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アジスロマイシン点眼を中心に治療した両眼性非定型抗酸菌角膜炎の1例

2025年5月31日 土曜日

《第60回日本眼感染症学会原著》あたらしい眼科42(5):603.608,2025cアジスロマイシン点眼を中心に治療した両眼性非定型抗酸菌角膜炎の1例向井規子田尻健介武市有希也喜田照代大阪医科薬科大学眼科学教室CACaseofBilateralAtypicalMycobacterialKeratitisPrimarilyTreatedwithTopicalAzithromycinDihydrateSolutionNorikoMukai,KensukeTajiri,YukiyaTakeichiandTeruyoKidaCDepartmentofOphthalmology,OsakaMedicalandPharmaceuticalUniversity,TakatsukiC目的:感染経路が不明の両眼性非定型抗酸菌角膜炎に対し,アジスロマイシン点眼を中心に加療した症例を経験したので報告する.症例:53歳,女性.両眼角膜混濁で経過観察中,左眼に毛様充血,多くの豚脂様角膜後面沈着物(KPs)を伴う強い虹彩炎を認めた.ヘルペス性角膜ぶどう膜炎を疑い,2カ月加療するも改善せず,両眼に境界不明瞭な角膜実質浸潤巣がみられた.角膜擦過物の抗酸菌検査を施行したところ,直接蛍光検査で陽性,培養検査および質量分析でCMycobacteriumchelonaeを同定した.アジスロマイシン点眼とモキシフロキサシン点眼,クラリスロマイシンとモキシフロキサシン内服の多剤併用療法を開始したが,炎症は遷延化した.8カ月後,感染病巣は縮小・瘢痕化し,抗酸菌検査も陰性となった.結論:抗菌薬や抗真菌薬,抗ヘルペス薬で軽快しない特異的所見の角膜炎は本症を鑑別する必要がある.CPurpose:ToCreportCaCcaseCofCbilateralCatypicalCmycobacterialCkeratitisCwithCanCunknownCinfectionCrouteCthatCwasCprimarilyCtreatedCwithCtopicalCazithromycinCdihydrateCsolution.CCase:ThisCstudyCinvolvedCaC53-year-oldCfemalebeingmonitoredforbilateralcornealopacitiesinwhomciliaryhyperemiaandmarkediritisaccompaniedbysigni.cantCkeraticprecipitates(KPs)developedCinCherCleftCeye.CWeCsuspectedCherpeticCkeratouveitisCandCadminis-teredCanti-herpeticCtreatmentCforC2Cmonths.CHowever,CnoCimprovementCwasCobserved,CandCcornealCstromalCin.ltrateswithunde.nedbordersappearedbilaterally.Anacid-faststaintestwasperformedoncornealscrapings,whichCtestedCpositiveCbyCdirectC.uorescenceCexamination.CMoreover,CcultureCtestingCandCmassCspectrometryCrevealedCMycobacteriumCchelonae.CMultidrugCcombinationCtherapyCforCmycobacterialCkeratitisCwasCinitiated,Cinclud-ingCtopicalCapplicationCofCazithromycinCandCmoxi.oxacinChydrate,CasCwellCasCoralCclarithromycinCandCmoxi.oxacin.CAfter8months,thecornealin.ltratesbecamescarredandtheacid-faststaintest.ndingswerenegative.Conclu-sion:CornealCin.ammationCwithCspeci.cC.ndingsCthatCdoesCnotCimproveCwithCantibiotics,Cantifungals,CorCantiviralCmedicationsshouldbeconsideredM.chelonaeCkeratitis.〔AtarashiiGanka(JournaloftheEye)C42(5):603.608,C2025〕Keywords:非定型抗酸菌,角膜炎,Mycobacteriumchelonae,アジスロマイシン点眼.non-tuberculousmycobac-teria,keratitis,Mycobacteriumchelonae,Azithromycindihydratesolution.Cはじめに非定型抗酸菌は,結核菌以外の培養可能な抗酸菌のことであり,非結核性抗酸菌ともよばれる.肺感染症がもっとも知られているが,角膜炎の起因菌となることもあり,おもなものとしてCMycobacteirumchelonae,MycobacteriumCfortui-tum,Mycobacteirumabcessusなどがあげられる1).非定型抗酸菌による角膜炎はまれな疾患ではあるが,多彩な臨床症状を呈することから診断確定に時間を要し,難治性となることが知られている2).今回,感染経路が不明の両眼性非定型抗酸菌(M.chelonae)角膜炎に対し,1%アジスロマイシン〔別刷請求先〕向井規子:〒569-8686大阪府高槻市大学町C2-7大阪医科薬科大学眼科学教室Reprintrequests:NorikoMukai,M.D.,Ph.D.,DepartmentofOphthalmology,OsakaMedicalandPharmaceuticalUniversity,2-7,Daigakumachi,Takatsuki-City,Osaka569-8686,JAPANC図1発症時の左眼細隙灯顕微鏡所見a,b:著明な毛様充血を認める.Cc:多くのCKPsを伴った強い虹彩炎を認める.Cd:フルオレセイン染色では,角膜上皮はまだらに不整で,上皮欠損は認めない.Ce:元来存在するびまん性の角膜混濁と,今回発症の強い虹彩炎による角膜浮腫を認めるが,新たな角膜浸潤は明確ではなかった.点眼を中心に薬物加療を施行したC1例を経験したので報告する.CI症例患者:53歳,女性.フィリンピン出身で介護ヘルパーとして日本で働いている.主訴:左眼視力低下.眼科既往歴:両眼角膜混濁に対して,2000年にフィリピンで,2002年に日本でレーザー治療(詳細不明)歴がある.2013年から当院へ通院し,2015年に右眼,2018年に左眼の翼状片切除術,2021年とC2022年に右眼アミロイド沈着に対して角膜上皮掻爬が施行されている.慢性的な角結膜炎,点状表層角膜炎,角膜混濁に対してC0.1%フルオロメトロン点眼およびC0.5%セフメノキシム塩酸塩点眼を両眼C1日4回継続していた.家族歴:母親とC11人兄弟のうち自身を含めてC7人に角膜混濁がある.現病歴:2023年C5月,左眼の痛みを伴う充血,視力低下を自覚し来院した.視力は右眼C0.1(0.1C×sph+0.5D(Cyl.2.5DAx170°),左眼C10Ccm指数弁(矯正不能).眼圧は右眼C10CmmHg,左眼10CmmHg,細隙灯検査で,左眼に著明な毛様充血と(図1a,b),多くの豚脂様角膜後面沈着物(keraticprecipitates:KPs)を伴う強い虹彩炎を認めた(図1c).角膜上皮はまだらに不整(図1d)であった.患者は元来,角膜にびまん性の混濁があったが,この時点では強い前房内炎症および角膜浮腫は認めるものの,これまでの角膜所見と比較して新たな角膜浸潤は明らかではなかった(図1e).眼底所見は透見不良で詳細不明であった.経過:多くの豚脂様CKPsを伴った強い虹彩炎と,前房内炎症による角膜浮腫を認めたため,ヘルペス性角膜ぶどう膜炎と考え,0.1%ベタメタゾン点眼左眼C1日C6回,3%アシクロビル眼軟膏左眼C1日C5回,バラシクロビル塩酸塩錠C1,000mg/日内服の抗ヘルペス治療を開始した.その後,前房炎症は遷延化するもCKPsは軽快傾向となったため,0.1%ベタメタゾン点眼とC3%アシクロビル眼軟膏を漸減した.経過中に角膜上皮は上皮欠損の改善と悪化を繰り返した.7週後にKPsが再び増悪し,前房蓄膿が出現した(図2a).9週後には角膜上皮欠損が拡大し(図2b),この時点になるとはっきりとした角膜浸潤巣が認められた(図2c),また,小さく浅いが左眼と同様の角膜浸潤巣を右眼にも認め(図2d),角膜上皮.離を伴っていた(図2e).ここまでの経過として,多くのCKPsを伴った強い虹彩炎および角膜浮腫で発症し,ヘルペス性の角膜ぶどう膜炎に対する治療をするも反応は不良であり,角膜上皮欠損が軽快と再発を繰り返し,境界不明瞭な角膜実質浸潤が生じてきた.このため,一般的な角膜感染図2抗ヘルペス治療開始9週後の細隙灯顕微鏡所見a:KPsが再び増悪し,前房蓄膿が出現した.Cb:左眼のフルオレセイン染色では,角膜上皮欠損の拡大を認める.Cc:左眼の細隙灯顕微鏡所見では,境界が不明瞭な角膜浸潤巣の形成を認める.Cd:右眼の細隙灯顕微鏡所見で,範囲は小さく浅いが,左眼の角膜所見と同様な角膜浸潤巣が出現した.e:右眼のフルオレセイン染色では,角膜上皮欠損を伴っていた.症ではなく特殊な病原体による感染症を疑い,角膜擦過を施行し,一般細菌検査に加えて抗酸菌同定検査を施行した.抗酸菌検査では直接蛍光法にてガフキーC9号の菌量を認めた.本症例から検出した菌は,液体培地と小川培地での発育はなかった.しかし,一般細菌検査の培地で早期に発育し,質量分析を用いてCM.chelonaeと同定された.右眼の抗酸菌検査は陰性であったが,角膜上皮.離を伴った境界がやや不明瞭な淡い角膜実質浅層の小浸潤巣が認められ,左眼の角膜所見とまったく同様であったため,臨床的に両眼のCM.Cchelonaeによる角膜炎と診断し,C1%アジスロマイシン点眼両眼C1日2回,C0.5%モキシフロキサシン点眼両眼C1日C4回,クラリスロマイシンC400Cmg/日内服,モキシフロキサシン塩酸塩400Cmg/日内服の多剤併用療法を開始した.しかし,炎症所見は遷延化し,治療開始C3カ月後には右眼の虹彩後癒着が顕著となり,トロピカミド・フェニレフリンの結膜下注射を施図3非定型抗酸菌に対する薬物治療開始4カ月後の左眼細隙灯行した.治療開始C4カ月後,前房の炎症は改善傾向となった顕微鏡所見が,不明瞭な角膜浸潤は残存し,とくに左眼の角膜実質内へ前房炎症は改善したが,不明瞭な角膜浸潤巣は残存し,とくに実質内への血管侵入が著明である.の血管侵入が著明であった(図3).この時点での左眼の角膜擦過物からは,直接蛍光法でガフキーC1号の菌がまだ認められた.その後,角膜浸潤巣は徐々に瘢痕化傾向となり,治療皮下混濁(図4a),左眼は角膜実質混濁があり,角膜実質内開始C8カ月後に結膜充血は消退し角膜擦過物の抗酸菌検査がへの新生血管が残存している(図4c).視力は右眼(C0.06C×陰性となったため,治療を終了した.