特集●眼科疾患の疫学あたらしい眼科33(9):1285?1291,2016緑内障の疫学EpidemiologyofGlaucoma藤原康太*はじめに眼科疫学の目標は眼科疾患の予防,視機能の維持,qualityofvision(QOV)の向上である.失明原因を地球規模でみてみると,2010年全年齢層では白内障(38.6%),屈折異常(19.9%),加齢黄斑変性(4.9%),緑内障(4.4%)の順となっている1,2).1990年と比較すると,白内障の割合は減少し,屈折異常は横ばいだが,加齢黄斑変性,緑内障の割合は増加しており,日本を含む先進国の地域においても同様の傾向を認めている.わが国の視覚障害の第1位は緑内障であり,緑内障は加齢とともに有病率が高くなることが報告されている3).緑内障は失明や視覚障害の原因となり,高齢化が進むわが国では今後さらに増加することが懸念されるため,緑内障の有病率,罹患率を疫学研究で検討することが重要である.また,緑内障は遺伝的素因をもつ多因子疾患であると考えられ,その危険因子や防御因子を明らかにすることも必要である.これまでに地域一般住民を対象とした多数の有病率研究が世界のさまざまな地域で行われ,緑内障の危険因子が調査されており,緑内障は人種差,地域差を認めることが示されている.対象とする集団によって人種や生活習慣が異なるため,それぞれの人種におけるpopulation-basedの研究が行われる必要がある.本稿では,これまで報告されてきた緑内障疫学研究の結果に基づいて,緑内障の有病率,罹患率と主な危険因子について述べる.I緑内障の診断緑内障の有病率を検討するうえで,国や地域が異なっていても比較が可能となるような統一された国際基準が必要である.1998年にFosterらがInternationalSocietyofGeographicalandEpidemiologicalOphthalmology(ISGEO)の診断基準を提唱し,現在では疫学的緑内障診断のグローバル・スタンダードとなっている4).これまでにISGEOに準じたpopulation-basedの緑内障研究が多数報告されている.わが国においても多治見スタディ,久米島スタディが実施され,わが国における緑内障疫学研究の基盤となっている.ISGEOの診断基準によると,疫学的な緑内障とは特徴的な構造異常を伴う視神経障害と,それに関連する視野障害によって規定される(表1)4).視神経乳頭の構造的異常である垂直cupto-discratio(C/D比)とこれの左右差の定義は,表1のカテゴリー1では正常人(視野異常のない者)の97.5パーセンタイル値,カテゴリー2では正常人の99.5パーセンタイル値が用いられている.アジア3カ国の正常人の垂直C/D比の97.5パーセンタイル値は,およそ0.7となることが示されており,多治見スタディ,久米島スタディでもこの値が診断基準として用いられている.ISGEOの視野障害の基準は,Humphrey24-2全点閾値検査を用いて緑内障半視野テストが正常範囲外,かつパターン偏差の確率プロット上で<5%が3点以上近接するところとしている.これは1999年にAndersonらが報告した基準(表2)とよく合致する5).緑内障有病率を算出するためには,対象者すべてに視野検査を施行することが望ましい.しかし,ほとんどの研究では,緑内障の視神経乳頭評価や簡易視野検査を行い,そのなかで緑内障疑いとなった者を対象として視野検査を実施することで緑内障の診断を行っている.II原発開放隅角緑内障の有病率と危険因子有病率とは,ある時点でどのぐらいの緑内障患者がいるのかを表すものである.原発開放隅角緑内障(primaryopen-angleglaucoma:POAG)の有病率を算出するために,世界各地でpopulation-basedの研究が行われている.Population-basedの研究は選択バイアスを少なくすることで,信頼性のある有病率を算出できるといった利点がある.さらに,その対象集団が母集団を反映するための十分な受診率(70%以上)を達成している必要もある.近年では複数の研究結果を統合したメタ解析も散見されるようになった.このメタ解析とは,疾患との関連をみた複数の研究結果を再解析し,より精度の高い結果を得るために行われる解析である.POAGの有病率研究を行った世界の50報(受診率70%以上)を統合したメタ解析では,40~80歳の有病率はアフリカ4.20%(95%信頼区間2.08~7.35),ヨーロッパ2.51%(95%信頼区間1.54~3.89),わが国を含むアジア2.31%(95%信頼区間1.44~3.44)となり,黒人で高くなることが示されている6).多治見スタディの3.9%(正常眼圧緑内障3.6%)と比較すると,日本人の有病率も高いことは明らかである.