特集●ドライアイの本質に迫る―炎症仮説から涙液安定性仮説へ―あたらしい眼科29(3):291.297,2012特集●ドライアイの本質に迫る―炎症仮説から涙液安定性仮説へ―あたらしい眼科29(3):291.297,2012ドライアイのコア・メカニズム─涙液安定性仮説の考え方─CoreMechanismofDryEye:HypothesisBasedonTearFilmInstability横井則彦*坪田一男**はじめに昨年の12月,今年の1月に,それぞれ,ムチンと水分を分泌するジクアホソルナトリウム,ムチンを産生するレバミピドを含む点眼液が世界に先駆けて日本に処方薬として登場し,ドライアイの臨床・研究領域が活気づいている.振り返れば,ヒアルロン酸ナトリウム点眼液が角結膜治療用点眼剤としてドライアイ治療に使用され始めてから約15年が経過し,ようやく待ちわびた時代の到来である.この間,ドライアイの定義や診断基準が改定され1),結膜弛緩症2),BUT(breakuptime)短縮型ドライアイ3,4),マイボーム腺機能不全5)などのドライアイに関係する疾患の理解も深まってきた.一方,この20年の間に,人々のライフスタイルは大きく変化し,涙液を脅かす環境要因は増加の一途をたどっている.すなわち,ディスプレイを注視する作業が日常化し,オフィス内にはエアコンが完備され,コンタクトレンズ装用者も増加した.しかも,こうしたドライアイの外的要因に,高齢化による眼の加齢性変化,全身疾患や眼疾患,あるいはその治療の涙液への影響といった内的要因が加わって,ドライアイは,今や現代病,国民病の様相を呈し,日常におけるドライアイの重要性はますます増してきている.ドライアイ研究会から出されたドライアイの定義1)(図1)によれば,ドライアイとは,涙液層と表層上皮の緊密な関係が崩れて,慢性的な悪循環(ドライアイのコア・メカニズム)が生じた状態を指し,そこには,さま様々な要因による涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり,眼不快感や視機能異常を伴う図1ドライアイ研究会により提唱された2006年度ドライアイの定義(文献1より)ざまな要因(リスクファクター)が関与している.この日本の定義はDEWS(DryEyeWorkshop)の定義6)の主要部分の直訳であるため,世界共通のドライアイの定義ともいえ,ドライアイの診断・治療を進めるうえで非常に参考になる.ところが,この定義に基づくドライアイのコア・メカニズムの考え方や実際の臨床は,日本と諸外国(特に米国)とで少なからず異なっている.そこで,本稿では,これまで日本で重視されてきたドライアイのコア・メカニズム─涙液安定性仮説─の考え方について述べてみたい.I涙液層の新しい捉え方眼表面の上皮は,フィルム状の涙液層(ティアフィルム)で覆われるが,近年,この涙液層の捉え方が大きく様変わりしている7)(図2).これまで,涙液層は,油層─水層─ムチン層の3層構造とされてきたが,上皮表面を覆う糖衣の層は杯細胞由来の分泌型ムチン(MUC5AC)ではなく,上皮の微絨毛の先端に発現した上皮細胞由来の膜型ムチン(MUC1,4,16)8)を含む層(糖衣の構成要素は膜型ムチンだけではないと考えられる)であると考*NorihikoYokoi:京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学**KazuoTsubota:慶應義塾大学医学部眼科学教室〔別刷請求先〕横井則彦:〒602-0841京都市上京区河原町広小路上ル梶井町465京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学0910-1810/12/\100/頁/JCOPY(3)291……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………..MUC5AC…………………………………………………………….図2角膜上の涙液層(ティアフィルム)の古典的モデル(左)と最新モデル(右)古典的モデルでは,涙液層は,油層─水層─ムチン層の3層構造であり,最新モデルでは,油層─ムチンゲルの2層構造である.大きな違いは,古典的モデルでは,糖衣の層が,結膜杯細胞に由来する分泌型ムチンで構成されるのに対し,最新モデルでは,角膜表層上皮の微絨毛に発現した上皮由来の膜型ムチンを含む層で構成される点である.そのため,最新モデルでは,涙液層と表層上皮の関係はより密接であり,表層上皮の障害は,上皮の水濡れ性低下を介して,涙液層の破壊を生じる原因となりうる(下方枠内).えられるようになった.