《原著》あたらしい眼科32(10):1477.1481,2015cEX-PRESSR併用と非併用濾過手術の術後成績輪島良太郎*1新田耕治*1杉山和久*2立花学*1山田美樹*1棚橋俊郎*1*1福井県済生会病院*2金沢大学医薬保健研究域視覚科学(眼科学)PostoperativeOutcomesofFiltrationSurgerywithandwithoutUseofEX-PRESSRFiltrationDeviceRyotaroWajima1),KojiNitta1),KazuhisaSugiyama2),GakuTachibana1),MikiYamada1)andToshiroTanahashi1)1)DepartmentofOphthalmology,Fukui-kenSaiseikaiHospital,2)DepartmentofOphthalmology,KanazawaUniversityGraduateSchoolofMedicalScience目的:EX-PRESSR使用の有無で分けた緑内障濾過手術の術後成績を比較検討する.対象および方法:2012年1月.2014年6月に福井県済生会病院で同一術者が施行した緑内障濾過手術,連続88例110眼を対象とした.EXPRESSR併用濾過手術群(エクスプレス群)と非併用線維柱帯切除術群(レクトミー群)に分けて術前術後の眼圧および術後合併症などについて検討した.結果:術後2週間.術後6カ月までの眼圧に有意差はなかったが,術後1.3日間の平均眼圧はエクスプレス群が有意に低値であった.結論:EX-PRESSRを使用した緑内障濾過手術は,術後極早期から目標眼圧に到達することが多く,合併症の頻度は同等だと考えられる.今後さらに長期の眼圧評価や合併症の検討が必要である.Objective:TocomparethesurgicaloutcomesoffiltrationsurgerywithorwithoutuseofEX-PRESSRfiltrationdevice.SubjectsandMethods:Eighty-eightsubjects(110eyes)whounderwentfiltrationsurgerybythesamesurgeonfromJanuary2012toJune2014weredividedintotwogroups:thosewhounderwentfiltrationsurgerywithuseofEX-PRESSR(Expressgroup)andthosewhounderwenttrabeculectomywithoutuseofEXPRESSR(trabeculectomygroup).Weinvestigatedpreoperativeandpostoperativeintraocularpressureandpostoperativecomplications.Results:Therewasnosignificantdifferenceinintraocularpressurefrom2weeksuntil6monthspostoperatively,butmeanintraocularpressurewassignificantlylowerintheExpressgroupfromdays1-3postoperatively.Conclusion:MoresubjectsachievedthetargetintraocularpressureataveryearlypostoperativestageintheExpressgroup,butthefrequencyofcomplicationswasthesame.Furtherlong-termassessmentofintraocularpressureandinvestigationofpostoperativecomplicationsisrequired.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)32(10):1477.1481,2015〕Keywords:エクスプレスR,濾過手術,合併症.EX-PRESSR,filtrationsurgery,complicationsはじめに視神経乳頭の脆弱性は個々人によって異なり,緑内障治療の目標は,負荷がかからないレベルまで眼圧を下げることにある.緑内障手術は,点眼治療もしくはレーザー治療によっても目標とする眼圧に到達しない患者に行う観血的な処置であり,緑内障手術のゴールドスタンダードは,代謝拮抗薬マイトマイシンCを併用した線維柱帯切除術である.しかし,創傷の治癒機転を阻害し,眼球に瘻孔を作製するため合併症の多い手術である.EX-PRESSRは濾過手術において使用するインプラントの一つで,強膜弁下に穿刺留置することで,前房と眼外の間に房水流出路を作製し,眼圧の下降を可能とするデバイスである1).