治療終了後C3カ月後のsph+3.0D),左眼C0.01(矯正不能)と不良である.C現在,両眼に角膜上皮障害を認め(図4b,d),右眼は角膜上図4治療終了後3カ月後の細隙灯顕微鏡所見a,b:右眼は角膜上皮障害と上皮下混濁を認める.Cc,d:左眼は角膜上皮障害と角膜実質混濁を認め,実質内への新生血管が残存している.II考按非定型抗酸菌による眼感染症は,1965年にCTurnerとStinsonによって初めて報告された3).Kheirらによる検討では,非定型抗酸菌による眼感染症のこれまでの報告として,眼窩内感染,眼瞼周囲皮膚感染,涙道炎,角膜炎,強膜炎,結膜炎,眼内炎,脈絡膜炎虹彩毛様体炎,ぶどう膜炎をあげており,なかでも角膜炎がC420眼中C290眼(69%)ともっとも多かった4).また,検出された菌のなかではCM.CchelonaeがC179眼(42.6%)と最多であった4).本症例においても検出されたCM.chelonaeは,非定型抗酸菌のうち迅速発育菌で,Runyon分類のCIV群に分類される5).土壌,水,その他の自然界に広く分布し,皮膚や軟部組織での感染や,カテーテル関連感染症,移植術後感染症を引き起こし,同じく迅速発育菌であるCMycobacteriumabscessusと比較すると,肺への感染はまれで,2番目に多い感染臓器が眼であると報告されている6).非定型抗酸菌による角膜炎は,なんらかの手術侵襲後に発症することが多く,とくに近年ではCLASIK後の報告が多い7).わが国でもCLASIK術後感染症の一つとして注意がなC606あたらしい眼科Vol.42,No.5,2025されており2,8,9),そのほか白内障術後,全層角膜移植術後4)などで発症する.一方で笹川らは,1996年に実質型角膜ヘルペスに対するステロイド点眼加療後に発症したCM.Cchelo-nae角膜炎の症例をわが国で初めて報告し,海外既報においてもC69.6%(16/23例)でステロイド点眼が投与されていたことから,眼局所における免疫抑制状態が発症の危険因子であると述べている10).本症例の感染経路は不明ではあるが,複数回のレーザー治療歴や翼状片手術,右眼角膜上皮掻爬術の手術歴については,左眼の侵襲的処置からC5年以上が経過していたため,発症の直接的原因としては考えにくい.両眼性の発症であることも本症例の特徴であるが,0.1%フルオロメトロン点眼液の投与が長期間両眼になされていたこと,介護ヘルパーとして入浴介助の際に不衛生な水を頻繁に顔に浴びていたことが発症の要因として考えられる.非定型抗酸菌角膜炎の特徴的な角膜所見は,境界不明瞭な実質内の斑状浸潤であり,衛星病巣を伴って花弁状の混濁を呈するものが知られている2).一方,M.chelonae角膜炎では,病巣辺縁の毛羽立ち状所見や放射状の突起を伴った浸潤巣を呈するのもあり10),上皮欠損は必発ではなく8,10),病巣が上皮に覆われた“snow.ake-likeC”11),“crackedCwind-(106)shield”12)様病巣などの報告もある.さらに,これらの角膜の所見以外に,LASIK術後の集団感染の報告では毛様充血,前房内炎症,角膜後面沈着,前房蓄膿などの多彩な前眼部炎症所見がある8).このように,特徴的な所見ではあるものの,角膜病変のみではなく,さまざまな病態が時間を追って認められることが,本疾患が確定診断に至るまでに時間がかかる要因の一つであると考えられる.本症例は角膜混濁に対するレーザー治療後角膜炎の既往があり,その後も角膜にびまん性の混濁を認めていた.今回はそれまで使用していたC0.1%フルオロメトロン点眼によって角膜所見がマスクされていた可能性はあるが,強い前房内炎症と角膜浮腫を認めるものの角膜浸潤は明らかではなく,多くのCKPsを伴った強い虹彩炎で発症したことが特徴的であったといえる.発症時には角膜上皮欠損は認めなかったが,そこから増悪・軽快を繰り返す角膜上皮欠損と前房蓄膿を生じ,最終的に,境界不明瞭な角膜実質浸潤が認められた.この経過は,一般的な細菌性角膜炎の経過とは異なっていたため,非定型抗酸菌による感染を疑ったのだが,確定診断に至るまでにはC2カ月を要した.非定型抗酸菌角膜炎に対する治療は,薬物治療が中心であるが,LASIK術後に生じた角膜炎に関しては,フラップ層間の洗浄や,病巣切除と薬剤移行の向上を目的にフラップ切除(amputation)も考慮するべきである9).薬物療法では,多剤併用療法が推奨され1),局所投与のみならず全身投与も行うことが多い1,8).M.chelonaeには通常の抗結核薬は無効であり,全身投与ではクラリスロマイシン(CAM)などのマクロライド系,ドキシサイクリン(DOXY)などのテトラサイクリン系,アミノ配糖体系であるアミカシン(AMK),あるいはフルオロキノロン系であるシプロフロキサシン(CPFX)などが選択され,局所点眼投与では,AMK,CAMに加えて,ガチフロキサシン(GFLX)やモキシフロキサシン(MFLX)点眼薬の有効性の報告があるC6,13.16).本症例では,多剤併用療法を点眼と内服で施行した.今回検出されたCM.chelonaeの薬剤感受性試験の結果(表1)では,アジスロマイシン(AZM)とCMFLXがCAMKよりも感受性が高かったため,自家調整の必要がないC1%アジスロマイシン点眼を第一選択とし,0.5%モキシフロキサシン点眼を併用した.また,内服薬は,クラリスロマイシンの内服と,耐性化を考慮するべきという当院感染対策室の助言に従って,モキシフロキサシン塩酸塩の内服を選択した.しかし,治療期間はC8カ月間と長期に及び角膜擦過物の抗酸菌検査陰性化,毛様充血の消退,角膜浸潤の瘢痕化をもって治療を終了したが,角膜実質内の新生血管は残存している.なお,アジスロマイシン点眼の角膜炎への使用は適用外である.しかし,本症例は両眼の視力が不良の重症角膜感染症であったため,当院感染対策室の感染症専門医師と薬剤師との協議の結果,患者の視力予後を第一に考え,薬剤感受性が表1薬剤感受性試験結果CMZ>3C2CCAM<=1CIPM<=2CAZM<=1CMEPM>1C6CLVFXC4CAMK<=4CMFLXC2CTOB<=1CLZD<=2CMINO>4CST>4C0CMZ:セフメタゾール,IPM:イミペネム,MEPM:メロペネム,AMK:アミカシン,TOB:トブラマイシン,MINO:ミノサイクリン,CAM:クラリスロマイシン,AZM:アジスロマイシン,LVFX:レボフロキサシン,MFLX:モキシフロキサシン,LZD:リネゾリド,ST:スルファメトキサゾール・トリメトプリム.(MIC:μg/ml)もっとも良好な結果であったCAZMを局所投与薬剤として選択した.また,本症例のように長期使用する場合は,倫理委員会への申請をし,許可を得ることが望ましい.感染経路が不明であった両眼性非定型抗酸菌角膜炎に,1%アジスロマイシン点眼を中心とした多剤併用療法を施行したが,きわめて難治性であった.抗菌薬・抗真菌薬・抗ヘルペス薬とステロイド点眼投与で改善しない,強い虹彩炎を伴う特異的な角膜浸潤巣を呈する角膜炎は,本症を鑑別におく必要がある.利益相反:利益相反公表基準に該当なし文献1)YamamotoCA,CHattoriCT,CShimadaCHCetal:Mycobacteri-umabscessuscornealulcerfollowingsuturedclearcorne-alcataractincision.JpnJOphthalmolC54:499-500,C20102)上田真由美,外園千恵:非定型抗酸菌角膜炎.臨眼C70:C217-222,C20163)TurnerCL,CStinsonI:MycobacteriumCfortuitum.CasCaCcauseCofCcornealCulcer.CAmCJCOphthalmolC60:329-331,C19654)KheirCWJ,CSheheitliCH,CFattahCMACetal:NontuberculousCmycobacterialCocularinfections:aCsystematicCreviewCofCtheliterature.BioMedResIntC2015:164989,C20155)RunyonEH:Anonymousmycobacteriainpulmonarydis-ease.MedClinNorthAmC43:273-290,C19596)AkramSM,RathishB,SalehD:Mycobacteriumchelonaeinfection.StatPearls[Internet]C,CStatPearlsCPublishing,CTreasureIsland,USA,20237)BostanCC,CSlimCE,CChoremisCJCetal:SuccessfulCmanage-mentCofCsevereCpost-LASIKCMycobacteriumCabscessusCkeratitisCwithCtopicalCamikacinCandClinezolid,C.apCablation,CandCtopicalCcorticosteroids.CJCCataractCRefractCSurgC45:C1032-1035,C20198)YamaguchiCT,CBissen-MiyajimaCH,CHori-KomaiCYCetal:CInfectiouskeratitisoutbreakafterlaserinsitukeratomile-usisCatCaCsingleClaserCcenterCinCJapan.CJCCataractCRefractCSurgC37:894-900,C20119)山口剛史,鈴木崇:放線菌・非定型抗酸菌による細菌性角膜炎─見逃してはならない非典型例.臨眼C73:1406-1411,C201910)笹川智幸,阿部達也,大石正夫:非定型抗酸菌角膜炎のC1例.日眼会誌C100:464-470,C199611)MirateCDJ,CHullCDS,CSteelCJHCJrCetal:MycobacteriumCcheloneikeratitis:aCcaseCreport.CBrCJCOphthalmolC67:C324-326,C198312)RobinJB,BeattyRF,DunnSetal:Mycobacteriumchelo-neiCkeratitisCafterCradialCkeratotomy.CAmCJCOphthalmolC102:72-79,C198613)宮瀬太志,坂井翔太,小澤憲司ほか:診断ならびに治療に難渋したCMycobacteriumchelonaeによる角膜潰瘍のC1例.眼科C64:173-179,C202214)DalovisioCJR,CPankeyCGA,CWallaceCRJCetal:ClinicalCuse-fulnessCofCamikacinCandCdoxycyclineCinCtheCtreatmentCofCinfectionduetoMycobacteriumfortuitumandMycobacte-riumchelonei.RevInfectDisC3:1068-1074,C198115)HyonCJY,CJooCMJ,CHoseCSCetal:ComparativeCe.cacyCofCtopicalCgati.oxacinCwithCcipro.oxacin,Camikacin,CandCclar-ithromycinCinCtheCtreatmenCofCexperimentalCMycobacteri-umCchelonaeCkeratitis.CArchCOphthalmolC122:1166-1169,C200416)AbshireCR,CCockrumCP,CCriderCJCetal:TopicalCantibacte-rialtherapyformycobacterialkeratitis:potentialforsur-gicalCprophylaxisCandCtreatment.CClinCTherC26:191-196,C2004C***

