特集●病的近視あたらしい眼科32(10):1375.1382,2015特集●病的近視あたらしい眼科32(10):1375.1382,2015病的近視の疫学EpidemiologyofPathologicMyopia川崎良*I失明原因としての屈折異常,とくに近視の重要性世界中で1億5300万人が屈折異常のために日常生活において視力障害の状態にあると推計されており,近視は失明対策の重要な課題の一つである1).眼科診療においては「矯正視力」が良好であることを重要と考えることが多く,屈折異常は眼鏡やコンタクトレンズ,屈折矯正手術で「矯正できる」視力障害であるとして軽視しがちである.しかし,屈折異常の診断がなされていない,眼鏡・コンタクトレンズなど屈折矯正の手段が利用できない,あるいは利用されていない状況下では近視が視力障害の重要な原因となる.2011年3月11日,東日本大震災後に被災地において眼科医療支援を行った東北大学眼科の活動報告によれば,被災者の主訴の44.1%は眼鏡・コンタクトレンズがない,といった屈折異常に関する訴えであった2).また,介護老人保健施設における眼疾患に関する調査では,在宅医療の前段階である施設入居者29例(平均年齢84.6歳)の眼鏡装用率は21%と低く,平均裸眼視力は0.1程度であった3).わが国では,屈折異常があっても容易に矯正視力を得ることができる環境が整っているとはいえるが,このように思いがけない形で屈折矯正が困難となる,あるいは十分になされない状況が起こりうる.さらに,近視に伴い斜視,白内障4)から網膜病変や緑内障5)など不可逆的な視力障害に至る疾患の危険が高まることも知られている(図1)6).55歳の時点での屈折異常の状態を元にして85歳時点での視力障害の危険を検討した報告では,55歳時の屈折状態が正視眼である場合に比べて,.6Dより強い病的近視では視力障害をもつ危険は3.4倍,.10Dより強い病的近視では22倍にも上るとの報告もある7).一般住民を対象とした疫学研究である多治見スタディでは近視性黄斑変性が失明原因の3位であり,片眼性失明の原因疾患としては第1位で近視病的近視斜視眼球運動障害白内障周辺部網膜病変・格子状網膜変性・網膜裂孔・裂孔原性網膜.離緑内障黄斑部網膜病変・硝子体黄斑牽引・黄斑網膜分離・近視性黄斑円孔・近視性黄斑症図1近視,病的近視と関連がある眼疾患*RyoKawasaki:山形大学大学院医学系研究科公衆衛生学講座〔別刷請求先〕川崎良:〒990-9585山形市飯田西2-2-2山形大学大学院医学系研究科公衆衛生学講座0910-1810/15/\100/頁/JCOPY(3)1375あった8).II近視,病的近視の有病率の増加文部科学省学校保健統計調査報告書によれば学校検診における「裸眼視力1.0未満のもの」は年々増加しており9),その原因となる屈折異常の内訳に占める「近視」および「近視性乱視」の割合は小学生で約46%,中学生で約73%,高等学校生で約91%である10).台湾において1983.2000年にかけて行われた学童期の年齢別近視有病率は,全年齢層において1990年代に入って増えていること,また病的近視についても1995年と2000年においては13歳以降の有病率が高くなっていることがわかる(図2)11).近視の有病率は成人でも増加し,また地域も決して日本をはじめとする東アジアに限ったものではない.ヨーロッパ諸国の疫学研究のメタ研究EuropeEyeEpidemiology(E3)Consortium12)では,1910.1939年生まれの群に比べて1940.1979年生まれの群では,50.79歳での近視(.0.75D以下)の年齢調整有病率は17.8%から23.5%に増加していた.米国NationalHealthandNutritionExaminationSurvery(NHANES)でも1971.1972年の調査と比べて1999.2004年の調査では,12.54歳の近視有病率は25%から41.6%に大幅に上昇していた13).100901983(<-0.25D)801986(<-0.25D)701990(<-0.25D)有病率(%)789101112131415161718III近視の有病率における人種差,地域差近視は日本,中国,台湾,シンガポールなど東アジアにおいてとくに有病率が高いと考えられている.米国の白人,アフリカ系ではアメリカ人,ヒスパニック,中国系アメリカ人を対象としたMulti-EthnicStudyofAtherosclerosis(MESA)研究では,近視の有病率のオッズは比白人に比べて,中国系アメリカ人で1.64倍と高く,逆にアフリカ系アメリカ人では0.79倍,ヒスパニックでは0.61倍と低かった14).