,それを乗り越えた記憶は,この先さまざまな困難に直面した折に糧となってくれる診察を終え患者さんを見送ります.“次の外来受診まで何も起きませんように”と願いながら.大学病院での約1年,何人の患者さんを見送ったのだろう.眼疾患を通じて患者さんの全身状態,生活環境,またその人生が垣間みえたり.不思議な仕事???でも素敵な仕事??果たしてやっていけるんだろうか??そんなこと考える暇があるなら教科書を読みなさい.はい!また新たな1週間が始まります!!(前田早織)すが,苦労した分みなさんのなかにはナニカが生まれていると思います.体を壊さない範囲で,自分の可能性を自らの手でおし広げていってもらえれば嬉しいです.そして医学的な勉強だけでなく,そんなナニカもしっかり育てて,よりよい先生になっていっていただければ….応援しています.頑張ってくださいね!!(神戸大学医学部眼科学教室・助教藤原雅史)はずです.若いころの苦労は買ってでもしろと申しま☆☆☆(69)あたらしい眼科Vol.29,No.10,20121385