基礎研究コラム:16.Image-based cell sorting技術

2025年5月31日 土曜日

Image-basedcellsorting技術Image-basedcellsorting技術とは病態解明や新規治療法開発をめざす基礎研究では,疾患における特定の細胞の役割や性質を把握することが重要です.従来,特定の細胞を選別する技術としてC.uorescence-activatedCcellsorting(FACS)が広く用いられてきました.FACSは特定の蛋白質を蛍光標識して目的の細胞を選別する技術であり,判別精度・抽出速度の観点から非常に有用ですが,特異的細胞表面抗原をもたない細胞に関しては生細胞での選別は困難です.また,表面抗原が特定されている細胞種の多くは成熟・分化したものに限られており,分化過程にある前駆細胞などの選別には大きな課題があります.筆者自身も基礎研究を始める前は「発現する遺伝子がわかっていれば細胞の抽出は簡単にできるのでは」と漠然と思っていましたが,実際にはそう簡単ではありません.たとえば転写因子など細胞表面抗原以外の蛋白質を蛍光標識するには,細胞固定および細胞膜透過処理が必要で,生細胞の選別は不可能となります.このような課題を克服するため,特徴的な表面抗原網膜前駆細胞標識hESC株由来StructuredGhostmotionimaging網膜オルガノイドillumination(GMI)波形(label-free)網膜前駆細胞標識株を用いた判別機作成機械学習細胞分散Venus+Venus++Venus-Venus-labeledsinglecellsFluorescencesignals非標識hiPSC株由来網膜オルガノイドLabel-freeGMI波形非標識hiPSC株由来網膜前駆細胞の判別機label-free濃縮(機械学習後)細胞分散PredictiontosortWasteSortedNon-labeledsinglecells(Control)岩間康哲DepartmentofMolecularandCellularBiology,ScrippsResearchをもたない細胞抽出を目的として,画像解析と機械学習を組み合わせたCimage-basedCcellsorting技術の応用が試みられています1).眼科分野における応用一般に本技術では解析に用いる画像に含まれる情報が多い(high-contentimage)ほど目的細胞の判別精度は上がりますが,一方で判別に要する時間が増え,抽出速度が低下してしまいます.さまざまな分野で二次元・三次元画像を用いた細胞の選別方法が報告されていますが1),抽出速度の観点から筆者らはCghostcytometry(GC)とよばれる技術に着目しました2).GCは細胞をCmicro.uidic.ow上で高速で流し,その際に得られる一次元情報(波形)を直接機械学習に用いて判別機を作製し,細胞選別に用いることで高いスループットを実現しています.筆者らはCGCを応用して,網膜前駆細胞標識株を教師データとして機械学習モデルを構築し,非標識CiPS細胞株から特異的表面抗原をもたない分化早期の網膜前駆細胞を濃縮することに成功しました.また,濃縮された細胞を再凝集・培養することにより移植用網膜組織の効率的な作製に寄与できることを報告しました(図1)3).今後の展望現状,image-basedCcellsorting技術は機械学習モデルの判別精度やChigh-contentimageの取得に伴うスループットの点で従来法のCFACSと比べ限界があり,筆者らの用いた手法においても判別精度の点で課題があります.しかし,特定の細胞表面抗原をもたない細胞であったとしても蛍光標識を用いずに選別ができうる点は非常に魅力的であり,前述した課題を克服していくことで再生医療をはじめとするさまざまな分野での応用が期待されています.文献1)LaBelleCCA,CMassaroCA,CCortes-LlanosCBCetal:Image-basedCliveCcellCsorting.CTrendsCBiotechnolC39:613-623,C20212)OtaCS,CHorisakiCR,CKawamuraCYCetal:GhostCcytometry.CScienceC360:1246-1251,C20183)IwamaY,NomaruH,MasudaTetal:Label-freeenrich-mentofhumanpluripotentstemcell-derivedearlyretinalprogenitorCcellsCforCcell-basedCregenerativeCtherapies.CStemCellReportsC19:254-269,C2024(101)あたらしい眼科Vol.42,No.5,2025C6010910-1810/25/\100/頁/JCOPY

硝子体手術のワンポイントアドバイス:264.黄斑円孔硝子体手術後の脈絡膜新生血管(初級編)

2025年5月31日 土曜日

264黄斑円孔硝子体手術後の脈絡膜新生血管(初級編)池田恒彦大阪回生病院眼科●はじめに黄斑円孔(macularhole:MH)に対する硝子体手術(parsplanaCvitrectomy:PPV)後の併発症としては,核白内障,MHの再発,網膜.離,視野障害,.胞様黄斑浮腫などの報告があるが1),まれに脈絡膜新生血管(choroidalneovascularization:CNV)が生じることもある2.4).C●症例提示74歳,女性.Fluidcu.を認めず,円孔底に色素上皮の増殖を認める右眼の陳旧性CMH(図1)に対してCPPVを施行した.手術は型のごとく硝子体切除,内境界膜.離を施行したが,液空気置換時に患者の体動によりバックフラッシュニードルの先端が円孔底の色素上皮にやや接触した.術後,MHは閉鎖し,矯正視力はC0.2から0.6に改善したが,中心窩に脱色素斑をきたした(図2).3年後に右眼の視力低下を訴えて受診,中心窩下にCNVが生じており(図3),矯正視力はC0.15に低下していた.抗CVEGF療法によりCCNVは退縮し,矯正視力は0.4に改善した.C●MHに対するPPV後に生じるCNV過去の報告によると,CNVの発症時期はCPPV後C3カ月からC3年と幅があり,多くは半年以上経過したあとに生じている.PPV自体はとくに合併症もなく終了した例も多いが,術中円孔底の色素上皮を意図的に擦過したり,機械的傷害をきたした例もみられる.CNVの発症機序に関しては以下のようなことが推測されている2,3).①術中の円孔底の色素上皮,Bruch膜の機械的損傷によってCCNVが誘発された.②ドルーゼンなどの加齢黄斑変性の危険因子,あるいは傾斜乳頭などのCCNV発症の危険因子を有していた.MHのCPPVの際には,手術器具が円孔底の色素上皮(99)C0910-1810/25/\100/頁/JCOPY図1PPV前のOCTFluidcu.を認めず,円孔底に色素上皮の増殖を認める陳旧性のCMHを認める.図2PPV後早期のOCTMHは閉鎖したが,中心窩に脱色素斑をきたした.図3PPV後3年目のOCT中心窩下にCCNVを認める.に過度に接触しないよう留意する.とくに液空気置換時には視認性が不良となるため,注意が必要である.また,上記②の危険因子を有する患者には,術後も注意深く経過観察を行う必要がある.CNVが生じた場合には早期に抗CVEGF療法を考慮する4).文献1)HoCAC,CGuyerCDR,CFineSL:MacularChole.CSurvCOphthal-mol42:393-416,C19982)TabandehH,SmiddyWE,SullivanPMetal:Characteris-ticsCandCoutcomesCofCchoroidalCneovascularizationCoccur-ringCafterCmacularCholeCsurgery.CRetinaC24:714-720,C20043)NatarajanS,MehtaHB,MahapatraSKetal:Ararecaseofchoroidalneovascularizationfollowingmacularholesur-gery.CGraefesCArchCClinCExpCOphthalmolC244:271-273,C20064)OhCHN,CLeeCJE,CKimCHWCetal:OccultCchoroidalCneovas-cularizationaftersuccessfulmacularholesurgerytreatedwithranibizumab.ClinOphthalmol6:1287-1291,C2012あたらしい眼科Vol.42,No.5,2025599

