富山大学医学部眼科学講座宮腰晃央中村友子藤田和也矢合隆昭矢合都子尾崎弘典富山大学眼科学講座では,現在,6名の後期研修医が大学あるいは関連病院で勤務しています.富山県と新潟県に関連病院があり,出張も大変です.毎日多忙ながらも充実した日々を送っている研修医が,大学および関連病院の日常について紹介させていただきます外来編後期研修医の外来の仕事はいろいろで,予診,検査,処置はもちろん,専門をもつようになると,専門外来を行います.眼科医不足は地方でやはり厳しく,後期研修医といいながら幅広く業務を担当しています.しかし,そのような重要な役割を与えられる分,自分が頑張らざるを得ないため,みんなよく勉強します.また,「一流の場所で学んできなさい」との林篤志教授のコンセプトのもと,有名施設で勉強するチャンスが与えられるため(外部研修編参照),それぞれ自分の専門外来を充実させようと日々精進しています.沢山の患者さんに受診していただいており,外来はほぼノンストップ,気がつけば夕方,という感じです.水分と糖分を補給するため,紅茶花伝を飲みながら外来日を乗りきります.(中村友子)病棟編毎朝8時頃,入院患者さんの診察を行います.術後所見をしっかりとりながら,患者さんの疑問や不安にも丁寧に応対できるように心がけています.教授回診では上級医の先生方がそろって診察画面が映し出されるモニターを注視されています.術後の状態,今後の治療方針についてアドバイスを受けます.入院日には書類の記入,検査,診察,手術の説明と忙しいですが,夜遅くならないように気をつけています.やりがいがあると感じるのは,「朝早くから夜遅くまで働いて大変だね」とねぎらいの言葉をかけられたり,手術後に「見えるようになった」と患者さんが笑顔で退院されていくときです.眼科は入院,退院が目まぐるしい科であり,入院日には病床数の調整に苦労される姿も目にします.日中は外来や手術で応対ができないことも多いので,病棟看護師さんとのふれ合いも大事だと思います.(尾崎弘典)手術室編当院の手術日は月曜と木曜です.眼科専用の手術室があたらしくできて,そこには手術部屋が2部屋あります.もともとの全科用手術室もあり,そこでは全身麻酔が必要な症例を中心に手術が行われています.手術開始は朝8時30分からです.手術日の朝は8時から医局会や抄読会があるので終わったらダッシュで手術室に向かいます.このときだいたい私たちがその日使用する眼内レンズを手術室に運ぶのですが,うっかり忘れてしまって手術室でパニックになることもしばしば….手術はお(77)あたらしい眼科Vol.30,No.10,201314210910-1810/13/\100/頁/JCOPYもに硝子体手術・緑内障手術・白内障手術・外来手術が行われます.ルセンティスRやアイリーアRといった硝子体内注射はおもに手術日ではなく火曜と水曜に行っています.私たちも白内障手術をさせていただいています.上級医の先生に助手についていただき,指導してもらいながら日々研鑽の毎日です.1日の手術はだいたい夕方には終了します.緊急手術が入れば夜遅くなることもあります.大変なときもありますが毎日楽しく頑張っています.(矢合隆昭,矢合都子)大学からの外部研修編富山大学の特徴の一つに比較的早い時期から専門分野が決まることがあげられます.とはいっても,地方大学ですので経験できる症例数は限りがあります.そこで,林教授の「一流に触れてくるんや!」の号令のもと,全国の名だたる施設で定期的に勉強させていただいています.角膜は木下茂先生(京都府立医科大学),ぶどう膜は岡田アナベルあやめ先生(杏林大学),緑内障は桑山泰明先生(福島アイクリニック),視神経は中尾雄三先生(近畿大学),斜視弱視は杉山能子先生(金沢大学)といった具合です.私の専門分野は角膜ですので,2011年4月.2012年3月までは毎週月曜日,2012年4月から現在は1カ月に1度,京都府立医科大学で研修をさせていただいています.研修日は朝のカンファレンスに出席し,全国学会顔負けのレクチャーの後,症例検討会があります.その後,木下先生の教授外来につき,終わった後は興味深い症例のディスカッションです.重症感染症,円錐角膜,ジストロフィ,Mooren潰瘍,Stevens-Jhonson症候群,角膜移植患者などが全国各地から続々と集まり,また私のような角膜専攻志望医も全国各地から集まり,診断・治療に喧々諤々と討論するのはかなりの刺激となっています.得られた知識・技術を富山の眼科医療に還元できるよう,日々勉強あるのみです!