世界的にも緑内障の有病率は年々高くなる傾向にあり,2040年までに世界で1.2億人まで達することが推測されている.危険因子と疾患の関連性はオッズ比で表わされ,これは疫学研究でよく用いられる統計学的指標である.メタ解析からの報告では,POAGの危険因子は加齢(オッズ比1.73,95%信頼区間1.63~1.82),男性(オッズ比1.36,95%信頼区間1.23~1.52),都市(オッズ比1.58,95%信頼区間1.19~2.04)であった.アジア23報のメタ解析(受診率70%以上,ISGEOに準じた診断基準)では加齢(オッズ比1.20,95%信頼区間1.39~1.63),男性(オッズ比1.37,95%信頼区間1.17~1.59),都市(オッズ比2.11,95%信頼区間1.57~2.38)が危険因子となり,同様な結果が得られている7).POAGは人種差があるが,居住地でも有意差を認めることから,遺伝的なものだけでなく環境要因の影響も受けることが示唆される.また,この他の危険因子として明らかとなっているのは,眼圧上昇,近視,家族歴などである(表38?31),432?47)).このように,新たな危険因子,防御因子を解明し,多数の疫学データを蓄積することが,病因や病態解明には重要である.III原発閉塞隅角緑内障の有病率と危険因子原発閉塞隅角緑内障(primaryangle-closureglaucoma:PACG)の疫学的診断は,ISGEOの緑内障診断基準に加え,隅角の閉塞所見を伴うことで診断される.PACGの有病率研究50報(受診率70%以上)を統合したメタ解析では,40~80歳の有病率はアフリカでは0.60(95%信頼区間0.16~1.48),ヨーロッパ0.42%(95%信頼区間0.13~0.98),わが国を含むアジア1.09%(95%信頼区間0.43~2.32)となっている.これは,アジアは世界的にみてもPACGの有病率が高いことを示している6).アジアにおいてはPACGの有病率が高く,症例数も多くなることからPACGの危険因子を調査した研究報告が散見される.しかし,ほとんどの研究ではPACGのみではなく原発閉塞隅角症(primaryangle-closure:PAC)を含めて検討しており,PACGのみの危険因子の報告は稀有である.アジア23報のメタ解析(受診率70%以上,ISGEOに準じた診断基準)では,PACGの危険因子(PACを含む)として加齢(オッズ比2.18,95%信頼区間1.89~2.54)と女性であることが報告され,POAGとは危険因子が異なることが示されている7).さらに地域別では,わが国を含む東アジアにおいて有意にオッズ比が上昇することが明らかとなっている(オッズ比5.55,95%信頼区間1.52~14.73).わが国においても多治見スタディでは0.63%(95%信頼区間0.35~0.91),久米島スタディでは2.18%(95%信頼区間1.76~2.70)と有病率が異なり,同一国内においても地域差があることが確認されている16,17).IV緑内障の罹患率一定期間に緑内障がどの程度発症するかを表したものが累積罹患率である.横断研究では危険因子との因果関係を述べることが困難となる場合もある.そのため,眼科的因子や全身因子と緑内障との関連を明らかにするためには追跡研究が有用であり,それにより明確に因果関係を述べることが可能となる.しかし,対象者を長年にわたり追跡することは容易ではなく,コホート(一定期間,追跡される対象集団)として追跡するためのシステムを構築することが必須である.緑内障の発症率は多数の疫学研究で検討されているが,ISGEOの基準に沿って診断されているものはほとんどない.そのなかでISGEOに準拠し,40歳以上を対象にしたインドでのPOAGの6年累積罹患率は2.9%(95%信頼区間2.4~3.4)であることが示されている48).また,この研究におけるPOAGの危険因子は,加齢(オッズ比2.3,95%信頼区間1.4~3.7),眼圧上昇(オッズ比2.0,95%信頼区間1.5~2.6),眼軸長(オッズ比1.5,95%信頼区間1.0~2.2),近視(オッズ比1.7,95%信頼区間1.1~2.5),高血圧(オッズ比0.6,95%信頼区間0.4~0.9)であった.アジア以外での追跡研究(表549?52)と比較すると,加齢や眼圧上昇の報告はあるが,その他に関しての結果は一致していない.このように罹患率の報告は多くなく,わが国においてもISGEOの診断基準に沿った追跡研究の報告はない.他地域のデータを参考にすることはできるが,人種や環境が異なるため参考に留めるべきである.