———————————————————————-Page10910-1810/09/\100/頁/JCLS例も緑内障に含める」という意味であり,原発緑内障と比べ定義が甘いことに注意したい.過去の報告および自験例では,ぶどう膜炎関連続発緑内障の頻度は,ぶどう膜炎患者で続発緑内障の定義を①眼圧上昇のみ(22mmHg以上)とすると20~35%,②眼圧上昇+眼圧下降薬の使用と定義すると18~27%,③眼圧上昇+緑内障性の視野欠損ありと定義すると7~10%であった(表1)2~7).IIぶどう膜炎による眼圧上昇の原因ぶどう膜炎により眼圧が上昇することもあれば,下降することもある.ぶどう膜炎による房水の性状の変化はIぶどう膜炎関連緑内障の頻度ぶどう膜炎患者で続発緑内障を起こす割合は20~40%程度と考えられているが,この数値は「続発緑内障」の定義によって違ってくる.緑内障診療ガイドライン(第2版)では,続発緑内障の定義は,「緑内障性視神経症(GON)を有する症例のみで定義するのが本ガイドラインの緑内障の定義に沿った一貫性のある解釈であるが,本症(続発緑内障)の一部では,原疾患,他疾患の存在により緑内障性視神経症による視神経の形態的変化,機能変化(視野変化)の評価が困難である.このため,経過措置として,続発性の眼圧上昇を有する症例を含める」と記載されている1).これは,続発緑内障については「眼底検査,視野検査が困難な症例も多いため,discの変化,視野障害が明らかでない眼圧上昇のみの症(23)305oshasuaura病uroFuno病1138655731病特集●続発緑内障は変わった!あたらしい眼科26(3):305~310,2009ぶどう膜炎関連緑内障の病因EtiologyofSecondaryGlaucomaAssociatedwithUveitis蕪城俊克*藤野雄次郎**表2ぶどう膜炎続発緑内障の眼圧上昇機序ぶどう膜炎による前房水の変化1.前房水中の炎症細胞2.蛋白質3.プロスタグランジン4.ケミカルメディエーター前房隅角の形態学的変化1.続発閉塞隅角緑内障瞳孔ブロック,膨隆虹彩周辺虹彩前癒着毛様体の前方回旋(原田病)2.続発開放隅角緑内障線維柱帯への炎症性物質の沈着による機械的閉塞線維柱帯炎房水分泌過多線維柱帯および内皮の障害ステロイド緑内障表1ぶどう膜炎続発緑内障の頻度①眼圧上昇症例数(例)頻度(%)箕田ら(1992)沖波ら(1999)蕪城ら(2004)296257376203235.4②眼圧上昇+眼圧下降薬使用眼数(眼)頻度(%)TakahashiT(2002)蕪城ら(2004)1,60458818.326.9③眼圧上昇+眼圧下降薬使用+視野障害あり眼数(眼)頻度(%)Merayo-Llovesetal(1999)TakahashiT(2002)蕪城ら(2004)1,2541,6045889.67.18.5———————————————————————-Page2306あたらしい眼科Vol.26,No.3,2009(24)に周辺虹彩前癒着(peripheralanteriorsynechia:PAS)の範囲が拡大し閉塞隅角緑内障の機序により眼圧が上昇してきた場合がこれにあたる.サルコイドーシスぶどう膜炎では,隅角結節部に虹彩根部が癒着してテント状PAS(図1)を呈することが多いが,さらに幅の広い台形PASを作ることもある.ぶどう膜炎のない眼では2/3~3/4周以上の隅角癒着をきたすと眼圧が上昇するとされている9)が,ぶどう膜炎の続発緑内障ではステロイド緑内障や線維柱帯のフィルター機能の低下などの要因も加わっており,PASの範囲が2/3周より少なくても眼圧上昇をきたすことが多い.3.開放隅角時の眼圧上昇線維柱帯への炎症細胞やフィブリンなどの炎症性物質の沈着より,房水流出抵抗が増加して眼圧上昇をきたすことがある.また,サルコイドーシスなど肉芽腫性ぶどう膜炎では,線維柱帯やSchlemm管内に肉芽腫(隅角結節)を生じたり,線維柱帯細胞の浮腫(線維柱帯炎)により房水流出を障害され,眼圧上昇をきたすことがある(図2)10).前房内に炎症細胞がみられなくとも,隅角検査で結節が確認されることも多く,隅角検査は必須の検査である.これらの機序による眼圧上昇は,活動性の炎症が眼圧上昇に関与していると考えられ,消炎により眼圧上昇の原因が除去されれば眼圧下降が期待できる.眼圧上昇の要因となりうる(表2)8).たとえば,炎症細胞や蛋白質などによる線維柱帯の目詰まりや線維柱帯の浮腫は濾過抵抗を上昇させ,眼圧上昇をひき起こす.一方,プロスタグランジン(PGE1など)やインターロイキン(IL-1)などの炎症性サイトカインは,眼血液柵の破綻から房水産生増加をひき起こし,眼圧上昇に働く.