0910-1810/11/\100/頁/JCOPY心に概説する.世界の眼科疫学研究1.FraminghamEyeStudya.背景と特徴欧米において眼科領域のpopulation-based研究が盛んになったのは1980年代以降である.その先駆けとなったのがFraminghamEyeStudyである.FraminghamEyeStudyは1948年から米国で行われていた循環器疾患についての疫学研究FraminghamStudyの追跡研究の一環として行われた.そもそものFraminghamStudyは循環器疾患の危険因子について明らかにすることを目的とした前向きコホート研究である.FraminghamStudyは今や常識となっている循環器疾患の危険因子,高血圧,高コレステロール血症,肥満などの関連を明らかにしたことで知られ,その成果はフラミンガムスコアとして虚血性心疾患や脳卒中の危険評価に広く用いられている.今や一般的に普及している「危険因子」という言葉を使い始めたことや「複数の危険因子が疾患の危険に関わる(マルチプルリスクファクター)」こと,さらにそれを明らかにするための統計手法である多重ロジスティック解析などを開発するなど現在の疫学研究の枠組みを作った研究といえる.当時高齢者の視力障害の原因疾患についての理解を深めるためにFraminghamEyeStudyが行われた2).はじめに国際疫学会「疫学辞典」によれば,疫学とは「特定された集団における健康に関連した状態あるいは事象の分布と決定因子の研究,及び,この研究の健康問題の制圧への応用」であると定義されている.疫学研究には数多くの手法があり,症例報告から症例対照研究,コホート研究から無作為臨床試験に至るまでさまざまである.眼科疾患の診断技術が発達し,新たな治療法が多く開発されている時代に,一般住民を対象とした疫学研究の意義は何であろうか?まず,一般住民を対象とした疫学研究は疾患の有病率,発症率などの基礎資料を得るのに最も信頼できる方法である.しかも,疾患の有病率や発症率は決して一定ではなく,人種差や医療の進歩に伴う予防効果,治療効果による経時的変化などがある.たとえば,重症の糖尿病網膜症の有病率は,1985年以前に比べてそれ以降では減少しつつあり,糖尿病の診断,治療の向上によるものであることが明らかとなっている1).多くの疾患では複数の危険因子,保護因子が複雑に関連しているがその関連を紐解いて明らかにしようとする際には多数例の正常者を含むコホート研究が今なお必要である.そして,新たな仮説の創成にあたっても正常者を含む研究は同様に有用である.本稿では,海外で今現在も研究活動,研究報告がなされている代表的な一般住民を対象とした疫学研究について「背景と特徴」,「研究方法」,「おもな研究結果」を中(41)41*RyoKawasaki:CentreforEyeResearchAustralia,RoyalVictorianEyeandEarHospital,UniversityofMelbourne〔別刷請求先〕川崎良:CentreforEyeResearchAustralia,RoyalVictorianEyeandEarHospital,UniversityofMelbourne,32GisborneStreet,EastMelbourne3002,VIC,Australia特集●世界の眼科の疫学研究のすべてあたらしい眼科28(1):41.47,2011世界の疫学研究:先進国編Population-BasedEpidemiologicalStudiesinDevelopedCountries川崎良*42あたらしい眼科Vol.28,No.1,2011(42)率とその危険因子について報告されたものの,発症率や進展率およびそれに関わる危険因子の理解は十分ではなかった.そこでより詳細な加齢性眼疾患の疫学研究を行うことを目的としてBDESが1987年にウィスコンシン大学(http://www.bdeyestudy.org/;RonaldKlein教授)により立ち上げられた.b.研究方法高齢者の視力障害の原因として重要である加齢白内障,緑内障,加齢黄斑変性,糖尿病網膜症の有病率と発症率,進展率,およびそれに関わる危険因子を明らかにすることをおもな目的としている.米国ウィスコンシン州にあるBeaverDam地域の43歳から84歳までの一般成人約5,000名が初回検査に参加した(1998.1990年).その5年後,10年後,15年後の追跡調査が行われ,それぞれの追跡調査に約3,700名,2,800名,2,100名が参加した.2008年からは20年後の追跡調査が行われ現在も進行中である.BDESの成果はこれまでに300近くの論文として報告されており,現在も活発に研究が行われている眼科領域の疫学研究としては最長の追跡期間をもつ研究といえる.さらに,白内障と加齢黄斑変性の判定システムを開発したことにより再現性の高い判定が可能となり,これはその後の眼科疫学研究で用いられている6,7).c.おもな研究結果BDESの成果として重要なのは各疾患の有病率に加えて追跡調査によって発症率,および進展率を明らかにしたことであろう8~12).