———————————————————————-Page1あたらしい眼科Vol.25,No.1,2008690910-1810/08/\100/頁/JCLSおそらく多忙な毎日を過ごしているのは,どの教室の研修医も同じでしょう.ここでは割愛させていただきます.4人の同期,一人主治医制そしてそれぞれの専門を目指してわれわれの学年は4人入局しました.皆,山形大学出身の同期生です.卒業後,私は初期研修を近くの市中病院で行い,内科系プログラムに参加しました.他の3人は,当大学の初期研修プログラムに入り,最後の選択科目で眼科を専攻していました.選択科目として眼科を選ぶと,2カ月間は大学での研修,6カ月間は近くの関連(69)臨床研修医制度が始まって2年のブランクがあった後,山形大学では4人の後期研修医が入局しました.今年新たに2人が加わり,現在6人の後期研修医が所属しています.山下英俊教授をはじめ医局の先輩の先生からの指導を受け,日々たくましく成長しているつもりです.当教室の後期研修医プログラムの特徴は,なんといっても朝の勉強会,それぞれがそれぞれの研修を行っているということでしょうか.当教室の研修を紹介しながら,私の眼科に入局してからの2年を振り返ってみたいと思います.勉強会研修医の朝は,午前7時30分,勉強会から始まります.曜日ごとにテーマが決まっています.月曜日は,“Adler’sphysiologyoftheeye”の輪読会.隔週で行っているため進みはゆっくりですが,この2年間休まず行い,TheCorneaandtheSclera,TheRetinalPigmentEpithelium,TheVitreousを読破しました.現在Aque-ousHumorHydrodynamicsを勉強中です(写真).火曜日は,JournalClub.論文の抄読会です.一人では英語論文を読むのを億劫がってしまうのですが,持ち回りで読むため容易に知識をuptodateできます.山下教授の解説付きなので,データの読み方,良い論文悪い論文の見分け方など,論文選びのポイントも勉強になります.水曜日は,医局会が同時刻にあるためお休みです…早く来るのに変わりはありません.木曜および金曜日は,レジデントクリニカルクラークシップ.山下教授と研修医との勉強会です.昨年(2006年)までは,日常の診療業務のなかで疑問に思った点を教授に質問したり,眼底写真をpickupしてその所見を読み,病態を考えたりしていました.医局で行っている症例検討会は流れるように進んでしまい,チンプンカンプンでしたが,この勉強会で読影力を身につけることができました.今年か後期臨床研修医日●シリーズ③教▲Adler?s勉強会で(中央が筆者)———————————————————————-Page270あたらしい眼科Vol.25,No.1,2008(70)われわれ4人は“眼科”を学びたくて入局したのですが,面白いことに皆興味のある分野が異なっていました.山下教授はそれを後押ししてくださり,それぞれの分野における日本のスペシャリストの下で勉強するチャンスを提供してくださっています.私は,斜視・弱視を学ぶべく浜松医科大学の佐藤美保先生のもとへ2回ほど見学に行かせていただきました.同じく,同期の田邊智子先生は眼感染症を学びに愛媛大学へ,田邊祐資先生は緑内障および神経眼科を学びに大阪赤十字病院の柏井聡先生の下に見学に行っています.中野早紀子先生は網膜硝子体を当教室の山下教授や山本禎子准教授のもとで学んでいます.そして,そこで得た知識を還元できるように大学ではそれぞれの専門外来のお手伝いもしています.さらに,AAOやARVOなど海外の学会に積極的に参加させてもらっています.“若いうちに世界をみる”ことで,目標を高くもつことがコンセプトのようです.おわりに先日,初雪が降りました.山形の厳しい冬の到来です.しかし,われわれは雪にも負けず,寒さにも負けず眼科のスペシャリストを目指して日々頑張ります!!病院での研修を行い,計8カ月間学ぶこととなります.私は初期研修プログラムが4月まで続いたため,皆より1カ月遅れで入局しました.入局して驚いたのが,他の3人とのギャップです.手技も知識もすべて大きく出遅れていました.先輩の先生は数カ月もすれば変わらなくなるよと言ってくださるのですが,不安と焦りがいつもありました.その5カ月後,ようやく仕事に慣れ眼底が見えるようになってきたとき,突然“一人主治医制”の宣告を受けたのです.非常にショックでした.オーベンの先生の足手まといからようやく“使える”研修医になったころであり,これからさらに多くのことを教えていただきたいと思っていたころだったのですが….けれども山下教授は,いつでも研修医が相談できるように毎日コンサルトの時間をつくってくださいました.病棟では先輩の先生方が手助けしてくださり,なんとか治療時期を逸せずに診ることができています.それ以上に,患者さんに対する責任感がでてきました.一つの疾患をじっくり診ることにより,より深く学ぶことができています.オーベンとネーベンの一対一の関係のときは,直属の先生の考え方がすべてのように感じていたのですが,いろんな先生の意見を知ることができて考え方に広がりがでました.気づけば他の3人とのギャップも感じなくなりました.確かに,最初の数カ月の遅れはそれほど大きなものではなかったようです.もちろん,まだまだ知識にむらがあり,憶えることは膨大にあります.これからも,先輩の先生からたくさん学んでいきたいと思います.プロール羽根田思(はねだしおん)平成16年山形大学医学部卒業.山形県立中央病院にて初期臨床研修,平成18年5月より山形大学医学部眼科学教室後期研修医.教授からのッセージ教育のしみ初期臨床研修制度が始まり,眼科の医局に入局して専門の勉強を開始するという今の制度は平成16年度から始まりましたが,新制度での一期生が羽根田先生たちの世代です.われわれ卒業直後に眼科に入局した医局員と比較して,いろいろな診療科を回ってきたたくましさを羽根田先生たちには感じます.このような優秀な医局員を教育する醍醐味を味わえるのは大学に奉職するものの特権です.羽根田先生たちを迎えて自らの手で教育しようと考え,時間の合わせやすい朝,7時30分からの約1時間を教育に専念する時間としてきました.そのなかで私が伝え続けているのが“自分の頭で考えて理解しながら進歩する眼科医”ということです.私自身のもつ知識量は大したことはなく,あらゆる分野を教える能力はありません.勉強会と称して私も学びながら研修医を教えています.だから,知識を教えているのでなく,考え方を教えているつもりです.たとえば,ジャーナルクラブでは論文を批判的に読む癖を獲得することであり,これが羽根田先生に伝わっていたことがわかり喜ばしかった次第です.自分で考える眼科医をわれわれの教室から生み出していくという私の目的は達成されつつあるのがとても幸せな気分です.山形大学医学部眼科・教授山下英俊