マレー系,インド系,中国系のシンガポール人を対象とした疫学研究では,近視の有病率がより若い世代で高くなり,かつマレー系に比べて中国系では近視,病的近視の有病率のオッズ比がそれぞれ2.04倍,1.84倍と有意に高かった15).その一方で,先に述べたように米国や欧州でも近視の有病率は高くなってきており,もはや近視の有病率はアジア人と白人との間で大きな差がなくなっている可能性を指摘する研究もある16).ただ,病的近視については今なおアジア人に多いようである.MESA研究では病的近視有病率のオッズ比は,白人に比べ中国系アメリカ人で3.33倍と有意に高く,近視における関連より強いことが示唆されている(図3)14).これまでに報告のある病的近視(<.5Dあるいは<.6Dと定義)の有病率9,17.34)を図4にまとめた.年齢で標準化していないため,直接比較はできないもののやはり病的近視の有病率はアジ5*p<0.05460504030201001995(<-0.25D)2000(<-0.25D)1983(<-6.0D)1986(<-6.0D)1990(<-6.0D)1995(<-6.0D)2000(<-6.0D)3.33*110.770.630123調整済みオッズ比1.64*0.79*0.61*年齢(歳)図2台湾における学童期の近視(<-0.25D)および病的近視病的近視■白人■中国系アメリカ人■アフリカ系アメリカ人■ヒスパニック近視(<-6.0D)の有病率の時代比較図3米国4人種における近視および病的近視の有病率の差(文献11より抜粋して改変)(文献14を元に作成)1376あたらしい眼科Vol.32,No.10,2015(4)あたらしい眼科Vol.32,No.10,20151377(5)IV近視の環境,生活習慣における危険因子・保護因子SydneyMyopiaStudyは「両親とも近視ではない子ア,とくに東アジアで高いようである.03691215BaltimoreEyeSurvey(米国・アフリカ系)BlueMountainsEyeStudy(オーストラリア)Multi-EthnicStudyofAtherosclerosis(米国・ヒスパニック)LosAngelesLatinoEyeStudy(米国・ヒスパニック)ProyectVER(米国・ヒスパニック)MelbourneVIP(オーストラリア)BaltimoreEyeSurvey(米国・白人)EuropeanEyeEpidemiology(E3)Consortium(欧州15研究)Multi-EthnicStudyofAtherosclerosis(米国・黒人)BeaverDamEyeStudy(米国・白人)RotterdamEyeStudy(オランダ)Multi-EthnicStudyofAtherosclerosis(米国・白人)Sumatra(インドネシア)HandanEyeStudy(中国)Mongolia(モンゴル)BangladeshiNationalSurvery(バングラディッシュ)ShihpaiEyeStudy(台湾)SingaporeMalayEyeStudy(マレー系シンガポール人)YazdEyeStudy(イラン)BeijingEyeStudy(中国)久山町研究(日本)SingaporeIndianEyeStudy(インド系シンガポール人)多治見研究(日本)MeiktilaEyeStud(ミャンマー)SingaporeEpidemiologyofEyeDiseaseStudy(シンガポール)TanjongPagoarStudy(シンガポール)舟形町研究(日本)(Unpublisheddata)Multi-EthnicStudyofAtherosclerosis(米国・中国系)1.81.82.42.52.53.13.84.05.42.02.73.03.95.74.16.58.28.49.111.80.91.92.70.81.52.42.32.63.64.95.56.517189191818172091818921222324252627282930313233349<-6D<-5D図4成人の病的近視の有病率(%)03691215BaltimoreEyeSurvey(米国・アフリカ系)BlueMountainsEyeStudy(オーストラリア)Multi-EthnicStudyofAtherosclerosis(米国・ヒスパニック)LosAngelesLatinoEyeStudy(米国・ヒスパニック)ProyectVER(米国・ヒスパニック)MelbourneVIP(オーストラリア)BaltimoreEyeSurvey(米国・白人)EuropeanEyeEpidemiology(E3)Consortium(欧州15研究)Multi-EthnicStudyofAtherosclerosis(米国・黒人)BeaverDamEyeStudy(米国・白人)RotterdamEyeStudy(オランダ)Multi-EthnicStudyofAtherosclerosis(米国・白人)Sumatra(インドネシア)HandanEyeStudy(中国)Mongolia(モンゴル)BangladeshiNationalSurvery(バングラディッシュ)ShihpaiEyeStudy(台湾)SingaporeMalayEyeStudy(マレー系シンガポール人)YazdEyeStudy(イラン)BeijingEyeStudy(中国)久山町研究(日本)SingaporeIndianEyeStudy(インド系シンガポール人)多治見研究(日本)MeiktilaEyeStud(ミャンマー)SingaporeEpidemiologyofEyeDiseaseStudy(シンガポール)TanjongPagoarStudy(シンガポール)舟形町研究(日本)(Unpublisheddata)Multi-EthnicStudyofAtherosclerosis(米国・中国系)1.81.82.42.52.53.13.84.05.42.02.73.03.95.74.16.58.28.49.111.80.91.92.70.81.52.42.32.63.64.95.56.517189191818172091818921222324252627282930313233349<-6D<-5D図4成人の病的近視の有病率(%)1378あたらしい眼科Vol.32,No.10,2015(6)量の指標とすると,近視の有病率と負の関連がみられることが報告されている39).同研究では,近視と血清25(OH)D3濃度の関係についても報告しており,年齢,性別,人種,両親の近視,教育歴,眼部の太陽光暴露指標で調整したうえでも血清25(OH)D3濃度50nmol/l未満では50nmol/l以上に比べて2倍近視を有する危険が高かった40).同様に韓国の全国規模の健康栄養調査KoreaNationalHealthandNutritionExaminationSurvey(KNHANES)の報告によると,病的近視の有病率は血清25(OH)D濃度の上位1/3に属するとは下位1/3に属するのに比べて約半分であった41).屋外活動時間と近視の関連はその他の研究42)でも確認されており,現在では屋外活動を増加させるという介入によって近視の予防につなげようとする試みもある.台湾では学校単位で休み時間を屋外で過ごすプログラムを導入し,1年で非近視眼においては屈折度数の近視化を0.18D(95%信頼区間0.03.0.33D)抑制することができたと報告している43).韓国の健康調査KNHANES2008.2012では12.19歳の3,625人を対象として,睡眠時間と近視の関係を調べている.それによると,睡眠時間が短いことが近視の有病率と関連しており,屈折は睡眠時間1時間あたり+0.1D大きく,睡眠時間が9時間より長い場合には,5時間未満の睡眠時間の群に比べて近視の有病率が約40%であったという44).間接的に屋外活動時間,近見作業時間,就業期間などと関連している可能性もある.一方で,病的近視に関しては睡眠時間との間に有意な関連はなかった.V近視性黄斑症の有病率一般成人住民を対象とした疫学研究に基づく近視性網膜症の有病率の報告を表1にまとめた.疫学研究ではおもに眼底写真に基づき近視性網膜症,近視性黄斑症の判定がなされるが,その際に用いられる判定基準の代表的なものには,Avilaの分類45),SteidlとPruett46)の分類など複数ある.それぞれの分類が異なるため表1の有病率を直接比較することはできないが,一般対象者の0.9.3%,病的近視者の30.6.92.6%が何らかの近視性網膜症を有する.また,近視性網膜症は女性に多い(1.11倍.6.67倍)29,47.51).供」に比べて,「両親のうち片方が近視である子供」「両親とも近視である子供」では,それぞれ近視の有病の危険が2.3倍,7.9倍であり,とくに白人に比べ東アジア人種でその関連が強かったと報告している35).近視には家族内集積があり,遺伝的素因が関連していることが知られ,さまざまな研究により関連遺伝子の探索が進んでいる.その一方,近視の有病率が増加し続けていることから,遺伝的素因に加えて生活環境要因が影響していることと考えられている36).1.近見作業,学歴・就学期間と近視の関連SydneyMyopiaStudyでは,30cm未満で読書する小児は30cm以上離して読書する小児に比べ,近視の有病率が約2.5倍高かった.