●シリーズ⑯後期臨床研修医日記大阪大学医学部眼科学教室後藤聡藤本聡子三浦聡子ガツガツ阪大研修2010年より西田幸二先生が新教授として就任され,幸運にもわれわれ8名が西田教授初代後期研修医となりました.西田教授は“若手にチャンスを.若い力が大切や”と日頃からよくいわれます.世界を目指す環境作りと,その環境を生かすためにドンドン若手にチャンスを与えて,常に新しいことを創造していこうという医局の雰囲気のなかで,われわれは研修を開始することとなりました.現場は,それぞれの専門分野で活躍する沢山のスタッフがいる刺激ある職場となっています.そこで働くことで自然に診察方法や所見の理解,理論的な物事の考え方などが身についていくことは阪大研修の魅力の一つです.阪大での研修医業務は朝から夜までノンストップで働くことでなかなかハードな研修でしたが,多くの同期がいたからこそ日々支え合いながら大学での多忙な生活を乗り切ることができました.日中はバタバタと仕事をしているため,教科書をめくるのは夜になります.日常業務終了後に教科書を開いても,気付くと机の上で突っ伏してしまっていて,なかなか思うように勉強は進みません.でもその代わりに,阪大研修医はいつでもなんでも上級医に質問してOKという不文律があります.上級医も必ず質問に答えてくれます.阪大にいると,まるで幼い子供のように「なんで?なんで?」と,質問攻めにしている場面を頻繁に目の当たりにします.教育方針に「“なんで”を追求すること」が掲げられており,質問することでただちに解決できることが,阪大での多忙な毎日のなかで知識を増やし理解を深められる所以です.もちろん夜の時間を使い,教科書で知識を整理しなければいけませんが,それよりも日中はとにかく上級医の診療にへばり付き,疑問を解決していくことが勉強です.(79)0910-1810/12/\100/頁/JCOPY▲カンファレンス室での勉強会ではここで研修医の1週間日記をお楽しみください.ある研修医の1週間日記★月曜―緊張の教授回診―午前は車で30分の関連病院へ外勤に.早朝に入院患者さんを診察してからの出発で少し急ぎ足な朝から1週間は始まります.午後からは専門診(角膜)です.阪大きっての大所帯!14個の診察ブースもパンパンに埋まっていて,研修医は空きブースを探すのにも一苦労.外来は異様な雰囲気です.研修医は,さまざまな角膜疾患の患者さんを実際に診察することができ,先生方も教育熱心なので毎日教科書片手にメモをとりながら,予診,外来,質問のオンパレードです.夕方には教授回診があり,病棟入院患者50人ほどを順次暗室へ案内し,西田教授が回診をします.教授の前でのプレゼンテーションは鋭い質問が飛んでくるので,半年経っても油断できません.★火曜―ごった返しの外来業務に揉まれて―この日は一日外来(メディカル網膜・眼炎症)につきます.予診をとった患者さんを上級医が診察するときには即座に見学に行き,その場でFeedbackをもらいまあたらしい眼科Vol.29,No.4,2012513▲西田教授を中心に阪大眼科集合!す.阪大の特徴でもある,「なんで?を追求する」をモットーに疑問点をぶつけます.メディカル網膜は患者さんが多く,日中は昼食もとることができないほど外来業務に追われる日があります.外来終了後に開かれる勉強会では,その日に来院した気になる症例を提示し,五味文先生にご指導いただく時間です.非常に密度が濃い勉強会で研修医からの人気も高いです.眼炎症の先生方も教育熱心でとても優しいので,外来につく際は癒しのひと時です.一方,処置係の研修医はメディカル網膜患者20人弱のFA検査にテンヤワンヤの一日で予定終了時にはヘトヘトになっています.★水曜―高貴な気分で外来業務.病棟は手術準備にバタバタです―この日も専門診(斜視弱視).毎夏休み,冬休みには子供たちが外来にわんさか溢れかえります.斜視弱視外来は阪大ORTの優秀さと不二門尚先生の紳士的な診察に,なんだか高貴な気分になれる日です.夕方には医局会があり研修医の発表,スタッフによるAdvancedlecture,たまにゲストによる講演会が行われ学術的な勉強の場です.病棟責任の研修医はこの間も病棟で点眼介助や翌日の手術患者の書類準備などの業務と闘います.★木曜―手術室は戦場だ!