36あたらしい眼科Vol.28,No.1,20110910-1810/11/\100/頁/JC(O0P0Y)され,得られたデータを国際的な評価・診断基準に基づいて判定したうえでの緑内障有病率の再評価が行われた.結果として高受診率と精度の高い検査機器によって得られたデータを国際的な診断基準に基づいて判定することによっても日本人では明らかに正常眼圧緑内障有病率がきわめて高いことが確認され,国際的な評価を得ることとなった.久米島スタディは多治見スタディとほぼ同様のプロトコールで調査が行われ,特に緑内障の病型別有病率とさらに緑内障の病態解明に重要な眼のバイオメトリー,前眼部の画像解析が同時に行われた.多治見は都市近郊,久米島は離島という日本国内でありながらまったく異なった環境における住民の調査が行われ,緑内障有病率のみならず失明原因の違い,眼の疾病構造の違いなどその比較が可能となった.さらに多治見スタディ以降,緑内障疫学調査における病型診断には参加者全員の隅角鏡検査が必須となっており,久米島スタディでは全例に隅角鏡検査が行われ,より精度の高い病型診断が行われた.沖縄県はこれまでのいくつかの報告から閉塞隅角緑内障の発症が多いことが明らかにされており,参加者全例に実施した隅角鏡検査,さらに眼のバイオメトリー,画像データの解析は閉塞隅角緑内障の病態解明に重要と考えられた.また,開放隅角緑内障の有病率についても多治見スタディと同様の検査と診断基準で行われており,現時点では日本における緑内障疫学調査の集大成といえるものである.はじめに日本ではこれまで3つの大規模な緑内障疫学調査が行われた.塩瀬らが中心となり,北は北海道から南は九州熊本までの全国7カ所で1988.1989年に実施された,いわゆる全国スタディがその始まりであった1).さらに,2000.2001年には岩瀬らを中心とした多治見スタディが日本緑内障学会の支援のもと,日本のほぼ中央に位置する多治見市で実施された2).引き続いて2005.2006年には南西諸島の沖縄県久米島町で久米島スタディが実施されている.これまでの多くの報告から緑内障の有病率には民族差,人種差さらには地域差があることが明らかにされてきた.まず塩瀬らの全国疫学調査は日本人における緑内障の有病率を国際的に初めて報告したパイオニアとしてその後のわが国における疫学調査の基準となった.同時にその結果は日本人における正常眼圧緑内障の有病率が,これまでの国際的な報告に比べ異常に高値であることを明らかにし,国際的に注目された.多治見スタディの目的は1998年に緑内障の診断基準が国際的に統一され3,4),この定義に準拠した緑内障の疫学調査を行い,塩瀬らの正常眼圧緑内障の有病率の再確認,再検討を行うことが主要な目的の一つであった.さらに疫学調査として重要なポイントである,高い受診率,Goldmann圧平眼圧計を用いた精度の高い眼圧測定,視野検査の標準となったHumphrey視野計による測定,新しい眼科検査機器を用いた一般検診項目を含めて実施(36)*ShoichiSawaguchi:琉球大学医学部眼科学教室〔別刷請求先〕澤口昭一:〒903-0215沖縄県中頭郡西原町字上原207琉球大学医学部眼科学教室特集●世界の眼科の疫学研究のすべてあたらしい眼科28(1):36.40,2011日本における緑内障疫学GlaucomaEpidemiologyinJapan澤口昭一*(37)あたらしい眼科Vol.28,No.1,201137ニングに関与していない3名の緑内障専門医が行い,診断が困難な症例は3名の医師による意見の統一が図られた.閉塞隅角緑内障に関しては隅角鏡検査はvanHerick2度以下を対象とし,視野異常は診断の条件とした.全緑内障有病率5%,開放隅角緑内障3.9%,このうち正常眼圧緑内障3.3%.閉塞隅角緑内障0.6%,その他0.5%であった.3.久米島スタディ対象は40歳以上の全町民4,632人で,このうち3,762名が受診し,受診率は81.2%.眼圧測定は多治見スタディと同様にGoldmann圧平眼圧計で3回測定し,中央値を採用した.