———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.27,No.4,2010495私が思うことシリーズ(79)新たな展開2006年12月8日東京女子医科大学八千代医療センター(以下,八千代医療センター)は千葉県八千代市に開院しました.八千代医療センターは,「地域社会に信頼される病院としての心温まる医療と急性期・高機能・先進医療との調和」を理念にかかげ,千葉県医療ネットワークにおける地域の中核病院として,救急医療,小児医療,周産期医療などを中心に急性期医療を行っています.私は2004年8月から八千代医療センター開設準備室委員の一人として,新病院開設にかかわってきました.病院全体の構想やシステムについて,医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師や事務など多職種が一丸となって斬新なアイデアを出し,「理想の病院」の構想,構築,発展を目指しています.私自身これまでは,眼科に関する臨床,教育や研究を中心に考えることが多かったのですが,2009年に副院長に就任後,病院の発展並びにそこで働く医療スタッフの幸福を第一に考えるようになりました.現在,病院経営,労働環境整備,医療安全,患者サービス,医療支援,医療連携など多数の職務に携わっています(図1).これらの職務は自分自身の成長の機会でもあり,毎日ワクワクしながら働いています.理想の病院を描き,目指す病院理念の追求とともに,「理想の病院」というゴールを具体的に設定することで,常に現状に満足せず,より良い医療,システム,サービスを提供でき,それらを生み出す創造的な風土や文化を創出することが可能だと思います.皆がワクワクするような理想を掲げるほど,現実化する可能性は高くなります.また,医療スタッフと,そのスタッフを支えている家族の幸福の追求と実現が重要だと思います.病院に対する満足感,帰属意識,働きがいや感動などを持ち合わせなければ,患者さんに対して心をこめた医療や,創造的な提案をすることはできません.病院が成長,発展するとスタッフが幸せになるのではなく,スタッフが幸せになるほど病院が発展していくと思います.また,その病院が成長,発展することを,多くの人達が喜んでくださるのが「理想の病院」のあり方です.そのためには,今までの病院の常識や風習に制約されない,目先の利益のみに振り回されず,未来へ繋がる大きな価値を大切にする,諦めずに皆で知恵とアイデアを出し続ける,ことが大切です.医療安全への取り組み医療安全は病院経営と同様,またそれ以上に重要だと思います.患者さんに対して害を与えようとして医療を行っているスタッフはいないと思います.しかし,医療0910-1810/10/\100/頁/JCOPY船津英陽(HideharuFunatsu)東京女子医科大学八千代医療センター2006年に東京女子医科大学八千代医療センターに赴任し,2007年に教授,2009年に副院長に就任.地域の中核病院として急性期医療に貢献するとともに,すべての医療スタッフの働き方の多様性に応じた,また働きがいのある労働環境を整備するために,最善を尽くしたいと思っています.理想の病院を描き,目指して図1病院経営者会議向かって左から高萩事務長,筆者,寺井院長,佐藤副院長.———————————————————————-Page2496あたらしい眼科Vol.27,No.4,2010安全に関する意識が不足し,安全管理システムに問題や不具合があると,起こってはならないインシデントやアクシデントが発生することも事実です.当院では,医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師などが協力して,「医療安全支援チーム(MedicalSafetySupportTeam:MSST)」を結成し,私はそのゼネラルマネージャー(GRM)を務めさせていただいています.病院全体の医療安全に関する問題点を横断的にチームで共有して,問題発見・解決策について検討し,結果や成果について検証するというものです.また,医療スタッフ全員の医療安全に対する意識の向上や認識の改善を目的としています.毎週,院内ラウンドを行い,入院棟や外来棟の各部署を回り,医療安全策を徹底しています.医療安全委員会,医療安全講習会やM&Mカンファランス(morbidityandmortalityconference)の開催,手術バリアンスの検討なども定期的に行っています.医療安全が当院の強みの一つになるように,発展させていきたいと考えています.患者サービス開院以来,看護師やコメデイカルばかりでなく,医師に対する接遇研修を行ってきました.