考える手術:41.Epiretinal proliferationを伴う黄斑円孔の手術

2025年5月31日 土曜日

考える手術.監修松井良諭・奥村直毅Epiretinalproliferationを伴う黄斑円孔の手術福島正樹近畿大学医学部眼科学教室,富山大学医学薬学研究部眼科学講座黄斑円孔の手術の成功率は,KellyとWendelが硝子体切除術に後部硝子体.離とガスタンポナーデを組み合わせた方法を報告して以来,飛躍的に向上してきた.その後,内境界膜.離の導入によって閉鎖率がさらに向撮影で網膜前に付着する中等度の反射を示す厚い組織として観察される.LMHの手術において,近年ではEP温存術が視力の改善や術後の全層黄斑円孔進展予防に有効である可能性が示されている.聞き手:Epiretinalproliferation(EP)を伴う全層黄斑が達成されました.また,両群とも術後視力はすべての円孔(full-thicknessmacularhole:FTMH)の患者に対時点でベースラインと比較して有意に改善していましたして,EP温存術はどのようなメリットがありますか?(p<0.01).各時点における両群間の視力を比較したと福島:これまで,EPを伴うFTMHの患者にEP温存ころ,術後12カ月の視力は温存群が除去群よりも有意術が有効かどうかについては検討されていませんでしに良好でしたが,術後1カ月,3カ月,6カ月では有意た.そこで私たちは,EPを伴うFTMH患者をEP温差は認められませんでした(図1)1).多変量解析では,存群とEP除去群とに分け,術後12カ月時点での視力術前視力が高いこと(p=0.007),最小黄斑円孔径が小および解剖学的成績を比較する研究を行いました1).そさいこと(p=0.037),EP温存(p=0.006)が,術後12の結果,EP温存術は分層黄斑円孔(lamellarmacularカ月の視力が良好であることと有意に関連していましhole:LMH)だけではなく,FTMHに対しても有用なた.また,術後6カ月と12カ月の中心窩網膜厚は,温術式である可能性が示唆されました.存群が除去群より有意に厚い結果となりました(図1)1).代表症例の経過を図21)に示します.聞き手:EP温存群と除去群の間で,術後の結果にはどの程度の差がありましたか?聞き手:EPを温存すると,なぜ除去する場合よりも術福島:本研究では,すべての症例で初回の黄斑円孔閉鎖後の視力が改善するのでしょうか?(97)あたらしい眼科Vol.42,No.5,20255970910-1810/25/\100/頁/JCOPY考える手術福島:これについてはまだ明確にはわかっていませんが,EPそのものにhealing効果があるとする報告があります.本研究でも,術後の光干渉断層計検査(opticalcoherencetomography:OCT)で中心窩にEPが観察された症例のほうが,観察されなかった症例よりも術後12カ月の視力が良好でした.これにより,術後の黄斑機能の再生にEPが寄与している可能性が考えられます.また,実際にEPを除去しようとすると,黄斑円孔縁に強く癒着しており,黄斑円孔の形が変形し広がることが術中によく観察されます(図3)1).このような機械的な牽引による網膜の損傷が,術後の視力改善を妨げる可能性があると考えられます.一方,EP温存群では,黄斑円孔縁に機械的な牽引がかかることを極力防ぐことができるため,良好な術後視力を達成できたのではないかと推測されます.聞き手:EPを温存するためのコツはありますか?福島:まず,術前OCTやenfaceOCTを用いて,EPの局在や範囲を把握しておくことが重要です.術中は,膜処理前にブリリアントブルーGを用いて染色するこ(logMAR)PostoperativechangeinBCVA0.80.70.60.5P=0.9610.40.3P=0.059P=0.0890.2P=0.152P=0.0160.1*0-0.1-0.2Preop1month3months6months12monthsSparingRemoval(μm)CRT350300250P=0.222P=0.112P=0.037P=0.046**2001501005001month3months6months12monthsSparingRemoval図1フォローアップ期間中の温存群と除去群における平均矯正視力(BCVA)および中心窩網膜厚(CRT)の変化*:p<0.05(文献1より引用)とで,どこまでがEPを含む網膜前組織かをしっかり把握することができます.また,ILM鑷子を用いる場合には,EPは粘着性があり,鑷子に付着して離れないことがありますので,意図せず円孔縁からはずれないように注意が必要です.それらに対処するために,EPの.離・温存にバックフラッシュニードルの受動吸引を用いる方法も簡便で効果的です.ご参考になれば幸いです2).文献1)FukushimaM,TsuboiK,AkaiRetal:Sparingversusremovalofepiretinalproliferationinthesurgicalrepairoffull-thicknessmacularholes.Retina44:2066-2075,20242)FukushimaM,HayashiA,KusakaSetal:Useofaback.ushneedlewithasiliconetipcannulatoembedlamellarhole-associatedepiretinalproliferation.Retina43:2204-2207,2023図2EPを伴う黄斑円孔の治癒過程(EP温存症例と除去症例のOCT画像)a~e:EP温存症例.術後,埋め込まれたEPが観察された.術後12カ月の中心窩網膜厚は186μmであった.f~j:EP除去症例.術後12カ月の中心窩網膜厚は151μmであった.(文献1より引用)図3EP温存とEP除去の際の黄斑部への牽引を示す術中写真a:EP温存症例.ILM鑷子を用いてEPを黄斑部に向かって中心方向に.離した.黄斑円孔の縁は術中にはっきりと変形することはなく,EPの温存による黄斑への機械的損傷は少ないと考えられる.b~d:EP除去症例.いずれの症例も,EPを除去する際に黄斑に対して強い牽引が生じた().(文献1より引用)598あたらしい眼科Vol.42,No.5,2025(98)