視野のスクリーニングにはFDAを使用,2次検査として行った視野検査はHFA24-2(SitaStandard)を使用し,AndersonPatellaの診断基準を用いた.1次検診の眼底写真のスクリーニング,最終判定は多治見スタディに準拠した.隅角鏡による隅角検査は全例に施行し,閉塞隅角緑内障の診断には緑内障性視神経障害(含む視野異常)は必須とした.II緑内障の診断基準と疫学調査緑内障の診断基準はすでに述べたように1998年にInternationalSocietyofGeographycalandEpidemiologicalOphthalmlogy(ISGEO)により統一した見解が明らかにされた.緑内障は視神経乳頭の構造的な異常と視野検査による機能的な異常の両方が合致することで診断されることとなった(表1)3,4).また,隅角に関してIわが国の各疫学調査の概略1.塩瀬全国調査1)参加者は40歳以上の成人で対象者16,078人中8,126人が受診し,受診率50.54%.眼圧測定は非接触型眼圧計.視野検査は,眼底写真と眼圧が高値の対象者にHumphrey視野のArmalyの中心30°のスクリーニングプログラムで行っている.眼底写真読影と緑内障判定は1人の緑内障専門医が行った.隅角鏡検査は浅前房,狭隅角眼のみ実施された.閉塞隅角緑内障の診断は高度の狭隅角のみ隅角鏡検査を行い,眼圧は21mmHgを超えること,視野は診断には必須ではない.全緑内障有病率3.56%,正常眼圧緑内障有病率2.04%,閉塞隅角緑内障有病率0.34%,平均眼圧は13.7mmHgであった.2.多治見スタディ2)対象は40歳以上の市民54,165人のなかから無作為に抽出された3,870人,このうち3,021人が受診し,受診率78.1%.眼圧測定はGoldmann圧平眼圧計で3回連続して測定し中央値を採用.視野のスクリーニングとしてFDA(frequencydoublingtechnology)検査を,2次検査としてHFA30-2を使用し,AndersonPatellaの診断基準を用いた.1次検診の眼底写真のスクリーニングは3名の緑内障専門医が読影し,緑内障を含めた異常が疑われた場合は確定検査〔2次検査としてHFA30-2(SitaStandard)を実施〕を実施し,AndersonPatellaの診断基準を用いた.緑内障の診断は眼底写真スクリー表1横断的疫学調査における緑内障診断基準カテゴリー1による診断:乳頭形態と視機能の両方の異常が必須形態の異常:陥凹/乳頭比あるいはその左右差が正常人口における97.5%をはずれる(おおむね垂直C/D比が0.7以上).乳頭リムが11時.1時,5時.7時で乳頭径の0.1以下視機能の異常:緑内障による明らかな視野異常が存在するカテゴリー2による診断:明らかに進行した乳頭形態異常を示すが視野異常は必須でない形態の異常:陥凹/乳頭比あるいはその左右差が正常人口における99.5%をはずれる(おおむね垂直C/D比が0.9以上)場合視機能の異常:視野検査の有無や信頼性によらず,乳頭形態から緑内障と診断される(カテゴリー1,2の診断では陥凹の拡大が他の(眼)疾患によらないことが必要である)カテゴリー3による診断:視神経乳頭が観察不能,視野検査不能視神経乳頭の検査が不可能の場合:A.視力が0.05未満かつ眼圧が人口の99.5%を超える場合,あるいはB.視力が0.05未満でかつ濾過手術が施行されている,または証明できるカルテなどの記録(文献3より)38あたらしい眼科Vol.28,No.1,2011(38)密には狭周辺前房深度)が隅角鏡検査の対象となっており,一方,久米島スタディでは全例が隅角鏡検査の対象となっている.すなわち,久米島スタディのほうが隅角検査,および閉塞隅角緑内障の診断に関してはより厳密に行われており,閉塞隅角緑内障の頻度は当然ながら若干増加することが予想される.しかしながら近年の緑内障疫学調査はそのほとんどが全例の隅角鏡検査を実施しており,閉塞隅角緑内障の有病率の比較の点では久米島スタディはより国際的な比較検討ができるものと考えられる.III病型別緑内障有病率の比較1.