この研究で得られた有病率,発症率のデータはその後のさまざまな臨床試験に必要な基礎資料として用いられている.発症の危険因子としては加齢白内障と加齢黄斑変性の危険因子について喫煙など介入可能な危険因子を明らかにしたことも重要である.疾患の病態についても長期の自然経過観察から晩期加齢黄斑変性の前駆状態としてドルーゼンと網膜色素異常があることなども明らかにした.共通の判定システムを用いた他研究とのデータ統合型メタ研究も行われており,喫煙と加齢黄斑変性の関連についても複数の研究結果を統合したメタ研究で関連が確認されている13~15).b.研究方法FraminghamEyeStudyはこのFraminghamStudyに参加した対象者について1973年に追加調査を行い,眼科疾患の有病率および危険因子を報告したものである.研究対象者は52歳から85歳の2,477名であった.研究の対象疾患は白内障,糖尿病網膜症,加齢黄斑変性そして緑内障であった.c.おもな研究結果白内障の有病率は15.5%,糖尿病網膜症の有病率は3.1%,加齢黄斑変性の有病率は8.8%,開放隅角緑内障の有病率は3.1%であった.白内障の危険因子として高血糖,収縮期血圧など,加齢黄斑変性の危険因子として高血圧,身長など,糖尿病網膜症の危険因子として高血糖,尿糖など,高眼圧の危険因子として高血圧,高血糖などが報告された3~5).2.BeaverDamEyeStudy(BDES)a.背景と特徴FraminghamEyeStudyにより加齢性眼疾患の有病図1BeaverDamEyeStudyの様子上:ウィスコンシン大学.左下:眼科疫学をリードしてきたRonaldKlein教授・BarbaraKlein教授夫妻.右下:ウィスコンシン大学の写真判定スタッフ.勤続20年を超えるベテランぞろいである.(写真提供Ms.StacyMeuer)(43)あたらしい眼科Vol.28,No.1,201143ら2009年にかけて15年後の追跡調査が施行され現在その解析が進行中である.BMESで用いられた研究プロトコールは眼底写真や白内障の判定システムをはじめBDESの方法を多く踏襲している.眼科検査以外には一般内科検診,詳細な病歴,内服薬使用歴などを含む問診,栄養調査,認知機能,生活の質(qualityoflife)調査などが行われている.また,5年後以降の調査では聴覚検査,嗅覚検査など耳鼻咽喉科との共同研究も含まれているのも興味深い(BlueMountainsHearingStudy).c.おもな研究結果BMESでは白内障の有病率,発症率など白内障全体の基礎疫学データに加え手術施行率や白内障の病型ごとの危険因子などが詳細に解析されている.たとえば核白内障の危険因子として喫煙やアルコール摂取,皮質白内3.BlueMountainsEyeStudy(BMES)a.背景と特徴BMESは1992年からオーストラリア,ニューサウスウェールズ州郊外のブルーマウンテン地域に住む住民を対象として始められた研究で加齢性眼疾患の有病率,発症率,そして危険因子を明らかにするために始められた(http://www.cvr.org.au/bmes.htm;PaulMitchell教授).b.研究方法オーストラリア全体の高齢者人口分布と近似しているBlueMountains地区在住の49歳から97歳までの3,654名に対して1992年から1994年にかけて眼科検診が行われた(受診率82.4%).その後,1997年から1999年にかけて5年後(n=2,334),2003.2004年にかけて10年後(n=1,952)の追跡調査が行われた.2007年か図2BlueMountainsEyeStudyの検診センターの様子左上:BlueMountainsの象徴的風景“theThreeSisters”.右上:検診は大学院生と専任スタッフで行われている.左下:検診期間中は町の中心部に近い施設を借りて検診が行われる.右下:眼底写真および水晶体写真撮影室.44あたらしい眼科Vol.28,No.1,2011(44)b.研究方法RotterdamEyeStudyでは55歳以上の一般成人対象者10,215名のうち7,983名が参加(受診率78%),その後,1999年に新たに55歳以上の成人3,011名,2006年には45歳から54歳までの3,932名が加わり,2008年時点で45歳以上の成人14,926名の大規模なコホートとなっている.検査項目は視力,屈折異常,眼圧,細隙灯検査,視野検査,眼底写真撮影,視神経乳頭形状解析,黄斑色素測定,光干渉断層計による網膜および視神経部計測,眼軸長,眼底自発蛍光など詳細な検査が含まれている.眼科疾患としては加齢黄斑変性,緑内障そして網膜血管径などの血管所見について検討対象としている22,23).c.おもな研究結果加齢黄斑変性に関しては喫煙,動脈硬化,遠視が危険因子となっており,さらに加齢黄斑変性の家族歴があると若くして加齢黄斑変性を発症する危険があること,逆にbカルテノイド,ビタミンC,ビタミンE,亜鉛の保護的作用も報告されている.緑内障に関しては高血圧,特に収縮期血圧が高眼圧と関連していたが,緑内障との関連はなかった.