あたらしい眼科Vol.29,No.1,2012750910-1810/12/\100/頁/JCOPYholeを見逃さない,PVD(後部硝子体?離)を見逃さない,を目標に励んでいます.外来―専門外来の数だけ謎がある―毎週水曜と金曜が手術日で,それ以外は半日,外来のどこかに組み込まれています.視力測定の日,視野検査の日,外来補助の日,検査室の日などなど.京大眼科の外来の特徴は検査機器が多いことで,OCT(光干渉断層計)だけで9台もあり,また視細胞を観察するAO-SLO,AO(補償光学)カメラなんてのもあります.外来はdutyworkですが,カルテ・所見の書き方,多様な疾患の画像所見,眼底所見とOCTの照合,など,検査を回しながらも勉強させていただいています.もう少し余裕が出てきて,専門外来や各カンファランスの見学などもできたら楽しいだろうなぁと目論んでいます.(75)京都大学医学部附属病院眼科学教室では,今年(2011年)の4月から5名の後期修練医が新しく加わり,眼科医の卵として日々研鑽に励んでいます.多種多様な分野に分かれた多くの先生方に囲まれて,毎日病棟に外来にと大忙しですが,充実した研修生活を送っている私たちの日常の様子を少しだけ紹介させていただきたいと思います.病棟―朝の敵は患者さんの朝食―私たちの朝は病棟から始まります.朝7時にナースステーションへ行くと,看護師さんたちは朝の巡回中で誰もおらず,7時半に行くと巡回が終わってバタバタしている看護師さんが多くなります.8時に行くと申し送り中で厳かな雰囲気を醸し出し,8時半では申し送りが終わって再度バタバタしている,そんな病棟です.出勤時間は人によって幅があり6時半?9時と自由な感じです.例年は修練医が10人近くいるので8時過ぎが当たり前!だったのですが,今年は5人と少ないため1人当たりの担当が多く,7?8時にはほぼ到着しています(それでも昔に比べると随分遅い…?).診察―これが一番重要―現在病棟暗室のスリット台は,2部屋に分かれて合計9台〔回診用スリット,EKC(流行性角結膜炎)診察用スリット,レーザースリット含む〕とかなり充実しています.2年前に暗室が改装されており,ゆとりある快適空間です.台数も修練医の数より圧倒的に多いので,取り合いや空き待ちがなくゆっくり診察できます.お気に入りはHaagのスリット台.倒像鏡の解像度が高いため前房内のcellが見やすく,またステレオバリエータをオンにすれば,オフ時の3倍という双眼視野で眼底観察を楽しんでいます.マイレンズはハ○ットプレシビューEV100Dという国産の珍しいものを使っていて,V○LKSuperfieldNCより視野が広く見えます.Periの●シリーズ⑮後期臨床研修医日記京都大学医学部附属病院眼科学教室吉川宗光▲広くなった暗室にて(左より順に吉川,高橋,吉武,三輪,大田)76あたらしい眼科Vol.29,No.1,2012(76)カンファランス―簡潔をモットーに―毎週月木は夕方からカンファランスがあります.教室全員で手術予定患者さんの病態把握,治療方針の最終決定が行われるため,カンファランスまでにスケッチ,必要な検査,現病歴を準備して臨みます.眼科の特徴は,現病歴がとにかく短いこと.「見れば分かる」というスタンスで,そのためスケッチが大事になってきます.「絵心がない」と嘆かれることもありますが,運が良いと自分の担当症例についてスタッフの先生方が最新の知見を交えて熱く議論されたりと,とても勉強になります.手術―MEさんがいるから安心―毎週水金は手術日です.朝から晩まで,2列で手術の介助をします.ひたすら水掛け…ではなく,目的をもって介助をしていないと叱られます.ちなみに使用機器はほとんどディスポ扱い!レーザーもディスポ扱いなので,真新しい機器で贅沢に手術しています.すべてのオペにME(臨床工学技師)さんが入ってくれるのは少々過保護な気がしないでも….今年は5人しかいないので介助に入っている率が高く,遅いときには11時頃まで手術をしています.もちろん入院患者さんも担当しますので,手術の合間に診察できなければ,すべてが終わってから夜遅くに「はじめまして」と挨拶をすることに.しかし,これまた昔は夜中の3時まで手術をしていたこともあったとか?!今年の修練医―少なくても楽しい毎日―今年は男性3人,女性2人で,全員血液型A型という珍事態?です.性格は几帳面であること以外は本当に多様で,土曜の朝から医局の冷蔵庫を丸洗いしている人,病棟のフローレス試験紙を半割にしないと気が済まない人,救急救命から思い切って転科して来た人,マイ倒像鏡を買おうか真剣に悩んでいる人…勿論,超しっかり者のお姉さんもいます.数は少なくても多種多様,将来立派な研究者or「Godhand」Surgeonになるべく,これからも研鑽に励んでいきますので,どうぞよろしくお願いいたします.吉川宗光(よしかわむねみつ)京都大学医学部卒業,北野病院にて初期臨床研修,平成23年4月より京都大学医学部附属病院眼科学教室後期修練医.〈プロフィール〉入院―回転は早くないのでゆっくりできる―多い日では10人ほどの入院があり,修練医1人当たりに1?3人が割り当てられます.フリーな時間に診察して,カルテを書き,治療方針を上級医の先生に教えていただきます.眼底観察がメインですが,かなり時間をかけてゆっくり見るのが京大眼科の特徴です.市中病院とは違い,京大病院では入院時の患者さんはoraserrat(鋸状縁)近傍の追える所まで血管を追ってスケッチをすることになっているので,とにかく長いです.?離の患者さんの血管走行を夢中で追っていると,気付けば1時間以上経っていたなんてことも.また,患者さんの入退院がゆっくりしていて,両眼白内障手術なら2週間程度,ガスを注入した人はガスがなくなるまで入院しているというのも特徴です.回診―眼科は患者さんが来てくれるから楽だ―毎週月木は教授,准教授回診です.入院中の患者さんを全員診察されるので,それまでにサマリーを書いてプレゼンの準備をします.モニターに映像が映るので全員で見られるのですが,?離の患者さんなどでは私たちに見えてなかった穴や薄い?離を指摘されたりするので,回診前は眼底所見に見落としがないか,入念なチェックは欠かせません.でも,1時間かけても穴が見つからなかったときや,カルテに自信満々attachedと書いた患者さんのときに,「ん?」と仰られることや数十秒で「こことここに開いていますね」「これ浮いてますね」と言われることもあり,「きわめればこうなるのか」と只々感激する日々を送っています.▲修練医室の窓からの風景(京都五山も一望できます)(77)あたらしい眼科Vol.29,No.1,201277☆☆☆指導医からのメッセージ今年も個性的でやる気あふれる5名の新人を迎えることができて大変喜んでいます.研修医時代は大変だと思います.私も朝から晩まで病棟,外来,手術室と駆け回って毎日ヘトヘトになって過ごしていたことが思い出されます.しかし,この時期に見て,聞いて,触れて体験したことは今でも鮮明に記憶しています.同期の仲間と同じ時間を過ごしてお互いに学びあい,また兄貴分,姉貴分の先生方から御指導を賜ったことは,今の眼科医としての私の基礎を作っているものであり,一生の財産となっていることに疑いの余地はないと確信しています.今まさに私たちの仲間となった皆さんにも同じ経験をしていただきたいし,そのための環境づくりに貢献できれば私は嬉しく思います.ぜひ,濃密でしかし短いこの研修医時代を謳歌してください!(京都大学大学院医学研究科眼科学・助教宇治彰人)