また,活性酸素などのケミカルメディエーターは線維柱帯細胞を障害し,眼圧上昇の原因となる.その一方で,眼内の慢性炎症の持続は,毛様体機能を低下させ,房水産生低下,眼圧下降の原因となる.これらの房水の性状に加えて,ぶどう膜炎の続発緑内障を分類する場合,隅角の状態から続発閉塞隅角緑内障と続発開放隅角緑内障に分けて考えるのが一般的である(表2)8).前者は隅角閉塞の機序から,瞳孔ブロック・膨隆虹彩によるもの,周辺虹彩前癒着によるもの,毛様体の前方回旋によるもの,血管新生緑内障に分けられる.後者は線維柱帯への炎症性物質の沈着による機械的閉塞や線維柱帯炎,房水分泌過多,線維柱帯および内皮の障害,ステロイド緑内障などの要素が複雑に関与して眼圧上昇をきたしていると考えられる.したがって,続発緑内障の眼圧上昇機序を推測するにあたり,隅角検査は必要不可欠な検査である.代表的な病像について以下に述べる.1.瞳孔ブロック・膨隆虹彩による眼圧上昇前部ぶどう膜炎では,虹彩後面と水晶体前面が炎症性に癒着(虹彩後癒着:posteriorsynechia)を起こし,その範囲が瞳孔縁全周に及ぶと,後房から前房への房水の流れが妨げられる.その結果後房圧が上昇し,虹彩を前方へ押し出して膨隆虹彩(irisbombe)となり,隅角閉塞を起こすことになる.膨隆虹彩が一度起きると眼圧40mmHg以上の急激な眼圧上昇をきたしやすく,閉塞隅角緑内障発作と同様,迅速な対処が必要になる.レーザー虹彩切開術か周辺虹彩切除術の適応となるが,レーザー虹彩切開術ではレーザー後にフィブリン膜を形成し,再閉塞することがしばしばある.2.周辺虹彩前癒着による眼圧上昇ぶどう膜炎による前房内炎症をくり返すうちに,徐々図1隅角結節とテント状虹彩前癒着強膜岬に小型白色の隅角結節2個を認め,その部位にテント状虹彩前癒着を作っている.———————————————————————-Page3あたらしい眼科Vol.26,No.3,2009307(25)所投与はしばしば眼圧上昇の原因となる(ステロイド緑内障).通常,ステロイド薬使用開始から2週間以上経過したころから眼圧が上昇し,ステロイド薬の中止あるいは減量によって数日から数週間で正常に戻る11).ステロイド緑内障の発症機序は完全には解明されていないが,ステロイド薬により線維柱帯細胞からのグリコサミ一方,活動性の眼炎症がなくとも眼圧が上昇することがある.たとえば,眼血液柵の破綻は房水産生増加をひき起こし,眼圧上昇の要因となる.慢性の前部ぶどう膜炎は線維柱帯および内皮,Schlemm管の瘢痕化などの不可逆的な障害をひき起こし,房水流出抵抗を増大させる8).また,ステロイド薬の全身投与あるいは眼への局図2サルコイドーシスぶどう膜炎続発緑内障の線維柱帯組織の走査型電子顕微鏡写真Schlemm管内に肉芽腫(G)がみられ,線維柱帯にはマクロファージ(M),単球(Mn),リンパ球(Ly)の浸潤がみられる(bar=10μm).右下図:同じ組織の光学顕微鏡写真.Schlemm管は肉芽腫で閉塞されている(bar=50μm).AC:前房.(文献9,濱中輝彦先生のご厚意による)———————————————————————-Page4308あたらしい眼科Vol.26,No.3,2009(26)であり,治療法は通常のぶどう膜炎と大きく異なる.これらのぶどう膜炎の原因疾患のなかで,眼圧上昇をきたしやすい疾患ときたしにくい疾患がある.自験例の検討を紹介する.1996年1月~2000年12月に東京大学附属病院眼科を初診し3カ月以上経過観察できた内因性ぶどう膜炎症例376例(男性186例,女性190例)588眼のうち,21mmHg以上の高眼圧があり,かつ眼圧下降治療(点眼,内服または手術)が施された続発緑内障症例は,114例(30.3%)158眼(26.9%)であった4).この続発緑内障症例をぶどう膜炎の原因疾患別に検討した結果,および同じ続発緑内障の定義で同様の検討を行っているTakahashiらの報告5)を示す(表3).Takahashiらの報告は南九州地方での検討であり,HTLV-1(humanT-lymphotropicvirustype1)関連ぶどう膜炎,眼トキソプラズマ症の症例数が多くなっている.これらの結果から,眼圧上昇をきたしやすいぶどう膜炎としてPosner-Schlossman症候群,Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎,サルコイドーシス,HLA(humanleuko-cyteantigen)-B27関連ぶどう膜炎,ヘルペス性虹彩炎,原田病があげられる.