年齢とともに視野欠損の頻度が高くなること,視神経乳頭陥凹の拡大の家系集積などが報告されている.網膜血管径測定も行っており,網膜静脈径の拡大と糖尿病の発症,脳卒中・脳梗塞の発症,網膜動脈径の狭小と高血圧の発症などが報告されている24~29).5.その他の研究1)LosAngelesLatinoEyeStudy(LALES)米国に住むヒスパニック人口は近年急激に増加し,いまやアフリカ系アメリカ人を抜いて米国第2位の構成人種である.LALESはヒスパニックには糖尿病が多いこと,医療保険加入者が少ないことなど医療・社会的背景があり,ヒスパニックにおける眼疾患の疫学調査を目的として,2000年にLosAngelesの6地域に住む40歳以上の一般ヒスパニック成人を対象に視力障害,白内障,緑内障,糖尿病網膜症,加齢黄斑変性について調査した研究である(http://www.nei.nih.gov/latinoeyestudy;RohitVarma教授).対象者となった一般成人7,789名のうち6,357名が参加し,うち女性が58%,平均年齢障の危険因子として女性や糖尿病,後.下白内障の危険因子としてはステロイド使用歴,紫外線曝露,喫煙,糖尿病,近視などがあげられた.加齢黄斑変性については加齢以外に喫煙,循環器系危険因子,家族歴,栄養摂取状況などの関連が明らかされた.緑内障については,研究を通じて発見された未受診・未治療の緑内障が緑内障有病者の約半数にのぼることが明らかとなった.緑内障のおもな危険因子として加齢,家族歴,糖尿病,高血圧,眼局所の危険因子として高眼圧,近視,視神経乳頭形状の左右差,乳頭周囲の萎縮,乳頭出血の存在(特に正常眼圧緑内障と関連)などが報告されている.糖尿病患者においてその約三分の一に何らかの糖尿病網膜症があり,うち16%が未受診で,糖尿病患者の平均視力は正常者に比べ低いことが明らかとなった.さらに非糖尿病者においても約10%に毛細血管瘤,網膜出血などの軽微な網膜症所見が認められ,これは高血圧をはじめとする循環器疾患の危険因子と関連していた.BMESでは網膜細動脈の口径不同,反射亢進,交叉現象など,網膜血管径測定も行っており,それら網膜静脈径の拡大と糖尿病の発症,脳卒中・脳梗塞の発症,網膜動脈径の狭小と高血圧の発症などが報告されている.視力について研究参加者の半数近くが日常生活に必要な適切な視力の屈折矯正を行っておらず,特に13%の住民は通常の屈折矯正によって3段階以上の視力向上が可能であった.視力障害の有病率が60歳以下では両眼0.6%,片眼3.6%と低いが,80歳以上ではそれがそれぞれ26.3%と52.2%と高率であること,また女性のほうが視力障害の率が高いこと,さらには視力障害を有する人は視力が良好な人に比べて死亡率が高いことなどが報告されている16~21).4.RotterdamEyeStudya.背景と特徴RotterdamEyeStudyは1990年から行われている前向きコホート研究で,研究全体の対象は眼科疾患のほかに循環器疾患(虚血性心疾患,脳卒中),神経疾患(Parkinson病,Alzheimer型痴呆),呼吸器疾患,肝疾患,糖尿病など内分泌疾患と多岐にわたる(JohannesR.Vingerling教授;http://www.epib.nl/research/ergo.htm).(45)あたらしい眼科Vol.28,No.1,201145を対象とし,うち検診参加者は3,280名(参加率79%)であった.SiMESでは表2に示すような調査が行われており,近年活発に論文報告がなされている.SiMESに続き,現在ではSingaporeIndianChineseCohort(SICC)EyeStudyが進行中である.この研究はSiMESと同様の研究内容で中華系住民3,300名,インド系住民3,300名を対象目標としている.おもな研究結果としては白内障,加齢黄斑変性,糖尿病網膜症あるいは非糖尿病者における網膜症,緑内障,そしてアジアにおいて有病率の高い近視,強度近視の屈折異常などである37,38).3)ReykjavikEyeStudyReykjavikEyeStudyはアイスランド・レイキャビクにおける疫学研究である.対象はおもに白内障,加齢黄斑変性症などである.ReykjavikEyeStudyについては佐々木による詳細な解説39)があるので本稿では割愛させていただく.