開放隅角緑内障5)メタ分析を用いた開放隅角緑内障の有病率については,人種差が大きいこと,さらに黒人>白人>黄色人種の順であることが報告されている.特に黒人は開放隅角緑内障の有病率がきわめて高いことが多くの疫学調査で報告されている.このメタ分析を用いた開放隅角緑内障の有病率は黒人が4.2%(CI:3.1.5.8),白人が2.1%(CI:1.6.2.7),黄色人種(アジア系)はその有病率が低く1.4%(CI:1.0.2.0)とされている.それに対しわが国における塩瀬らの報告1)では正常眼圧緑内障を含めた開放隅角緑内障の有病率は2.8%(うち,正常眼圧緑内障が2.04%),さらに多治見スタディ2)では3.9%(うち,正常眼圧緑内障3.3%)であり,広義の開放隅角緑内障およびそこに含まれる正常眼圧緑内障の比率を含めて黄色人種のなかでは日本人は突出して高有病率であることが明らかになった.特にISGEOの判定基準で行っは2002年にFosterらによってまとめられ報告されている(表2)3,4).しかしながら隅角に関してはその定義が適切であるかどうかは今後の長期的な臨床における証拠の積み重ねが必要とも述べられている.以上のことから,特に閉塞隅角緑内障に関しては塩瀬らの診断基準とYamamotoらの診断基準は同一ではない.また,厳密にいうとYamamotoらの多治見スタディにおける閉塞隅角緑内障の診断は久米島スタディにおける診断とも若干異なっている(表3).すなわち,多治見スタディではvanHerick分類の2度以下の狭隅角(厳表2閉塞隅角症の分類1)閉塞隅角眼(閉塞隅角症疑い)(primaryangle-closuresuspect:PACS)機能的な隅角閉塞の可能性がある(下段参照)2)閉塞隅角症(primaryangle-closure:PAC)上記に加え,隅角閉塞の所見が認められるもので1.周辺虹彩前癒着,2.眼圧上昇,3.急性発作の所見(虹彩萎縮,Glaukom-flecken,線維柱帯の過剰な色素沈着),しかし緑内障性視神経症はない3)閉塞隅角緑内障(primaryangle-closureglaucoma:PACG)PACに緑内障の診断を伴った場合疫学調査では暗室,正面視で細いスリット光による隅角鏡検査で線維柱帯色素帯が270°以上観察できない場合を閉塞隅角眼と定義している.しかしこの定義は完全なものではなく,長期的研究による評価が必要である.この定義に基づいたより多くの臨床的な証拠の積み重ねが現時点での最も重要な課題である(文献3より)表3日本における緑内障疫学調査―閉塞隅角緑内障の診断基準Shioseらの診断基準スクリーニング:非接触型眼圧計で18mmHg以上かつ,細隙灯検査でvanHerick分類で狭い症例隅角の確定診断:隅角鏡検査でShaffer分類がGrade0,1とスリット状(Shaffer2度以上は開放隅角)眼圧はGoldmann圧平眼圧計で21mmHg以上緑内障性視神経障害は必須ではないTajimiスタディの診断基準スクリーニング:Goldmann圧平眼圧計で19mmHg以上,乳頭異常など隅角はvanHerick法で2度以下隅角の確定診断:隅角鏡で線維柱帯色素帯が3象限以上見えない緑内障性視神経障害は必須Kumejimaスタディの診断基準スクリーニング:多治見スタディと同様隅角の確定診断:隅角鏡検査は全例実施隅角鏡で線維柱帯色素帯が3象限以上見えない(+Shaffer2度以下の象限にPAS)緑内障性視神経障害は必須PAS:周辺虹彩前癒着.(39)あたらしい眼科Vol.28,No.1,201139IV超音波生体顕微鏡の結果から見えてきたもの久米島スタディでは多治見スタディに比べて閉塞隅角緑内障の有病率が数倍高い(約4倍弱)ことが明らかにされた.閉塞隅角緑内障の診断にはISGEOの定義以降から隅角鏡検査が必須である.隅角鏡検査は,特に狭隅角眼では観察者の経験,技量によりその判定に影響を受ける可能性のあることが指摘されている.