すなわち,現在,涙液層は,油層と液層の2層からなり,液層はMUC5AC(不溶性のゲル形成ムチン)が,表層に向けて希薄になりながら水分に混じり込み,ゲル構造をとると推定されている.一方,膜型ムチンは,上皮表面を親水性に変え,液層を平坦に広げるべく機能する.そして,油層は,液層の水分の蒸発を抑制しながら,液層の局所的な破壊を抑制する作用(Gibbs-Marangoni効果9,10))を有する.なお,皮脂でいわれているように,涙液の脂質が瞬目時の摩擦の軽減に働く可能性もある.つまり,この新しい涙液層モデルにおいては,涙液層と表層上皮は,これまで考えられてきたよりも緊密な関係にあり,涙液層の異常によるのみならず,上皮表面の異常(膜型ムチンの異常が上皮の水濡れ性の低下をひき起こす)によっても涙液の安定性は低下し11),眼表面に悪循環が生じうる.言い換えれば,この新しい涙液層モデルは,涙液層の安定性の低下が眼表面の悪循環の一つの表現であることを示唆している.II涙液層の安定性維持に働く眼表面の各層の役割と涙液層破壊のメカニズム先に述べたように,油層,液層を構成する水分/分泌型ムチン,表層上皮の膜型ムチンは,いずれも涙液層の安定性維持に重要な役割を演じる.まず,涙液油層は,開瞼後に上方に伸展して液層の厚みを増やす役割をもつ.そして,ひとたび角膜上に涙液層が形成されると,液層の水分の蒸発を抑制して,液層の菲薄化を抑制する.しかし,持続開瞼では,わずかずつでも液層の水分が蒸発するため,局所的な涙液層の菲薄化が生じ始める.このとき,油層は,菲薄化し始めた液層部分に移動(Gibbs-Marangoni効果9))することによって,菲薄化した液層に水分を補い,涙液層の破壊を防ぐ.一方,液層の水分は,その量に依存して涙液層の安定性を高めるとともに,油層に足場を提供して油層の上方伸展を促す.また,液層の中の分泌型ムチンは,その非ニュートン(非Newton)流体特性によって,速い瞬目に対して粘性が大きく下がり,水分の動きに従って移動しうる.そして,開瞼後に涙液層が形成されるとその末端の陰性荷電同士が反発し合って,液層の菲薄化,ひいては涙液層の破壊を防ぐ働きをもつ.この水分の中には,ラクトフェリン,リポカリン,IgA(免疫グロブリンA),上皮成長因子,補体などの蛋白質やリゾチームなどの酵素,ビタミンAなどのさまざまな成分や電解質が含まれており,感染防御や上皮の分化・分裂制御に働く.また,液層中にはSOD(superoxidedismutase)292あたらしい眼科Vol.29,No.3,2012(4)も含まれ,酸化ストレスの防御に働く.一方,膜型ムチンは,上皮細胞表面の水濡れ性を高め,開瞼に伴う角膜表面への水の塗りつけを促進して,涙液破壊に抵抗する.ドライアイのコア・メカニズムの一つの表現ともいえる涙液層の破壊を考える際には,涙液層の形成過程12)(図3)を含めて,涙液層を動的に捉える必要がある.まず,開瞼時に,角膜上皮表面に水分が塗りつけられ,続いて油層がその水分の層の上を上方に伸展してゆく9,12).この油層伸展の際に水分がさらに上方に引き上げられて液層の厚みが増加し,一定の厚みの涙液層が作られる.しかし,この過程が正常に進行しないと涙液層は破壊する.したがって,涙液層の破壊には,少なくとも,異なる3つのメカニズム(図4)が考えられる.すなわち,①上皮表面の水濡れ性が悪く,その表面に弾かれて涙液層の破壊が生じる場合,②上皮にむらなく塗りつけるだけの水分量がない場合,③涙液層は良好に形成されるが,蒸発亢進により涙液層の破壊が生じやすい場合の3つである.①は,いわゆるBUT短縮型ドライアイ,②は,涙液減少型ドライアイの比較的重症例,③は,涙液減少型ドライアイの比較的軽症例あるいは蒸発亢進型ドライアイでみられる涙液破壊に相当すると考え……………………………………………………………………………………………………………………………….(dimple)………………………………図3角膜上の涙液層の形成(文献9より改変)角膜上の涙液層の形成は以下の2ステップで行われる.第1ステップは,上方の涙液メニスカスの吸引圧で引き上げられる水分が角膜表面に塗りつけられるステップである.水分の層の表面に近い部分は,油層の粘性抵抗を受けるために容易には引き上げられず,水分の層に陥凹(dimple:この部の水分が角膜に塗りつけられてゆく)を生じる.第2ステップは,Gibbs-Marangoni効果に基づいて油層の上方伸展が生じる過程であり,その際,水分も引き上げられて,一定の厚みの涙液層が形成される.……………………………………………..図4涙液層の破壊メカニズム涙液層の破壊には,少なくとも3つのメカニズムがある.メカニズム①:角膜表面への水分の塗りつけ過程で角膜表面の水濡れ性が悪い場合にdimpleにおいてひき起こされる水分の層の破壊.