これらのうち,Posner-Schloss-man症候群,Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎,ヘルペス性虹彩炎について述べる.1.PosnerSchlossman症候群Posner-Schlossman症候群は,片眼性の軽度の虹彩ノグリカンなどの細胞外無構造物質の産生が増加し,線維柱帯からの房水流出抵抗が増大することがおもな原因と考えられている12).ステロイド緑内障は当初はステロイド薬の中止により眼圧下降が得られるが,経過が長くなり慢性化するとステロイド薬を中止しても眼圧が下降しなくなる場合が多い.これらの機序による眼圧上昇は,活動性の炎症は眼圧上昇に関与していないと考えられ,消炎治療では眼圧下降は期待できない.IIIぶどう膜炎の原因と続発緑内障ぶどう膜炎の原因となる疾患は約50種類ぐらいあるといわれており,それらは①内因性ぶどう膜炎(非感染性ぶどう膜炎),②感染性ぶどう膜炎,③仮面症候群に分類される.①内因性ぶどう膜炎は,感染や外傷によらず,自己免疫疾患など異常な免疫反応で起こるぶどう膜炎である.ぶどう膜炎の約8割を占めると考えられ,原因疾患としては,Behcet病,サルコイドーシス,Vogt-小柳-原田病(以下,原田病)など多くの疾患がここに入る.②感染性ぶどう膜炎は,ウイルス,真菌,寄生虫,細菌などの病原体の感染によりひき起こされるぶどう膜炎で,ぶどう膜炎の約2割を占める.具体的にはヘルペス性虹彩炎,急性網膜壊死,真菌性眼内炎,眼トキソプラズマ症などである.③仮面症候群は,ぶどう膜炎の約1%を占め,眼内悪性リンパ腫や白血病の眼内浸潤である.ぶどう膜炎と類似した所見を呈するが,血液の腫瘍表3ぶどう膜炎疾患別の続発緑内障頻度臨床病型自験例(1996~2000)Takahashiら(1974~2000)症例数続発緑内障の頻度(%)症例数続発緑内障の頻度(%)サルコイドーシスBehcet病原田病ヘルペス性虹彩炎Posner-Schlossman症候群HLAB27AAUFuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎眼トキソプラズマ症HTLV-1関連ぶどう膜炎その他原因不明938251191514532782262822315310036400018237155107102185194924423421161002012161615合計588271,07718———————————————————————-Page5あたらしい眼科Vol.26,No.3,2009309(27)い.虹彩異色とは両眼で虹彩の色調が異なることを指すが,有色人種では不明瞭で,びまん性の虹彩表面の萎縮と考えたほうがよい(図3).前房内炎症は軽度で,角膜後面沈着物は小~中型で数が少なく,角膜後面全体に上方まで分布することが多い.虹彩後癒着は起こさない.前房穿刺時に出血することがある(Amslersign).近年,Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎患者の前房水で風疹ウイルスDNAに対するPCR検査が陽性となる症例や,風疹ウイルスの抗体価率(風疹ウイルス抗体価と総免疫グロブリンG(IgG)値の比率を前房水と血清中で算出し,それらを割り算した比率,Goldmann-Wit-mercoecientdeterminationまたはQ値ともよばれる)が高値である症例が多いことが報告され,この疾患の発症に風疹ウイルスが関与している可能性が報告されている18).deVisserらは,前房水PCR検査または抗体価率で風疹ウイルス陽性であった30症例について臨床像を検討し,小型の角膜後面沈着物,虹彩異色,白内障,虹彩後癒着なしの4項目のすべてを満たす症例が10例(33%),3つを満たす症例が13例(43%),2つを満たす症例が7例(23%)であり,従来からいわれているFuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎の臨床像とよく合致するものであったと報告している19).炎とともに急激な眼圧上昇をきたす疾患であり,疾患の定義のなかに眼圧上昇が含まれるため全症例で眼圧上昇をきたす.近年,Posner-Schlossman症候群の前房水polymerasechainreaction(PCR)検査により単純ヘルペスウイルス13)やサイトメガロウイルス(CMV)14,15)のDNAが陽性となる症例が報告されている.Cheeらは眼圧上昇を伴う前部ぶどう膜炎105眼の前房水を採取してPCR検査を行ったところ,24眼(22.8%)がCMV-DNA陽性で,それらのうち18眼(75%)は臨床的にPosner-Schlossman症候群,5眼(20.8%)はFuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎,1眼はヘルペス性虹彩炎疑いと診断された,と報告した15).