監修=大橋裕一連載⑧MyboomMyboom第8回「後藤恭孝」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す連載⑧MyboomMyboom第8回「後藤恭孝」本連載「Myboom」は,リレー形式で,全国の眼科医の臨床やプライベートにおけるこだわりを紹介するコーナーです.その先生の意外な側面を垣間見ることができるかも知れません.目標は,全都道府県の眼科医を紹介形式でつなげる!?です.●は掲載済を示す自己紹介後藤恭孝(ごとう・やすたか)岩手医科大学眼科岩手医科大学眼科学教室に平成10年に入局し,同時に大学院に進学,その後は網膜電気生理で学位取得後,現在までおもに緑内障の臨床や研究を行ってきました.平成19年から2年間,奈良の永田眼科に国内留学し,永田誠先生はじめ,黒田真一郎先生,松村美代先生,今回このmyboomに推薦していただいた木村英也先生といった先生方に,緑内障手術のみならず眼科医としての姿勢を再構築していただきました.大学時代はフェンシング部に所属していたため,医科学生体育大会などとは縁がなく,他の大学の方との交流はほとんどありませんでしたが,永田眼科所属時には,木村先生とビリーズ・ブートキャンプ部を創設し,日々トレーニングに没頭し,留学前から最高15kgの減量にも成功しました.しかしながら,岩手医大に戻った現在は,医局長だからと多忙のせいにしてトレーニングをさぼった結果,当然のごとくリバウンドし見る影もありません….臨床のmyboom大学院卒業後は一貫して緑内障の患者さんを診て来ているので,基本的には緑内障がmyboomですが,あえて言うならば手術が最もmyboomなのかもしれません.もともと手術そのものは治療として最後の手段と思っていて,しないに越したことはないものとらえているので,myboomと表現するのはすこし「ズレ」を感じま(79)0910-1810/12/\100/頁/JCOPY〔写真1〕心の師永田誠先生と(永田眼科にて)すが,逆にそういうものだからこそできるだけ完璧に仕上げたいと思っているのでどうしてもこだわってしまう部分はあるのだと思います.基本的には「眼に逆らわない」「元あった場所に戻す」という理念で手術に向き合っています.とはいえ緑内障手術,特に濾過手術は本来ある状態を破綻させる手術ですので,前述の理念とはまったく正反対のように思えますが,細かな点,たとえばフラップ作製,結膜縫合などは前述の理念が反映される部分のようです.フラップ作製では,フラップを切っていくというより,フラップが.がれたいようにに.がれるのを手助けしてあげる感じでしょうか.逆に気持ちがうわずったままフラップを切っていこうとするとフラップがギザギザになってしまったり,厚さが最初と最後で違ったりしてくるようです.実際はこういう感覚的なものではなくて別の言葉で言えば「強膜の構造に沿ったフラップ作製」ということなのでしょうが….また,結膜縫合では「元あった場所に戻す」ことを念頭に縫合しています.そのことと術後成績の関連性は不あたらしい眼科Vol.29,No.9,20121255明ですが,少なくともそういう理念で縫合すると,どこかの縫合部に無理な力がかかることはなく,縫合部のleakは少なくなるのではないかと信じています.緑内障手術全体でのこだわりは,やはり手術の使い分けでしょうか.永田眼科での研修を経て以前のレクトミー一辺倒からロトミー,隅角癒着解離術といった武器を手に入れたわけで,ゴルフに例えれば,まるで新たなクラブを手に入れ,ドライバー1本で勝負するような状態から脱却したような感じです.これからチューブシャント手術も保険適用となり,さらに新たな武器を手に緑内障と戦っていけることになるわけですが,ロングホールをパターで始めたり,はたまた,グリーン上でドライバーを使うような選択ミスをしないようにするための運用方法を検証していくのが,一番のカギであろうかとは思っています.研究のmyboom国内留学などもありここのところ直接手を出していなかったので,boomと言ってはおこがましい感じはしますが,現在研究のmyboomはERG(網膜電図)を用いた緑内障の機能的と形態的喪失との関連性についてです.大学院時代はFullfieldERGと2世代目くらいの光干渉断層計(OCT)で機能と形態との関連について調べ何とか結果を出しましたが,網膜全体のERGと視神経乳頭周囲の神経線維層の厚さとの関連だったので,ほんとうに関連があると言っていいのか若干疑問にも思って〔写真2〕研究のmyboomいました.その後,緑内障の道に進み,関連病院への出張,国内留学と進むうちにERGから遠ざかってしまい,その疑問は引き出しの奥のほうに追いやられていましたが,留学から帰ってきたところ,岩手医大ではfocalERGが本格運用されており,最近になってGCC(ganglioncellcomplex)が測定できるOCTを使用できることになり,とうとう引き出しの奥底にしまいこんでいた疑問を解決する機会を得ることになりました.とはいえ,あまりにも長くERGから遠ざかってしまったので,研究の立案とデザインには関与しましたが,実動部隊は若い先生に任せている状況です….私生活のmyboom基本的に私生活のmyboomは,子どもと接する時間が少ない分,なるべく話題を共有したいという名目で,息子に関連するものが多いです.今年で12歳になる一人息子ですが,実はバイオリン歴10年であり,そこそこの腕はもっているようです(現在はチャイコフスキーバイオリンコンチェルト第3楽章を練習中).クラシックとはまったく縁のなかった僕も子供の弾く曲だけは聴くようになり,バイオリンに手術に通じるものを感じる今日この頃です.その息子はこのところ「ガンダム」にはまっているようで,ことに「ガンプラ」は,昔は単色でほとんど動きもなかったのですが,最近のものは素組みでほぼ完璧な状態であり,その出来の良さに元々ガンダム世代であった僕も昔の熱い思いがぶり返してきています.最近は,子供と話題を共有するというより僕のほうが話題を提供している感じですが….次回のプレゼンターは静岡県,石川眼科医院の石川浩平先生です.石川先生は大学時代からの非常に親しい友人で,名古屋大学時代はmedicalretinaの最先端を走っていました.かなりのこだわり派ですのでmyboomを2ページで書き切れるかが心配です.注)「Myboom」は和製英語であり,正しくは「Myobsession」と表現します.ただ,国内で広く使われているため,本誌ではこの言葉を採用しています.☆☆☆1256あたらしい眼科Vol.29,No.9,2012(80)