《原 著》あたらしい眼科 42(8):1064.1069,2025c網膜疾患に対する抗 VEGF薬の広域脈絡膜厚への影響荒木梨沙*1,2 富田洋平*1 伴 紀充*1 國見洋光*1 栗原俊英*1 篠田 肇*1 根岸一乃*1*1慶應義塾大学医学部眼科 *2国家公務員共済組合連合会立川病院CE.ect of Anti-VEGF Therapy on Wide-Field Choroidal Thickness in Retinal Diseases Risa Araki1,2),Yohei Tomita1),Norimitsu Ban1),Hiromitsu Kunimi1),Toshihide Kurihara1),Hajime Shinoda1)andCKazuno Negishi1)1)Keio University Hospital, Department of Ophthalmology, 2)Tachikawa HospitalC背景:抗血管内皮増殖因子療法(anti-VEGF therapy)による中心窩脈絡膜厚の変化に関する報告はあるが,広域脈絡膜厚への影響は明らかではない.今回,筆者らは広角光干渉断層計(OCT)を用いて抗CVEGF薬が広域の網膜・脈絡膜厚へどのような影響を及ぼすかを検討した.直径C5Cmmの円を後極とし,後極を除く直径C18Cmmの円を八つに分割し,注射前と注射C1カ月後で平均網膜・脈絡膜厚を測定して比較した.対象と方法:対象は46例46眼(男性27例,C69.2±13.3歳)で加齢黄斑変性C19例,糖尿病黄斑浮腫C3例,網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫C24例であった.結果:注射前後で視力,眼軸長に有意な差は認められなかった.また,注射後にすべての領域で平均網膜厚が有意に減少しており,平均脈絡膜厚は後極以外のすべての領域で有意に減少していた.結論:抗CVEGF薬の注射前後で後極以外の脈絡膜厚は有意に減少し,抗CVEGF薬が影響している可能性が示唆された.CBackground:Changes in central choroidal thickness following anti-vascular endothelial growth factor(VEGF)Ctherapy have been reported, but alterations in wide-.eld(WF)choroidal thickness remain unexplored. Herein, we evaluatedCtheCe.ectCofCanti-VEGFCtherapyConCchoroidalCthicknessCusingCWFCopticalCcoherencetomography(WF-OCT). Subjects and Methods:This study involved 46 eyes of 46 patients(27 males, 19 females;mean age:69.2C±13.3years)(19CeyesCwithCage-relatedCmacularCdegeneration,C3CeyesCwithCdiabeticCmacularCedema,CandC24CeyesCwith macular edema secondary to retinal vein occlusion). Using WF-OCT, we de.ned a 5-mm diameter circle as theCposteriorpole(C0),CandCdividedCtheCsurroundingC18-mmCdiameterCareaCintoCeightCregions.CMeanCchoroidalCthicknessCwasCmeasuredCatCbeforeCandCatC1CmonthCafterCanti-VEGFCinjection,CandCthenCcompared.CResults:PostCinjection,CnoCsigni.cantCchangesCinCvisualacuity(logMAR)andCaxialClengthCwereCobserved,CyetCsigni.cantCreduc-tionCinCmeanCretinalCthicknessCinCallCregionsCandCinCmeanCchoroidalCthicknessCinCallCareasCexceptCtheCC0CwasCobserved.CConclusion:ACsigni.cantCreductionCinCchoroidalCthicknessCwasCobservedCinCallCregionsCexceptCtheCC0,Cthus suggesting that anti-VEGF therapy a.ects choroidal thickness.