抗VEGF治療セミナー:ポリープ状脈絡膜血管症治療における抗VEGF薬の選択

2025年5月31日 土曜日

●連載◯155監修=安川力五味文135ポリープ状脈絡膜血管症治療における奥田吉隆八尾徳洲会総合病院眼科抗VEGF薬の選択新生血管型加齢黄斑変性における治療の第一選択は抗CVEGF薬硝子体内注射だが,日本人に多いポリープ状脈絡膜血管症(PCV)では抵抗性を示すことがある.ファリシマブはCVEGF/Ang-2を標的とし,投与間隔延長や高いポリープ病変退縮率が報告され,PCVへの有用性が期待できる.はじめに新生血管型加齢黄斑変性(neovascularCage-relatedCmaculardegeneration:nAMD)は,中心窩を中心とした直径C6,000Cμmの黄斑部にドルーゼンやパキコロイド,網膜色素上皮(retinalpigmentCepithelium:RPE)異常に伴って生じた黄斑新生血管(macularneovascular:MNV)が存在する状態をいう.MNVが認められた場合の治療の第一選択は抗血管内皮増殖因子(vascularCendothelialCgrowthfactor:VEGF)薬硝子体内注射であり1),わが国ではC5剤の抗CVEGF薬が使用許可されているが,頻回投与や治療継続が課題となっている.近年,光干渉断層計(opticalCcoherencetomography:OCT)などの検査機器が急速に進歩しており,MNVの病型や薬剤の特徴を考慮した長期的な治療戦略を検討する必要がある.黄斑新生血管の病型分類MNVは,フルオレセイン蛍光造影(.uoresceinangi-ography:FA)の造影所見によりCclassic型/occult型,RPEを基準とした病理組織に基づく解剖学的所見によりCtype1/2と分類されてきた.現在ではCoccult型とCtype1をC1型CMNV,classic型とCtype2をC2型CMNV,網膜血管腫状増殖(retinalCangiomatousproliferation:RAP)をC3型CMNV,1型とC2型が混在するものをC1+2型CMNV,1型CMNVの周辺に新生血管による異常血管網と拡張したポリープ状病巣がみられるものをポリープ状脈絡膜血管症(polypoidalCchoroidalvasculopathy:PCV)とよんでいる.抗VEGF薬の種類わが国でCnAMDに対して使用できる抗CVEGF薬はラ表1抗VEGF薬の種類一般名ラニビズマブアフリベルセプトブロルシズマブファリシマブC2CmgC8Cmg構造ヒト化抗CVEGFモノクローナル抗体Fab抗体ヒトCVEGFR-1/2の細胞外ドメインをヒトIgG1のCFcドメインに結合した組換え融合糖蛋白質ヒト化抗CVEGFモノクローナル抗体C1本鎖抗体ヒト化抗CVEGF/抗Ang-2モノクローナルCIgG抗体治療標的CVEGF-AVEGF-A,VEGF-B,PIGFCVEGF-AVEGF-A,Ang-2分子量約C48,000Cmol約C115,000Cmol約C26,000Cmol約C149,000Cmolモル数の比C1C1.7C7C22C4剤形バイアルシリンジバイアルシリンジバイアルシリンジバイアル適応疾患CnAMDCDMECRVOCmCNVCROPCnAMDCDMECRVOCmCNVCNVGCROPCnAMDCDMECnAMDCDMECnAMDCDMECRVOnAMD:中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性,RVO:網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫,mCNV:病的近視における脈絡膜新生血管,DME:糖尿病黄斑浮腫,NVG:血管新生緑内障,ROP:未熟児網膜症.(95)あたらしい眼科Vol.42,No.5,20255950910-1810/25/\100/頁/JCOPYニビズマブ,アフリベルセプトC2Cmg,アフリベルセプトC8Cmg,ブロルシズマブ,さらに抗CVEGF/抗アンジオポエチン(angiopoietin:Ang)-2薬であるファリシマブのC5剤がある.各薬剤は代表的な臨床試験において視力の改善が報告されている(表1).ポリープ状脈絡膜血管症PCVは日本人のCnAMDの約半数に認められ,急激に大きな網膜下出血を生じ,重篤な視機能異常を引き起こすことがあるが,抗CVEGF薬に治療抵抗性を示すこともあり,光線力学的療法(photodynamicCtherapy:PDT)やレーザー光凝固との併用が必要な場合がある.最近の研究では,パキコロイドを特徴とするCnAMDにおける硝子体内CAng-2濃度の上昇も報告されている2).Ang-2は低酸素状態などにより産生され,周皮細胞や血管内皮細胞に働きかけ,血管からの漏出や血管新生を促進する3).抗CVEGF薬の中では,アフリベルセプトC2CmgやブロルシズマブのCPCVに対する良好な結果が報告されている4,5)が,筆者はCAng-2を治療標的としたファリシマブを期待をもって使用している.ファリシマブの臨床試験(TENAYA/LUCERNE試験)では疾患活動性によりC8.16週で投与間隔を調整し,2年経過時点でC16週間隔だった患者割合はC63.1%と投与間隔の延長が報告されている.また,高いポリープ病変退縮率とCdryCmacula率が報告されており,PCVへの有用性が期待される7).C596あたらしい眼科Vol.42,No.5,2025図1ファリシマブにより滲出所見が改善したポリープ状脈絡膜血管症の一例a:初診時眼底写真.出血と硬性白斑が認められる.Cb:初診時OCT.網膜色素上皮.離(RPEの急峻な隆起と比較的平坦な隆起所見),および網膜下液を認める.Cc:ファリシマブ導入期C3回連続投与後の眼底写真.出血と硬性白斑が消失した.d:ファリシマブ導入期C3回連続投与後のCOCT.網膜色素上皮.離および網膜下液の改善を認めている.文献1)SolomonCSD,CLindsleyCK,CVedulaCSSCetal:Anti-vascularCendothelialCgrowthCfactorCforCneovascularCage-relatedCmacularCdegeneration.CCochraneCDatabaseCSystCRevC8:CCD005139,C20142)InodaS,TakahashiH,InoueYetal:Cytokinepro.lesofmacularCneovascularizationCinCtheCelderlyCbasedConCaCclassi.cationCfromCaCpachychoroid/drusenCperspective.CGraefesArchClinExpOphthalmol260:747-758,C20223)PetersS,CreeIA,AlexanderRetal:Angiopoietinmodu-lationCofCvascularCendothelialCgrowthfactor:e.ectsConCretinalCendothelialCcellCpermeability.CCytokineC40:144-150,C20074)LeeWK,IidaT,OguraYetal:PLANETInvestigators:CE.cacyCandCsafetyCofCintravitrealCa.iberceptCforCpolypoi-dalchoroidalvasculopathyinthePLANETStudy:aran-domizedCclinicalCtrial.CJAMACOphthalmolC136:786-793,C20185)OguraY,Ja.eGJ,CheungCMGetal:E.cacyandsafetyofbrolucizumabversusa.iberceptineyeswithpolypoidalchoroidalvasculopathyinJapaneseparticipantsofHAWK.BrJOphthalmol106:994-999,C20226)KhananiCAM,CKotechaCA,CChangCACetal:TENAYACandLUCERNE:2-yearresultsfromthephase3nAMDtrialsoffaricimabwithtreat-and-extenddosinginyear2.COph-thalmologyC131:914-926,C20247)MatsumotoCH,CHoshinoCJ,CNakamuraCKCetal:Short-termCoutcomesCofCintravitrealCfaricimabCforCtreatment-naiveCneovascularCage-relatedCmacularCdegeneration.CGraefesCArchClinExpOphthalmol261:2945-2952,C2023(96)

緑内障セミナー:前眼部OCTの緑内障濾過手術への応用

2025年5月31日 土曜日

●連載◯299監修=福地健郎中野匡299.前眼部OCTの緑内障濾過手術への応用津田聡東北大学大学院医学系研究科眼科精密医療開発分野前眼部光干渉断層計(OCT)は濾過胞形状評価に有用である.線維柱帯切除術後の機能性濾過胞は,濾過胞壁が厚い,多層性,OCT強度が低い,内部の水撃が大きい,強膜弁開口部の幅が大きい,などの特徴がある.プリザーフロマイクロシャント後の濾過胞は,濾過胞壁が厚く,後方に位置し,丈の低い水撃が後方まで続く,などの特徴がある.●はじめに近年の緑内障手術では,低侵襲緑内障手術(minimallyinvasiveCglaucomasurgery:MIGS)の導入により,眼内法の線維柱帯切開術による早期手術介入が積極的に行われている.しかし,濾過手術が必要となる患者は現在も一定数存在している.線維柱帯切除術に代表される濾過手術では,術後管理が重要となり,濾過胞の状態を把握し,レーザー切糸術・ニードリングなどの介入を適切に行う必要がある.濾過胞の評価は細隙灯顕微鏡による濾過胞形状の観察によって行われているが,適切な評価には熟練が必要となる.また,濾過胞の内部構造の詳細な評価や定量的評価は困難である.前眼部光干渉断層計(opticalCcoherencetomography:OCT)は,非接触で濾過胞内部の構造を詳細かつ定量的に評価でき,濾過機能やその予測に有用であることが明らかにされている.また最近では,プリザーフロマイクロシャント(以下,PEM)が濾過手術のCMIGSとして登場したが,PFM後の濾過胞の形態的な特徴も報告されはじめている.C●前眼部OCTによる濾過胞の観察前眼部COCTはトーメーコーポレーションのCCIASA2,ハイデルベルグ社のCANTERIONなどが販売されている.後眼部用のCOCTでも,アタッチメントを装着することで前眼部の撮影も可能である.筆者はCCASIA2を使用している.波長がC1.3Cμm帯域のスウェプトソース方式のCOCTであり,高速かつ高深達である.濾過胞を撮影する際は,濾過胞が上耳側であれば下鼻側を,上鼻側であれば下耳側を注視し,強膜フラップの中央を中心に撮影している.撮影データは付属の解析ソフトを用いることで,濾過胞のさまざまなパラメータの計測や,三(93)C0910-1810/25/\100/頁/JCOPY次元的な観察,コントラストなどの調整が可能である.C●線維柱帯切除術後の濾過胞形状評価前眼部COCTを用いた濾過胞形態の分類では,di.use.ltering(濾過胞壁が薄く,内部に低.中等度のCOCT強度の結膜下の水撃をもつ),cystic(濾過胞表面の結膜は薄く,大きな濾過胞の内部にはCOCT強度の低い水撃が多数ある),encapsulated(濾過胞壁は厚くてCOCT強度は高く,単一の大きな水撃がある),.attened(結膜下に水撃がなく,OCT強度の高い濾過胞壁が強膜と接触して平坦である)の四つに分類され,機能性濾過胞はCdi.use.lteringとCcysticであったことが報告されている1).前眼部COCTを用いた濾過胞の評価(図1,2)に関する報告では,術後の眼圧に関連する因子として,厚い濾過胞壁2),広範な水撃2),濾過胞内部の低反射強度領域2,3),多層性の濾過胞壁4),強膜弁の開口部の幅5)などが報告されている.前眼部COCTでは,濾過胞の高さ,幅,面積,体積,内部の強度情報などを基に濾過胞形態を定量化することができる.これらのパラメータのなかでも,術後C2週での術後早期の強膜弁の開口部の幅,濾過胞壁の信号強度,多層性構造などは,中長期的な眼圧と関連することが報告されており,濾過胞機能を予測する因子として注目すべきである.とくに,強膜弁の開口部の幅は,長期的な眼圧とも関連することが報告されている.C●プリザーフロマイクロシャントの濾過胞形状評価近年上市されたCPFMについても,前眼部COCTによる濾過胞形状の評価が進められている.術後C1カ月以降に撮影された前眼部COCT画像の解析では,PMF後の濾過胞は,通常の線維柱帯切除術後の濾過胞と比較しあたらしい眼科Vol.42,No.5,2025593図1線維柱帯切除術後早期の機能性濾過胞前眼部COCTのCBスキャン画像.濾過胞の高さがあり,濾過胞壁は多層性でCOCT強度は低く,水撃が確認できる.また,前房から強膜弁の下を通る房水の流出路が確認できる.図3プリザーフロマイクロシャント術後の機能性濾過胞a:前眼部COCTのCBスキャン画像.前房から濾過胞内部を通るチューブが確認できる(.).濾過胞の中心は後方に位置し,濾過胞壁は線維柱帯切除術後よりも厚く,内部に多層性構造が確認できる(.).b:前眼部COCTのCCスキャン画像.チューブが確認でき(.),チューブの後方に房水が濾過されていることが確認できる(.).て,濾過胞のサイズは同等であるものの,強膜上の水撃の丈は低いが後方まで長く続き,濾過胞壁は厚く,濾過胞の頂点はより後方に位置している.また,.胞状変化や層状変化も有意に少ないことが報告されている6).PMF後の機能的な濾過胞(図3)では,濾過胞壁が厚くOCT強度が低い,または濾過胞壁が薄く内部の水撃が大きいこと7),輪部から濾過胞頂点までの距離が大きいほど眼圧が高くなることも報告されている8).PFM後の濾過胞形状に関する報告はまだ少なく,今後も検討が必要と思われるが,術式によっても濾過胞形状の特徴が異なり,濾過胞機能の予測因子となる指標も異なる可能性がある.C594あたらしい眼科Vol.42,No.5,2025図2線維柱帯切除術後早期の非機能性濾過胞前眼部COCTのCBスキャン画像.濾過胞は低く平坦であり,濾過胞壁は全体的にCOCT強度が高い.濾過胞内部には水撃はなく,強膜弁は強膜や濾過胞壁と癒着し,房水の流出路は確認できない.文献1)LeungCCK,CYickCDW,CKwongCYYCetal:AnalysisCofCblebCmorphologyCafterCtrabeculectomyCwithCVisanteCanteriorCsegmentCopticalCcoherenceCtomography.CBrCJCOphthalmolC91:340-344,C20072)SinghM,ChewPT,FriedmanDSetal:Imagingoftrab-eculectomyCblebsCusingCanteriorCsegmentCopticalCcoher-encetomography.OphthalmologyC114:47-53,C20073)KawanaK,KiuchiT,YasunoYetal:Evaluationoftrab-eculectomyblebsusing3-dimensionalcorneaandanteriorsegmentCopticalCcoherenceCtomography.COphthalmologyC116:848-855,C20094)NakanoN,HangaiM,NakanishiHetal:Earlytrabeculec-tomyCblebCwallsConCanterior-segmentCopticalCcoherenceCtomography.CGraefesCArchCClinCExpCOphthalmolC248:C1173-1182,C20105)KojimaCS,CInoueCT,CNakashimaCKCetal:FilteringCblebsCusingC3-dimensionalCanterior-segmentCopticalCcoherencetomography:aCprospectiveCinvestigation.CJAMACOphthal-molC133:148-156,C20156)HasanSM,TheiligT,MellerD:Comparisonofblebmor-phologyfollowingPRESERFLORCMicroShuntandtrabecu-lectomyCusingCanteriorCsegmentCOCT.Diagnostics(Basel)C13:3373,C20237)barzBarberaM,Hernandez-VerdejoJL,BragardJetal:CBlebgeometryCandmorphologyCafterCPreser.oMicroshuntsurgery:Riskfactorsforsurgicalfailure.PLoSOneC18:Ce0286884,C20238)HasanSM,TheiligT,LehmannTetal:Factorscorrelat-edCwithCmid-termCmorphologyCofCfunctionalCblebsCfollow-ingCimplantationCofCPreser.oCMicroShuntCusingCAS-OCT.CTranslVisSciTechnolC12:4,C2023(94)