また,30分より長く連続して読書する子供は近視の有病率は1.5倍高かった37).また,学歴が高いこと,就学年数が長いことが近視,病的近視に関連していることが報告されている.MESA研究では高校卒業未満を1とした場合,大学卒業,大学院卒業で近視の有病率のオッズ比は2.69倍,3.45倍と高く,病的近視の有病のオッズ比はさらに6.88倍,8.99倍と高かった9).同様にE3Consortiumでも1900.1989年までの90年間で高等教育を4%から60%まで増加し,1920年代生まれで16歳までの教育歴をもつ群を基準にすると,高等教育(20歳以上の教育歴)をもつことで近視の有病率が2.43倍,1960年代生まれでは2.62倍有病率が高かったと報告している12).2.屋外活動時間と近視の関連SydneyMyopiaStudyではさらに,スポーツやレジャー活動の多寡にかかわらず,屋外活動時間が長いほど近視の有病率が低いことを報告した38).屋外活動と近視の有病率を結びつける機序はまだ明らかになっていない.屋外での強い光刺激は縮瞳をもたらし,焦点深度を深める効果があること,網膜内でのドーパミンが増加し眼軸の延長を抑制するなどの説があげられている.近年ではビタミンD濃度が近視と関連しているという説がある.生物学的指標を用いて日光被曝量と近視の関連を報告したWesternAustralianPregnancyCohort(RaineStudy)では,結膜上の紫外線自発蛍光面積を日光被曝表1一般住民対象疫学研究における近視性網膜症の有病率,男女比,および病変の内訳研究名年齢(歳)人数(人)%全体(%病的近視)男性を1としたときの女性の有病率の比病変の内訳網脈絡膜萎縮(%)Lacquercracks(%)Fuchs斑(%)BlueMountainsEyeStudy(オーストラリア)47)49≧3,5831.2(44.9)6.677.18.23.1BeijingEyeStudy(中国)48)40≧4,3191.6(92.6)1.1192.6*5.62.1HandanStudy(中国)49)30≧6,6030.9(43.3)2.1025.218.87.2HisayamaStudy(日本)29)40≧1,8921.7(30.6)1.8329.72.8─Shihpaistudy(台湾)50)65≧1,0583.0(72.2)1.79(M3+)**───Singapore(シンガポール)51)40≧6,680─1.50(M3+)**23.0**1.80*SteidlSMandPruettRCの分類46).Grade0:eyeswithoutevidenceofatrophicchange.Grade1:eyesshowedattenuatedchoroidalvessels,limitedlacquercracksformation,andretinalpigmentepithelialmottling,orcombinationsofthese.Grade2:eyeshadatotalareaofgeographicatrophylessthanorequalto2diskareas.Grade3:eyeshadatotalareaofatrophygreaterthan2diskareasbutlessthanorequalto4diskareas.Grade4:eyeshadatotalareaofatrophygreaterthan4diskareas.**Avilaの分類45).M0:Normalappearingposteriorpole.M1:choroidalpallorandtessellation.M2:choroidalpallorandtessellation,withposteriorpolestaphyloma.M3:choroidalpallorandtessellation,withposteriorpolestaphylomaandlacquercracks.M4:choroidalpallorandtessellation,withposteriorpolestaphyloma,lacquercracks,andfocalareasofdeepchoroidalatrophy.M5:posteriorpoleshowinglargegeographicareasofdeepchoroidalatrophy(“baresclera”).VI近視性黄斑症研究の標準化,比較可能性向上に向けた新分類の提案Ohno-Matsuiらは眼底所見に基づいて近視性網膜症の判定を行うため,新しい分類52)を作成した(図5).