———————————————————————-Page10910-1810/06/\100/頁/JCLS例示しながら,以下に要点をまとめて述べたい.1.形態覚遮断弱視弱視のなかでも最も重篤で,いったん成立すると治療困難な病型が形態覚遮断弱視である.一般に弱視とは器質病変のないものを指すが,白内障などの眼疾患は視性刺激遮断の原因となり,その結果,形態覚遮断弱視を形成する.視性刺激遮断の感受性は出生時から8歳頃まで続くが,特に生後2カ月から2歳頃までがピークであり1),遮断の起こった時期が生後早期であるほど重篤な弱視を形成する.形態覚遮断弱視の成立の有無と重症度は,白内障の起こった時期(先天白内障か発達白内障か),白内障のタイプと混濁の程度(完全遮断か不完全遮断か),両眼性か片眼性か(左右差があるか)によって異なる.両眼に比べて片眼の遮断では健眼からの抑制が加わるたはじめに小児白内障に対する手術手技や器具の進歩は,良好な術後視力を獲得するために不可欠である.眼内レンズ挿入術の乳幼児への適応も広がってきているが,さらに侵襲が少なく,合併症を生じない手術技術を開発することが,治療の長期予後を左右する重要な課題である.一方,成人と異なり,視力の発達途上に起こる小児白内障の治療予後には,手術や術後管理以外に,弱視治療の成否が大きく関与する点を忘れてはならない.ことに,先天白内障や乳児期に起こった白内障の治療の本質は,形態覚遮断弱視の治療そのものである.本稿では,小児白内障の術後視力を決める因子について取り上げ,術前評価と手術適応についての基本的な考え方,弱視治療の実際の進め方について述べたい.また合併症のある難治例の治療など今後の課題について述べる.I小児白内障の術後視力を決める因子小児白内障の術後視力を決める因子は術前,手術,術後に大別される(表1).すなわち,術前の白内障による形態覚遮断弱視の程度,眼・全身合併症の有無,手術侵襲と合併症の有無,術後の合併症の有無,屈折矯正と弱視訓練の成否である.小児では,これらの因子すべてが揃ってはじめて良好な視機能が得られる点が特徴であり,成人に比べて格段に治療がむずかしい.それぞれの因子について,当院での治療の進め方と長期治療成績を(19)??表1小児白内障の術後視力を決める因子術前形態覚遮断弱視の有無と重症度・白内障の発症時期・白内障のタイプと混濁の程度・片眼性/両眼性,左右差の有無眼合併症:小角膜,第一次硝子体過形成遺残など全身合併症:Down症候群,Lowe症候群など手術手術侵襲・合併症術後合併症:緑内障,網膜?離,後発白内障,斜視など屈折矯正:眼鏡,コンタクトレンズ,眼内レンズ弱視訓練:健眼遮閉*SachikoNishina:国立成育医療センター眼科〔別刷請求先〕仁科幸子:〒157-8535東京都世田谷区大蔵2-10-1国立成育医療センター眼科特集●小児眼科の新しい考え方あたらしい眼科23(1):19~24,2006小児白内障手術と術後視力?????????????????????????????????????????????????????????????仁科幸子*———————————————————————-Page2??あたらしい眼科Vol.23,No.1,2006(20)めきわめて重症となる.生直後から高度の水晶体混濁を生じた先天完全白内障では,片眼白内障や左右差の著しい例では生後1~2カ月以内に,両眼白内障でも生後3カ月以内に手術を行わないと良好な視機能は望めない2).Gregg,Wrightは片眼性の先天白内障において術後に両眼視機能を獲得した例をはじめて報告しているが,それぞれ生後1日,生後5週以内の超早期に手術を行って,コンタクトレンズの装着とparttimeocclusionによる弱視訓練を行っている3,4).一方,生後2歳以降に進行した発達白内障や層間白内障などの不完全白内障の場合には,術前に遮断弱視があっても軽度であるため,一般に視力および両眼視機能の予後は良好である.当院で6歳未満で手術を行い4年以上経過観察した小児白内障95例のうち,視力測定できた例の結果を両眼性,片眼性,先天白内障,発達白内障(生後4カ月以降に発症または進行),眼・全身合併症の有無に分けて図1,2に示す.術式は経角膜輪部水晶体・前部硝子体切除術と,5歳以上の発達白内障では眼内レンズ挿入術を行った.