210.a2受容体作動薬―ブリモニジンプレゼンテーション:相原一四谷しらと眼科コメント:山本哲也岐阜大学大学院医学系研究科眼科学.バックグラウンド交感神経a2受容体作動薬は鎮静鎮痛薬としてのキシラジンが古くから有名であるが,非選択的交感神経作動薬であるエピネフリンが眼圧を下降させることから,選択性のあるa2受容体作動薬であるクロニジンが開発された経緯がある.残念ながらクロニジンは眼圧下降効果はあるものの中枢性のa2受容体刺激による低血圧,傾眠などの副作用が著明であり,眼圧下降薬として開発さHClれなかった.その後,血液脳関門を通過しにくいアプラクロニジンが開発されたが,散瞳,結膜蒼白,眼瞼退縮,口渇感により長期連用できず現在は前眼部のレーザー照射時に一時的に使用されていることはご存じのとおりである.血液脳関門を通過しにくく,副作用の少ない薬剤探索の結果,ブリモニジンが開発され,日本でもようやく海外に遅れること10年,2012年に上市された(図1).1日2回点眼により有意な眼圧下降効果が得られ,基本的に主要な眼圧下降薬と併用効果もあり,全身[クロニジン塩酸塩][アプラクロニジン塩酸塩]HOHHO2CCO2HHOH[ブリモニジン酒石酸塩]分子量:442.22(酒石酸塩),292.13(遊離塩基)図1a2受容体刺激薬ブリモニジン酒石酸塩と類薬の化学構造(61)あたらしい眼科Vol.30,No.10,201314050910-1810/13/\100/頁/JCOPY視野障害進行患者割合0.70.60.50.40.30.20.10.0図2a2作動薬ブリモニジンの眼圧下降以外の神経保護効果の可能性ブリモニジン群がチモロール群より.副作用(アレルギー)で脱落が多い(28.3%vs11.4%)..視野の進行例が有意に少ない(9.1%vs39.2%).初めて大規模スタディにより眼圧下降以外の作用による緑内障神経保護効果を示した報告.(KrupinT,etal:AmJOphthalmol2011)048121620242832経過(月)性の副作用もb遮断薬より少なく使用しやすい薬剤である.興味深いことに古典的a2受容体作動薬のキシラジンと同様に,神経保護効果に対する報告がきわめて多い薬剤であり,培養細胞実験系から動物実験まで幅広く眼圧負荷だけでなく神経細胞死を起こすストレスに対しての保護効果が示唆されている.唯一多施設無作為化並行群間比較試験による眼圧下降以外の神経保護効果を示唆する臨床効果が報告されている薬剤であり(図2)1),眼圧下降効果だけでなく,将来の神経保護薬としての可能性を秘めた薬剤である..新しい治療法ブリモニジンは血液脳関門を通過しにくく,なおかつa2受容体選択性の高い薬剤であり,交感神経シナプス末端および毛様体に存在するa2受容体に結合し刺激する.房水動態ではブリモニジンにより房水産生抑制と主としてぶどう膜強膜路経由の房水流出促進が得られるこ36404448とで眼圧が下降する.a2受容体にはサブタイプがあるが,特にa2A受容体に選択性が高いため全身末梢性a2受容体刺激がきわめて少なく,呼吸器系や循環器系に末梢レベルでの副作用を惹起しない.既存の主要な眼圧下降選択薬であるプロスタグランジン関連薬,交感神経b遮断薬,炭酸脱水酵素阻害薬とは作用点が異なることで併用効果が得られる.眼圧下降は単独ではプロスタグランジン関連薬には劣るが,プロスタグランジン関連薬への追加効果では点眼b遮断薬や炭酸脱水酵素阻害薬と同等の効果が得られる2)..使用方法1日2回点眼を他の薬剤により十分な眼圧下降効果が得られないときに追加処方することが基本である.作用機序から非選択性交感神経作動薬であるピバレフリンとは併用すべきではないが,他の眼圧下降薬とは併用可能である.副作用として中枢神経系に作用した場合,傾表1交感神経a2受容体作動薬ブリモニジン酒石酸塩の特徴製品名アイファガンR(千寿製薬)作用点交感神経a2受容体刺激眼圧下降機序房水産生抑制とぶどう膜強膜路房水流出促進眼圧下降効果b遮断薬,炭酸脱水酵素阻害薬とほぼ同等他の薬剤で十分な眼圧下降効果が得られないときの追加適応併用点眼薬使用方法1日2回点眼慎重投与循環器系のリスクが高い高齢者緑内障,脳血管障害,起立性低血圧の患者禁忌低出生体重児,新生児,乳児,2歳未満の幼児おもな副作用アレルギー性結膜炎,ふらつき,めまい,低血圧1406あたらしい眼科Vol.30,No.10,2013(62)眠,中枢性a2A受容体を介した血圧低下が起こりうる.しかし,基本的には血液脳関門を通過しにくい薬理学的性質をもつが,個人差があることに留意する.また,局所的には長期使用により濾胞性アレルギー性結膜炎が生じやすい.慎重投与は循環器系のリスクが高い高齢者緑内障,脳血管障害,起立性低血圧の患者,また血液脳関門が十分発達していない低出生体重児,新生児,乳児,2歳未満の幼児には禁忌である..本方法の良い点プロスタグランジン関連薬には劣るものの十分な眼圧下降効果が得られ,全身的に副作用が少なく,既存の眼圧下降薬のほとんどと併用効果がある使用しやすい薬剤である.プロスタグランジン関連薬,b遮断薬,炭酸脱水酵素阻害薬についで有用な選択肢が増えたことにより,点眼眼圧下降治療は一層充実したものとなった.特に呼吸器系,循環器系疾患によりb遮断薬が使用できない患者にも,製剤としては塩化ベンザルコニウム非含有であり,それに対してアレルギーが認められる患者にも使用可能である.文献1)KrupinT,LiebmannJM,GreenfieldDSetal:Low-Pres-sureGlaucomaStudyGroup:Arandomizedtrialofbri-monidineversustimololinpreservingvisualfunction:resultsfromtheLow-PressureGlaucomaTreatmentStudy.AmJOphthalmol151:671-681,20112)ChengJW,LiY,WeiRL:Systematicreviewofintraocu-larpressure-loweringeffectsofadjunctivemedicationsaddedtolatanoprost.OphthalmicRes42:99-105,2009.本治療薬に対するコメント.ブリモニジンは昨年日本に導入された新規薬理作用作用である.後者は遅発性(通常2.3カ月以上使用を有する緑内障治療薬であり,良くも悪くもユニーク例)かつ頻度の高いことに留意する必要がある.ブリな薬剤である.眼圧下降効果はb遮断薬と同等あるモニジンの神経保護作用に関して眼圧下降に差のないいはやや弱い程度であり,また1日2回点眼であるこチモロール投与例と比較して視野変化が少なかったととからも第一選択薬としては使用しにくい.また,幼いう報告(図2)が確かにある.しかしながら,当該児には使えない.しかしながら,b遮断薬と比較して論文についてはAJOのEditorial(2011年11月号)全身副作用が軽度である,他剤との併用時にも相性がなどの批判もあり,可能であれば日本人正常眼圧緑内良い,などの使いやすさがある.傾眠とアレルギー性障患者を対象とした追試験が望まれる.結膜炎は処方開始時に伝えておかなければいけない副☆☆☆(63)あたらしい眼科Vol.30,No.10,20131407