日本人の罹患率とその危険因子や防御因子を明らかにする必要がある.V久山町の緑内障関連の疫学研究1998年より九州大学大学院医学研究院眼科学教室は久山町研究に携わり,40歳以上の地域一般住民を対象とした眼科疾患の疫学調査に参加している.10年以上にわたり健診を継続させることで,population-basedの追跡データを収集し,眼科疾患の有病率や罹患率,さらには詳細な全身状態の情報と眼科疾患との関連を検討し,報告されたデータから住民の健康増進や眼科疾患の病態把握に貢献している.検診内容は眼底写真による緑内障や網膜症のスクリーニングとともに,眼圧測定を毎年実施している.さらに5年ごとの一斉検診では細隙灯検査も併せて行っている.これまでに,落屑緑内障と密接に関係する偽落屑症候群の有病率は3.4%であることを報告し,その危険因子が加齢と高血圧であることを報告している53).今後はISGEOの診断基準に基づいた緑内障の診断を行い,population-basedの追跡データを使用し,緑内障についても継続した追跡研究を行う予定である.VI全身因子と眼圧緑内障の追跡研究でも明らかとなっているように,眼圧上昇は緑内障発症の危険因子であり,また緑内障進行の危険因子でもある.緑内障診療においても,眼圧は重要な治療パラメーターの一つである.しかしながら,人種や地域,測定方法が異なる疫学研究の報告では研究間での眼圧値にばらつきを認め,さらに日内変動や日間変動,眼圧測定機器の影響も受けるので,研究間で眼圧値自体を比較することは困難である.眼圧は加齢の影響を受けることが知られており,眼圧の経年的変化を調査したBeijingEyeStudyでは加齢とともに眼圧は下がることを報告しているが,研究間で結果が異なるため見解は一致していない.多治見スタディでは眼圧と関連する因子として,年齢,bodymassindex(BMI),平均血圧,糖尿病の既往,屈折,角膜厚,等価球面値を報告し,久米島スタディでは年齢,BMI,収縮期血圧,糖尿病の既往,等価球面値,角膜厚,眼軸を報告している.このように,眼圧は主として眼科的要因の影響を受けるが,高血圧,糖尿病,脂質異常症,肥満などの心血管病のリスクファクターとも関連することも示されており,眼科的要因のみならず全身状態の影響も受けると考えられる54,55).さらに緑内障は正常な眼に比べ,全身因子の影響を受けやすいことも報告されている.肥満,高血圧,糖尿病,脂質異常などの病態でインスリン抵抗性が増大することが確認されているが,インスリン抵抗性と眼圧との関連を検討した報告は少ない.インスリン抵抗性は糖代謝におけるインスリンの作用不全を示した概念であり,内臓脂肪蓄積による肥満や2型糖尿病の成因と密接に関係している.また,インスリン抵抗性の増大は高インスリン血症をきたし,血管内皮障害を引き起こすことで動脈硬化の原因ともなる.2007年の久山町研究では,インスリン抵抗性と眼圧との関連を検討している.眼圧と関連する因子である年齢,性別,収縮期血圧,糖尿病,総コレステロール,HDLコレステロール,BMI,腹部肥満,喫煙習慣,飲酒習慣,運動習慣の影響を調整した多変量解析の結果,インスリン抵抗性の代用指標であるHOMA-IR(homeostasismodelassessmentofinsulinresistance)の増大は眼圧上昇と有意な関連があることを認めた56).このことから,インスリン抵抗性はこれらの因子とは独立した眼圧上昇の危険因子であることが明らかとなった.インスリン抵抗性が緑内障の危険因子となるかは定かではないが,今後の研究に期待される.VII今後世界的にみても緑内障は失明や視覚障害の主要な原因であり,わが国においても同様である.正常眼圧緑内障や閉塞隅角緑内障が多いとされる日本人を対象とした疫学研究や,緑内障の追跡研究が今後さらに必要とされるだろう.文献1)BourneRR,JonasJB,FlaxmanSRetal:Prevalenceandcausesofvisionlossinhigh-incomecountriesandinEasternandCentralEurope:1990-2010.BrJOphthalmol98:619-628,20142)JonasJB,GeorgeR,AsokanRetal:PrevalenceandcausesofvisionlossinCentralandSouthAsia:1990-2010.BrJOphthalmol98:592-598,20143)IwaseA,SuzukiY,AraieMetal:TajimiStudyGroup,JapanGlaucomaSociety.TheprevalenceofprimaryopenangleglaucomainJapanese:theTajimiStudy.Ophthalmology111:1641-1648,20044)FosterPJ,BuhrmannR,QuigleyHAetal:Thedefinitionandclassificationofglaucomainprevalencesurveys.BrJOphthalmol86:238-242,20025)AndersonDR,PatellaVM:AutomatedStaticPerimetry.2nded.St.Louis,Mosby,p121-190,19996)ThamYC,LiX,WongTYetal:Globalprevalenceofglaucomaandprojectionsofglaucomaburdenthrough2040:asystematicreviewandmeta-analysis.Ophthalmology121:2081-2090,20147)ChanEW,LiX,ThamYCetal:GlaucomainAsia:regionalprevalencevariationsandfutureprojections.BrJOphthalmol100:78-85,20168)HeM,FosterPJ,GeJetal:PrevalenceandclinicalcharacteristicsofglaucomainadultChinese:apopulationbasedstudyinLiwanDistrict,Guangzhou.InvestOphthalmolVisSci47:2782-2788,20069)LiangYB,FriedmanDS,ZhouQetal:PrevalenceofprimaryopenangleglaucomainaruraladultChinesepopulation:theHandaneyestudy.InvestOphthalmolVisSci52:8250-8257,201110)QuW,LiY,SongWetal:Prevalenceandriskfactorsforangle-closurediseaseinaruralNortheastChinapopulation:apopulation-basedsurveyinBinCounty,Harbin.ActaOphthalmol89:e515-e520,201111)SongW,ShanL,ChengFetal:Prevalenceofglaucomainaruralnorthernchinaadultpopulation:apopulationbasedsurveyinkailucounty,innermongolia.Ophthalmology118:1982-1988.201112)SunJ,ZhouX,KangYetal:Prevalenceandriskfactorsforprimaryopen-angleglaucomainaruralnortheastChinapopulation:apopulation-basedsurveyinBinCounty,Harbin.Eye(Lond)26:283-291,201213)WangYX,XuL,YangHetal:PrevalenceofglaucomainNorthChina:theBeijingEyeStudy.AmJOphthalmol150:917-924,201014)ZhongH,LiJ,LiCetal:TheprevalenceofglaucomainadultruralChinesepopulationsoftheBainationalityinDali:theYunnanMinorityEyeStudy.InvestOphthalmolVisSci53:3221-3225,201215)HeJ,ZouH,LeeRKetal:Prevalenceandriskfactorsofprimaryopen-angleglaucomainacityofEasternChina:apopulationbasedstudyinPudongNewDistrict,Shanghai.BMCOphthalmology15:134,201516)YamamotoT,IwaseA,AraieMetal:TajimiStudyGroup,JapanGlaucomaSociety.TheTajimiStudyreport2:prevalenceofprimaryangleclosureandsecondaryglaucomainaJapanesepopulation.Ophthalmology112:1661-1669,200517)SawaguchiS,SakaiH,IwaseAetal:Prevalenceofprimaryangleclosureandprimaryangle-closureglaucomainasouthwesternruralpopulationofJapan:theKumejimaStudy.Ophthalmology119:1134-1142,201218)YamamotoS,SawaguchiS,IwaseAetal:Primaryopenangleglaucomainapopulationassociatedwithhighprevalenceofprimaryangle-closureglaucoma:theKumejimaStudy.Ophthalmology121:1558-1565,201419)KimCS,SeongGJ,LeeNHetal:Prevalenceofprimaryopen-angleglaucomaincentralSouthKoreatheNamilstudy.Ophthalmology118:1024-1030,201120)GarudadriC,SenthilS,KhannaRCetal:PrevalenceandriskfactorsforprimaryglaucomasinadulturbanandruralpopulationsintheAndhraPradeshEyeDiseaseStudy.Ophthalmology117:1352-1359,201021)VijayaL,GeorgeR,BaskaranMetal:Prevalenceofprimaryopen-angleglaucomainanurbansouthIndianpopulationandcomparisonwitharuralpopulation.TheChennaiGlaucomaStudy.Ophthalmology115:648?654,e1,200822)RaychaudhuriA,LahiriSK,BandyopadhyayMetal:ApopulationbasedsurveyoftheprevalenceandtypesofglaucomainruralWestBengal:theWestBengalGlaucomaStudy.BrJOphthalmol89:1559-1564,200523)ThapaSS,PaudyalI,KhanalSetal:Apopulation-basedsurveyoftheprevalenceandtypesofglaucomainNepal:theBhaktapurGlaucomaStudy.Ophthalmology119:759-764,201224)PakravanM,YazdaniS,JavadiMAetal:ApopulationbasedsurveyoftheprevalenceandtypesofglaucomaincentralIran:theYazdeyestudy.Ophthalmology120:1977-1984,201325)SiaDI,EdussuriyaK,SennanayakeSetal:Prevalenceofandriskfactorsforprimaryopen-angleglaucomaincentralSriLanka:theKandyeyestudy.OphthalmicEpidemiol17:211-216,201026)FosterPJ,OenFT,MachinDetal:TheprevalenceofglaucomainChineseresidentsofSingapore:across-sectionalpopulationsurveyoftheTanjongPagardistrict.ArchOphthalmol118:1105-1111,200027)NarayanaswamyA,BaskaranM,ZhengYetal:TheprevalenceandtypesofglaucomainanurbanIndianpopulation:theSingaporeIndianEyeStudy.InvestOphthalmolVisSci54:4621-4627,201328)ShenSY,WongTY,FosterPJetal:Theprevalenceandtypesofglaucomainmalaypeople:theSingaporeMalayey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40歳?97.22.61.0加齢YunnanMinorityEyeStudy14)中国2,13350歳?77.81.00.9PudongStudy15)中国2,52850歳?80.42.9加齢,家族歴,近視,眼圧↑TajimiStudy3,16)日本3,02140歳?78.13.90.6加齢,眼圧↑,近視KumejimaStudy17,18)日本3,76240歳?81.24.02.2加齢,男性,眼圧↑,角膜厚↓,眼軸長↑NamilStudy19)韓国1,53240歳?79.53.60.7加齢,眼圧↑,甲状腺疾患の既往AndhaPradeshEyeDiseaseStudy20)インド3,72440歳?88.02.20