監修=大橋裕一連載④MyboomMyboom第4回「加瀬諭」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す連載④MyboomMyboom第4回「加瀬諭」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す自己紹介加瀬諭(かせ・さとる)北海道大学大学院医学研究科医学専攻感覚器病学講座眼科学分野私は北海道札幌西高校卒業後,鳥取大学医学部に入学しました.学生の頃は卓球部に所属し,大学卒業後は鳥取大学の病理の大学院へ進み,全身病理を学びました.平成15年4月から北海道大学眼科学教室において,眼科学一般を学びました.その後,北米ドヘニー眼研究所へ留学し,StephenJRyan教授の研究室にて眼内血管新生について研究し,NarsingARao教授に眼病理を学びました.現在北大眼科へ帰室し,臨床,研究を行っております.Myboom1:症例報告一例報告を含めた症例報告を書いたり,読んだりするのが,myboomです.症例報告は邦文であれ英文であれ,すべての掲載された論文に意味があると思っております.症例報告は基本的に短報ですので,読み切るのにもあまり時間を要しませんので,診療に支障をきたしません.症例報告は当然ながら,日々の診療に直接役立つ内容ですので,興味をもって読むことができます.症例報告を書く側としては,私は研究面では眼病理を専門にしておりますので,臨床所見を病理組織学的に明らかにするような報告が好きです.しかし,今日種々の有名な英文雑誌において,残念ながら症例報告のスペースが削減の方向になっております.英文にて症例報告を掲載させることが,非常に狭き門になっている現状があります.一方,このような現状があるからこそ,有名雑誌に(69)0910-1810/12/\100/頁/JCOPY症例報告を掲載することができた折には,その喜びは甚大です.もちろん,邦文での症例報告にも細心の注意を払い,投稿しているつもりです.邦文の症例報告は,身近の眼科医の目に止まる可能性が欧文報告より多いので,読んでいただいて少しでも感動を与えられるように努めております.また,実際症例報告を書くことは,所見を正確に記載したり,鑑別診断を文章にしたりなど,臨床の腕を上げるいい機会かと思っております.今後も有意義な症例報告を一編でも多く掲載できるよう,挑戦していくつもりです.Myboom2:翼状片における無切除Z型切開回転術翼状片は研修医の頃から診ておりましたが,術後の経過がいつも思わしくありませんでした.その背景に,翼状片の病理をよく知らない自分がいることに気付きました.そこで摘出した増殖組織の病理組織を観察すると,このありふれた眼表面疾患が如何に多彩な像を呈しているのか,驚かされました.その後,翼状片の病理学的研究に興味を抱くようになりました.しかし某病理医からは,こんな組織を診て何がおもろいのか,とまで言われました.この現状は,翼状片の病理学的研究は眼科医が担うべきであり,さもなければ,その病態は解明されず永遠に闇の中に埋もれてしまうことを意味すると思います.実際,翼状片は細胞異型の乏しい上皮成分と,新生血管,炎症細胞,線維芽細胞を主体とする間質成分に分けることが可能です.前者では細胞周期関連蛋白や液性因子の発現がみられ,これらが後者と関連し病態を形成しております.この事実は,私の翼状片の概念に影響を及ぼしました.翼状片の治療は,増殖組織の切除と結膜の再建と言われますが,私は翼状片の増殖組織をむやみに切除せず再建材料に利用するのがベターなのではないか,という考えに至りました.そこで無切除Z型切開あたらしい眼科Vol.29,No.5,2012649〔写真1〕1人娘とともに(当時1歳)回転術を開発してきました.これまで術後6カ月以上経過観察が可能であった症例では,今のところ良好な創口を形成することが可能であり,67%で1D以上の乱視改善効果がありました.縫着された増殖組織は,術後6カ月で菲薄化し,新生血管は退縮しました.本法は増殖組織を切除することなく手術操作が容易です.今後も症例数や経過観察期間を増やし,この手術の有用性を明らかにしたいと思っております.Myboom3:イクメン(写真1)育児に携わる男性をイクメンというそうです.私には5歳になる一人娘がおります.イクメンは私のmyboomの一つです.娘が生まれたての頃は,夜中に人工乳を作って飲ませたり,排泄処理,入浴も行ってきました.3.4歳頃になりますと,排泄処理などの問題は解消されてきましたが,口が達者になり,屁理屈を言うようになってきました.公共の場で大騒ぎをしたり,おもちゃを買え,など際限なく無謀な要求をしてくるようになりました.成長とともに,日本語によるコミュニケーションが可能になってきたことを双方で自覚しており,自分の欲求を親に言えば叶うつもりでいるようです.そこで,言葉によるしつけをしなくてはならなくなりました.子供とは年上の友達のように親しく接する親がいるようですが,私は決してそのようなスタンスは取らず,親はあくまで子供の指導者,保護者であり,一線を画す姿勢を取っております.褒めてやるときも,赤ちゃん言葉のようなくだけた表現はなるべく使わず,ダメなことはダメ,ときには「オイ!」「このタコが!」といってしまうこともあります.しゃーないと思っています.ある程度,親側の威嚇も必要で,その甲斐あってか,娘と二人で夜を過ごすこともありますが,その際にもだらし650あたらしい眼科Vol.29,No.5,2012のない甘えは私にはしてきません.今後も子供と誠実に向き合っていくつもりです.Myboom4:ワイン学生のころは,仲間と部屋飲みをするときに,某コンビニで買い込んで,酔うためにワインを飲んでいた記憶があり,荒んだ暮らしをしておりました.ワインに対して評価が変わった転帰は,数年前に民間の病院へ出向したときに訪れました.診療の合間に,某ワインスクールに通う機会を得ました.当該スクールでは,ワインの作り方,特徴などの総論的な講義から,フランス,イタリアワインなどの各論までワインについていろいろ学ぶことができました.それ以降,ワインの魅力に魅せられてきました.実際の私のワインへのスタンスは,ここで得られた知識を元に,如何に安価で自分の納得できるワインを得られるか,をモットーにしております.自宅では赤ワインを購入することが多く,フルボトルで1,500円以内のものを選びます.何かいいことがあった際には2,000円台に手を伸ばします.一日で飲みきれない場合には,再度コルクをして冷蔵保存します.他方,高級ワインは経済的にまったく縁がありません.1,500円以内でも,濃厚系のワインを得ることは十分可能です.実際の私なりの選定方法は,ここでは紙上の関係上,述べません.基本的に私は産地とぶどう種,アルコール度数を重視して購入しております.一方,生産者などにはあまりこだわっておりません.ワインを飲むと,人によっては,これはまだ若いとか,渋いとか否定的なコメントをされる方がおられます.私は自分の選んだワインについては,そのワインの良さを最大限評価するようにしております.否定的なことを言ってしまうと,その1本のワインを精神的に楽しむことができなくなってしまいます.安価で自分の飲みたいワイン選び,今後も趣味として探求します.次回のプレゼンターは大阪医科大学の植木麻理先生にお願いしました.植木先生は,子育ての傍ら,網膜硝子体手術,緑内障手術の術者としてご活躍されております.加えて留学先では眼病理も学び,眼科学の分野において非常に多彩な活動をされており,われわれ若手眼科医から慕われる魅力的な女性医師です.注)「Myboom」は和製英語であり,正しくは「Myobsession」と表現します.ただ,国内で広く使われているため,本誌ではこの言葉を採用しています.(70)