またCheeらは別の報告で,Posner-Schlossman症候群が疑われた67眼のうち前房水PCR検査でCMV-DNAが陽性であった35眼と陰性であった32眼の間に,患者の年齢,性別,最高眼圧値,角膜内皮細胞減少度,虹彩萎縮の出現率などに有意差は認めなかった,と報告している16).これらの報告から,臨床所見からPosner-Schlossman症候群と診断される患者の半数近くがCMVによる虹彩炎である可能性が推測される.Posner-Schlossman症候群に対しては,通常ステロイド点眼と眼圧下降薬点眼(あるいは炭酸脱水酵素阻害薬の内服)が行われるが,CMV-DNAが陽性である症例に対しては,さらにガンシクロビル(デノシンR)の硝子体注射あるいはバルガンシクロビル(バリキサR)内服などの抗ウイルス治療を行うことが推奨されている15).筆者らの経験でも抗ウイルス治療の併用によりほとんどの症例で消炎と眼圧下降が得られるが,しばしば再発をくり返す症例も存在する.このような再発症例にどのような治療を行うべきかが,今後の課題であると思われる.2.Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎は,通常片眼性の虹彩毛様体炎,白内障,虹彩異色を3主徴とする疾患である.眼圧上昇を起こす症例が20%程度ある17).この際にはPosner-Schlossman症候群と類似し,鑑別がむずかしいことがあるが,Posner-Schlossman症候群ほど急峻な眼圧上昇ではなく,慢性的な上昇であることが多図3CMV虹彩炎10年前から右眼のPosner-Schlossman症候群と診断され,年1回程度軽度の虹彩炎と眼圧上昇を起こしていた.下方を中心に色素性角膜後面沈着物,一部白色で小型の角膜後面沈着物を認める.———————————————————————-Page6310あたらしい眼科Vol.26,No.3,2009(28)4)蕪城俊克,川島秀俊:ブドウ膜炎併発緑内障における手術の適応・術式の選択・術後処置.あたらしい眼科21:13-19,20045)TakahashiT,OhtaniS,MiyataKetal:Aclinicalevalua-tionofuveitis-associatedsecondaryglaucoma.JpnJOph-thalmol46:556-562,20026)Merayo-LlovesJ,PowerWJ,RodriguezAetal:Second-aryglaucomainpatientswithuveitis.Ophthalmologica213:300-304,19997)沖波聡:続発緑内障ぶどう膜炎.眼科44:1632-1638,20028)MoorthyRS,MermoudA,BaerveldtGetal:Glaucomaassociatedwithuveitis.SurvOphthalmol41:361-394,19979)山岸和矢:隅角癒着解離術.眼科学大系9,眼科手術(増田寛次郎編),p315-318,中山書店,199310)HamanakaT,TakeiA,TakemuraTetal:Pathologicalstudyofcaseswithsecondaryopen-angleglaucomaduetosarcoidosis.AmJOphthalmol134:17-26,200211)BeckerB,MillsDW:Corticosteroidandintraocularpres-sure.ArchOphthalmol70:500-507,196312)JohnsonDH,BradleyJM,AcottTS:Theeectofdexam-ethasoneonglycosaminoglycansofhumantrabecularmeshworkinperfusionorganculture.InvestOphthalmolVisSci31:2568-2571,199013)YamamotoS,Pavan-LangstonD,TadaRetal:PossibleroleofherpessimplexvirusintheoriginofPosner-Schlossmansyndrome.AmJOphthalmol119:796