屈折矯正手術セミナー:前眼部OCTを用いた最新のICLサイズ決定方法

2025年5月31日 土曜日

●連載◯300監修=稗田牧神谷和孝300.前眼部OCTを用いた最新の中村友昭名古屋アイクリニックCICLサイズ決定方法前眼部光干渉断層計(OCT)の活用により,眼内レンズのサイズの不適合によるレンズ交換は現在では皆無となった.新たな指標も追加され,サイズ選択に迷うことも少なくなった.今後の標準となりうるCICLの縦固定に対応した予測式も開発されている.また,AI活用の予測式も登場している.●ICLのサイズ選択安全性,有効性ともに非常に高い手術であるが,今なお起こりうる問題としては,サイズの不一致がある.4サイズの中から選ぶが,サイズが合わないと白内障や緑内障など術後にさまざまな問題を呈することがある.STAAR社から提供されるレンズ選択システムCOCOSでは,角膜の直径(WTW)と前房深度(ACD)からサイズを選択するが,2.3割は予測とは異なり最適なCvault(水晶体とCICLとの距離)が得られないことがある.そこで小島らは超音波生体顕微鏡(ultrasoundCbiomicros-copy:UBM)で毛様溝を測定しレンズサイズを割り出す方法(K式)を考案した1).これにより従来の方法に比べ正確にレンズサイズを決めることができるようになったが,UBMは高額な専用機器であり,検者のスキルも必要で,さらには検査に際しては患者の負担もやや大きい.そこで筆者らは,swept-source方式の前眼部光干渉断層計(opticalCcoherencetomography:OCT)であるCCASIA2(トーメーコーポレーション)(図2)で得られる前眼部パラメータを使用してレンズサイズを決めるCNK式(Nakamura-Kojimaformula)を考案した2).5種類のパラメータについて多重回帰分析を行い,ACW(強膜岬間距離)およびCCLR(水晶体前面の出っぱり)を説明変数として選定し,そこにCSTAAR社が行ったICLの押し縮め実験から導かれた式を利用し,重回帰式NK式Cver.1を作成した.その後,症例数を増やすことにより式の係数の最適化を行い,NK式Cver.2を作成した.現在はさらに改良したCNK式Cver.33)が,五十嵐らにより開発されたCKS式とともにCCASIA2に搭載されている.C●NK式ver.3の精度NK式Cver.3の精度を検証するために,NK式Cver.3によりCICLサイズを選択し手術を行ったC47例C88眼の術後C3カ月目のCvaultから,その精度を求めた.その結果,最適Cvaultとなった症例はC90.9%(80眼)で,lowvaultはC8.0%(7眼),highvaultはC1.1%(1眼)であった.Vaultの平均はC0.54±0.20Cmm(0.17.1.15mm)と,ほぼ目標としたCvaultとなり,90%以上の症例で理想のレンズサイズ選択が行われた.さらに,この式の予測の図1眼内に固定されたIOLのシェーマIOLは虹彩裏面の毛様溝に固定する.NK-formulaV3STAARnomogram図3予測されるvaultと実際のvaultとの絶対値誤差の比較NK式Cver.3の予測誤差は,STAAR式に比べ有意に少ないことがわかった.(91)あたらしい眼科Vol.42,No.5,20255910910-1810/25/\100/頁/JCOPY図2CASIA2前眼部Cswept-sourceOCTで,さまざまな前眼部パラメータを迅速かつ正確に得ることができる.図4術後の前房深度(ACD)と隅角(TIA)の予測図説を入れてください正確性を確認するため,予測されるCvaultと実際のvaultとの絶対値誤差を取ったところ,NK式Cver.3はC0.17±0.11Cmm(0.0.75Cmm),STAAR式はC0.43C±0.25mm(0.1.06Cmm)で,NK式の誤差が有意に少ないことがわかった(p<0.001)(図3).C●前房深度と隅角の予測,新たな予測式筆者らは,ICL術後のレンズサイズ評価をするにはvaultだけでなく,ACDや隅角も検討することを提唱している4)(図4).なぜなら,術前のCACDによって,術後のCvaultが同じであっても,前房や隅角の評価に相違が出るからである.そこで,最新のCCASIA2には,NK式やCKS式のほかに,術後のCACDや隅角を予測し,その安全領域を色で表すような表示がなされている.たとえば,NK式とCKS式の推奨レンズサイズが異なった場合に,予測されるCACDや隅角が緑で表示されていれば,どちらを選択しても安全範囲であることがわかるようになっている(図5).昨今は,ICLの回旋防止のため,従来の水平固定ではなく垂直固定を行うことが多くなった.そのため,垂直固定用の予測式も考案されている.また,Heidelberg社の前眼部COCT,ANTERIONを使用したCICLサイズ予測式が考案されている.さらには,AI(人工知能)をC592あたらしい眼科Vol.42,No.5,2025図5CASIA2のICLレンズサイズ選択画面NK式Cver.3とCKS式Cver.4がCCASIA2に搭載されており,各サイズのレンズを挿入した場合の予測Cvaultが自動的に表示される.さらには,術後の前房深度と隅角を予測する表示も追加され,サイズ選択のための参考となる指標が増加した.利用した予測式も考案されており,今後その精度の向上が期待されるところである.C●おわりにCASIA2によるCICLのサイズ決定が可能になり,筆者らはすでに以前行っていたキャリパーによるCWTWの測定は行わなくなった.また,ときに必要であったレンズサイズの不適合によるレンズ交換も現在では皆無となった.ICLの残された課題であるサイズ決定が前眼部OCTによってより正確に行われるようになり,安全性の向上から今後ますますCICLの需要は高まっていくではないかと思われる.文献1)KojimaCT,CYokoyamaCS,CNakamuraCTCetal:OptimizationCofanimplantablecollamerlenssizingmethodusinghigh-frequencyCultrasoundCbiomicroscopy.CAmCJCOphthalmolC153:632-637,C20122)NakamuraT,IsogaiN,KojimaTetal:Implantablecolla-merClensCsizingCmethodCbasedConCswept-sourceCanteriorCsegmentopticalcoherencetomography.AmJOphthalmol187:99-107,C20183)NakamuraCT,CKojimaCT,CSugiyamaCYCetal:EvaluationCofCimplantableCcollamerClensCsizingCdevelopedCbyCreviewingCtheChorizontalCcompression-vaultCcoe.cient.CJCCataractCRefractSurgC49:525-530,C20234)NishidaT,KojimaT,NakamuraTetal:Predictionofthetrabecularirisangleafterposteriorchamberphakicintra-ocularlensimplantation.CJCataractRefractSurgC48:604-610,C2022(92)

