———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.7,20089870910-1810/08/\100/頁/JCLSい症例を診る機会も多く,非常に勉強になります.夕方からはクリニカルカンファレンスがあり,入院患者さんから興味深い症例を選んでプレゼンテーションを行います.治療に難渋している症例などでは,各専門の先生からさまざまなアドバイスをいただける貴重な場となっています.(篠崎友治)水曜日水曜は手術日です.おもに自分の担当患者さんの手術助手を務めますが,後期研修医2年目からは,自分の外来にきた白内障や翼状片の患者さんの手術を行うこともあります.自分の手術がある日は,DVDや本で何度も復習して手術に臨みます.思い通りに上手くできず,悔しい思いをすることが多いですが,それでも最後まで完投すると嬉しくて,ついつい口元が緩んでしまいます.指導医の先生方は,あまりの危なっかしさに気が気でないと思いますが,それでも辛抱強く優しく教えてくださり,頭の下がる思いです.落ち込むことも多いですが,いつか自分でも納得のいく手術ができる日を目指して頑張っていきます.木曜日木曜は網膜外来の日です.患者さんの数も多く,眼底(83)愛媛大学医学部眼科学教室では,この4月に5人の後期研修医が入局し,現在8名の後期研修医が働いています.大橋裕一教授をはじめ,各専門分野の先生方から指導を受け,多忙ながらも充実した研修生活を送っています.今回はそんな私たちの1週間を紹介させていただきます.月曜日月曜は手術日ですが,私は午前中外来で診療をしています.後期研修医2年目から週1回自分の外来をもたせてもらっているからです.多くは専門性の低い疾患が回ってきますが,ときに診断に困ることもあり,隣で診察している上級医の先生に助けを求めつつ,外来をこなしていきます.外来患者さんが多い日は午後にずれ込んでしまい,慌てて午後からの自分の担当患者さんの手術助手に入ることも度々です.夕方には各専門グループごとに病棟で回診を行い,治療方針を決定していきます.1日のスケジュールが終了したかと思うと,実は水曜日手術予定の患者さん達が入院してきているのに,まだ何も検査しておらず….患者さんと暗い消灯後の外来に降りて行き,検査をして,やっと1日が終了したこともありました.火曜日火曜は大橋教授を中心とした角膜外来の日です.まず午前8時よりearlybirdと名づけられた角膜の勉強会で1日が始まります.ここでは角膜の症例が提示されたり,抄読会や大学院生の先生が研究内容を発表したりします.聞きなれない用語や,むずかしい内容に眠気を誘われながら,必死に頭を働かせます.それが終わると,つぎは外来がスタートします.当院は角膜を専門とする先生が多く,8診を使っての外来となります.私は診察の横に付いて勉強したり,検査や問診などを行っています.特に教授の外来では,他院から紹介されてきた珍し後期臨床研修医日記●シリーズ⑥愛媛大学医学部眼科学教室篠崎友治坂根由梨野田恵理子▲病棟にて(向かって左から篠崎・坂根・野田)———————————————————————-Page2988あたらしい眼科Vol.25,No.7,2008(84)り,術者の先生とムンテラを行ったりします.いかにわかりやすく患者さんに説明するかなど学べて,非常に参考になります.土・日曜日休日は後期研修医,前期研修医各1人ずつが当番でローテーションを組み,その日のオンコールの上級医と計3人で病棟患者の回診を行います.自分の担当以外の患者さんを診察したり,平日は慌ただしく聞きのがしたことを遠慮なく聞くチャンスでもあり,和気藹々としています.休日連絡のあった緊急入院や時間外外来については,上級医とともに対応します.外傷,網膜離など,さまざまな眼科救急の診療を学び,実践します.手術になる症例では,直介として手術に参加することで,手術操作の流れを再確認し,大変勉強になります.土曜日は,月1回関連病院で外来を行うこともあります.眼科診療には,所見をいかに見逃さないか,変化を読み取るかというように,自分の眼が頼りです.明日からの仕事に備えて,日曜日の夜は眼をしっかり休めるようにしています.(野田恵理子)写真や蛍光眼底撮影などの検査も多いため,非常に忙しい日となっています.しかし,ほとんどの患者さんが散瞳しているため,眼底の診察を練習するチャンスが多い日でもあります.眼底写真やOCT(光干渉断層計)を撮影しながら,自分なりに診断や所見を考えていくと良い勉強になります.夕方近くなって,ようやく休憩できると思ったら,月曜日と同じく,各専門グループの回診が始まります.終了後は医局でカンファレンスがあり,月に数回眼底写真を見ながら網膜疾患の勉強会を行ったり,緑内障の勉強会を行ったりしています.(坂根由梨)金曜日金曜は午前8時30分より総回診があります.回診に間に合うよう,自分の担当患者さんの診察を済ませ,プレゼンテーションに臨みます.なお,興味深い症例,治療に苦慮している症例については,次週のカンファランスで発表します.回診終了後は,外来で検査や診察に付きます.午後からは,次週の手術予定患者の入院日でもあるため,おもに入院した患者さんの術前検査を行った?プロフィール(50音順)?坂根由梨(さかねゆり)平成16年愛媛大学医学部卒業,愛媛県立中央病院と愛媛大学付属病院にて初期臨床研修,平成18年4月より愛媛大学医学部眼科学教室前期専攻医.篠崎友治(しのざきともはる)平成16年杏林大学医学部卒業,愛媛大学付属病院と愛媛県立中央病院にて初期臨床研修,平成18年4月より愛媛大学医学部眼科学教室前期専攻医.野田恵理子(のだえりこ)平成17年浜松医科大学卒業,愛媛大学付属病院にて初期臨床研修,平成19年4月より愛媛大学医学部眼科学教室前期専攻医.指導医からのメッセージ後期研修医の先生たちは,すでに2年間各科で研修を積んでおり,患者さんへの応対などは安心して見ていられます.ただ眼科研修の開始段階で,眼科経験がほとんどゼロの人から最長6カ月のプレ研修を終えている人まで多少レベルに違いがあります.(これは,研修医自身の問題ではなく現在の制度の問題であることは言うまでもありません.)日記のなかにも書かれていますが,眼科は「自分の目で見てナンボ」の世界で,スリットなどで所見をとることができるか否かは重要な問題です.一例一例をしっかり診ることで,診察技術はみるみるアップし,研修初期のわずかなレベルの差などまったく問題になりません.臨床や学会発表にどっぷりの研修医生活ですが,まさに「鉄は熱いうちに打て」です.いろいろな先輩に打たれながら,一流の眼科医へと逞しく成長していってください.愛媛大学医学部眼科学教室・医局長山口昌彦▲今年は5名が入局しました