理論上,房水流出量を一定にコントロールすることができるので,通常のマイトマイシンCを使用した線維柱帯切除術に比べ,術中の前房虚脱が生じにくく,虹彩切除を回避できるので前房出血のリスクを減らすことができる.また,デバイスを用いることで再現性の高い手術になる.一方,術後の管理の必要性は線維柱帯切除術と変わらず,眼内に異物を埋め込むため,新たな合併症やリスクがある.EXPRESSRはステンレスのため磁力の影響を受ける.3テスラ〔別刷請求先〕輪島良太郎:〒918-8503福井市和田中町舟橋7-1福井県済生会病院Reprintrequests:RyotaroWajima,M.D.,DepartmentofOphthalmology,Fukui-kenSaiseikaiHospital,Funabashi7-1,Wadanakamachi,Fukui-shi918-8503,JAPAN0910-1810/15/\100/頁/JCOPY(105)1477までの磁場強度のMRIではデバイスの偏位が生じないとされているが,術直後2週間以内のMRIの撮像は偏位の危険性があるため推奨されていない2,3).わが国では2012年4月より保険適用となり,線維柱帯切除術にかわる手術方法になるか期待されている.今回,福井県済生会病院(以下,当院)におけるEX-PRESSR併用濾過手術の術後6カ月までの術後成績と術後合併症について検討した.また,同時期に当院で行われた非併用線維柱帯切除術との比較検討を行った.I対象および方法2012年1月.2014年6月に当院で同一術者が施行した緑内障手術,EX-PRESSR併用と非併用の連続症例を後ろ向きに検討した.当院では2012年7月からEX-PRESSR使用を開始し,閉塞隅角緑内障,血管新生緑内障の閉塞隅角期,活動性のあるぶどう膜炎による緑内障などの禁忌症例以外には,EXPRESSR併用濾過手術を行うことが多いので,2012年7月以降の線維柱帯切除術の施行数は少なく,2012年以降は当院で行う緑内障手術の大部分はEX-PRESSR併用濾過手術であった.EX-PRESSR併用濾過手術は2%キシロカイン5mlでTenon.下麻酔後,7-0バイクリルで角膜に制御糸を掛け,結膜輪部切開からTenon.の.離を行い,3.5×3.5mmの強膜弁を作製し,0.04%マイトマイシンCを90秒間塗布し,100mlの灌流液で洗浄する.強膜弁は単層で強膜の1/2層程度の厚さにする.その後,25Gポートナイフで強膜弁下のグレーゾーンから前房にプレ穿刺を行い,EX-PRESSRを強膜弁下に固定する.その後,強膜弁を10-0ナイロン糸で房水流出量をコントロールしながら結紮する.まず強膜弁の両角を縫合し,つぎにデバイス側方の強膜弁を輪部と平行になるよう1針ずつかける.それでも過剰濾過であれば,適宜縫合を追加し濾過量を調節する.円蓋部へ後退したTenon.を前転し,Tenon.を結膜の裏打ちとして2重にして10-0ナイロン糸で角膜輪部を2カ所縫合し,さらに前転したTenon.と結膜2層で角膜輪部に水平縫合を加え,角膜輪部でTenon.-結膜を圧着させ濾過胞ができるように閉創する.非併用線維柱帯切除術もEX-PRESSR併用濾過手術と同様に結膜の輪部を切開し,強膜弁を作製し,0.04%マイトマイシンCを90秒間塗布し,100mlの灌流液で洗浄する.つぎにKellyパンチで線維柱帯切除,虹彩剪刀で虹彩切除を行い,房水の流出量を調節しながら10-0ナイロン糸で強膜弁を結紮する.その後はEX-PRESSR併用濾過手術と同様に10-0ナイロン糸でTenon.と結膜2層で濾過胞ができるように輪部結膜を閉創する.1478あたらしい眼科Vol.32,No.10,2015また,EX-PRESSR併用濾過手術と非併用線維柱帯切除術ともに,白内障との同時手術を行うときは,濾過胞を作製する位置を手術の最初に幅6mmでマーキングしておき,後はマーキングした部分にかからないように耳側角膜1面切開を作製し,超音波水晶体乳化吸引術を行って,創口を閉創後,それぞれの緑内障手術を進める.中心静脈閉塞症に続発した血管新生緑内障の1例では硝子体出血を繰り返していたため,25Gカニューラシステムによる硝子体手術により,硝子体出血を除去した後にEX-PRESSR併用濾過手術を行った.EX-PRESSR併用濾過手術群(エクスプレス群)と非併用線維柱帯切除術群(レクトミー群)の2群に分けて術前眼圧,術後1.3日目までの平均眼圧,術後4.7日目までの平均眼圧,術後2週間後の眼圧,術後1.6カ月後の眼圧,また術後6カ月間の合併症の頻度,術後処置の頻度を検討した.浅前房は前房が角膜中央の角膜厚の3倍以下と定義した.