図1に示すように,合併症のない両眼発達白内障は予後良好で,多くが0.8以上の視力と両眼視機能を獲得した.両眼先天白内障では生後3カ月以内の手術例で0.8以上の視力,生後2カ月以内の手術例では両眼視機能を獲得したが,生後4カ月~1歳の手術例では全例術前に眼振を認め0.3~0.7の視力となった.一方,図2のように,片眼白内障は,発達白内障では0.8以上の視力と両眼視を獲得する例があったが,先天白内障では早期手術例でも0.3~0.7の視力予後であった.また合併症のある例や手術時期が遅い例では多くが0.08以下と視力予後不良であった.2.眼・全身合併症先天白内障や乳幼児期の発達白内障には眼・全身異常に伴うものが少なくない.重篤な中枢神経系疾患や後眼部疾患を伴っているもの,また高度の眼合併症を伴う片眼白内障で僚眼が正常なものは,視力の発達が望めないため手術適応とはならない.しかし,軽度の眼・全身合併症のあるもの,眼合併症が高度でも両眼性のものは,早期手術を検討することとなる.Down症候群,Lowe症候群など種々の全身疾患の検索に加えて,発達の評価,自傷行為の有無や療育状況などを調べておくことは,術後の屈折矯正手段の選択や合併症の管理の面でも非常に大切である.眼合併症としては小角膜・小眼球,虹彩低形成,第一次硝子体過形成遺残,コロボーマ,網膜ひだ,視神経低形成,黄斑低形成などがあげられる.その程度はさまざまであり,視力予後を大きく左右することとなる.軽症例であっても術中合併症や,緑内障や網膜?離などの重篤な術後合併症の頻度が高くなるため,十分な検索が必要である.当院で治療を行った先天白内障のうち何らかの眼・全身合併症を伴う患児は両眼性66%,片眼性45%と高率であった.発達白内障においても両眼性18%,片眼性20%に合併症を認めた.図1,2に示すように眼・全身合併症を伴う患児の視力予後は一般に不良である.051015:先天(合併症-):発達(合併症-):先天(合併症+):発達(合併症+)≧0.80.3~0.70.1~0.2<0.02両眼視(+)(n=47)例数視力0.02~0.08図1両眼白内障の治療結果05:先天(合併症-):発達(合併症-):先天(合併症+):発達(合併症+)≧0.80.3~0.70.1~0.2<0.02両眼視(+)(n=33)例数視力0.02~0.08図2片眼白内障の治療結果———————————————————————-Page3(21)あたらしい眼科Vol.23,No.1,2006??3.手術と合併症近年の手術器具や手技の進歩によって,従来に比べて術中・術後合併症の頻度が減り,良好な術後視力を獲得できる例が増加した.近年確立された水晶体切除・前部硝子体切除術に対して,現在では,より低年齢児に対しても眼内レンズの適応が広がってきているが,乳幼児に対する眼内レンズの術式と長期的な安全性は確立していない5~7).慎重に適応例を選んで,十分なインフォームド・コンセントを得ること,術後管理を行えることが眼内レンズ挿入術の施行に際し最低限必要である.術後早期の合併症は,経角膜輪部法か経毛様体法か,眼内レンズ挿入術か,術式によって頻度が異なるが,小児の場合,特に角膜浮腫,前房・硝子体出血,フィブリン析出,術後炎症の遷延,縫合不全による低眼圧などに注意が必要である.4.術後合併症の管理8)重篤な術後合併症として後発白内障,緑内障,網膜?離があげられる.後発白内障を生じた場合には高度の弱視となるため迅速な再手術が必要である.乳児では成人と異なり厚い線維性膜組織を形成していることが多く,硝子体カッターや剪刀による処理が必要である.緑内障は,特に小角膜や虹彩低形成,第一次硝子体過形成遺残(persistenthyperplasticprimaryvitreous:PHPV)などの眼異常を伴う白内障眼に頻度が高いが,正常眼においても長期経過後に発症することがしばしばある.乳幼児のうちは発見が遅れがちとなるため,定期的に全身麻酔下検査を行うのが望ましい.外来では正確な眼圧を測定することは困難なため,角膜や前房所見,視神経乳頭所見,屈折変化などに注意して早期発見につとめる.眼圧下降薬の点眼のみで眼圧コントロール可能な例では一般に予後が良いが,先天異常眼ではしばしば隅角異常を合併し重篤な緑内障をきたす.薬物治療が奏効しない場合にはトラベクロトミー,トラベクレクトミーによる手術治療を行うが,難治性であり,視力予後不良となる.乳幼児期の網膜?