眼内レンズセミナー:テープ貼付けによる睫毛外反を利用したドレーピング

2025年5月31日 土曜日

眼内レンズセミナー監修/大鹿哲郎・佐々木洋456.テープ貼付けによる睫毛外反を利用した伊藤格市立室蘭総合病院眼科ドレーピングドレーピングは手術や処置の際に行われる眼科基本手技の一つであるが,施設や術者によってやり方がそれぞれ異なる.より確実なドレーピングは術野の確保のみならず,眼内炎予防にも重要である.本稿ではテープによる睫毛外反を利用したドレーピング方法を紹介する.●はじめにドレーピングのおもな目的は「術眼と眼瞼を隔離して清潔な術野を確保すること」とされている.その際に留意すべき点として,皮膚の露出を最小限にすること,睫毛が術野に干渉しないようにすること,そしてマイボーム腺を含む眼瞼をフィルムでしっかり覆い,排出される分泌物の影響を少なくすることが大切である1,2).C●現在主流のドレーピング法と課題一般的なドレーピング法は,ヨード剤による皮膚と結膜.の消毒後に,穴あき覆布を設置し,片方の手指を用いて上下眼瞼の皮膚を遠心方向に引っ張り(図1a),開瞼させながらテガダームフィルムを貼り付け(図1b),瞼裂に合わせてフィルムを切開し(図1c),開瞼器をかける,という手順で行う.これが現在主流の方法であるが,課題として以下のC2点があげられる.一つめは,フィルム切開の際に隙間ができて一部が.離してしまうほか,誤って角膜上皮を傷つけてしまうリスクがあることである.技術的な問題ではあるものの,筆者も何度も苦い経験があり,まずまず気を遣う手技の一つである.二つめの課題が,指で牽引している皮膚は本当に清潔なのか疑問が残る点である.ヨード剤の特徴として濃度依存性に効果が変わるほか,十分な殺菌効果を得るためには乾燥するまで時間をかける必要があり,おおむねC90.120秒程度で十分な消毒が完了する3.5).ただし,実際にこれだけの時間をかけて消毒をしている眼科医に筆者は出会ったことがない.皮膚消毒はほとんどのケースでC10秒以内,その後C20.30秒程度の結膜.消毒を終えて,ガーゼで拭いて完了している.眼科手術は患者数も多く,毎回時間をかけることがむずかしいという側面はあるものの,十分に消毒が完了していない皮膚を「清潔区域」として直接触れることに,筆者は少なからず抵抗を感じる.C●テープ貼付による睫毛外反を利用したドレーピング法筆者の施設では,テープを用いて眼瞼と睫毛を外反させることで,可能なかぎり皮膚に触れることなくドレーピングを行っている.ヨード剤による消毒後,穴あき覆布の設置の際に上眼瞼の皺を少し伸ばすように固定する(図2a).次に眼を軽く閉じてもらうよう指示し,ステリーテープを眼瞼の睫毛ラインより外側の皮膚に貼り付け(図2b),眼を開けるよう伝えながら遠心方向に眼瞼皮膚を牽引し(図2c),テープで上下眼瞼を固定する.あとはあらかじめ切れ目を入れたテガダームフィルムを貼り付けて(図2d),点眼麻酔をして開瞼器をかける.この方法では手指が皮膚に触れるリスクは最小限である.また,フィルムを貼る際に眼瞼縁より内側に「余り」が出るように貼ることが大切で(図2e),「余り」で眼瞼縁を巻き込むように開瞼器を設置することで,マイボーム腺を十分に覆うドレーピングが完成する(図2f).なお,ステリーテープの費用はC1眼あたりC80円前後であるが,他のテープでも十分に代用可能である.テガ図1手指で開瞼させるドレーピング法a:手指で眼瞼皮膚を上下に牽引し開瞼させる.Cb:テガダームフィルムを貼り付ける.Cc:瞼裂に合わせて角膜に傷をつけないようにフィルムを切開する.(89)あたらしい眼科Vol.42,No.5,2025C5890910-1810/25/\100/頁/JCOPY図2テープ貼付けによる睫毛外反を利用したドレーピング法a:穴あき覆布の粘着部で上眼瞼皮膚を軽度牽引し,皺を伸ばして固定する.b:軽く閉瞼を指示しながら睫毛縁より外側の皮膚にテープを貼る.Cc:開瞼をうながしながら,同時にテープを遠心方向へ牽引し,睫毛外反を確認して固定する(上下とも同様に施行する).d:あらかじめ切開を加えたフィルムを瞼裂に合わせて貼り付ける.Ce:眼瞼縁の内側にフィルムの余り部分が確認される.Cf:フィルムの余りで眼瞼縁を巻き込むように開瞼器を設置することで,マイボーム腺が覆われている.図3固定用テープ付テガダームフィルムの1例a:テガダームフィルムの種類によって,点滴チューブを固定するためのテープが余分についているものもある(青色囲み線部分).Cb:テープは容易に.離可能かつ粘着力も十分で,上眼瞼への使用によりコストフリーで睫毛外反が可能となる.ダームフィルムは,種類によっては点滴チューブを固定するためのテープが余分についているものもあり(図3a),そのようなテープを用いることができればコストフリーで施行可能である(図3b).C●おわりにテープ睫毛外反法は簡便で再現性が高く,より確実できれいなドレーピングをめざすことができる手技である.狭瞼裂の場合や開瞼に協力が得られない患者のほか,ドレーピング操作にお困りの若手の先生方などにも,ぜひともお試しいただきたい方法である.清潔で確実なドレーピング操作は眼内炎予防にもつながると考えられるので,ドレーピング方法の一つとして本手技が広く認知されるようになれば幸いである.文献1)大鹿哲郎,後藤浩(編):眼手術学1,p108-113,文光堂,C20142)永本敏之,黒坂大次郎,常岡寛ほか:白内障手術.第C2版,p3-10,銀海舎,20093)VanDenBroekPJ,BuysLFM,VanFurthR:InteractionofCpovidone-iodineCcompounds,CphagocyticCcells,CandCmicroorganisms.CAntimicrobCAgentsCChemotherC22:593-597,C19824)ShimadaCH,CAraiCS,CNakashizukaCHCetal:ReductionCofCanteriorCchamberCcontaminationCrateCafterCcataractCsur-gerybyintraoperativesurfaceirrigationwith0.25%povi-doneiodine.AmJOphthalmolC151:11-17,Ce1,C20115)LaufmanH:CurrentCuseCofCskinCandCwoundCcleansersCandantiseptics.AmJSurgC157:359-365,C1989

コンタクトレンズセミナー:英国コンタクトレンズ協会のエビデンスに基づくレポートを紐解く コンタクトレンズ装用に伴う合併症(2)

