硝子体手術のワンポイントアドバイス●連載180180星状硝子体症を伴う裂孔原性網膜.離(中級編)池田恒彦大阪医科大学眼科●はじめに星状硝子体症(asteroidhyalosis:AH)は,リン脂質,ムコ多糖などの粒子状混濁(asteroidbody:AB)が硝子体腔内に散在し,眼底の視認性が低下する疾患である.AHを有する眼の特徴として,硝子体の液化が少なく後部硝子体.離(posteriorvitreousdetachment:PVD)が生じていない症例が多いことがあげられる.AHを有する眼に裂孔原性網膜.離(rhegmatogenousretinaldetachment:RRD)をきたすことはまれであるが,筆者らは過去にそのような2症例を経験し報告したことがある1).●症例162歳,男性.左眼はAHの混濁を通して,上耳側に網膜格子状変性巣の辺縁が裂けた約3乳頭径大の弁状裂孔を認め,上耳側から黄斑部にかけてRRDをきたしていた(図1a).硝子体手術時の所見として,ABはやや前方に濃縮された状態を呈しており,一見,PVDを生じているようにみえたが,トリアムシノロンアセトニド塗布後に,網膜全面にやや厚みのある硝子体皮質と一部ABが残存している所見が確認された(図1b).ダイアモンドイレイサーを用いて膜状の硝子体皮質を後極から周辺に向かって.離したが,黄斑部を含む網膜全面で癒着が強固で,双手法を必要とした.全周にわたって人工的PVD作成を行い,気圧伸展網膜復位術,眼内光凝固,ガスタンポナーデにて復位を得た.●症例270歳,男性.左眼はAHの混濁を通して上耳側に約3乳頭径大の弁状裂孔を認め,その周囲に赤道部を越えるRRDを認めた(図2a).硝子体手術所見としては,症例1と同様,網膜全面にやや厚みのある硝子体皮質と一部ABが残存している所見が確認された(図2b).人工的PVD作製時に網膜全面で硝子体の癒着がやや強固であったが,症例1のように双手法は必要としなかっ図1症例1の術前眼底写真(a)と術中所見(b)左眼の上耳側に網膜格子状変性巣の辺縁が裂けた約3乳頭径大の弁状裂孔を認め,上耳側から黄斑部にかけてRRDをきたしていた.硝子体手術所見として網膜全面にやや厚みのある硝子体皮質と一部ABが残存している所見が確認された.(文献1より引用)図2症例2の術前眼底写真(a)と術中所見(b)左眼の上耳側に約3乳頭径大の弁状裂孔を認め,その周囲に赤道部を越えるRRDを認めた.硝子体手術所見は症例1と同様であった.(文献1より引用)た.その後,同様の手技で網膜は復位した.●AHを有するRRDの特徴今回の2症例は一見PVDが生じているようにみえたが,比較的厚い膜様の硝子体皮質が網膜全面に付着しており,その癒着が強固であった.通常のRRD,とくに強度近視眼や若年のRRDでもこのような所見は認められるが,通常,赤道部までは比較的容易にPVDが作製できる.本症例はその癒着が後極部から強固で,症例1では双手法による人工的PVD作製を必要とした.また,本症例の硝子体膜は通常のRRDよりもやや厚いように思われ,網膜格子状変性巣の存在する象限以外の部位でも,中間周辺部から周辺側に強固な網膜硝子体癒着がみられた.AHを有するRRD例に対して硝子体手術を施行する場合には,このような解剖学的特徴を十分に理解しておく必要がある.文献1)OkudaY,KakuraiK,SatoTetal:Twocasesofrheg-matogenousretinaldetachmentassociatedwithasteroidhyalosis.CaseRepOphthalmol9:43-48,2018(93)あたらしい眼科Vol.35,No.5,20186570910-1810/18/\100/頁/JCOPY