(宮腰晃央)ある関連病院での研修医の一週間月曜日8時半,回診のため病棟に向かいます.入院患者は7人程度.特に問題なく9時からの外来へ足を向けます.今日も外来は大繁盛です.白内障手術の予約を取1422あたらしい眼科Vol.30,No.10,2013〈プロフィール〉(50音順)尾崎弘典(おざきひろのり)北里大学卒業,富山大学附属病院にて初期臨床研修,平成24年4月より富山大学医学部眼科学講座.中村友子(なかむらともこ)富山大学卒業,済生会高岡病院と富山大学附属病院にて初期臨床研修,平成22年4月より富山大学医学部眼科学講座.藤田和也(ふじたかずや)富山大学卒業,済生会高岡病院と富山大学附属病院にて初期臨床研修,平成22年4月より富山大学医学部眼科学講座.宮腰晃央(みやこしあきお)富山大学卒業,富山大学附属病院にて初期臨床研修,平成21年4月より富山大学医学部眼科学講座.矢合隆昭(やごうたかあき)富山大学卒業,富山大学附属病院にて初期臨床研修,平成23年4月より富山大学医学部眼科学講座.矢合都子(やごうみやこ)香川大学卒業,射水市民病院と富山大学附属病院にて初期臨床研修,平成23年4月より富山大学医学部眼科学講座.るのに3カ月待ちですと患者さんに告げると,嫌な顔をせず応じてくれます.本当に上越の患者さんは良い人ばかりです.13時より手術室へ.月曜は白内障手術と硝子体注射,外来手術の日です.白内障手術はおよそ5件,そのうち3件前後を私が執刀させていただいています.火曜日は午前外来へ.目が乾くという訴えの患者さんにフルオレセインを,と思うとすでに看護師さんが横で用意して待っていてくれています.本当に上越の看護師さんは良い人ばかりです.午後は硝子体手術の日です.硝子体手術は助手を務めさせていただいています.水曜日はほぼ月曜と同じスケジュール.冬は雪で来られるかわからないという患者さんの再診日を,じゃあ3.4カ月後とアバウトに指示しますと,受付でうまい具合に再診をとってくれます.本当に上越の受付の人は良い人ばかりです.木曜日は1日外来の日.ORTさんに弱視のメガネについて相談します.経験不足の私にとって非常にありがたいです.本当に上越のORTさんは良い人ばかりです.金曜日はほぼ木曜と同じスケジュール.紹介できた原因がよくわからない角膜炎の症例について指導医の先生に相談します.私の治療方針を尊重しつつも,考えるべ(78)き疾患,するべき検査について適切に教えていただけます.本当に上越の先生は良い人です.土曜は第1,3,5週で午前を交代で1人外来,1人書類仕事という振り分けになっています.レセプトの量の多さにうんざりしつつ,わからないところがあったためカルテを取り寄せます.急いでというと15分で持ってきてくれました.本当に上越の事務は良い人ばかりです.以上,上越総合病院での眼科後期研修医の1週間でした.私は2年間上越で研修させていただきましたが,内外に良い人が多い土地で気持よく研修ができたと思います.大学での研修とはまた違った経験ができ,眼科医として一回り成長できた(させていただいた)と,この上越という土地に感謝しています.(藤田和也)地方大学では医局員の減少が顕著で富山大学も同様です.しかし,医局員が少ないほうが一人ひとりの面倒を良くみてあげられる利点もあります.今,眼科に入局した6名の研修医は,皆まじめでやる気があります.一人ひとりが貴重な人材であり,大切に育てたいと思っています.自分が25年前に研修医だったときのことを思い出しながら,研修医の気持ちになって教おわりに富山大学の眼科では,定期的に飲み会があり,富山の美味しい物を食べたり,医局旅行で盛り上がるなど,医局全体でまとまるイベントが多いのが特徴だと思います.また,個人の性格や生活に合わせて仕事の方向性を上の先生が考えてくださっているのが感じられる,とても良い医局だと思っています.現在,新人医局員の募集も積極的に行っています.自分自身至らない点が多々ありますが,1人の人間として成長し,眼科の魅力を後の世代に伝えることができるように経験を積んでいきたいと思っています.(尾崎弘典)育に取り組んでいます.各人とも性格も興味も違いますので,各人がより成長できる機会をたくさん作り,のびのびと能力を発揮していけるような環境整備が私の仕事です.それが日本の眼科に貢献することですし,眼科の魅力を医学生,研修医に伝えることになると思っています.(富山大学医学部眼科学講座・教授林篤志)☆☆☆(79)あたらしい眼科Vol.30,No.10,20131423