2025年5月31日 土曜日

■オフテクス提供■コンタクトレンズセミナー英国コンタクトレンズ協会のエビデンスに基づくレポートを紐解く17.コンタクトレンズ装用に伴う合併症(2)糸井素啓道玄坂糸井眼科英国コンタクトレンズ協会の“ContactCLensCEvidence-BasedCAcademicReports(CLEAR)”の第C9章はコンタクトレンズ装用に伴う合併症についてである1).今回はそのC2回として,代謝性合併症(角膜低酸素),メカニカルストレス,毒性および過敏症について紹介する.CMetaboliccomplications角膜低酸素に起因する合併症が「代謝性合併症」として紹介されている.コンタクトレンズ(CL)装用による角膜低酸素は,レンズ素材の酸素透過性や涙液交換の程度に左右される.そのため,近年のレンズ素材の進歩に伴って角膜低酸素による障害の頻度や重症度は低下しているが,高酸素透過係数(Dk)レンズの普及の遅れやレンズのデザイン,度数による厚みの制約,個人差の影響などにより,依然として低酸素関連の合併症が発生していることが述べられている.本章では,角膜低酸素に関連する各合併症について,その所見,可逆性の有無,発症の時間経過(短期的・長期的),および原因となりやすいレンズの種類が記載されているが,角膜内皮障害はCendothelialbleb,endo-thelialCpolymegethismCandpleomorphismとCcornealCexhaustionsyndromeに,角膜形状異常はCcornealwarpageとCchangesinrefractiveerrorに分けて記載されており,コンタクトレンズ診療ガイドライン(第C2版)2)に比べ,合併症の程度別に分けて詳しく書かれているのが特徴的である(表1).また,epithelialCmicro-cystsに似た病態をもつ合併症としてCepithelialvacuolesやCepithelialbullaeなど,わが国ではなじみのない合併症も紹介されているため,興味のある方は一読することをお勧めする.CMechanicallens-inducedcomplicationsレンズによる角膜への圧迫や摩擦などのメカニカルストレスに起因する合併症として,11種類が紹介されている(表2).これらC11種類のうち,superiorCepithelialCarcuatelesions(SEALs)などのソフトCCL(SCL)装用に伴う合併症は,素材の進歩により弾性が低下傾向にあるため,発症頻度は減少傾向にある.一方,ハードCCL(HCL)装用に伴う合併症は,素材の進歩にもかかわらず,依然として減少傾向に転じていないと述べられている.(87)C0910-1810/25/\100/頁/JCOPYToxicandhypersensitivitycomplicationsCL表面に結合,あるいはとりこまれた刺激物が眼表面に作用することによって引き起こされる合併症として,1)contactClens-inducedCpapillaryCconjunctivitis(CLPC:乳頭結膜炎),2)limbalCstemCcellCde.ciency(LSCD:角膜輪部幹細胞疲弊症),3)solution-inducedCcornealstaining(SICS:消毒液による薬剤性の角膜染色)のC3種類が紹介されている.CLPCは上眼瞼結膜に乳頭形成を引き起こす合併症であり,発症率はC0.4.21.3%と報告されている.発症にはCCLによる上眼瞼結膜への機械的刺激や,レンズ表面に沈着した変性蛋白に対する免疫反応が関与していると考えられている.近年のCCL素材やデザインの進歩にもかかわらず,CLPCは依然として装用中止のおもな原因の一つであり,本章でもその重要性から詳細に論じられている.CLPCの記述がとくに詳しい理由をCStapleton先生に尋ねた際,「感染症などの重篤な合併症だけでなく,装用中止に至る合併症も同じくらい重要だよ」と先生が熱く語ってくれたのが印象的だった.また,CLPCは治療だけでなく予防も重要であると考えられており,1日使い捨てレンズへの変更やCCL装用中止,消毒を行う場合は過酸化水素型消毒剤に変更することやCMPS使用時にこすり洗いを合わせて行うことなどが,有効な対策として知られている.外来診療をしていると,多くの患者が治療として点眼薬を処方している一方で,予防的な観点からCCLの種類やケア用品の選択に介入しているのは非常に少なく感じる.そのため,「CLPCの予防は治療と同じくらい重要である」というメッセージには強く共感する.LSCDは,CL装用に伴い角膜上皮幹輪部細胞が疲弊することで生じる合併症である.その発症には,①機械的ストレス,②角膜低酸素,③ケア用品による薬剤毒性が関与していると考えられており,とくに就寝時のCCL装用(連続装用)はリスクが高い行動とされる.発症率は約C2.4.5.0%と報告されているが,日本では連続装用あたらしい眼科Vol.42,No.5,2025C587表1角膜低酸素に起因するコンタクトレンズ合併症症状所見時間経過CLimbalrednessEpithelialstainingEpithelialoedemaEpithelialvacuolesEpithelialbullaeEpithelialmicrocystsCornealwarpageChangesinrefractiveerrorVascularisationStromaloedemaEndothelialblebsPolymegethismandpleomorphismCornealexhaustionsyndrome(CES)輪部血管の拡張角膜上皮の染色角膜上皮の限局した浮腫上皮内の微小空胞(5.3C0Cμm)上皮内の微小液胞(4C0Cμm以上)変性細胞成分からなる上皮内の微小.胞CL装用による角膜変形角膜変形に伴う屈折異常(近視性変化)角膜への血管侵入角膜実質の浮腫角膜内皮のブレブ角膜内皮細胞の形態変化および減少CL装用時の不快感を伴う角膜浮腫短期・可逆性C短期・可逆性C短期・可逆性C長期的・可逆性だが再発しやすいC長期的・可逆性C長期的・可逆性だが再発しやすいC短期・回復に個人差ありC短期・回復に個人差ありC長期的・ゴースト血管の残存ありC短期・可逆性C短期・可逆性C長期的・完全には可逆性ではない長期的・可逆性だが再発しやすい(文献C1より作成)表2メカニカルストレスに起因するコンタクトレンズ合併症症状所見CCornealandconjunctivalabrasions角結膜の上皮障害CCLbindingレンズの固着CCornealwarpageCL装用に伴う角膜形状の変化CSuperiorepithelialarcuatelesionsシリコーンハイドロゲルレンズに多い,角膜上部における弧状の上皮障害CMucinballsシリコーンハイドロゲルレンズに多い,CL後面におけるムチンボールの形成CContactslens-inducedpapillaryconjunctivitisCL装用に伴う乳頭結膜炎CConjunctivalepithelial.apsシリコーンハイドロゲルレンズに多い,レンズ周辺部における結膜上皮フラップの形成C3and9o’clockstainingHCL装用に伴うC3時-9時方向の角膜上皮障害CVascularizedlimbalkeratitis血管新生を伴う輪部角膜炎CContactlens-inducedstemcellde.ciencyCL装用に伴う輪部疲弊症CPtosisHCLに多い,CL装用による眼瞼下垂(文献C1より作成)が一般的ではないため,発症率は欧米より低いと推測さPHMBを含まないケア用品や過酸化水素系消毒剤の使れる.用,こすり洗いにより軽減が可能とされている.SICSは特定のレンズ素材とケア用品の組み合わせによって生じる一過性の角膜染色である.その病態は未解文献明な点が多く,当初はケア用品の毒性による角膜上皮細1)StapletonCF,CBakkarCM,CCarntCNCetal:CLEAR–Contact胞の脱落増加と考えられていたが,近年はCCLケア用品ClensCcomplications.CContactCLensCandCAnteriorCEyeC44:の成分とフルオレセインの結合が強化されることで発生C330-367,C20212)日本コンタクトレンズ学会コンタクトレンズ診療ガイドラすると考えられており,病的なものではなく無害であるイン編集委員会:コンタクトレンズ診療ガイドライン(第C2とする意見もある.また,病態に関係なくレンズへの沈版),第C6章コンタクトレンズ合併症.日眼会誌C118:着物が増えるとCSICSが悪化することが知られており,C575-578,C2021C

写真セミナー:癌性髄膜症による視神経症

2025年5月31日 土曜日

写真セミナー監修/福岡秀記山口剛史盛崇太朗492.癌性髄膜症による視神経症神戸大学医学部眼科学教室図2図1の乳頭拡大写真のシェーマ①滲出性変化②乳頭出血③網膜出血図1症状出現2カ月後の右眼眼底写真当院初診時の右眼眼底写真とその拡大写真.左眼眼底写真は図3bに示す.視神経乳頭からの滲出性変化と乳頭出血,また乳頭近傍に網膜出血を認めた.b図3症状出現1カ月後と2カ月後の眼底写真a:前々医での眼底写真.b:当院での左眼眼底写真とその拡大写真.図4前医眼窩部MRI画像STIRによる脂肪抑制画像では,視神経周囲の視神経鞘部分に高信号を認めた.(85)あたらしい眼科Vol.42,No.5,2025C5850910-1810/25/\100/頁/JCOPY胃癌手術歴と高血圧症がある74歳,男性の症例を提示する.3年前に手術した胃癌については,主治医から現在経過良好と説明されていた.2カ月前から両眼の視力低下を自覚し,近隣の眼科(前々医)を受診した.その際に脳外科病院で撮像した頭部CMRIでは異常が認められず,経過観察とされた.しかし視力低下が進行し,原因不明のまま総合病院(前医)を受診.そこで再度撮影したCMRIでは明らかな造影効果は認められなかったが,STIR冠状断画像(図4)において両側視神経鞘の信号増強が確認され,非典型的な視神経炎が疑われ,神戸大学医学部附属病院(以下,当院)に紹介された.当院初診時の矯正視力は右眼指数弁,左眼C0.2であった.当院と前々医での眼底写真(図1~3)および前医で実施されたCGoldmann動的視野検査結果(図5)を示す.眼底検査では視神経からの滲出性変化を示唆する白色病変と出血を両眼に認めた(図1,3b).このため,脳脊髄液由来疾患の可能性を考え,脳外科で髄液検査を依頼.髄液検査で異形細胞が認められ,細胞診により腺癌細胞と判明し,胃癌による癌性髄膜症(髄膜播種)と診断された.かかりつけの外科と腫瘍内科の協議により,髄膜播種の予後が非常に短いことから緩和ケアが選択され,当院受診からC6週間後に患者は永眠された.本症例は,原因不明の視神経乳頭腫脹を伴う急速進行性の両眼視力障害の患者である.前々医ではうっ血乳頭を疑いCMRI検査を実施したが,有意な所見は得られず,眼底所見から高血圧網膜症が疑われていた.しかし,降圧療法を行っても眼底所見および視機能の改善はみられず,原因検索と治療に難渋していた.本症例は,原因不明の視神経症例において,髄液検査が診断に果たす重要な役割を示唆している.実際,本症例のように髄液検査によって転移性腫瘍が発見されたり,髄液からアスペルギルスが検出され中枢神経アスペルギルス感染症による視神経症と診断された症例も報告されている1).癌性髄膜症は,癌細胞が脳や脊髄を包む髄膜に広がった状態で発生する.もっとも多い原因となる固形癌は肺癌である.癌性髄膜症による視覚障害の病態機序としては,腫瘍細胞による視神経や頭蓋内視路への直接浸潤,頭蓋内圧亢進による乳頭浮腫があげられる.また,腫瘍細胞の直接浸潤により視神経鞘の信号増強を認めることもある2).本症例の前医でのCMRI(図4)では視神経炎が疑われた.しかし多くの場合,MRIで明確な病変を特定することは困難である.眼底所見としては,本症例のように乳頭腫脹や乳頭からの滲出液,出血がみられる(図1~3).また,診断時の視力障害は指数弁以下や両眼の光覚喪失など,重篤である場合が多い3).全身の予後はきわめて不良で,癌性髄膜症の診断後の平均生存期間は約C4カ月とされている2).本症例は,原因不明の視力低下や視神経症例において,詳細な全身評価および髄液検査の重要性を改めて示した.文献1)MoriCS,CKurimotoCT,CKawaraCKCetal:TheCdi.cultyCofCdiagnosingCinvasiveCaspergillosisCinitiallyCmanifestingCasCopticneuropathy.CCaseRepOphthalmolC10:1-18,C20192)CzyzCC,CBlairCK,CBergstromR:LeptomeningealCcarcino-matosisCwithCdelayedCocularCmanifestations.CCaseCRepCOncolC14:98-100,C20213)SugaokaCS,CKandaCT,CItoCMCetal:ACcaseCofCmeningealCcarcinomatosisCdueCtoCsignet-ringCcellCcarcinomaCthatCdevelopedCsevereCvisualCimpairmentCwithCpapillaryCswell-ing.IntMedCaseRepJC13:153-158,C2020図5前医Goldmann動的視野検査結果右眼は周辺視野のみ残存しており,左眼も不規則な視野狭窄パターンで,視野からの病巣診断は困難であった.