-798,199514)TeohSB,TheanL,KoayE:CytomegalovirusinaetiologyofPosner-Schlossmansyndrome:evidencefromquantita-tivepolymerasechainreaction.Eye19:1338-1340,200515)CheeSP,BacsalK,JapAetal:Clinicalfeaturesofcyto-megalovirusanterioruveitisinimmunocompetentpatients.AmJOphthalmol145:834-840,200816)CheeSP,JapA:Presumedfuchsheterochromiciridocy-clitisandPosner-Schlossmansyndrome:comparisonofcytomegalovirus-positiveandnegativeeyes.AmJOph-thalmol146:883-889,200817)JonesNP:Fuchs’heterochromicuveite:anupdate.SurvOphthalmol37:253-272,199318)QuentinCD,ReiberH:Fuchsheterochromiccyclitis:rubellavirusantibodiesandgenomeinaqueoushumor.AmJOphthalmol138:46-54,200419)deVisserL,BraakenburgA,RothovaAetal:Rubellavirus-associateduveitis:clinicalmanifestationsandvisualprognosis.AmJOphthalmol146:292-297,200820)AmanoS,OshikaT,KajiYetal:Herpessimplexvirusinthetrabeculumofaneyewithcornealendotheliitis.AmJOphthalmol127:721-722,1999一方,臨床的にFuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎と診断された症例のなかに前房水PCR検査でCMV-DNAが陽性となる症例があることも報告されている.Cheeらは,臨床的にFuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎と診断された36眼のうち,前房水PCR検査でCMV-DNAが陽性であった15眼と陰性であった21眼を比較すると,CMV陽性群では高齢の男性が多く,角膜内皮に虹彩色素を伴う結節状の病変を高率(60%)に認めると報告している16).このように,これまで臨床的にPosner-Schlossman症候群あるいはFuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎と診断されてきた症例が,今後検査法の普及によって,より病因に即した診断名として風疹性ぶどう膜炎(rubellavirus-associateduveitis)あるいはCMV虹彩炎(cyto-megalovirusanterioruveitis)とよばれるようになっていくのではないか,と思われる.3.ヘルペス性虹彩炎ヘルペス性虹彩炎は,単純ヘルペスウイルス1型(herpessimplexvirus-type1:HSV-1),単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2),水痘・帯状疱疹ウイルス(varicellazostervirus:VZV)によってひき起こされる虹彩炎である.一度皮膚や粘膜に感染したHSVあるいはVZVが,眼の知覚神経節である三叉神経節に潜伏感染し,その再活性化が三叉神経節第1枝領域に沿って起きて,虹彩毛様体にウイルスが感染することによって虹彩炎が発症する.ヘルペス性虹彩炎の活動期にはしばしば眼圧上昇を伴うが,ヘルペス性虹彩炎患者の線維柱帯でのヘルペスウイルスの発現が報告されており20),ヘルペス感染による線維柱帯炎が房水流出抵抗の上昇をひき起こし,眼圧を上昇させることが推測されている.文献1)日本緑内障学会:緑内障診療ガイドライン第2版.日眼会誌110:777-814,20062)箕田宏,坂井潤一,臼井正彦:ぶどう膜炎による続発性緑内障.眼臨86:2369-2374,19923)沖波聡,小川明子,大坪貴子ほか:ぶどう膜炎による続発緑内障の治療.臨眼53:1759-1765,1999