離は最も重篤な術後合併症である.高度の増殖性変化をきたし硝子体手術を必要とする例が多いが,残存硝子体を完全に処理することは困難であり予後不良である.網膜?離は特に全身合併症を伴う発達遅延の患児に多い.目押しや眼球打撲に十分注意を払うよう家族に説明し,自傷行為や多動の目立つ患児にはヘルメットや保護眼鏡の装着を勧める.5.術後の屈折矯正と弱視訓練術後は速やかに屈折矯正および健眼遮閉による弱視訓練を開始することが大切である.超早期に適切な手術を行っても,弱視訓練のコンプライアンスが悪いと視力予後不良となる.乳幼児では近見に焦点を合わせて屈折矯正を行う.屈折矯正手段として両眼性では眼鏡,コンタクトレンズ,眼内レンズ,片眼性ではコンタクトレンズ,眼内レンズが用いられるが,それぞれ利点,欠点がある(表2)9,10).変化の著しい小児の屈折状態に合わせて正確な屈折矯正を行うこと,コンプライアンスの良い矯正法を用いることが,視力予後を左右する.したがって年齢や合併症の有無,両親の管理の問題などを考慮して,個々の症例に対して最適の矯正法を選択する必要がある.成長に伴う屈折の変化は,視覚の感受性の高い0~2歳で特に著しく,この期間に頻回に検査を行って度数や規格を調整することが大切である.4歳以降になっても近視化は続き,しかも症例によるばらつきが大きいため,屈折の変化を予測することは非常にむずかしい(図3).乳幼児期に眼内レンズ挿入術を行う場合には,眼鏡による追加矯正が必要であるが,著しい近視化や不同視表2術後の屈折矯正法の特徴眼鏡コンタクトレンズ眼内レンズ適応症例両眼のみ両眼,片眼両眼,片眼乳幼児の適応○○?眼・全身合併症例の適応○○×光学的欠点あり少ないなし取り扱い容易困難─コンプライアンス比較的良好不良─処方変更容易容易困難眼合併症なしありあり眼外傷に対する危険性少ない少ない多い長期的安全性○△?———————————————————————-Page4??あたらしい眼科Vol.23,No.1,2006(22)を生じることがあり問題となる.図4は当院で眼内レンズ挿入術を行った例の屈折変化を示したものであるが,5歳以降でも著しい近視化をきたす例があり,視力0.3未満の予後不良例で,より屈折の変化が大きい傾向であった.健眼遮閉は,片眼性や左右差のある白内障の場合には,視力向上に必須の因子である.アイパッチによる完全遮閉が原則であり屈折矯正と同時に開始する.1日の遮閉時間は,年齢や術前の左右差に応じて開始し,固視・追視反応および選択視法(preferentiallooking:PL法)やTellerAcuityCardsを用いて左右差をみながら調整する.一般に片眼先天白内障では覚醒時間の50~80%の遮閉が必要であるが,超早期に手術を行った場合には,両眼視機能の獲得のために生後6カ月までは月齢相当時間,すなわち生後2カ月では2時間,3カ月では3時間の遮閉時間とする3,4).図2の片眼白内障における視力予後良好例は,全例屈折矯正と健眼遮閉のコンプライアンスが良好であった.コンプライアンス不良例は先天白内障では0.04以下,発達白内障では0.1未満の視力であった.II術前評価と手術適応の決め方小児白内障手術の術後視力は,前述のようにさまざまな因子が関与するため,手術適応の決め方も成人と異なる.術前評価の第一のポイントは,遮断弱視の程度の評価であり,第二のポイントは眼・全身異常の検索である.高度の形態覚遮断弱視が確立すると手術は無効となり,いたずらに術後合併症の危険を増加させるだけである.また眼・全身異常を伴う例が高率のため,手術や全身麻酔に伴うリスク,術後合併症の長期管理が不可欠であることなどを十分に家族に説明して,手術適応を決めることが大前提である.遮断弱視の形成の有無と程度を評価する具体的なポイントは,前述のように,両眼性か片眼性か(左右差があるか),白内障の形態と混濁の程度,白内障の起こった時期をよく調べることである.生後早期から高度の水晶体混濁があり,斜視や眼振・異常眼球運動が顕性となっていれば,通常は高度の遮断弱視が形成されており,手術を行っても視力予後不良である.一方,眼底が観察できる程度の左右差のない層間白内障や核白内障で,ski-ascopyで十分な徹照が得られる場合には,遮断弱視は形成されないため,早期手術は不必要である.PL法やTellerAcuityCardsを用いた視力検査を取り入れながら経過観察する.