久米島スタディでは40歳以上の全住民の10%を無作為抽出して超音波生体顕微鏡(UBM)による検査を行い,隅角鏡検査を裏付ける客観的なデータとして実際に狭隅角の頻度や一般住民の隅角形態の検討を行った7).これまでUBMによる検討はおもにホスピタルベースのものであり,一般住民対象の疫学調査では行われていない.今回の検討の対象は40歳以上の4,632人の久米島町の全住民から無作為抽出された10%の住民461人であった.このうち,388人(84.2%)が1次検診を受診し,白内障手術を含めた手術例,施行不能例,実施拒否などを除いた301人(男性149人,女性152人)がUBM検査の対象となった.検査方法はトーメー社製のUD-1000を用い,右眼の上,下,鼻,耳の4方向を明・暗の条件下で測定た多治見スタディの結果は高有病率である黒人とほぼ同程度であり,正常眼圧緑内障の有病率がきわめて高いことと併せて日本人の特徴と考えられる.久米島スタディも開放隅角緑内障の有病率に関しては多治見スタディとほぼ同等であり,正常眼圧緑内障の比率も近似しており,日本民族の特徴と考えられる.2.閉塞隅角緑内障6)国際的な閉塞隅角緑内障の診断基準が採用される前の有病率に関しては,イヌイットは2%を超える高い有病率であることが知られており,白人,黒人,ヒスパニックでは一般に低有病率であることが知られている(0.5%以下).しかしながら北イタリアでは0.6%,東アフリカタンザニアの黒人は0.6%と中等度の有病率であり,例外も知られている.1998年以降のISGEOの診断基準が採用されてからの閉塞隅角緑内障の有病率としてはアジア系では中国,シンガポールの中国系,モンゴルでは1%以上と高有病率を示す.インド系では0.25.1.1%とかなり報告によって差があり,中等度の有病率といえる.南アジアではミャンマーが突出して高く2.5%であるが,一方で,シンガポールのマレー系は0.1%と対照的に非常に低い有病率が報告されている.タイは50歳以上の調査であるが0.9%と報告された.わが国においては1988年の塩瀬らの全国調査で0.34%とかなり低い有病率が報告されたが,多治見スタディでは0.6%と報告された.この違いには1998年のISGEOの診断基準が一部関係していると考えられる.Yamamotoらは多治見スタディの0.6%の有病率は塩瀬らの診断基準に合わせると0.23%となることも併せて報告している.一方,塩瀬らの北海道の閉塞隅角緑内障の有病率はISGEOの診断基準に準拠すると2.26%と,非常に高値となり,これは同様に補正した熊本の0.31%の約7倍となり,日本における閉塞隅角緑内障の有病率の地域差が明らかとなった.この補正後の北海道における閉塞隅角緑内障の有病率は久米島スタディの有病率と類似していた.この閉塞隅角緑内障の有病率の違いを含め,眼球形態の違いを含めた久米島スタディの結果から,人類学的に比較的単一と考えられてきた日本人の起源がより複雑である可能性が示唆された.図1超音波生体顕微鏡検査における各パラメータの部位AOD500:強膜岬から線維柱帯に沿って500μmの位置から虹彩までの距離.TIA:隅角底の開大度(線維柱帯.隅角底.虹彩表面で作る角度).TCPD:強膜岬から線維柱帯へ500μmの位置から毛様体表面までの距離,ID:強膜岬から線維柱帯へ500μmの位置から毛様体表面へ垂線を引き,この部位の虹彩の厚み.SSTIAIDTCPDAOD500AOD250500μm250μm40あたらしい眼科Vol.28,No.1,2011(40)おわりにわが国における3つの緑内障疫学調査の概要と結果についてまとめた.さらに国際的な比較を行い,日本民族は開放隅角緑内障の有病率が高く,そのなかで正常眼圧緑内障の比率がきわめて高いことを報告した.閉塞隅角緑内障には明らかな地域差があり,多治見と久米島ではおよそ4倍弱の開きがあった.この久米島の閉塞隅角緑内障の有病率は国際的にも突出して高く,今回の疫学調査で得られた眼のバイオメトリーの結果は今後,閉塞隅角緑内障の病態解明に重要な情報を与えてくれるものと期待される.