この新分類は,Hayashiら53)がまとめた臨床的な近視性黄斑症の長期観察に基づく進呈様式(図6)を基に,単なる病変の有無に基づく分類ではなく,脈絡膜新生血管や黄斑萎縮を将来生じる危険の高い病変の順にカテゴリーを定めた重症度分類として提唱されている.近視性黄斑症の病変のなかでもとくに近視性脈絡膜新生血管は発症すると視力予後が悪く,発症後5年までに85.2%が視力低下(>0.2logMAR)となっていた54).近視性脈絡膜新生血管の発症後5年後に88.9%が視力0.1(20/200)未満となり,10年後にはさらに96.3%にものぼるという報告もある55).この新分類はすなわち,将来重篤な視力障害をきたす脈絡膜新生血管と黄斑萎縮につながる病変の有無をより早期の病変から予測し,その重症度に基づいて重症度を決定することを目的としている.今後はさまざまな疫学研究や臨床研究でこの新分類が広く用い(7)近視性黄斑症病変カテゴリー1Category1紋理眼底Tesselatedfundusカテゴリー2Category2びまん性網脈絡膜萎縮Diffusechorioretinalatrophyカテゴリー3Category3限局性網脈絡膜萎縮Patchychorioretinalatrophyカテゴリー4Category4黄斑部萎縮Macularatrophyカテゴリー0Category0近視性黄斑症病変なしNomyopicretinopathylesionsMyopicmaculopathylesions“プラス”病変“Plus”lesionsラッカークラックLacquercracks(+Lc)脈絡膜新生血管Choroidal+neovascularization(+CNV)フックス斑Fuchs’spot(+Fs)図5近視性網膜症の新しい分類(文献52より抜粋,和訳)あたらしい眼科Vol.32,No.10,20151379Macularatrophy黄斑部萎縮CNV脈絡膜新生血管Tessellatedfundus紋理眼底Diffusechorioretinalatrophyびまん性萎縮病変LacquercracksラッカークラックP(D)びまん性萎縮病変を伴う限局性萎縮病変P(Lc)ラッカークラックから発生した限局性萎縮病変FusionwithareasofP(D)orP(St)びまん性萎縮病変あるいは後部ぶどう腫の境界から発生し限局性萎縮病変の融合・拡大Macularatrophy黄斑部萎縮CNV脈絡膜新生血管Tessellatedfundus紋理眼底Diffusechorioretinalatrophyびまん性萎縮病変LacquercracksラッカークラックP(D)びまん性萎縮病変を伴う限局性萎縮病変P(Lc)ラッカークラックから発生した限局性萎縮病変FusionwithareasofP(D)orP(St)びまん性萎縮病変あるいは後部ぶどう腫の境界から発生し限局性萎縮病変の融合・拡大図6臨床的な近視性黄斑症の進展様式られることが期待されており,そのなかで重症度分類の妥当性についても評価されると期待される.標準化された共通の判定基準を用いることで研究間の比較やメタ解析もより精度の高いものと可能となり,最終的には脈絡膜新生血管や黄斑萎縮をはじめとする不可逆的な視力障害の原因となる病変の予防,管理に貢献できるものと考えている.文献1)MorganIG,Ohno-MatsuiK,SawSM:Myopia.Lancet379:1739-1748,20122)DoiH,KunikataH,KatoKetal:OphthalmologicexaminationsinareasofMiyagiprefectureaffectedbythegreateastJapanearthquake.JAMAOphthalmol132:874-876,20143)福岡秀記,山中行人,長屋政博ほか:日本の介護老人保健施設における眼疾患に関する検討.臨床眼科68:865-868,20144)PanCW,ChengCY,SawSMetal:Myopiaandage-relatedcataract:Asystematicreviewandmeta-analysis.AmJOphthalmol156:1021-1033,20135)MarcusMW,deVriesMM,MontolioFGJetal:Myopia1380あたらしい眼科Vol.32,No.10,2015(文献53を元に作成)asariskfactorforopenangleglau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