また,術前緑内障点眼数(眼圧下降薬を1剤,炭酸脱水酵素阻害薬内服を1剤,配合剤を2剤とカウント),強膜弁の縫合数,レーザー強膜弁縫合切糸(lasersuturelysis:LSL)施行本数,白内障もしくは硝子体手術との同時手術の有無も比較検討した.また,血管新生緑内障の術後前房出血についても2群間で比較検討した.眼圧値については,緑内障点眼薬の有無にかかわらず,術後2週間.6カ月の眼圧が2回連続で5mmHg≦眼圧値≦18mmHgをはずれた場合あるいは観血的濾過胞再建術(blebneedlingを除く)もしくは線維柱帯切除術の再手術が行われた場合をendpointと定義して,死亡した症例を除外した値を採用した.また,Kaplan-Meier生命表解析を用いて両群の眼圧生存率を比較した.眼圧値は眼球マッサージ,LSL,blebneedlingを行った場合は処置前の値を採用した.統計学的な処理については,2群間の比較にはunpairedt-testを用いた.また,眼圧推移に関する検討にはpairedt-testを使用した.眼数の比較検討にはc2検定を使用した.II結果2012年1月.2014年6月に行ったすべての緑内障手術連続88例110眼の内訳は,EX-PRESSR併用濾過手術が75眼,線維柱帯切除術が35眼であった.平均年齢は69.6±13.0歳,男性68例,女性20例,水晶体の状態は有水晶体眼が59眼,眼内レンズ挿入眼が29眼,無水晶体眼が9眼.緑内障病型の内訳は,広義原発開放隅角緑内障56眼,落屑緑内障28眼,血管新生緑内障17眼,ステロイド緑内障3眼,その他の緑内障6眼であった.エクスプレス群,レクトミー群の年齢,眼軸長,屈折度,術前眼圧,患者病型,水晶体の状態,術前点眼数,緑内障手術の既往に両群間で有意差はみられなかった(表1).エクス(106)表1患者背景表2強膜弁の縫合数,LSL施行本数エクスプレス群レクトミー群エクスプレス群レクトミー群n=75n=35p値n=75n=35p値70.1±12.3年齢(歳)(30.92)24.2±1.79眼軸長(mm)(22.0.27.6).1.71±3.19屈折(D)(.11.7.5)29.0±11.1術前眼圧(mmHg)(9.48)66.2±12.9強膜弁の縫合数(本)4.68±1.034.94±0.940.185(41.82)0.133平均±SD(4.9)(3.7)24.3±1.62LSL施行本数(本)1.73±1.692.17±1.380.183(21.8.27.1)0.941.2.35±.3.22平均±SD(0.5)(0.5)(.13.2.75)0.357LSL:lasersuturelysis26.7±7.7(12.47)0.30130病型広義の原発開放隅角362025エクスプレス群n=75レクトミー群n=35緑内障眼圧(mmHg)落屑緑内障199血管新生緑内障125ステロイド緑内障21その他の緑内障600.171水晶体の状態有水晶体眼39242015105眼内レンズ挿入眼3180.179無水晶体眼533.64±1.063.63±0.94術前点眼数(本)(1.5)(1.5)0.957緑内障手術の既往(件)910.114同時手術(件)IOL同時341PPV同時10<0.05術後経過観察期間※p<0.05有意差あり図12群間の眼圧推移屈折値は等価球面屈折度を使用.その他の緑内障:外傷後の緑内障2眼,角膜移植後の緑内障1エクスプレス群6カ月生存率:84.8%眼,色素緑内障1眼角膜内皮炎後の続発緑内障1眼,虹彩炎1後の続発緑内障1眼.0.8レクトミー群6カ月生存率:85.7%Logrankp=0.926エクスプレス群レクトミー群プレス群では有意に白内障との同時手術の頻度が高率であった.また,強膜弁の縫合数,LSL施行本数,白内障や硝子体累積生存率0.60.4手術との同時手術件数を両群間で比較した(表2).0.2術後眼圧は両群とも10.12mmHg程度の眼圧を6カ月間0維持できていた(図1).術後1日.3日目の平均眼圧はエクスプレス群が11.9±5.4mmHg,レクトミー群が17.5±6.5mmHgと有意差がみられた(p<0.001).その他,術後4.7日目以降の観察地点では両群間の眼圧において有意差はみられなかった(図1).Kaplan-Meier生命表解析を用いた眼圧生存率は2群間で有意差はみられなかった.両群間での術後合併症の頻度を表3に示す.浅前房,脈絡膜.離,前房出血の頻度には差がみられなかった.房水漏出に関してはレクトミー群が有意に高率であった.血管新生緑内障のうち,12眼にEX-PRESSR併用濾過手術,5眼に非併用線維柱帯切除術を行ったが,術後前房出血をきたしたのは2群ともに1例のみで有意差はみられなかった(表4).(107)0123456カ月術後経過観察期間図2術式別の累積生存率Endpoint:2回連続で5≦眼圧値≦18mmHgを外れた場合.