〔Atarashii Ganka(Journal of the Eye)42(8):1064.1069,C2025〕 Key words:抗血管内皮増殖因子療法,加齢黄斑変性,糖尿病黄斑浮腫,網膜静脈閉塞症.anti-VEGFCtherapy,Cage-related macular degeneration, diabetic macular edema, retinal vein occlusion.Cはじめに加齢黄斑変性,糖尿病黄斑浮腫,網膜静脈閉塞症などの網膜疾患は,視覚に重大な影響を及ぼす.これらの疾患においては,病的な網膜血管からの漏出による黄斑浮腫が視力低下の主な病因である1).これらの網膜疾患に対して,抗血管内皮増殖因子(anti-vascularCendothelialCgrowthfactor:VEGF)療法(anti-VEGF therapy)が有効であることが広く認識されている.抗CVEGF薬は,病的な新生血管を抑制し,血管漏出を減少させることで視力を維持または改善する効果がある2).しかし,抗CVEGF薬の長期的な安全性については,まだ解明されていない部分が多い.脈絡膜は網膜の外側に位置し,網膜外層に酸素や栄養を供給する重要な組織であ〔別刷請求先〕 富田洋平:〒160-0016 東京都新宿区信濃町C35 慶應義塾大学医学部眼科学教室Reprint requests:Yohei Tomita, M.D., Ph.D., Keio University Hospital, Department of Ophthalmology 35 Shinano-machi, Shinjuku-ku, Tokyo 160-0016, JAPANC1064(130)
る.抗CVEGF薬はおもに網膜の新生血管を標的とするが,脈絡膜にも影響を及ぼす可能性があるとされている3).抗VEGF薬の投与により中心窩脈絡膜厚が減少することは報告されているが,広域的な脈絡膜厚への影響については明らかではない.これまでの研究では,加齢黄斑変性において抗CVEGF薬の頻回投与が地図状萎縮(geographic atrophy:GA)を引き起こすことが示唆されているが,脈絡膜への影響に関するデータは限られている4).脈絡膜の厚みが減少すると,網膜への栄養供給が不足し,網膜の健康状態が悪化する可能性がある.また,脈絡膜厚は年齢や眼軸長などによって変動し,これらの因子が抗CVEGF薬の効果に影響を与える可能性がある5).したがって,抗CVEGF薬の効果と安全性をより深く理解するためには,脈絡膜厚の広域的な変化を詳細に解析することが重要である.本研究の目的は,抗CVEGF薬が広域脈絡膜厚に与える影響を詳細に調査することである.これにより,抗CVEGF薬のより効果的な適用方法と長期的な安全性を評価し,将来的な治療方針の決定に寄与することをめざす.C
I 対象と方法本研究はヘルシンキ宣言に基づき,慶應義塾大学病院眼科で後ろ向き観察研究として実施した.対象は,2019年C1月からC2021年C12月までの間に,抗CVEGF薬(ラニビズマブ,アフリベルセプト,ファリシマブ,ブロシズマブのいずれか)の投与を受けた患者C46名(46眼)であった.性別は男
図 2 en face画像
自動セグメンテーションで網膜と脈絡膜のCen face画像を生成した.性C27名(58.7%),女性C19名(41.3%)であった.患者の平均年齢は全体でC69.2C±13.4歳であった.対象疾患は,加齢黄斑変性(19眼),糖尿病黄斑浮腫(3眼),網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫(24眼)であった.加齢黄斑変性の性別は男性C11名(57.9%),女性C8名(42.1%)で平均年齢はC72.21C±17.93歳であった.網膜静脈閉塞症の性別は男性C15名(62.5%),女性C9名(37.5%)で平均年齢はC66.71C±8.41歳であった.抗CVEGF薬投与前および投与後C1カ月において,視力と眼圧を測定し,広角光干渉断層計(opticalCcoherencetomography:OCT)(Xephilio OCT S-1,キヤノン)を用いてC20C×23Cmmの範囲で光干渉断層血管撮影(OCTCangiog-raphy:OCTA)を行った.