手術適応を決めるうえで特に問題となるのは発症・進行時期が不明の片眼白内障である.弱視や視路の評価には視覚誘発電位(visualevokedpotential:VEP)が最も有用である.VEPで患眼の反応が健眼に比してきわめて不良であれば,すでに高度の遮断弱視が形成されており,手術は無効である.当院では,VEPで反応が弱くてもある程度得られる例は,十分な説明をしたうえで両親の希望があれば手術を行っているが,VEPでまったく反応が得られなかった例は手術適応としていない.図5に当院片眼白内障治療例の術前VEPの結果と視力予後について示す.先天,発達白内障ともに術前VEP良好例に視力予後良好例が多い.発達白内障では術前VEP不良例は全例0.08以下の視力であった.先天白内障ではVEP測定困難例が含まれたため,術前VEP不良でも早期手術により0.3以上の視力を得た例があっ0~22~44~66~8:両眼先天:両眼発達:片眼先天:片眼発達年齢(歳)近視化(D)-5-10図3術眼の年齢による屈折変化(各群の平均値)-10-505567891011121314151617181920屈折変化(D)年齢(歳)(n=18)図4眼内レンズ挿入眼の屈折変化———————————————————————-Page5(23)あたらしい眼科Vol.23,No.1,2006??た.VEPは正確に検査できる年齢では非常に有用であるが,乳児期では1回の検査で視力予後を断定することはできない.眼・全身異常の有無を調べるには,はじめに患児の発達状態をよく観察して,必要な全身の検査を迅速に進めることが大切である.中枢性視覚障害や重篤な全身疾患の合併例では手術の適応とはならない.また散瞳下細隙灯検査や双眼倒像鏡眼底検査を行って白内障の形態や合併症の有無を調べる.水晶体を含めた前眼部の形成異常について,すなわち小角膜・角膜混濁の有無,前房の深さ,虹彩と隅角所見,散瞳の良否,水晶体の形状(膨隆,菲薄化,硬化,膜状,球状,偏位)をよく観察する.また,必ず超音波検査を行って後眼部の異常の有無,すなわち小眼球,コロボーマ,網膜ひだや網膜?離,PHPV,視神経低形成などを検出する(図6).必要に応じて頭部および眼窩CT(コンピュータ断層撮影)検査を行う.高度の眼合併症のある片眼白内障で,僚眼が正常の場合には,一般に手術適応とはならない.最終的に眼合併症の有無につき術直前に全身麻酔で検査を行う.III今後の課題1.合併症のある白内障の手術8)乳幼児の白内障には何らかの眼・全身合併症を伴う例が高率で,依然として合併症のある例の多くは視力予後不良である.このような難治例に対する低侵襲で安全な早期手術の手技,術後合併症の管理の点が今後の課題としてあげられる.当院では,ことに眼合併症のある白内障の早期手術においては,眼内レンズは挿入せず,経角膜輪部水晶体・前部硝子体切除術を基本術式としている.経毛様体扁平部・皺襞部法に比べて角膜や虹彩・隅角への侵襲が大きいが,一方発達途上の毛様体や硝子体基底部を損傷する危険性がない.PHPVをはじめ,予期せぬ周辺部網膜や毛様体の構造異常が存在する可能性があり,経毛様体法では術中鋸状縁断裂や晩期合併症としての網膜?離を誘発するおそれがある.小角膜は頻度の高い眼合併症であるが,高度の小角膜眼ではPeters奇形,虹彩低形成,虹彩コロボーマ,水図5片眼白内障の術前VEPと視力予後05:先天(VEP良好):発達(VEP良好):先天(VEP不良):発達(VEP不良)≧0.80.3~0.70.1~0.2<0.02(n=19)例数視力0.02~0.08図6前部型PHPVを伴う先天白内障図7虹彩前・後癒着,後部胎生環,角膜混濁,石灰化を伴う白内障(左)に対する25ゲージ硝子体カッターを用いた経角膜輪部水晶体・前部硝子体切除術(右)の施行———————————————————————-Page6??あたらしい眼科Vol.23,No.1,2006(24)晶体形態異常など種々の前眼部形成異常を認め,隅角形成異常による重篤な緑内障の発症が多い11).このような例では両眼性の場合のみ手術適応となるが,虹彩や隅角への侵襲を最小限にとどめ,角膜混濁が増強しないように,25ゲージの硝子体カッターを使用している(図7).2.眼内レンズの適応乳幼児に適応が広がっている眼内レンズの長期予後はいまだ不明である.