は54.9歳(標準偏差10.8歳)であった.LALESでは表1に示すような調査が行われており,横断研究による有病率,および4年後の追跡調査に基づく発症率も最近報告があった30~36).2)SingaporeMalayEyeStudy(SiMES)シンガポールは国土面積が約700平方キロメートルで東京23区とほぼ同じ面積の中に中華系(人口の75%),マレー系(14%),インド系(9%)という3つの人種が混在し,同じ地理的環境におけるこれら3人種における眼科疾患の有病率とその危険因子について遺伝子多型などの解析も含めた眼科疫学研究が進行中である.2004年から2006年にまずマレー系住民を対象としたSiMESが開始された.SiMESでは西南地区を中心に40歳から79歳まで,40.49歳,50.59歳,60.69歳,70.79歳それぞれの年齢層ごとに無作為に1,400名,合計5,600名を抽出し,除外規定該当者を除く4,168名表1LosAngelesLationEyeStudyの調査項目の概要対象検査項目健康および社会的因子健康状態,病歴,治療歴,眼疾患治療歴,喫煙,アルコール摂取量,米国文化への適応度健康および視機能関連指標SF-12,NEI-VFQ-25,視力への満足度視力遠見・近見視力白内障LensOpacityClassificationSystem(LOCS)IIIで判定加齢黄斑変性黄斑部ステレオ眼底写真でWisconsinAge-relatedMaculopathyClassificationSystem変法で判定糖尿病網膜症7方向ステレオ眼底写真でAirlieHouseclassification・ETDRS変法で判定緑内障ステレオ視神経乳頭写真,視野,臨床病歴などで3人の緑内障専門医による判定表2SingaporeMalayEyeStudyの調査項目の概要対象検査項目屈折状態・前眼部オートレフラクト・ケラトメータで屈折状態と角膜曲率半径を測定.非接触光干渉レーザー眼軸測定装置で眼軸長,前房深度などの測定.パキメータで角膜厚を測定.遠見・近見視力,裸眼視力,生活視力,最高矯正視力.生活で使用中の眼鏡屈折度数.細隙灯検査で翼状片,虹彩異常など.白内障LensOpacityClassificationSystem(LOCS)IIIで判定.水晶体写真(45°細隙灯写真および徹照写真)緑内障視神経乳頭写真,眼圧,HeidelbergRetinaTomographII視神経乳頭形状解析.疑い者には隅角検査および視野検査.加齢黄斑変性黄斑部写真によるBlueMountainsEyeStudy変法で判定.糖尿病網膜症45°眼底写真(ETDRSField1とField2)によるETDRS変法で判定.高血圧性変化局所狭細,交叉現象,血管径測定健康および視機能関連指標VF-14,EQ-5D,SF-8,簡易認知検査46あたらしい眼科Vol.28,No.1,2011(46)ract:theBeaverDamEyeStudy.ArchOphthalmol116:219-225,199811)KleinR,KleinBE,JensenSCetal:Thefive-yearincidenceandprogressionofage-relatedmaculopathy:theBeaverDamEyeStudy.Ophthalmology104:7-21,199712)KleinBE,KleinR,SponselWEetal:Prevalenceofglaucoma.TheBeaverDamEyeStudy.Ophthalmology99:1499-1504,199213)KleinR,KleinBE,LintonKLetal:TheBeaverDamEyeStudy:therelationofage-relatedmaculopathytosmoking.AmJEpidemiol137:190-200,199314)SmithW,AssinkJ,KleinRetal:Riskfactorsforagerelatedmaculardegeneration:Pooledfindingsfromthreecontinents.Ophthalmology108:697-704,200115)TomanySC,WangJJ,VanLeeuwenRetal:Riskfactorsforincidentage-relatedmaculardegeneration:pooledfindingsfrom3continents.Ophthalmology111:1280-1287,200416)MitchellP,SmithW,AtteboKetal:PrevalenceofagerelatedmaculopathyinAustralia.TheBlueMountainsEyeStudy.Ophthalmology102:1450-1460,199517)AtteboK,MitchellP,SmithW:VisualacuityandthecausesofvisuallossinAustralia.TheBlueMountainsEyeStudy.Ophthalmology103:357-364,199618)MitchellP,SmithW,AtteboKetal:PrevalenceofopenangleglaucomainAustralia.TheBlueMountainsEyeStudy.Ophthalmology103:1661-1669,199619)MitchellP,CummingRG,AtteboKetal:PrevalenceofcataractinAustralia:theBlueMountainseyestudy.Ophthalmology104:581-588,199720)MitchellP,SmithW,WangJJetal:Prevalenceofdiabeticretinopathyinanoldercommunity.TheBlueMountainsEyeStudy.Ophthalmology105:406-411,199821)WangJJ,MitchellP,SmithW:Refractiveerrorandagerelatedmaculopathy:theBlueMountainsEyeStudy.InvestOphthalmolVisSci39:2167-2171,199822)HofmanA,BretelerMM,vanDuijnCMetal:TheRotterdamStudy:objectivesanddesignupdate.EurJEpidemiol22:819-829,200723)HofmanA,BretelerMM,vanDuijnCMetal:TheRotterdamStudy:2010objectivesanddesignupdate.EurJEpidemiol24:553-572,200924)DielemansI,VingerlingJR,WolfsRCetal:Theprevalenceofprimaryopen-angleglaucomainapopulationbasedstudyinTheNetherlands.TheRotterdamStudy.Ophthalmology101:1851-1855,199425)VingerlingJR,DielemansI,HofmanAetal:Theprevalenceofage-relatedmaculopathyintheRotterdamStudy.Ophthalmology102:205-210,199526)DielemansI,deJongPT,StolkRetal:Primaryopenangleglaucoma,intraocularpressure,anddiabetesmellitusinthegeneralelderlypopulation.TheRotterdamStudy.Ophthalmology103:1271-1275,1996まとめ本稿では現在進行中の一般住民を対象とした代表的な疫学研究について概説した.一般住民を対象とした疫学研究は疾患の危険因子や保護因子を明らかにするだけでなく,病態に関する新しい仮説を創成したり検証したりすることができる.近年の疫学研究の特徴としては眼疾患が視機能や生活動作,生活の質(qualityoflife)に及ぶ影響を研究項目に加えていること,遺伝子多型について検討している点があげられる.有病率や発症率は診断や治療の進歩とともに絶えず変化しており,理想的には定点的かつ経時的に継続することでまだまだ理解されていない疾患の理解が進むことが期待される.文献1)WongTY,MwamburiM,KleinRetal:Ratesofprogressionindiabeticretinopathyduringdifferenttimeperiods:asystematicreviewandmeta-analysis.DiabetesCare32:2307-2313,20092)LeibowitzHM,KruegerDE,MaunderLRetal:TheFraminghameyestudymonograph:Anophthalmologicalandepidemiologicalstudyofcataract,glaucoma,diabeticretinopathy,maculardegeneration,andvisualacuityinageneralpopulationof2631adults,1973-1975.SurvOphthalmol24(Suppl):335-610,19803)KahnHA,LeibowitzHM,GanleyJPetal:TheFraminghamEyeStudy.I.Outlineandmajorprevalencefindings.AmJEpidemiol106:17-32,19774)KahnHA,LeibowitzHM,GanleyJPetal:TheFraminghamEyeStudy.II.AssociationofophthalmicpathologywithsinglevariablespreviouslymeasuredintheFraminghamHeartStudy.AmJEpidemiol106:33-41,19775)KiniMM,LeibowitzHM,ColtonTetal:Prevalenceofsenilecataract,diabeticretinopathy,senilemaculardegeneration,andopen-angleglaucomaintheFraminghameyestudy.AmJOphthalmol85:28-34,19786)KleinBE,KleinR,LintonKLetal:AssessmentofcataractsfromphotographsintheBeaverDamEyeStudy.Ophthalmology97:1428-1433,19907)KleinR,DavisMD,MagliYLetal:TheWisconsinagerelatedmaculopathygradingsystem.Ophthalmology98:1128-1134,19918)KleinBE,KleinR,LintonKL:Prevalenceofage-relatedlensopacitiesinapopulation.TheBeaverDamEyeStudy.Ophthalmology99:546-552,19929)KleinR,KleinBE,LintonKL:Prevalenceofage-relatedmaculopathy.TheBeaverDamEyeStudy.Ophthalmology99:933-943,199210)KleinBE,KleinR,LeeKE:Incidenceofage-relatedcataあたらしい眼科Vol.28,No.1,20114727)CzudowskaMA,RamdasWD,WolfsRCetal:Incidenceofglaucomatousvisualfieldloss:aten-yearfollow-upfromtheRotterdamStudy.Ophthalmology117:1705-1712,201028)IkramMK,deJongFJ,BosMJetal:Retinalvesseldiametersandriskofstroke:theRotterdamStudy.Neurology66:1339-1343,200629)WieberdinkRG,IkramMK,KoudstaalPJetal:Retinalvascularcalibersandtheriskofintracerebralhemorrhageandcerebralinfarction:theRotterdamStudy.Stroke41:2757-2761,201030)VarmaR,PazSH,AzenSPetal:TheLosAngelesLatinoEyeStudy:design,methods,andbaselinedata.Ophthalmology111:1121-1131,200431)Fraser-BellS,VarmaR:EyediseaseinLatinos.IntOphthalmolClin43:79-89,200332)ChopraV,VarmaR,FrancisBAetal:Type2diabetesmellitusandtheriskofopen-angleglaucomatheLosAngelesLatinoEyeStudy.Ophthalmology115:227-232,200833)VarmaR,FoongAW,LaiMYetal:Four-yearincidenceandprogressionofage-relatedmaculardegeneration:theLosAngelesLatinoEyeStudy.AmJOphthalmol149:741-751,201034)VarmaR,ChungJ,FoongAWetal:Four-yearincidenceandprogressionofvisualimpairmentinLatinos:theLosAngelesLatinoEyeStudy.AmJOphthalmol149:713-727,201035)VarmaR,RichterGM,TorresMetal:Four-yearincidenceandprogressionoflensopacities:theLosAngelesLatinoEyeStudy.AmJOphthalmol149:728-734,201036)VarmaR,ChoudhuryF,KleinRetal:Four-yearincidenceandprogressionofdiabeticretinopathyandmacularedema:theLosAngelesLatinoEyeStudy.AmJOphthalmol149:752-761,201037)FoongAW,SawSM,LooJLetal:Rationaleandmethodologyforapopulation-basedstudyofeyediseasesinMalaypeople:TheSingaporeMalayeyestudy(SiMES).OphthalmicEpidemiol14:25-35,200738)LavanyaR,JeganathanVS,ZhengYetal:MethodologyoftheSingaporeIndianChineseCohort(SICC)eyestudy:quantifyingethnicvariationsintheepidemiologyofeyediseasesinAsians.OphthalmicEpidemiol16:325-336,200939)佐々木洋:わかりやすい眼科疫学レイキャビック・アイ・スタディ.あたらしい眼科26:17-24,2009(47)