解析は,直径C5Cmmの円(C0)とその周囲に位置する直径C18Cmmの円をC8つの領域〔耳側(L1),上耳側(L2),上方(L3),上鼻側(L4),鼻側(L5),下鼻側(L6),下方(L7),下耳側(L8)〕に分割して行った(図 1).自動セグメンテーション技術で網膜と脈絡膜のCenface画像を生成し,各領域の網膜厚,脈絡膜厚をOCTResearch Tool Ver.2.0(キヤノン)で解析した(図 2).解析項目としては,①注射前後の眼軸長および視力(logMAR)の変化,②非注射眼における広域網膜厚の変化,③非注射眼における広域脈絡膜厚の変化,④注射眼における広域網膜厚の変化,⑤注射眼における広域脈絡膜厚の変化の五つを設定した.統計解析には,平均値と標準偏差を用いてデータの分布を確認し,Wilcoxonの符号付き順位検定を用いて有意差を評価した.統計解析ソフトはCSPSSCver29.0(IBM)を使用した.C
II 結 果
平均眼軸長は注射前がC24.97C±1.73mm,注射後がC24.99C±1.72Cmmであり,注射前後で有意な変化は認められなかっmm
図 3 眼軸長と視力( logMAR)の変化眼軸長はC24.97C±1.73mmからC24.99C±1.72Cmmに,logMARは0.25からC0.21に変化した.どちらにも統計的な有意差は認められなかった(p>0.05).た(p>0.05).logMARは注射前がC0.25,注射後はC0.21であり,統計学的な有意差は認められなかった(p>0.05)(図 3).また,抗CVEGF薬の投与後に,非注射眼の網膜厚はすべての範囲で変化を認めなかった(p>0.05).注射前の平均網膜厚(μm)はCC0C313±34,L1C222±19,L2C225±16,CL3C234±17,L4C258±23,L5C263±25,L6C235±25,L7 219±24,L8C221±23で,注射後C1カ月の平均網膜厚(μm)はCC0C308±42,L1C220±16,L2C225±15,L3C234±17,CL4C260±27,L5C263±24,L6C232±21,L7C215±19,L8 217±18であった.さらに,抗CVEGF薬の投与後に,非注射眼の脈絡膜厚はすべての範囲で変化を認めなかった(p> 0.05).注射前の平均脈絡膜厚(μm)はCC0C228C±89,L1C208C±64,L2C242±75,L3C216±73,L4C194±79,L5C164±68,L6C133C±43,L7C161C±54,L8C195C±68で,注射後C1カ月の平均脈絡膜厚(μm)はCC0C221±81,L1C207±60,L2 240±69,L3C213±67,L4C192±73,L5C164±63,L6C133C±40,L7C160C±52,L8C194C±65であった.抗CVEGF薬の投与後に,注射眼の網膜厚はすべての範囲で有意に減少した(p<0.01).注射前の平均網膜厚(μm)はCC0C355±65,L1C238±40,L2C242±53,L3C251±45,L4 265±24,L5C271±27,L6C247±42,L7C234±24,L8C237C±42で,注射後C1カ月の平均網膜厚(μm)はCC0C321±48,CL1C227±21,L2C232±34,L3C243±32,L4C258±27,L5 264±24,L6C239±24,L7C224±26,L8C224±22であった(図 4).抗CVEGF薬の投与後に,注射眼の脈絡膜厚は,C0を除くすべての範囲で有意に減少した(p<0.01).注射前の平均脈絡膜厚(μm)はCC0C223±70,L1C199±49,L2C233±58,L3C207±61,L4C181±60,L5C149±50,L6C129±38,CL7C159±50,L8C193±59で,注射後C1カ月の平均脈絡膜厚(μm)はCC0C221±72,L1C194±49,L2C227±59,L3C203±62,L4C175±63,L5C142±49,L6C124±37,L7C152±47,CL8C187±56であった(図 5).加齢黄斑変性と網膜静脈閉塞症は疾患ごとの解析も行った.加齢黄斑変性では網膜厚はCC0のみで有意に減少した.注射前の平均網膜厚(μm)はCC0C314±25,L1C218±12,L2 222±14,L3C231±17,L4C254±23,L5C260±21,L6C231C±13,L7C214±17,L8C217±14で,注射後C1カ月の平均網膜厚(μm)はCC0C290±23,L1C217±12,L2C222±13,L3 230±17,L4C246±35,L5C256±28,L6C228±18,L7C212C±19,L8C215±15であった.