.9加齢,眼圧↑ChennaiGlaucomaStudy21)インド3,85040歳?80.23.50.9加齢,眼圧↑WestBengalGlaucomaStudy22)インド1,32450歳?83.13.00.2BhaktapurGlaucomaStudy23)ネパール4,00340歳?83.41.30.4YazdEyeStudy24)イラン2,09840?80歳90.43.20.4KandyEyeStudy25)スリランカ1,37540歳?79.92.30.6加齢,眼圧↑,眼軸長↑TanjongPagarStudy26)シンガポール1,23240?79歳71.81.71.1SingaporeIndianEyeStudy27)シンガポール3,40040?80歳75.61.40.2SingaporeMalayEyeStudy28)シンガポール3,28040?80歳78.73.20.2近視,眼軸長↑,拡張期血圧↓,平均眼還流圧↓,拡張期眼還流圧↓SingaporeChineseEyeStudy29)シンガポール3,35340歳?72.81.71.5加齢,男性,眼圧↑MeiktilaEyeStudy30)ミャンマー2,07640歳?83.72.02.5加齢,眼圧↑,近視RomKlaoStudy31)タイ79050歳?88.72.30.9表4アジア以外の緑内障有病率研究研究名報告年国人数年齢受診率有病率(POAGorOAG)有病率(PACG)診断危険因子(POAG)BaltimoreEyeStudy32)1991米国5,30840歳?79.21.1ProyectoVER33)2001米国4,77440歳?72.02.00.1ISGEOLosAngelesLatinoEyeStudy34)2004米国6,35740歳?82.04.7加齢,糖尿病,糖尿病罹病期間,眼圧↑,中心角膜厚↓収縮期眼還流圧↓,拡張期眼還流圧↓,平均眼還流圧↓,拡張期血圧↓,収縮期血圧↑,平均血圧↑BeaverDamEyeStudy35)1992米国4,92640歳?2.1加齢,older-onsetの糖尿病CountyRoscommonStudy36)1993アイルランド2,18650歳?99.51.9RotterdamStudy37)1994オランダ3,06255歳?1.1Egna-NeumarktStudy38)1998イタリア5,81640歳?73.92.00.6拡張期眼還流圧↓ReykjavikEyeStydy39)2003アイスランド1,04550歳?75.84.0PiraquaraStudy40)2007ブラジル1,63640歳?76.52.40.7ISGEOBlueMountainsEyeStudy41)1996オーストラリア3,65449歳?82.43.0加齢,女性,近視,高血圧,甲状腺疾患MelbourneVisualImpairmentProject42)1998オーストラリア3,27140歳?83.01.70.1TemaEyeSurvey43)2013アフリカ5,60340歳?82.36.8ISGEOKongwaStudy44)2000アフリカ3,26840歳?89.23.10.6GlaucomainZulus45)2002アフリカ1,00540歳?90.12.70.5ISGEOTembaGlaucomaStudy46)2003アフリカ83940?79歳74.93.7ISGEOBarbadosEyeStudies47)1994バルバドス4,70940?84歳83.57.0ISGEO加齢,男性,眼圧↑,白内障手術の既往,BMI↓(45)あたらしい眼科Vol.33,No.9,201612871288あたらしい眼科Vol.33,No.9,2016(46)表5緑内障の追跡研究研究名報告年国追跡期間対象者年齢罹患率危険因子LosAngelesLatinoEyeStudy49)2012米国43,93940歳?2.3加齢,眼圧↑,眼軸長↑,角膜厚↓,ウエストヒップ比↑,保険未加入Rotterdamstudy50)2005オランダ平均6.53,84255歳?0.6加齢,Ca拮抗薬2012平均9.73,50255歳?2.6マグネシウム↑,女性の非肥満VisualImpairmentProject51)2002オーストラリア52,44840歳?0.5加齢BarbadosEyeStudies52)2007バルバドス43,42740歳?2.2眼還流圧↓93,22240歳?4.4眼圧↑ChennaiEyeDiseaseIncidenceStudy48)2014インド64,42140歳?2.9加齢,眼圧↑,眼軸長↑,近視,都市(47)あたらしい眼科Vol.33,No.9,201612891290あたらしい眼科Vol.33,No.9,2016(48)(49)あたらしい眼科Vol.33,No.9,20161291