文献1)ShioseY,KitazawaY,TsukaharaSetal:EpidemiologyofglaucomainJapan─Anationwideglaucomasurvey─.JpnJOphthalmol35:133-155,19912)IwaseA,SuzukiY,AraieMetal:Theprevalenceofprimaryopen-angleglaucomainJapanese:TheTajimistudy.Ophthalmology111:1641-1648,20043)FosterPJ,BuhrmannR,QuigleyHAetal:Thedefinitionandclassificationofglaucomainprevalencesurvey.BrJOphthalmol86:238-242,20024)澤口昭一:観察研究(横断研究):久米島スタディ.あたらしい眼科26:45-50,20095)RudnickaAR,Mt-IsaS,OwenCGetal:Variationsinprimaryopen-angleglaucomaprevalencebyage,gender,andrace:ABayesianMeta-analysis.InvestOphthalmolVisSci47:4253-4261,20066)澤口昭一,酒井寛,仲村優子:日本人と原発閉塞隅角緑内障:PACGの人種差,地域差.あたらしい眼科24:987-992,20077)HenzanIM,TomidokoroA,UejoCetal:Ultrasoundbiomicroscopicconfigurationoftheanteriorsegmentinapopulation-basedstudy:TheKumejimaStudy.Ophthalmology117:1720-1728,20108)PavlinCJ,RitchR,FosterFS:Clinicaluseofultrasoundbiomicroscopy.Ophthalmology98:287-295,1991した.おもな測定パラメータのうち,AOD500,TCPD,TIA,IDの4項目について概説する(図1)8).全体:AOD500は明室で0.267mm,暗室で0.202mm,このパラメータは耳側>鼻側>下方>上方の順に広く,これまでの報告と同様に上方の隅角は最も狭いことが確認された.TIAは明室で22.2°,暗室で17.0°,同様に上方隅角が最も狭い角度であることが示された.TCPDは明室で0.755mm,暗室で0.748mmとほとんど変化せず,上方が最も値が小さく,毛様体は上方で虹彩に近づいていることが示された.男女で比較した場合,AOD500に有意差はないものの女性でより小さい数値であった.TIAは明室では男女で有意差はなかったものの,暗室では男性18.4°,女性15.6°と有意差を認めた(p=0.043).毛様体の位置を示すTCPDは明室(p=0.037),暗室(p=0.040)とも有意差を認め,女性において毛様体がより前方に位置していることが示された.明室・暗室におけるAOD500の差は(0.267.0.202=0.065mm)であり,毛様体の位置は明暗でほぼ変化がないこと,また虹彩厚み(ID)は明暗で(0.457.0.412=0.045mm)の変化量があることから,暗室におけるいっそうの狭隅角化の原因はおもに虹彩の厚みの変化量によることが示された.では今回の検討による一般住民の隅角は広いのかあるいは狭いのかについては,中国のLiwanスタディではAOD500が0.1mm,TIA10°が閉塞隅角緑内障の危険があると報告されている.今回の検討ではおおよそであるが,その両方に合致する住民が約3割含まれていた.さらにこれまで報告された急性閉塞隅角緑内障の僚眼あるいは慢性閉塞隅角緑内障眼との比較検討では,久米島住民の暗室AOD500の0.202mmは,ほぼこれらの値に近似しており,久米島住民の母集団がもともと狭隅角眼であることがこれら客観的なデータでも示された.