脈絡膜厚はCC0,L1以外のすべての領域で有意に減少した.注射前の平均脈絡膜厚(μm)はCC0C205±75,L1C190±64,L2C217±70,L3C186±65,CL4C167±66,L5C138±51,L6C119±41,L7C147±56,L8 184±75で,注射後C1カ月の平均脈絡膜厚(μm)はCC0C200C±76,L1C187±65,L2C211±69,L3C179±64,L4C157±69,L5C129±50,L6C113±39,L7C138±51,L8C177±70であった.網膜静脈閉塞症では網膜厚はCC0,L4で有意に減少した.注射前の平均網膜厚(μm)はCC0C376±60,L1C254C±48,L2C258±69,L3C266±56,L4C272±24,L5C279±29,L6C261C±52,L7C251±48,L8C252C±51で,注射後C1カ月の平均網膜厚(μm)はCC0C334±39,L1C234±24,L2C241C±44,L3C253±38,L4C265±17,L5C270±19,L6C247±26,L7C233±28,L8C231±24であった.脈絡膜厚はCL6以外のすべての領域で有意に減少した.注射前の平均脈絡膜厚(μm)はCC0C227±62,L1C201±31,L2C239±44,L3C215±45,L4C185±46,L5C151±46,L6C132±33,L7C163±44,CL8C199±44で,注射後C1カ月の平均脈絡膜厚(μm)はCC0 230±64,L1C197±33,L2C234±47,L3C214±48,L4C182C±49,L5C145±44,L6C128±32,L7C159±41,L8C193±42であった.C
III 考 按
本研究では,抗CVEGF薬注射後で平均眼軸長と視力に変化は認めなかった.また,視力に関しては改善傾向であったが,変化に有意差はなかった.注射眼における網膜厚は全範囲で有意に減少を認めた.さらに,脈絡膜厚は後極のみ変化がなかったが,後極以外の全範囲で有意に減少を認めた.既報では,疾患によらず注射後の中心窩脈絡膜厚は減少すると報告されている.その変化が血管内腔面積の変化によるものなのか,間質面積の変化によるものなのかについては,疾患によって報告が異なっており,見解が一致していない.加齢黄斑変性においては,抗CVEGF薬注射後に血管管腔面積の減少を認めたと報告されている6).網膜静脈閉塞症においては血管管腔面積には変化がなく,間質面積が減少したと報告されている7).糖尿病黄斑浮腫に対しては,汎網膜光凝固術の有無で結果が異なっており,汎網膜光凝固術後の症例では血管管腔面積に変化がなかったが,汎網膜光凝固術前の症例では血管管腔面積が減少したと報告されている8).いずL2 L4L3 600** 600
*** 600
400 300 400 300
nm nm nm nmnm nm nm nm nm200
200 200 100 100 0
0
0 L2 berore L2 after L3 berore L3 after L1 C0L5****
500 800
400***
**** 400 600 300 300
L4 berore L4 after
400 200 200 200 100 100 0 0 0 L1 berore L1 after C0 berore C0 after C0 berore C0 after L8 L8L6*****500 500*** 500 400 400
400
300 300 300 200
200 200 100 100 100 0 0 0 L8 berore L8 after L7 berore L7 after L6 berore L6 after
図 4 注射眼における網膜厚の変化注射眼における平均網膜厚はすべての範囲で有意に減少を認めた(p<0.01).れの報告も中心窩脈絡膜厚にとどまっており,広域脈絡膜厚における脈絡膜厚の変化についての報告はほとんど存在しない.一般的に,脈絡膜厚は中央よりも周辺,上方よりも下方,耳側よりも鼻側で薄いことがわかっている.周辺部よりも後極が厚いのは,短後毛様体動脈が後極に流れ込んでいるからと考えられている5).脈絡膜のCHaller層には渦静脈がC4本存在しているが,その還流量は耳上側-耳下側-鼻上側-鼻下側の順で多いことが示唆されており,渦静脈の還流量によって脈絡膜厚に違いが出る可能性が指摘されている9).今回の研究では,注射眼において広域脈絡膜厚は後極を除く全範囲で減少したが,血流量の違いや組織学的構造の違いなどから,厚みの変化のしやすさは領域によって異なっていると予想される.脈絡膜厚に影響を与える因子についてはいくつかの報告がなされている.年齢と脈絡膜厚には負の相関があることがわかっており,これは加齢に伴って全身の血管抵抗が増加することで脈絡膜血流も減少し,厚みが減少すると考えられている5).また,眼軸長と脈絡膜厚に関しても負の相関があることがわかっている.とくに鼻下側は発生段階で眼杯が最後にL2L3 L4** 400 400*** 400 300 300 300