濾過胞再建術再手術の追加処置が行われた場合.術後合併症に対する術後処置を表5に示す.エクスプレス群の合併症は結膜端々縫合が5例(9%),compressionsutureが2例(4%),directsutureが9例(17%),blebneedlingが4例(8%),浅前房に対する白内障手術が1例(2%)であった.エクスプレス群とレクトミー群の術後処置の比較では各項目において有意差はなかった.あたらしい眼科Vol.32,No.10,20151479表3術後合併症の頻度エクスプレス群レクトミー群n=75n=35p値浅前房11(15%)3(9%)0.542房水漏出7(9%)13(37%)<0.001脈絡膜.離12(16%)2(6%)0.218前房出血11(15%)5(14%)1合併症出現率30(40%)16(46%)0.679表4血管新生緑内障における前房出血の頻度エクスプレス群レクトミー群n=12n=5p値前房出血(血管新生緑内障)1(8.3%)1(20%)0.49III考按本検討では手術後早期,術後1.3日目の平均眼圧については,エクスプレス群が11.9±5.4mmHg,レクトミー群が17.5±6.6mmHgと有意にエクスプレス群の眼圧が低く(p<0.001),より早期から目標眼圧に近づけることが可能であった.Marisら4)はエクスプレス群では術後早期眼圧は有意にエクスプレス群がレクトミー群より高いが,術後3カ月で同等,術後15カ月で両者に有意差はなかったと報告している.Sugiyamaら5)Wagschalら6)も術後12カ月間で両者の眼圧に差はなかったと報告している.deJongら7)は最初の3年間はエクスプレス群のほうがより眼圧を下降させると報告している.現在までのところ,わが国でのEX-PRESSR併用濾過手術と非併用線維柱帯切除術の術後成績の比較はSugiyamaら5),前田ら8),尾崎ら9)によって報告されている.いずれも術後1年以内の成績報告だが,線維柱帯切除術とほぼ同等の眼圧下降効果を示している.筆者らの報告で術後極早期から目標眼圧に到達できていたのは,術後管理をレクトミー群よりさらに綿密に行ったことによると推測される.EX-PRESSR併用濾過手術の術後管理は非併用線維柱帯切除術の場合と基本的に同様であるが,EX-PRESSR併用濾過手術はデバイスからの濾過量が一定なので症例によっては濾過量不足になるケースもあり,術後早期に濾過胞の癒着を起こす危険性があるためLSLは早期に行った.また,濾過量不足を早期にみつけるためには,濾過胞の形状が安定するまで診察回数を非併用線維柱帯切除術の管理の際よりも頻回に行い,適切なLSLのタイミングをみつけるように努力した.本検討は術後6カ月までの比較的短い期間での治療結果であり,エクスプレス群の眼圧推移はレクトミー群と同程度で表5術後処置の頻度エクスプレス群レクトミー群n=75n=35p値結膜端々縫合5(9%)4(11%)0.514角結膜水平縫合02(6%)0.155Compressionsuture2(4%)3(9%)0.309Directsuture9(17%)7(20%)0.464ヒアルロン酸前房注入01(3%)0.397前房洗浄01(3%)0.397Blebneedling4(8%)4(11%)0.397濾過胞再建術01(3%)0.397浅前房に対する1(20%)00.602白内障手術線維柱帯切除術01(3%)0.39710.12mmHgを保てており,眼圧に関しては良好な成績であった.術後合併症に関して,浅前房はデバイスからの房水流出量が一定なので,エクスプレス群はレクトミー群に比べて浅前房の頻度は少なくなると予想されたが,本報告では両群間に差はみられず,他報告でも同様の結果となっている10,11).房水漏出の頻度は本報告では有意にエクスプレス群のほうが低頻度であったが,他報告10,11)では房水漏出は両群間で有意差がないという報告が多い.これは本報告では同一術者が同一手技で行い,線維柱帯切除術では強膜弁をwatertightに縫合するため,結果として術後早期には濾過胞の形成が不良なため,LSL後にマッサージを施行しながら濾過胞を作製していく過程で,結膜縫合創から一時的に漏出している症例がレクトミー群で多く存在した結果ではないかと考えている.脈絡膜.離は本報告で有意差はなかった.他報告5.7)でも有意差はないという報告が多いが,術後早期はエクスプレス群で有意に少ない報告もあった4).遷延する低眼圧と脈絡膜.離には両群ともdirectsutureを行い眼圧の上昇を試みた.Directsuture施行眼に両群間で有意差はなかった.Directsutureで眼圧が上昇しなかったレクトミー群の1例では濾過胞再建術を行い,強膜弁を再縫合して眼圧の上昇を試みた.