患者さんのクレームのなかで最も多いのが,医師や看護師に対するクレームです.「多くの患者さんの要望に応え,ハード面およびソフト面で質の高い医療を提供する」,これがわれわれの使命であると考えています.病院の施設面に関するクレームに関しても,予算の許す限り積極的に改善策を講じています.挨拶,傾聴,わかりやすい説明,誠意のある対応,これらは当たり前のことのようですが,意見書やクレームを拝読すると,多くの医師が十分に行っていないのが現実です.クレームを通じて異なった観点からの気付きも多く,医師は技量ばかりでなく,人間力が常に問われていることを痛感しています.患者さんからの要望を真摯に受け止め,多くの人達に最善の医療を提供できる病院を目指していきたいと考えています.八千代健康フェスタ市民とのつながりを密にするため,夏と冬の2回,「八千代健康フェスタ」を開催しています.本フェスタは2007年に「日本イベント大賞,特別賞」を受賞しました.フェスタの目的は,健康促進の啓発による継続的な地域への交流と貢献をすること,市民への最新医療情報を提供することです.オープンホスピタルとして,病気の公開セミナー,からだ情報コーナー,各種ミニ講座,健康相談などを行っています.また,ワークショップとして,小中学生を対象としたキャリア教育やもの作り,その他市民によるミニコンサートも開催しています.2010年2月14日には,「目の老化・生活習慣病の話,あなたは大丈夫ですか?」と題して,150名以上の市民に参加していただき,眼科の講演を開催しました(図2,3).多くの市民から「目の病気に関する質問」をいただき,病気への関心や不安を痛感しました.今後,健康フェスタを介して,地域への交流をさらに深め,多くの人々への社会貢献を行っていきたいと考えています.大切なこと大切なことは今まで何をしてきたのかではなく,これ(80)図2八千代健康フェスタ・健康セミナー150名以上の市民が参加し,活発な討論,質問がありました.図3八千代健康フェスタ・関係スタッフ多くのスタッフが健康フェスタの運営に携わっています.———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.27,No.4,2010497(81)から何をするかだと思います.今日は過去の結果ですが,未来は今日の結果です.「今日という一日を人生で最高の一日にする」ことを自分のミッションステートメントとして,患者さんのみならず医療スタッフにとっても「理想の病院」を目指して,常に思いの火を絶やさず燃やし続けていきたいと考えています.八千代医療センターに興味のある方は,私(hfunatsu@tymc.twmu.ac.jp)にご連絡くだされば幸いです.船津英陽(ふなつ・ひではる)1983年北里大学医学部卒業1985年東京大学医学部眼科助手1993年東京女子医科大学糖尿病センター眼科講師1993年米国テキサス大学客員講師2004年東京女子医科大学糖尿病センター眼科助教授2007年東京女子医科大学八千代医療センター眼科教授2009年東京女子医科大学八千代医療センター副院長☆☆☆お申込方法:おとりつけの書店,また,その便宜のない場合は直接弊社あてご注文ください.メディカル葵出版年間予約購読ご案内あたらしい眼科Vol.27月刊/毎月30日発行A4変形判総140頁定価/通常号2,415円(本体2,300円+税)(送料140円)増刊号6,300円(本体6,000円+税)(送料204円)年間予約購読料32,382円(増刊1冊含13冊)(本体30,840円+税)(送料弊社負担)最新情報を,整理された総説として提供!眼科手術Vol.23(本体2,400円+税)(送料160円)年間予約購読料10,080円(本体9,600円+税)(4冊)(送料弊社負担)日本眼科手術学会誌特集】毎号特集テーマと編集者を定め,基本的事項と境界領域についての解説記事を掲載.【原著】眼科の未来を切り開く原著論文を医学・薬学・理学・工学など多方面から募って掲載.【連載】セミナー(写真・コンタクトレンズ・眼内レンズ・屈折矯正手術・緑内障・眼感染アレルギーなど)/新しい治療と検査/眼科医のための先端医療他【その他】トピックス・ニュース他毎号の【特集】あらゆる眼科手術のそれぞれの時点における最も新しい考え方を総説の形で読者に伝達.【原著】査読に合格した質の高い原著論文を掲載.【その他】トピックス・ニューインストルメント他株式会社〒1130033東京都文京区本郷2395片岡ビル5F振替00100569315電話(03)38110544http://www.medical-aoi.co.jp