nm nm nm nm nm nm nm nm nm 200 200 200 100 100 100 0 0 0 L1C0 L5** ns 400 400 400 L2 berore L2 after L3 berore L3 after L4 berore L4 after 300
300
300 100 100 100 0 0 0 L1 berore L1 after C0 berore C0 after L5 berore L5 after
L8L7 L6 500 400 300****200 200 200
400
300 200 300 200 200 100 100
100 0 0 0
L6 berore L6 after
図 5 注射眼における脈絡膜厚の変化注射眼における平均脈絡膜厚はCC0を除くすべての範囲で有意に減少した(p<0.01).L8 berore L8 after L7 berore L7 after 閉じる部位であるため,組織が脆弱であり,眼軸の伸長とともに菲薄化しやすいと考えられている10).今後は,年齢や眼軸長などの脈絡膜厚に影響を与えうる因子別に解析を行う必要がある.今回,筆者らの研究では,後極の脈絡膜厚は変化しなかったが,後極以外のすべての範囲で脈絡膜厚が減少した.これは既報からは矛盾するように思われる結果であった.後極のみ厚みが変化しなかった理由として,脈絡毛細血管板の血流が関係していることが予想される.動物実験では,カニクイザルに対して抗CVEGF薬を硝子体内に投与すると,脈絡毛細血管板の厚みが減少することが報告されている11).また,加齢黄斑変性の患者に対して長期的に抗CVEGF薬を投与すると,脈絡毛細血管板の血管密度が減少することがわかっている12).しかし,注射後C1カ月では黄斑部の脈絡毛細血管板の血流は再開するとも報告されている13).これら既報を鑑みると,注射の直後は脈絡膜全域で脈絡毛細血管板が閉塞することによって静脈の循環血流が減少し,脈絡膜厚も減少したと考えられる.しかし,注射後C1カ月の時点での後極では脈絡毛細血管板の血流が回復したため,後極部のみで脈絡膜厚が回復し,差が生じなかった可能性が考えられる.また,周辺部脈絡膜厚は後極よりも薄いことや,今回筆者らが設定した解析範囲の面積が周辺部と後極で異なることによって測定誤差が生じた可能性も考えられる.疾患ごとの解析結果が全体の解析結果と異なっていた理由としては,疾患ごとに解析すると母数が少なかったことがあげられる.とくに脈絡膜厚は個人差が大きく,母数が少なかったため,変化を捉えにくかったと考えられる.また,網膜静脈閉塞症に関しては,今回は網膜中心静脈閉塞症と網膜静脈分枝閉塞症が混在していた.これらは血管の閉塞領域が異なるため,注射前後の厚みの変化も異なっていたことが予想される.今後は疾患ごとに母数を増やして解析する必要があると考えられる.今回の研究で,後極部と後極部以外では抗CVEGF薬が与える変化に違いがあることがわかった.今後の研究では,抗VEGF薬が脈絡膜の血流や組織構造にどのような影響を与えるのか,また,疾患,薬剤,年齢,眼軸長ごとの変化など,さらに詳細に解析し,長期的に評価することも重要である.今後は,多施設共同研究や前向きコホート研究を行い,より信頼性の高いデータを収集することが求められる.利益相反・荒木梨沙 なし・富田洋平 カテゴリーF:ロート製薬;カテゴリーP:あり・伴 紀充 カテゴリーCF:ロート製薬,坪田ラボ;カテゴ
リーP:あり・國見洋光 なし
・栗原俊英 カテゴリーCF:ロート製薬,シード,興和,坪田ラボ,レストアビジョン;カテゴリーCI:坪田ラボ,レストアビジョン;カテゴリーP:あり
・篠田 肇 なし
・根岸一乃 カテゴリーCF:ジンズホールディングス,エイエムオージャパン,セルージョン,レストアビジョン,参天製薬;カテゴリーP:あり
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