前房出血は虹彩切除をしない分,エクスプレス群で少ないと予想されたが,本報告では両群間に差はなく,同様に他報告でも両群間に差はみられなかった.本報告では11件の前房出血があったが,すべての症例で数日間のうちに自然吸収された.前房出血が吸収されず前房洗浄を行った症例はエクスプレス群ではみられなかった.本報告では12例の血管新生緑内障に対してEX-PRESSR併用濾過手術を施行したが,虹彩切除をしないので術中の出血は非併用線維柱帯切除術よりも少ないと予想されたが有意差はなかった.筆者らの研究の問題点として,術後6カ月間の短期報告で(108)retrospectiveである点があげられる.また,当院でEXPRESSR併用濾過手術が保険適用となった2012年7月より以前は線維柱帯切除術の症例が多く,以降は非併用線維柱帯切除術の症例が多く,両群間で施行時期に偏りがあり,症例数にも差がみられる.また,EX-PRESSR併用濾過手術では手技上のleaningcurveの問題も考えられ,症例数が増えるとEX-PRESSR併用濾過手術の術後眼圧,および合併症の頻度は変化してくる可能性がある.EX-PRESSR併用濾過手術は非併用線維柱帯切除術と比較して短期眼圧下降効果,合併症の出現頻度は同等である.また,術後極早期の眼圧は有意にエクスプレス群の眼圧が低かった.今後,さらに長期の術後眼圧や術後合併症などの比較検討が必要である.本稿の要旨は第25回日本緑内障学会(2014)にて発表した.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン作成委員会:緑内障診療ガイドライン(第3版)補遺緑内障チューブシャント手術に関するガイドライン.日眼会誌116:388-393,20122)GeffenN,TropeGE,AlasbaliTetal:IstheEx-PRESSglaucomashuntmagneticresonanceimagingsafe?JGlaucoma19:116-118,20103)SeiboldLK,RorrerRA,KahookMY:MRIoftheEx-PRESSstainlesssteelglaucomadrainagedevice.BrJOphthalmol95:251-254,20114)MarisPJJr,IshidaK,NetlandPA:ComparisonoftrabeculectomywithEx-PRESSminiatureglaucomadeviceimplantedunderscleralflap.JGlaucoma16:14-19,20075)SugiyamaT,ShibataM,KojimaSetal:Thefirstreportonintermediate-termoutcomeofEx-PRESSglaucomafiltrationdeviceimplantedunderscleralflapinJapanesepatients.ClinOphthalmol5:1063-1066,20116)WagschalLD,TropeGE,JinapriyaDetal:ProspectiverandomizedstudycomparingEx-PRESStotrabeculectomy:1-yearresults.JGlaucoma,2013Nov16.[Epubaheadofprint]7)deJongL,LafumaA,AguadeASetal:Five-yearextensionofaclinicaltrialcomparingtheEX-PRESSglaucomafiltrationdeviceandtrabeculectomyinprimaryopen-angleglaucoma.ClinOphthalmol5:527-533,20118)前田征宏,近藤奈津,大貫和徳:EX-PRESSTMを用いた濾過手術の術後早期成績Trabeculectomyとの比較.あたらしい眼科29:1563-1567,20129)尾崎弘明,ファン・ジェーン,外尾恒一ほか:Ex-PRESSTM併用濾過手術の術後短期成績.臨眼68:1117-1121,201410)WangW,ZhouM,HuangWetal:Ex-PRESSimplantationversustrabeculectomyinuncontrolledglaucoma:ameta-analysis.PLoSOne8:e63591,201311)ChenG,LiW,JiangFetal:Ex-PRESSimplantationversustrabeculectomyinopen-angleglaucoma:ametaanalysisofrandomizedcontrolledclinicaltrials.PLoSOne9:e86045,2014***(109)あたらしい眼科Vol.32,No.10,20151481