メカニズム②:角膜表面に塗りつける水分が足りない場合(涙液層の破壊というよりむしろ角膜上に塗りつけるだけの水分がない場合).メカニズム③:涙液層が形成された後,開瞼維持に伴う水分の蒸発により,涙液層の破壊が生じる場合.………………..(5)あたらしい眼科Vol.29,No.3,2012293図5涙液層の破壊の表現型(図4参照)フルオレセイン染色所見に基づく涙液層の破壊像は,それぞれ,左上(BUT短縮型ドライアイ),右上(重症涙液減少型ドライアイ),左下(軽症の涙液減少型ドライアイ)の3つに大別できる〔右下(軽症の蒸発亢進型ドライアイ)は,開瞼後,涙液層の破壊(角膜の中央寄りやメニスカス近傍が多い)が生じるまでに時間を要する場合で,線状のみならず不整形の破壊もあり,これを角膜下方で線状に破壊が生じる場合(左下)と区別すると破壊の表現型は4つになる〕.られる(図5).IIIコア・メカニズムを含むドライアイの全体像ドライアイのコア・メカニズムとは,何らかの要因(リスクファクター)によって涙液層の安定性が低下するか,上皮の水濡れ性が低下して,涙液層と表層上皮の間に悪循環が形成された状態を意味する.しかし,悪循環の開始時点において,鋭敏な眼表面の知覚神経がそれを感知すると,反射性に涙液が分泌されて涙液量が増加し,涙液層の安定性が増すことで悪循環は解消される.しかし,数多くのリスクファクターが関与したり,一つのリスクファクターの影響が大きいと,悪循環は解消されずドライアイは顕性となる.この意味においてドライアイは単一疾患ではなく多因子疾患といえ,2006年度のドライアイの定義においても,ドライアイの眼表面における悪循環(コア・メカニズム)にはさまざまな要因が関与する(図1)ことが明記されている.IVドライアイのコア・メカニズムに対する日・米の考え方の違いドライアイ治療において,コア・メカニズムに関与する要因をすべて排除したり治療できれば,理想的であるが,実際のところは,それができない要因も多い.したがって,コア・メカニズムをできるだけ効果的に治療することが求められる.ところが,このドライアイのコア・メカニズムの考え方は日本と諸外国(特に米国)で少なからず異なっており,そのために診断・治療で重視294あたらしい眼科Vol.29,No.3,2012(6)図6ドライアイのコア・メカニズムの考え方の違い日本(左)は,ドライアイのコア・メカニズムにおいて,涙液層の安定性の低下を重視するのに対し,諸外国(特に米国,右)では,涙液の浸透圧上昇や炎症を重視して考える.この違いが診断法や治療法の違いを生んでいると考えられる.炎症涙液分泌減少蒸発亢進杯細胞減少涙液層の安定性低下浸透圧上昇炎症悪循環上皮障害悪循環上皮の水濡れ性低下あらゆる涙液異常涙腺障害マイボーム腺障害涙液層の安定性低下上皮障害日本の考え方される内容が異なると考えられる.また,日本で世界に先駆けて,新しいドライアイ治療用点眼剤が利用できるようになったことで,両者の違いはさらに大きくなってゆくと思われる.日本のコア・メカニズムの考え方では,まず,涙液層の安定性の低下があり,それによって上皮に障害がひき起こされ,上皮の水濡れ性が低下して,涙液層の安定性の低下が続くことで,悪循環が形成されると考える(図6).したがって,フルオレセインBUTの低値や結果としての上皮障害といったスリットランプで見える異常の改善が治療目標となる.そして,スリットランプでは見えない炎症(ドライアイは通常,充血などの炎症所見を欠く)は悪循環の結果と考える.もちろん,Sjogren症候群のような重症のドライアイでは,免疫学的炎症が生じて結膜上皮の病的角化がひき起こされる13)など,炎症が上皮を障害することもありうる.しかし,これは,ごく一部と考えている.そして,このメカニズムに基づいて,涙液の安定性向上を図る切り口で治療が行われ,これまで,眼表面の水分量を増やす治療がおもに行われてきたが,現在,新しいドライアイ治療用点眼剤が利用できるようになり,コア・メカニズムをより効果的に治療できるようになってきた.諸外国(特に米国)の考え方一方,米国をはじめとする諸外国では,涙液の浸透圧の上昇14)と炎症15)をコア・メカニズムのなかに積極的に取り入れてドライアイを捉えている6,15).すなわち,涙液分泌減少,蒸発亢進によって,涙液の浸透圧が上昇する結果,炎症が生じて,上皮障害がひき起こされるとともに,涙腺・マイボーム腺・杯細胞といった涙液成分の分泌組織が障害されて,涙液層の安定性の低下がひき起こされるという考え方である(図6).そのため,涙液の浸透圧上昇をドライアイ診断に非常に重視するようになってきており14),炎症を積極的な切り口としてドライアイ治療が行われ,シクロスポリン点眼治療がそのベースラインとなっている15,16).