―研修医は火曜か木曜のうち片方がオペ日になります.部屋は3つで白内障,角膜移植,硝子体,斜視,緑内障,エキシマレーザーが同時に進行しており研修医は駆け回ります.気付けば昼の弁当のご飯はカッチカチにな514あたらしい眼科Vol.29,No.4,2012▲教授診にて(右から西田教授と研修医の三浦先生・藤本先生)っており,夕食代わりに食べることも珍しくありません.朝に病棟患者診察を終えてから手術準備に向かうので,手術日はどうしても朝が早くなります.「眠いなぁ」という気持ちでオペ場に向かうと返り討ちに合いますの〈後期研修医8名のプロフィール(50音順)〉浅尾和伸(あさおかずのぶ)弘前大学医学部卒業,NTT西日本大阪病院にて初期臨床研修,平成22年4月より大阪大学医学部眼科学教室入局.河嶋瑠美(かわしまるみ)大阪大学医学部卒業,市立池田病院にて初期臨床研修,平成22年4月より大阪大学医学部眼科学教室入局.後藤聡(ごとうそう)金沢大学医学部卒業,国立行政法人東京医療センターにて初期臨床研修,平成22年4月より大阪大学医学部眼科学教室入局永原裕紀子(ながはらゆきこ)岡山大学医学部卒業,国立行政法人岩国医療センターにて初期臨床研修,平成22年4月より大阪大学医学部眼科学教室入局.春田真実(はるたまみ)近畿大学医学部卒業,大阪大学医学部附属病院にて初期臨床研修,平成22年4月より大阪大学医学部眼科学教室入局.藤本聡子(ふじもとさとこ)大阪大学医学部卒業,大阪大学医学部附属病院Cコース(公立学校共済組合近畿中央病院,大阪大学医学部附属病院)にて初期研修,平成22年4月より大阪大学医学部眼科学教室入局.三浦聡子(みうらさとこ)徳島大学医学部卒業,独立行政法人国立病院機構大阪医療センターにて初期臨床研修,平成22年4月より大阪大学医学部眼科学教室入局.森岡幸憲(もりおかゆきのり)平成22年4月より大阪大学医学部眼科学教室入局.(80)▲研修仲間とのつかの間の団欒(阪大庭園にて)で気をつけてください.手術場は戦場だと痛感する瞬間です.★金曜―緊急入院・手術だ!急げ!―この日は一般診.一般診は毎日開いている外来で,一般紹介の患者さんや,再診患者さんがメインです.隣ではサージカル網膜の専門診の研修医が汗水垂らしながら仕事をさばいていて,緊急入院・手術も多く,なにか手今年(2011年)もフレッシュな8名の研修医の先生が入局してくれました.眼科医として最初の一歩を踏み出したわけですが,研修医時代は診察や手術などの日常診療に加えて,勉強会や発表などがあり,覚えること,こなすべき業務,そして勉強と忙しい毎日が待っています.現在,みなさんは真っ白なキャンバスを手にして,眼科医としてどのような絵を描けるか,期待と不安が入り混じっていると思います.幸いなこと指導医からのメッセージ助けできないかとヒヤヒヤします.金曜は網膜回診があります.網膜の先生の前でのプレゼンは症例の理解度合いが試されるときであり,この準備もなかなか緊張です.網膜の先生方の間でもディスカッションしながら,一人ひとり症例を確認していきます.★土曜・日曜―つかの間の癒し―朝に入院患者さんを診察し平日にできなかった仕事をざっと終わらせ,後はフリー.好きなように過ごせます.日曜は,重症の受け持ち患者さんの診察に来る研修医と病棟日直以外は基本的にお休みの日です.普段の早起きをリセットするいい1日です.たまに日曜緊急手術とかあって,凹みます.おわりに以上のように1週間があっという間に過ぎていきます.新体制のなか,めまぐるしく変化していく阪大での研修はとても刺激的で,みな活き活きと過ごしております.学会発表や研究,外来や手術執刀など沢山の山を越えていかなければなりませんが,そのための土台造りを阪大でしっかりしたいと思います.ます.何を描こうか,どの色を使おうかと迷って立ち止まるのではなく,まずは手当たり次第に手にした絵の具で,自分のキャンバスに色を塗っていってください.続けていると,そのうち好きな色や描きたいものが自ずと見えてくると思います.研修医時代にさまざまなことを吸収して,将来立派な作品ができあがることを楽しみにしています.(大阪大学大学院医学系研究科眼科相馬剛至)に,阪大眼科にはいろいろな種類の絵の具が揃ってい☆☆☆(81)あたらしい眼科Vol.29,No.4,2012515