生後2,3カ月以内に早期手術を行う必要がある先天完全白内障や,合併症のある白内障は眼内レンズの適応外である.乳幼児期に進行した発達白内障への眼内レンズの適応が問題となるが,急速に眼球が成長する2歳までは,各組織の形態変化が大きく,予測不能の著しい屈折変化を生じる.また視覚の感受性期間のピークであるため,ひとたび合併症を起こすときわめて視力予後不良となる.3歳以降を適応とする考え方,さらに低年齢にも適応を広げる考え方があるが,著しい屈折変化に対応した正確な屈折矯正の問題,早期および晩期合併症の問題と視力予後について今後十分な検討が必要である.一方,遮断弱視の形成されない層間白内障などは乳幼児期に急いで眼内レンズ挿入術を行うべきではない.3.術後合併症の問題手術手技の進歩にもかかわらず,術後合併症の問題は,依然として重篤な視力障害を招く重大な因子である.特に無水晶体緑内障は術後長期にわたり高頻度に起こるため,その検出と管理には生涯留意すべきである.近年は閉塞隅角緑内障の発症は減り,大部分が晩期発症の開放隅角緑内障であるが,その機序はいまだ不明である12).乳幼児の眼内レンズ挿入眼では,前述の屈折の問題のほか,後発白内障やレンズ偏位による光学的な問題が生じやすいため,高度な手術手技が要求されるとともに,長期にわたる慎重な術後管理が必要である.また術後に網膜?離が起こった場合はきわめて難治性となり,これを十分に治療できる網膜手術医は少ない.乳幼児に眼内レンズを適応とする場合,術後の緑内障や網膜?離に対する予防や治療法も,十分検討すべき今後の課題となる.文献1)粟屋忍:形態覚遮断弱視.日眼会誌91:519-944,19872)BirchEE,StagerD,Lef?erJetal:Earlytreatmentofcongenitalunilateralcataractminimizesunequalcompeti-tion.?????????????????????????39:1560-1566,19983)GreggFM,ParksMM:Stereopsisaftercongenitalmonoc-ularcataractextraction.???????????????114:314-317,19924)WrightKW,MatsumotoE,EdelmanPM:Binocularfusionandstereopsisassociatedwithearlysurgeryformonocu-larcongenitalcataracts.???????????????110:1607-1609,19925)SharmaN,PshkerN,DadaT:Complicationsofpediatriccataractsurgeryandintraocularlensimplantation.????????????????????????25:1585-1588:19996)山本節:小児眼内レンズ挿入症例の長期観察.眼科手術13:39-43,20007)LambertSR,LynnM,Drews-BotschCetal:Acompari-sonofgratingvisualacuity,strabismus,andreoperationoutcomesamongchildrenwithaphakiaandpseudophakiaafterunilateralcataractsurgeryduringthe?rstsixmonthoflife.???????5:70-75,20018)仁科幸子,東範行:先天白内障.臨眼58(11):264-267,20049)三宅三平:無水晶体眼.眼科診療プラクティス9,屈折異常の診療,p82-85,文光堂,199410)野田英一郎,仁科幸子:小児白内障術後の屈折矯正法.眼科診療プラクティス95,屈折矯正法の正しい選択,p118-122,文光堂,200311)WallaceDK,PlagerDA:Cornealdiameterinchildhoodaphakicglaucoma.???????????????????????????????33:230-234,199612)ChenTC,WaltonDS,BhatiaLS:Aphakicglaucomaaftercongenitalcataractsurgery.???????????????122:1819-1825,2004