しかし,いずれにしても,ドライアイでは涙液層の安定性が低下しているという点については,日本と諸外国の考え方は一致している.したがって,涙液層の安定性を向上させる点眼剤がドライアイ治療に利用できれば,諸外国においても有用な治療法として活用される可能性があると考えられる.そして,抗炎症治療に,涙液層の安定性を高める治療を組み合わせることで,より効果的なコア・メカニズムの治療が行えると考えられる.(7)あたらしい眼科Vol.29,No.3,2012295治療対象眼局所治療薬作用点油層眼軟膏ある種のOTC薬,*ジクアホソルナトリウム①液層水分ヒアルロン酸ナトリウム(保水)人工涙液(水分補充)ジクアホソルナトリウム(水分分泌促進)①分泌型ムチンジクアホソルナトリウム(ムチン分泌促進)レバミピド(ムチン産生促進・杯細胞増加)①上皮膜型ムチンレバミピド(膜型ムチン発現促進)ジクアホソルナトリウム(膜型ムチン発現促進)②細胞自己血清①,④炎症低力価ステロイド点眼液*レバミピド(抗炎症作用)③Vドライアイのコア・メカニズム(涙液層の安定性の低下)に対する今後の日本の方向―涙液層の層別治療(TFOT)日本では,涙液層の安定性を高めるために必要な成分を補充できる新しい点眼剤が登場し,涙液層(および表層上皮の膜型ムチン)を層別に治療(tearfilmorientedtherapy:TFOT)できる時代がやってきた.このことは,ドライアイのコア・メカニズムを涙液層の安定性低下に求めてきたわれわれには,何の抵抗もなく取り入れられる治療といえるだろうし,これまでの点眼治療でBUTの改善に限界を感じていたわれわれにとって大きな福音となるであろう.今後は,涙液層をさらに詳細に,動的に観察し,その所見に基づいて治療法を選びながら,ドライアイを治療してゆく時代になると思われる.図7には,BUTを延長し上皮障害を改善するとされる血清点眼17)を含めて,現在,日本で用いることのできるコア・メカニズムの眼局所治療薬とその作用点をまとめてみた.おわりに米国における涙液の浸透圧上昇や眼表面炎症を重視するドライアイのコア・メカニズムの考え方と,日本にお296あたらしい眼科Vol.29,No.3,2012③炎症悪循環②上皮の水濡れ性低下①涙液層の安定性低下④上皮障害図7ドライアイのコア・メカニズムに対する涙液層の層別治療(tearfilmorientedtherapy:TFOT)日本では涙液層の構成成分と上皮由来の膜型ムチンを点眼治療で補う新しいドライアイ治療の考え方(TFOT)が登場した.現在のところ,TFOTの作用点として,①涙液の安定性低下,②上皮の水濡れ性低下,③眼表面炎症,④上皮障害をあげることができる.*ジクアホソルナトリウムは,脂質の分泌(マイボーム腺の腺房細胞や導管上皮細胞にP2Y2レセプターが存在18))や水分量の増加で油層の伸展を促すことで,涙液油層機能を高める可能性がある.一方,レバミピドはその抗炎症作用によりドライアイの眼表面炎症を抑える可能性がある19).OTC:overthecounterdrug.ける涙液層安定性低下を重視する考え方の違いの背後には,ドライアイの研究に携わる人の違いも関係しているのではないだろうか.すなわち,日本においては,眼科臨床医がドライアイの眼表面の異常を直接観察して異常を捉え,病態を考えて,治療を選択してきたのに対し,特に米国では,基礎研究者が中心となり,涙液の浸透圧の上昇や炎症などを解析しながらドライアイの本質をつかもうとしてきた経緯がある.つまり,そこには,眼科医以外の研究者が大きく関与するという,米国の研究スタイルが読み取れる.今後,両者の間にはさらなる違いが生じてくる可能性があるが,日本では,新しい点眼剤■用語解説■Gibbs-Marangoni効果:表面分子がその圧勾配に従って移動する現象をいう.涙液層においては,開瞼直後に生じた油層の不均等分布に基づいて表面圧勾配が生じ,油層の上方伸展がひき起こされる.また,涙液層が菲薄化し始めると菲薄化した液層とそれに隣接する液層の表面で油層の分布が不均等になり,油層の移動が生じて,涙液層の菲薄化に抵抗する.非ニュートン(Newton)流体特性:流体に力を加えたとき,その変形の早さによって粘性が変化する特性をいう.速い動きに対して粘性が急激に低下すると摩擦が減少する.ムチンや高濃度のヒアルロン酸にはこの性質がある.(8)が利用できるようになったことでTFOTの効果を実際の目で確かめながら,ドライアイの診断・治療がさらに大きく発展してゆくに違いない.今後の涙液安定性仮説のさらなる展開が,今から楽しみである.文献1)島﨑潤(ドライアイ研究会):2006年ドライアイ診断基準.あたらしい眼科24:181-184,20072)YokoiN,InatomiT,KinoshitaS:Surgeryoftheconjunctiva.DevOphthalmol41:138-158,20083)TodaI,ShimazakiJ,TsubotaK:Dryeyewithonlydecreasedtearbreak-uptimeissometimesassociatedwithallergicconjunctivits.Ophthalmology102:302-309,19954)坪田一男,島﨑潤,渡辺仁,横井則彦:座談会ジクアホソルナトリウムはドライアイ診療を変えたか?FrontiersinDryEye6:100-109,20115)天野史郎,マイボーム腺機能不全ワーキンググループ:マイボーム腺機能不全の定義と診断基準.あたらしい眼科27:627-631,20106)Noauthorslisted:Thedefinitionandclassificationofdryeyedisease:reportoftheDefinitionandClassificationSubcommitteeoftheInternationalDryEyeWorkShop(2007).OculSurf5:75-92,20077)ButovichIA:TheMeibomianpuzzle:combiningpiecestogether.ProgRetinEyeRes28:483-498,20098)GipsonIK:Distributionofmucinsattheocularsurface.ExpEyeRes78:379-388,20049)横井則彦,GeorgievGA:涙液の液層と油層の密接な関係.特集マイボーム腺機能不全の考え方.眼科52:17631770,201010)横井則彦,GeorgievGA:マイボーム腺の臨床的機能評価.特集マイボーム腺研究,臨床の最前線.あたらしい眼科28:1073-1079,201111)YokoiN,SawaH,KinoshitaS:Directobservationoftearfilmstabilityonadamagedcornealepithelium.BrJOphthalmol82:1094-1095,199812)King-SmithPE,FinkBA,HillRMetal:Thethicknessofthetearfilm.CurrEyeRes29:357-368,200413)HiraiN,KawasakiS,TaniokaHetal:PathologicalkeratinisationintheconjunctivalepitheliumofSjogren’ssyndrome.ExpEyeRes82:371-378,200614)LempMA,BronAJ,BaudouinCetal:Tearosmolarityinthediagnosisandmanagementofdryeyedisease.AmJOphthalmol151:792-798,201115)SternME,PflugfelderSC:Inflammationindryeye.OculSurf2:124-130,200416)Noauthorslisted:Managementandtherapyofdryeyedisease:reportoftheManagementandTherapySubcommitteeoftheInternationalDryEyeWorkShop(2007).OculSurf5:163-178,200717)KojimaT,IshidaR,DogruMetal:Theeffectofautologousserumeyedropsinthetreatmentofseveredryeyedisease:aprospectiverandomizedcase-controlstudy.AmJOphthalmol139:242-246,200518)CowlenMS,ZhangVZ,WarnockLetal:LocalizationofocularP2Y2receptorgeneexpressionbyinsituhybridization.ExpEyeRes77:77-84,200319)KohashiM,IshimaruN,ArakakiRetal:EffectivetreatmentwithoraladministrationofrebamipideinamousemodelofSjogren’ssyndrome.Ar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